「首都直下地震<震度7>」柘植久慶

オススメ度 ★★☆☆☆ 2/5
タイトルのとおり、東京を震度7の直下型地震が襲う。鉄道や電力などがマヒした中、、登場人物が未曾有の大惨事を生き延びようとする姿が描かれている。
午後6時という一日の中でもっとも慌しくなる時間に起きた大地震によって会社員はオフィスに閉じ込められ、帰宅ラッシュの電車や地下鉄はパニックを起こす人や浸水した水などで大惨事になる。
大地震によって起こりうる可能性をすべて描きたいためか、休暇でディズニーランドに行っている者、地下鉄に乗り合わせている者、高層階で食事を取っている者など、実に多様な人物が登場する。しかし残念ながら格人物の背景を描かずにひたすら人数ばかり増したため、読者は混乱するばかりだろう。
地盤のゆるい地域の大惨事が何度も描かれている。そして、多くの人は、何年かに一度起こるか起こらないかの大地震よりも毎日の通勤の便と価格を優先する。残念ながら物語としての完成度は低く、大地震への警鐘を鳴らす以外の意義は感じられない。こうこの手の本を軽んじてしまうこと自体が、災害に対する意識の低さを象徴しているのかもしれない。
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