オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
「いつやるか?今でしょ?」の台詞で有名な東新ハイスクールの講師林修が、最近元気がないと感じる若者たちにその生き方を語る。
読んでて思ったのが、この人の考え方は自分に似ているということ。早足で歩くところや、車を使わない事を推奨する事など共感できることばかりだった。冒頭で著者自信が言っているように、楽しく生きている人にとってはここに書かれている内容は「普通」の考え方ばかりなのだろう。
それでも今まであまり意識していなかったような考え方もあった。「権威トレンド」の扱い方である。「権威トレンド」とは人が何に権威を感じるかということで、世の中の多くの人は、お金持ちや、政治家や、先生や、アーチストなどの特定の人の話をよく聞こうとする傾向があるのだ。著者が語っているのは、何か話をするとき、何かの意思を伝えたいときに、相手の「権威トレンド」を見極めて、それに応じた伝え方をすることの効果である。
もちろん、強い「権威トレンド」を持っている人は、進んで付き合いたい人ではないのかもしれないが、何かを達成するためにはしばしばそのような人を説得しなければいけないのも事実。そのようなときは、その人の「権威トレンド」を見極めて、自分の態度を変えたり、人を介して伝えたりすることが効果的だというのである。
また、章の間に差し込まれているコラムも楽しむ事ができた。最も印象にのこったのは「今の生徒たちの”名前”に感じること」である。話のネタとしても使えそうだ。
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カテゴリー: 和書
「一流の人はなぜそこまで、コンディションにこだわるのか?」上野啓樹/俣野成敏
オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
前半はコンディションの重要性について語っている。遅くまで働くことが本当に効率的なのか、徹夜をすることが格好いいのか。10年ほど前に比べると、すでに多くの人がコンディションの重要性について気付いているとは思うが、それでも遅くまで飲み会などに参加し、朝は出社ぎりぎりに起きるという人をよく目にするし、相変わらず徹夜したことをわざわざネットで公言する人も見かける。そんな人は本書で本当にそれが人生にとって意味のある事なのか考えてみるといいだろう。
中盤以降は、体調を整えるための食事法について書いている。従来は正しいと信じられていたこと、例えば、一般的には、朝ご飯は抜くよりも食べる方がいいとされているし、三角食べがいいとされているが、本書はそれを否定しながらその理由と正しい方法を説明している。なによりもフルーツの重要さをひたすら語っている点が普段果物を食べない僕にとっては新鮮だった。
本書の真髄となる考え方は1日を三分割するものである。朝4時から12時までを排泄の時間。12時から20時までを消化の時間、そして20時から翌朝4時までを吸収の時間とし、カラダのエネルギーをどれかに集中させるのである。つまり食べ物を食べるのは消化の時間である12時から20時にすべきだというのである。
なかなかカラダに染み付いた週間を急に変えることはできないし、食事に関していろんな説があるなかで本書で書かれている内容だけをすぐに信じて実践する事は危険だとは思うが、1つの考え方として頭に入れておくのはいいのではないだろうか。
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「中級スペイン語読み解く文法」西村君代
オススメ度 ★★★★☆ 4/5
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「中級スペイン語」ということで、一通りスペイン語の文法を学んだ人向けの内容である。どんな言語にも言えることかもしれないが、スペイン語においても接続法まで一通り学んで本をスペイン語で読み始めると、どうしても理解しにくい文章や、使い分けの難しい文章に出会うことが多々ある。本書はそんな悩みをすべてではないが解決してくれるだろう。
例えば、スペイン語においては主語を省くことができたり、主語がある場合でもその位置は英語ほど明確に決まっていない。そのため、読むときには理解はできても、実際書いたり話したりする状況では、主語をどこに置くべきか悩むことがある。本書はその点についてこのように説明している。
その他にも英語学習の後にスペイン語に入った人には非常に悩ましい箇所をわかりやすく解説している。文法の基本的な部分に軽く触れた上で、文法の先の、実際に使われている傾向に踏み込んで解説している点が非常に有り難い。
また、最後の数ページではスペイン語の成り立ちや地域による違いについて説明している。ラテン語の変化からアラビア語やアメリカ大陸の先住民の言語の影響など言語の発展に対する興味も喚起してくれる。また、スペイン語の地域差についても説明している。例えばvosotrosとustedesの使い分けや、直接人称代名詞の地域による傾向等、どれもある程度スペイン語を学んでいる人には避けて通ることのできないことなので少しずつ覚えて行きたいと思った。
もちろん1回読んだだけですべてを理解すること等できないのでスペイン語に触れながら繰り返し読み返したい。
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「ダンス・ダンス・ダンス」村上春樹
オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
「僕」は引きつけられるように以前泊まったことのある「いるかホテル」を訪れる。そこで出会う受付の女性、バーで音楽を聴く少女、暗いフロア等、「いるかホテル」が「僕」を導いていく。
今まで「海辺のカフカ」と「スプートニクの恋人」という2作品を読んだだけだが、村上春樹の作品というのは僕にとっては理解不能である。にもかかわらず、僕はたびたび村上春樹ファンに出会い、その熱い話を聞かされるのでその面白さを理解したいとは思い続けている。そのせいか先日「遠い太鼓」という村上春樹の海外生活を描いた作品を読み、彼が物語だけでなく文章の成り立ちにも気を使って書いていることを知った。今回再び村上作品を手に取ったのは、物語の面白いさだけではなく文章の成り立ちについても意識して読んでみよう、と思ったからである。
本作品は以前恋人と訪れた北海道の「いるかホテル」を「僕」が訪れることから始まる。特にやることのない「僕」は、受付の女性と親しくなり、また最後には13歳の少女に東京まで付き添うという役を担うことになる。そんななか常に昔の恋人キキの姿を探し続けるのである。また、昔の同級生で今や売れっ子俳優の五反田(ごたんだ)君の存在も重要な位置をしめる。「僕」は何をしても華麗に見える五反田(ごたんだ)君とたびたび会っていろんな悩みを共有するようになる。
著者が意図したことを理解したのかはわからないが、今までに読んだ村上作品のなかでは最も読みやすく感じたし、もっとも楽しめた気がする。
一つ気付いたのは、浮世離れした印象を与える村上作品は、そのせいで時代の変化による劣化が少ないということ。実際本書は1988年に出版したというから30年近く前なのだがあまり読んでいて古さを感じなかった。村上春樹ファン(ハルキストと呼ぶらしい)が本作品をどのように語るのか知りたいと思った。
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「啓火心」日明恩
オススメ度 ★★★☆☆ 4/5
大山雄大(おおやまゆうだい)は都内に努める消防士。日々消火作業に従事するなか不審な火災と出会う事となる。友人である守(まもる)と裕二(ゆうじ)とともに真実に近づいて行く。
消防士大山雄大(おおやまゆうだい)の物語の第3弾である。まずはこのシリーズ御馴染みの展開ではあるが、雄大(ゆうだい)の勤める職場と消防士という職業の過酷さ、理不尽さでの描写から始まる。消防士という普段接する事のない職業について楽しみながら知る事ができるのはこのシリーズの醍醐味である。
さて、本作品では雄大(ゆうだい)の友人である守(まもる)と裕二(ゆうじ)が大活躍する。ハッキング等情報収集を得意とする守(まもる)は不審な火災に興味を持って調べるうちにそれぞれの共通点に気付く。また雄大(ゆうだい)は火災現場で見かけた不審な男達に関わることで組織犯罪に巻き込まれて行くのである。
このシリーズでは雄大(ゆうだい)は「別になりたくて消防士になったわけではない」と言い続けている。同じ消防士として殉職した父を持ちながらも、公務員として楽に生きて行きたいから消防士になったのだという。それでも雄大(ゆうだい)の心の中にある正義感が本シリーズの魅力ではあるが、今回はそんな部分が大いに発揮される。
ちなみに、雄大(ゆうだい)が狭いことをひたすら嘆き続ける飯倉消防署はどうやら実際に存在するようで、地図で検索すると高速道路の上に存在している。
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「キアズマ」近藤史恵
オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
大学に入学するとともに、ちょっとしたきっかけから自転車部に入部する事となった正樹(まさき)は次第にロードレースの面白さに惹かれて行く。
著者近藤史恵がこれまでに出した作品はいずれもロードレースを扱ったもので、人間の自尊心や嫉妬などや複雑な感情を描き出して見せてくれるのでロードレースのことを良く知らなくても楽しむ事ができるだろう。過去の作品とは違って本作品は大学生のロードレースを題材にしている点である。大学で立ち上げたばかりの自転車部だが、そこに情熱を注ぐ人たちから頼まれて1年限定で参加する事になった正樹(まさき)だが、日常生活で常に重い自転車に乗っていたことと、以前に柔道をやっていたことから次第に自転車でもその才能を発揮して行く。
物語を深く面白いものにしているのは、正樹(まさき)と、そのライバルとなる同じ自転車部の桜井(さくらい)の過去である。正樹(まさき)は中学時代の柔道の練習中に、顧問の先生からの過度な指導によって親友が目の前で全身付随になるという経験をしている。その友人宅に訪れるたびに、「なぜ助けられなかったのだろう」という後悔の念に苦しむのである。そして桜井(さくらい)もまた兄弟のことを触れられるのを極度に嫌う。桜井が自転車に入れ込む理由は、兄弟にあるように見えるのだが周囲の人間もそれ以上深く踏み込むことができないでいる。2人はそんな過去と向き合いながらも、次第に正樹(まさき)が力を付けていくことで真剣勝負に発展して行くのである。
目の前にあるロードレースというものに真剣に取り組む2人の姿は十分な刺激を与えてくれた。
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「狐狼の血」柚木裕子
オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
広島県警に勤める25歳の日岡秀一(ひおかしゅういち)は、敏腕のマル暴刑事として有名な44歳の大上(おおがみ)とペアを組むこととなる。しかし、時を同じくして広島県内では暴力団同士の抗争が始まろうとしていた。
マル暴刑事として有名な大上の下につくこととなった日岡だが、大上と共に行動するうちに、暴力団からお金を受け取ったり、また、そのお金を捜査費用に充てたりと、大上の違法な捜査を多く目にするようになる。時にはその違法である事に抵抗を感じながらも、そうせざるを得ない状況を知り、大上と長く行動するうちに、暴力団との共存を重視する大上の考えに理解を示すようになっていく。
そんななか暴力団同士の関係に少しずつ不穏な空気が立ちこめる。大上が指示する尾谷組と加古村組の間のもめ事が重なるのである。2つの組はそれほど大きくないにも関わらず、大きな組とのつながりがあるために扱いを間違うと大きな暴力団抗争に発展する可能性がある。大上は尾谷組とともに、加古村組をつぶそうと奔走するのである。
本書がどこまで現実の捜査を忠実に描いているのかはわからないが、暴力団同士の抗争が始まる事を防ぐために、それぞれの暴力団に対してその面子を重んじながら駆け引きをする大上(おおがみ)の様子は、今までどんな映画や物語も見せてくれなかったもので、非常に現実味を感じさせる。新聞などで報道される暴力団の行動の裏には、きっとこのようなやりとりがあるのだろう、と思わせてくれた。
残念ながら終わり方は後味のいいものではなかったが、むしろその後味の悪さが、物語を非常にリアルに魅せているような気がした。物語は昭和63年の広島を舞台としており、現代の東京ではなくその舞台設定を著者が選んだ理由は最後までわからなかった。ひょっとしたら実際に起きた出来事をモデルにしているのかもしれない。
著者柚木裕子は、「検事の本懐」に代表される検事佐方貞人(さかたさだと)を扱ったシリーズに非常に良く、その流れで他の作品も読みあさっていた。本作品はそんななかでも深みを感じさせる物語に仕上がっている。
【楽天ブックス】「孤狼の血」
「「自信」が「過信」に変わった日 それを取り戻すための2年間」柏木陽介
オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
現在浦和レッズの中心選手として活躍する柏木陽介がサッカーやチームに対する想いを語る。
比較的整った顔立ちであり、ユース時代から名前を知っていたせいか、順調なサッカー人生を歩んでいるような印象を持っていた。しかし、すでに28歳でありサッカー選手としてはベテランの域にさしかかりながらも、海外でプレーするわけでもなく日本代表で活躍する訳でもない。本書を読むとそんな柏木の悩ましい胸の内が見えてくる。
驚いたのは、柏木は非常にネガティブな人間だということだ。本書で本人もそれを繰り返し語っているが、かなり好不調の波が大きいらしい。スポーツ選手というと、中田英寿や中澤佑二のように自らを律してストイックにトレーニングに励む姿を思い浮かべるかもしれない。しかし、本書が与える柏木の印象は、ただひたすらサッカーが好きで練習に明け暮れていた結果プロになったというだけで、心は常に葛藤を繰り返す少年のようである。
また、母子家庭で育った柏木は広島ユース時代から、周囲の多くの人に支えられ叱咤されてここまでたどり着いたということも伝わってくる。多くの幸運な出会いが、人の人生を良い方に変える事も、悪い方にも変えることもあるのだろう。人との出会いの大切さを改めて感じた。
ちなみに、柏木は常に優勝争いをしながら優勝できない浦和レッズを優勝させる事が一つのサッカー人生の区切りと考えているようだ。その後は海外移籍も考えているというが、ぜひ実現させて欲しいと思った。
【楽天ブックス】「「自信」が「過信」に変わった日 それを取り戻すための2年間」
「なぜ一流の人はみな「眠り」にこだわるのか?」岩田アリチカ
オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
なぜか日本では今でも、企業によっては眠らないで働いていることを自慢する人間がいる。その一方で新しい文化を取り入れ常に効率よく働くことを目指す企業や人たちは、眠りの質を高めることを重視し始めている。本書はそんな眠りに対する意識の変化と、眠りの質を向上させる方法について語っている。
僕自身5年ほど前に朝6時までに起きて勉強するという生活を続けている。本書を読む以前から眠りの重要性を理解しているので、眠りの重要性を説いた前半部分で特に参考になるような内容はなかったが、後半に描かれていた眠りの質を高める方法。例えばコーヒーを飲む時間や、腹式呼吸、寝る前の入浴の仕方などは、なかなか取り入れるのは難しいが参考になった。
朝型になると年収が上がる、とか、社長は朝型が多い、とか、キャリアにひもづけて眠りの質野向上の有用性を語っているところが少し残念である。年収やキャリアにそれほどこだわりのないひとにとっても、充実をした人生を送るためには眠りの質を上げることは重要なはずである。。
むしろ、相変わらず寝ないで働く事が偉いと思っている人こそ読むべき本だと思った。
【楽天ブックス】「なぜ一流の人はみな「眠り」にこだわるのか?」
「伝え方が9割」佐々木圭一
オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
伝え方を変えるだけで、1割の成功確率のデートの誘いが5割、7割にもなる。そんな自分の望む方向へ人生を変えるための「伝え方」の極意は決して一部の才能ある人だけに与えられた物ではなく、誰しもが意識して言葉を紡ぐ事によってできることなのである。本書はそんな「伝え方」を語る。
本書で語るそんな「伝え方」の秘訣は次の5つに集約される。
である。どれも言われてみれば単純で、たとでばサプライズ法は「!」をつけるだけという簡単なものからいくつか紹介されている。確かに「!」の文字一つあるかないかでずいぶん受ける印象は変わるものだ。
またギャップ法というのはスタート地点を下げて、本当に言いたい事を相対的に強調する方法である。
どちらも後半だけでの意味が通じるのだが、前半がある事によって強調されるのがわかるだろう。その他の赤裸裸法、リピート法、クライマックス法などもおそらく想像するのはそれほど難しくないだろうが、慣れるまで若干時間がかかりそうだ。メールだけでなくLINEやFacebookなど、テキストによるコミュニケーションがより広まってきた今だからこそ、言葉の伝え方を見直すときなのかもしれない。
【楽天ブックス】「伝え方が9割」
「海の翼 エルトゥールル号の奇蹟」秋月達郎

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
イランイラク戦争の際、日本人を救出するためにトルコが航空機を飛ばした話は有名である。それは1800年代後半に起きたエルトゥールル号の恩返しであった。
僕自身もトルコを訪れた事があり、トルコ滞在中には日本が本当にトルコに愛されている事を感じてその理由を知ろうとした事もある。だから、エルトゥールル号の物語とイラン・イラク戦争のときのトルコの行動は知識としては知っていたが、それが本書で書かれているような劇的なものだとは思っていなかった。
本書で描かれている、日本人のトルコ人の救出や、また一方で、トルコ人達の日本人の救出は、決して政治的な駆け引きなんかではなく、一般の人々の助け合いの結果なのである。トルコに行った事ある人や、これからトルコに行こうとしている人にはぜひ読んで欲しいと思った。
また、トルコ共和国の初代大統領であるアタチュルクについてもトルコに行ったときに名前だけは知っていたが、日本人から大きな影響を受けていたことは初めて知った。
恩を忘れないトルコ人の姿から僕ら日本人も学ぶ物があるだろう。
【楽天ブックス】「海の翼 エルトゥールル号の奇蹟」
「インデックス」誉田哲也
オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
姫川玲子シリーズ。
今回は短編集という事で、姫川玲子を中心とした8つの物語が収録されている。このシリーズは「ストロベリーナイト」「ソウルケイジ」など長編が人気があるが、個人的には短編集である「感染遊戯」や本書が好きである。
本書でも中程に収録されている「彼女のいたカフェ」が非常にいい感じである。書店に併設されたカフェの店員目線の物語で、特に理由もなくカフェのスタッフを始めた彼女が、毎日そこで難しそうな本を読む女性に恋するという内容である。もちろん、その女性が姫川玲子であり、やがてカフェに姿を現さなくなる…という物語であるのだが、その数年後に事件を通じて2人の再会を描くのである。
まだ、ほかの章では、ブルーマーダーの事件や、過去に殉職した姫川の部下について描いたりするなど、どうしても一冊ずつ間隔があいてしまうために内容についていくのは難しいが、姫川玲子の捜査に対する信念や部下に対する温かい思いが伝わってくるだろう。
【楽天ブックス】「インデックス」
「たま高社交ダンス部へようこそ」三萩せんや
オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
高校入学と同時に、食べ物に釣られて社交ダンス部に入部してしまった雪也(ゆきや)だが、徐々に社交ダンスの魅力にはまっていく。しかしやがて部の存続をかけて競技会に出場する事になる。
社交ダンスのモチベーションを上げるために、社交ダンス関係の本をなんでもいいからと思い、本書に出会った。少しずつダンスの魅力にはまっていく流れは、非常にありがちではあるものの、挿絵も非常に奇麗で、普通に楽しむ事ができた。特に目新しさはないが、ダンスに興味を持っている人、普段楽しんでいる人が少し違った角度から改めてダンスに目を向けようとしたときには本書はちょうどいいかもしれない。
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「「タレント」の時代 世界で勝ち続ける企業の人材戦略論」酒井崇男
オススメ度 ★★★★☆ 4/5
なぜアップルやグーグルやトヨタは成功し、日本の電気・半導体・通信・IT企業は完敗してしまったのか。それは「タレント」の重要性を理解していたか否かなのだ。本書はそんな視点で企業が発展して行くためにどのようにしてタレントと向き合うかを語っている。
今や、材料や労働力はどこでも手に入れる事ができるので、物を作るのは人件費や物価の低いところを選ぶ事ができる。そうなると企業として重要なのは何なのだろう。本書はそれを「設計情報」だと主張する。優れた設計情報」さえできあがれば、あとはそれをひたすら各地で現実に存在する物やサービスに転写するだけなのである。そしてその「設計情報」を作る人こそが「タレント」と呼ばれる人なのである。
「タレント」というとなんとなく「すごい人」という印象しかないが、プロフェッショナルやスペシャリストと比較するとタレントというものが何なのか分かりやすいだろう。
世の中がただ一言「天才」とか「才能のある人」と読んでいる人の正体が分かった気がする。
また本書は後半でタレントを育む事の成功例としてトヨタの主査制度を挙げている。興味深いのは、トヨタの主査制度は日本よりもアメリカで高く評価されている点だろう。
著者は言う。アメリカは日本ほど新たな文化を創造するのは得意ではないが、いいものを徹底的に分析して取り入れる能力は非常に高く、日本で生まれた主査制度もそうやってアップルなどの企業で成果を上げたのである、と。
アメリカという国の見方が少し変わった。
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「いのちのダンス 〜舞姫の選択〜」吉野ゆりえ
オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
学生時代からダンスに打ち込んで、海外でも活躍した著者だが、ダンスパートナーでもあった夫と分かれてから、苦難の人生が始まる。
5年生存率わずか7%という難病を患うのである。担当医との確執などを経ながら、再発と手術を繰り返して行きていく様子が描かれて行くが、本書は闘病記ではない。病気と闘いながらブラインドダンスなど目の不自由な人のためにダンスを教える事に尽くし、できる範囲で一生懸命生きることの大切さを教えてくれるのである。
また、同じダンスをする人間として、著者が関わったブラインドダンスというものに興味をかきたてられた。ダンスをしていない人にとっては想像しにくいかもしれないが、社交ダンスに置いて相手の動きを察知する能力というのは非常に大切で、目の不自由な状況こそ、その能力をもっとも伸ばす事ができるに違いない、と思うのだ。
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「ゼロ なにもない自分に小さなイチを足していく」堀江貴文
オススメ度 ★★☆☆☆ 2/5
ライブドアの経営者として有名になった後、2年6ヶ月の実刑判決を受けてすべてを失った著者「ホリエモン」がその過去や働く事に対する考え方を語る。
目的を見つけるとひたすらそのために努力をするその姿勢は(本人は「努力」とすら思っていないでひたすら好きな事をやっているつもりだと思うが)、同じ種類の人間である僕にとっては特に新しいものではない。だからといって、普段努力をしない人が読めば良い影響を受けるかというとそんなこともない、そういう人はその感覚が理解できないだろう。
多くの自己啓発本と同様に本書は、挑戦することによって得られるスキルや、充実感などについて語られているので、内容についても新鮮なものはないだろう。
唯一、印象的だったのは、田原総一郎が著者に語ったという言葉
大きな目標を達成しようとする目前で、小さな礼儀不足や身だしなみのせいで失敗することがある。信念も大切だが、多少の譲歩もやはり必要なのだ。
【楽天ブックス】「ゼロ なにもない自分に小さなイチを足していく」
「いつも「時間がない」あなたに」センディル・ムッライナタン/エルダー・シャフィール
オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
「時間がない」というのは僕自信つねに感じていること。世の中の多くの能力は、お金よりも時間によって獲得できる事が多い。そんな時間の必要性を常に感じている僕にとってなにかしらヒントになる内容が含まれていればいいと思い本書を手に取った。
残念ながら本書が扱っているのは「時間がない」人向けとは少々異なる。
序盤は欠乏が生み出すメリットとデメリットについて語る。メリットは恐らく誰しも身に覚えがあるだろう。本書で「集中ボーナス」と呼ばれる物である。人は時間が少なければ残された時間を最大限に使おうとするし、貧乏であれば買うものすべての高い安いを常に意識しながら買い物をするのである。その一方で欠乏にはデメリットもある。本書で「トンネリング」と読んでいるもので、目の前のもの以外に注意が向かなくなる視野狭窄のことである。
著者はこの欠乏が生み出す「集中ボーナス」と「トンネリング」によって世の中の多くのことを説明して行く。ローン地獄から抜け出せない貧しい人々の話がもっともわかりやすい例だろう。
そして、後半は、欠乏のデメリットに対処するための「スラック」の重要性である。「スラック」とは「余裕」というような言葉で表現されるもの。わかりやすい説明として、オフィスで1日の大部分をネットサーフィンを過ごしているアシスタントを挙げている。ここでよくやりがちな間違いは、その人物が1日忙しく働くように業務を割り振る事である。それによって、今までであれば周囲の人間はいざという時にその人物に仕事をふることができたのに、そのような突発的な業務を受け入れる先(つまりスラック)がなくなってしまったため、すべての人の業務が悪循環に陥っていくのである。
同じくスラックの考えを利用した事例として、30の手術室がフル稼働する病院を例にあげている。30の手術室は常に手術の予定でいっぱいなのだが、急患を受け入れなければならない。しかしそれを受け入れる事によってすべての手術の予定が崩れ、医師たちは深夜まで働く事を余儀なくされるのである。この問題を解決した手法は1つ手術室を常に開けておくこと、つまりスラックを作る事である。
本書を読むと、いつもひまそうにしている会社の事務員も、組織に必要なんだと思えてくる。
【楽天ブックス】「いつも「時間がない」あなたに」
「内村航平 心が折れそうなとき自分を支える言葉」児玉光雄
オススメ度 ★★☆☆☆ 2/5
ロンドンオリンピックで金メダルをとった内村航平のこれまでのコメントや家庭環境などから、その考え方を描く。
金メダルを取ってさえ満足しない内村の生き方は、ひたすら自らの理想の演技と求め続けているゆえである。本書では、そんな彼の生き方は普段の仕事にも応用できる、という姿勢で語っている。日々漫然と仕事をこなしている人に何か新たな気付きを与えてくれるかもしれない。
しかし、内村航平の生き方や考え方は好きだが、それを利用してこのような薄い内容の本でお金を稼ごうとする著者は好きになれない。読み終わって気付いたのだが数年前にも「イチロー式集中力 どんな時でも結果が出せる!」という同著者の本を読んでいて、そのときにも同じ事を感じたのだ。著者が実際に、内村浩平やイチローに話を聞いたような記述は一切ないのも残念である。
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「荒神」宮部みゆき
オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
東北の山村に怪物が現れ、村を一夜にして壊滅状態する。命からがら逃げ延びた蓑吉(みのきち)は敵対する永津野藩の人々によって助けられる。永津野(ながつの)藩、香山(こうやま)藩という過去の因縁によって敵対しながらも、それぞれが怪物退治に動き始める。
過去には何度も超能力者を扱った物語を書いている宮部みゆきだが、本書の怪物ほど非現実的な描写をしたものは記憶にない。だからこそ、そんな非現実的な存在を取り入れてまで訴えたい何かがあるのだろう、と思いながら読んだ。
物語は永津野(ながつの)藩、香山(こうやま)藩という2つの憎しみあう藩の間で起こる。永津野(ながつの)の曽谷弾正(そやだんじょう)は技術を盗むためにさまざまな口実を設けて香山(こうやま)の人をさらうために、香山(こうやま)の人々から憎まれ、恐れられていたのだ。
曽谷弾正(そやだんじょう)の妹である朱音(あかね)によって、怪物から逃げ延びた蓑吉(みのきち)が救われることから始まる。兄のやり方を嫌って朱音(あかね)は蓑吉(みのきち)を秘密裏に保護し、怪物の存在を知るのである。
また一方で、小日向直弥(こびなたなおや)は香山(こうやま)の政治に巻き込まれ、化け物の正体を見極めるために山を登るのである。永津野(ながつの)藩、香山(こうやま)藩のそれぞれの方向から、怪物に迫るうちに、2つの藩の過去の歴史が明らかになって行く。
物語はもちろんフィクションであるが、関ヶ原の戦いによって憎み合うようになった2つの藩の歴史を読むと、実際の日本にも、歴史の表にはほとんど出てこないような土地に生きた人々は、多くの葛藤や細かいいざこざのなかを生きてきたのだと理解できるかもしれない。教科書からはわからない、過去の日本の一部が見えるような気がする。全体的には最後まで飽きる事なく楽しむ事ができたが、宮部みゆきというだけで最近は期待値が非常に高いので、その期待に応えてくれたとは言い難い。
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「インターフェースデザインの心理学 ウェブやアプリに新たな視点をもたらす100の指針」スーザン・ワインチェンク
オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
後半はアプリにあまり関係ないような心理的な話も多かったが、それをどう応用するかはデザイナー次第なのだろう。
クリック数はあまり重要ではないということは本書で初めて知った。これからのUIデザインにおいては、「ユーザーを悩ませないこと」こそ優先し、むしろ選択肢を減らして決断しやすくして、選択の回数を増やす(つまりクリック数を増やす)という方向へ進むのが正しいと思った。
「データより物語」とか「目標に近づくほどやる気が出る」とか、いろんな書籍で触れられているような内容や、以前に聞いたことがあるような内容ばかりではあったし、必ずしもインターフェースデザインに関係がなく、むしろ心理学に近いような内容も多く含まれていたが、新鮮でなくても同じ考えに繰り返し注意を向けるという意味では、本書は悪くないと感じた。
【楽天ブックス】「インターフェースデザインの心理学 ウェブやアプリに新たな視点をもたらす100の指針」