2020年のよかった本

2020年に読んだ本は結局111冊(和書98冊洋書13冊)でした。(本ブログのエントリーは106件)。せっかくなので年間の和書フィクションベスト5、和書ノンフィクションベスト5、洋書ベスト3を書こうとと思う。たまたま今年読んだというだけで、発行日などはまったく関係ないが、もしこれから本を選ぶ際の参考にしていただければ嬉しい。

和書フィクション

「盤上の向日葵」柚月裕子

今年は柚月裕子があたりの年、一時期読み漁った柚月裕子だが当たり外れあるとは思っていたが、今年は「慈雨」とともにいい作品に当たった。今年はこの「盤上の向日葵」と塩田武士の「盤上に散る」と2冊の将棋を題材とした真剣師の物語に触れたので将棋の物語の印象が強かった。(もっと読む

「この世の春」宮部みゆき

この辺はもう好みになってしまうんだが、相変わらず宮部みゆきの人の心を描く深さは毎回感嘆する。江戸時代を舞台にしようともその人の描写の深さはからない。(もっと読む

「希望が死んだ夜に」天祢涼

友人を殺した疑惑のある女子中学生を扱った物語。操作にあたる刑事の優しい対応が印象的である。(もっと読む

「涙香迷宮」竹本健治

黒岩涙香を題材とした物語。黒岩涙香という人物の名前自体聞いたことあるかないかという程度だったが、「いろは」や「連珠」という今まで知らなかった文化を教えてくれた。物語自体は単純なミステリーだがそこに登場する題材が面白い。(もっと読む

「淳子のてっぺん」唯川恵

田部井淳子の人生を題材にした物語。登山というのは登頂した本人だけでなく登頂できなかった多くの仲間たちに支えられて実現できるのだというのが伝わってくる。(もっと読む

和書ノンフィクション

「確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力」 森岡毅、今西聖貴

大きな事業の収益を見積もる方法をわかりやすく丁寧に語っている。P&Gという企業のすごさを感じる。(もっと読む

「マツダがBMWを超える日 クールジャパンからプレミアムジャパン・ブランド戦略へ」山崎明

ブランド戦略を日本のレクサスなどを例にとって悪いブランド戦略と組織の大きな利益となるブランド戦略などを説明している。BMWやポルシェ、フォルクスワーベンなどの優れたブランド戦略がわかるだろう。タイトルにあるマツダについての内容は最後の章だけだという点で、マツダについて読みたくて読んだ人には反感を買うだろうが、わかりやすくまとまっている。(もっと読む

「NETFLIX コンテンツ帝国の野望」ジーナ・キーティン

今こそ世界的に有名なNetflixが大きくなるまでを描いている。特に面白かったのが日本のTSUTAYAのような存在である店舗のDVDレンタル店のブロックバスターとのオンラインの主導権争いである。Netflixがここまで大きくなった今ではブロックバスターは先見の明がなかった企業として語られがちがだ、本書を読むと彼らの健闘ぶりがわかるだろう。(もっと読む

「ティム・クック アップルをさらなる高みへと押し上げた天才」リーアンダー・ケイニー

ジョブスが去った後のアップルを描いた物語。誰もがジョブスが亡くなった後はアップルは衰えていくかと思ったが、逆に史上最高レベルの企業へと成長しているのだという。(もっと読む

「ゼロから作るDeep Leanrning Pythonで学ぶディープラーニングの理論と実装」斎藤康毅

今年はAIについての知識を増やそうとディープラーニング、機械学習などの言葉の入ったタイトルの本を読み漁ったが本書がその最初の1冊。理解するには微分や行列や偏微分などの知識が必要で、実際すべてを理解できたとは言えないが、ディープラーニングの基礎を理解するのに大いに役に立った。(もっと読む

洋書フィクション

「The Huntress」Kate Quinn

今年の一番の発見はこのKate Quinnという作家。「戦場のアリス」という邦題で有名になった「The Alice Network」を読んですぐにこの次の作品「The Huntress」を購入。正直こちらの方がさらによかった。早いところ邦訳されて他の人にも読んでほしい。物語は第二次世界大戦後に様々な場所に逃亡したドイツ人たちの行方をつきとめて際算を受けさせるという、戦争犯罪人たちを追うことを仕事にしている人たちの物語。ヒトラーやヒムラーなどの最後は有名だが、数人程度のユダヤ人やポーランド人を殺したまま逃げた人は公式には裁かれなかった。そんな人たちに正義を与えるというのが本書のテーマである。(もっと読む

「The Alice Network」Kate Quinn

ドイツ占領下のフランスで、イギリスのドイツ語を話すことのできる女性たちはドイツ人の将校たちに近づきその情報をイギリスに流していた、そんななかの一人がコードネームをアリスといい、アリスが組織した女性のスパイのネットワークをアリスネットワークと言った。実話に基づいた物語。(もっと読む

「Post Mortem」Patricia Cornwell

今更パトリシアコーンウェルという感じもあるし、すでに発刊から30年以上経っているが、1から読みたくなって第一弾から読み始めたわけだが、30年経っても色褪せない物語。連続殺人犯を捕まえる物語は世の中にたくさんあるが一味違う印象を受けた。続編もまだまだたくさんあるが少しずつ読んでいきたい。(もっと読む

フィクションだけでなく

このサイトは今まではフィクションのみの感想を書くというコンセプトで進めてきたのだが、今年からはノンフィクションについても書いていこうかと考えている。
というのは、フィクションでもお面白い作品というのは必ずといっていいほど現実を取り入れているし、実際、作家でいえば横山秀夫は新聞記者だからこそ、「クライマーズハイ」の中の新聞社の様子があそこまでリアルに描かれるのだと思うし、藤原伊織は広告代理店に勤めていたからこそ「シリウスの道」で描かれる職場の様子はリアルなのだろう。池井戸潤の「空飛ぶタイヤ」もフィクションではあるけれど、現実の事件をもとに描いていることは明らかである。海堂尊も医者だからこそ、日本の医療の問題点を小説に落とし込むことができるのだ。
そう考えると、フィクションとノンフィクションの境目は面白い小説ほど曖昧であり、そんな現実を描いた小説に影響され、そのことについて「もっと知り合い」と思って新書などを手に取ることも少なくないのである。
つまり、別に自分の中でフィクションとノンフィクションの間に線を引く必要はなく、読んだものに対して、自分なりに消化する場になればいいのではないかと思い始めたのである。

はじめに

知りたいことがはっきりとしていれば、それに関する専門書を読めばいいだろう。しかし人生における視野を狭めないためには、多くの情報やなにか新しい興味をかきたてるような状況に常に自分をおいておきたいものだ。多くの人はそのためにテレビを利用しているのかもしれない。確かにテレビは多くの情報をもたらしてくれるが、決して見ている人のペースにあわせてはくれない。何か印象的なことがあっても、その瞬間にメモにでもとらなければさっさと通り過ぎていってしまう。
だからこそ、自分のペースにあわせてくれて、かつ多くの新しい知識や刺激を与えてくれる読書は僕にとって大切な時間なのである。
しかし、ある時気づいた。
読んでいる最中にものすごい多くのことを感じているはずなのに、読み終わってしばらく経ったらその内容の多くを忘れてしまっている。多くの知らない言葉が出てきたにもかかわらず、それを知らないままで今までと同じように生活している。かといってそう気づいたときに改めてその本を読み直しても初めて読んだときのような感動は味わえないし、それほど大量の時間を持っているわけでもない。なんといっても僕は、読書をただの時間つぶしのための道具などとは決して思っていないのだ。
そこで思いついたのが、読んでいる際に、印象的な文言や知らなかった言葉が出てきた際にそのページのスミを折っておくこと。そして読み終わってからもう一度その折られたページを見直して、、知らない言葉に関してはその意味や指し示すモノを調べたり関連する出来事のニュースを読んでみたり、印象的な言葉についてはメモとして抜き出すことである。
そしてそれとあわせて、その本を読んでいる際に感じたこと、読むことで起こった僕の心の内の変化も文章にすることにした。文章にすることでその読書の意味を僕自身も改めて強く感じることができるし、その文章がこうしてブログで公開して人の目に触れることによって、自分の中のあいまいなものをより明確にしようという意識が働く。そんな効果を狙ってこのブログを始めた。
それでもこのブログを訪問してくれる人たちに少しでも役立つならそれは嬉しいから、わかりやすいように、自分なりの評価を5段階でつけることにした。そのときの気分によってその評価の基準にはブレがあったりもするが、基本的には
★1つ…もう同じ作者の本は読まないかもしれない。
★2つ…本を閉じようと思った。本に払ったお金と読書に費やした時間がもったいない。
★3つ…特に悪くはないが、とりたてて褒めるようなところもない
★4つ…涙する場面や印象的な場面言葉があり、僕の人生に少なからず影響を与えた。
★5つ…その本を読んでいる際に受けた衝撃から立ち直るために少し時間が必要だった。
という基準で評価をつけている。
もちろん、すべてが自分の好みを尺度としているから、世の中で高い評価を受けているにも関わらず★1つだったり、逆に、酷評されているにも関わらず★4つだったりすることもあるが、あくまでも僕の好みなので、「なんでこの作品が★1つなんだ?」とか、「こんな作品に★5つつけるなんてあなた本当に面白い本読んだことあるの?」などと思わないでいただきたい。
もし僕のこのブログを見て、読書が好きになった人がいるならそれは最高に幸せなことである。