「The Sense of an Ending」Julian Barnes

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
2011年ブッカー賞受賞作品。イギリス青年だったAnthony Websterの一生を描いた作品。

学生時代に仲のよかったAnthony, Colin, Alex, Adrianの4人組の中で特に頭が良かったのはAdrian Finnである。やがて4人は生涯続く友情を約束しながらも別々の道へ進み、Adrianはその頭脳を活かしてケンブリッジ大学へ進学し、Anthonyの元恋人Veronicaと付き合うこととなるのである。自分の元恋人と親友であるAnthonyが付き合うことに複雑な思いを抱きいていたAnthonyだが、やがてAdrianが自殺したという連絡が届くのだ。

自分たちのヒーローだったAdrianがどうして命を絶ったのか、そんな想いにかられながらも人生は進む。Margaretという妻と結婚して、Susanという娘が生み、やがてMargaretとも良い関係を保ちながらも離婚することとなる。そして離婚して数年経った後、1度しか会ったことのないVeronicaの母からAnthonyに向けて遺産が残されていることから、もう一度40年前の出来と後を考え始め、少しずつその真実に近づいていくのである。

Anthonyの若い時代からは、文学と音楽をエンターテイメントにそこに情熱を注ぐ、60年代のイギリスの男性の生き方が見えてくる。Anthonyの人生をゆっくり描くのかと思ったが、物語中盤ですでに人生の晩年の離婚した状態で、後半はゆっくり人生を振り返り過去のVeronicaやAdrianに思いを巡らす部分に多くページを割いている。人生の晩年を迎え、すでに自分の人生の大きなイベントは終わってしまったAnthonyが、過去を振り返り、人生をより良いものにしようと奮闘する姿が印象的である。