「食堂かたつむり」小川糸

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
失恋して故郷に帰った倫子(りんこ)はレストランを開くことにする。

「ツバキ文具店」の小川糸のデビュー作品である。

倫子(りんこ)失恋して声を失い、母親の元に帰る。空いている物置小屋を見て、そこを利用してレストランを開くことを決意し、少しずつその料理の腕前から人を幸せにする道を見出していく様子を描く。

そして、故郷でそこの人々や、母ともう一度向き合うことにより、いろんなものに気づいていくのである。

故郷や田舎の暖かさを感じさせる物語である。悪くはないが、最近このような物語が比較的多く、あまり新鮮さを感じなかった。

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「キラキラ共和国」小川糸

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
鎌倉で文具店を営みながら、代書を行うポッポちゃんのその後の様子を描く。

「ツバキ文具店」の続編である。知らずに手に取ったので意図せずあの穏やかな鎌倉の世界観に触れることとなった。そして、なんと序盤からポッポちゃんが子持ちの男性ミツローさんと結婚したことが明らかになる。ポッポちゃんは代筆屋、文房具屋を営みながら、また、お相手のミツローさんは喫茶店を営みながら、少しずつ一つの家に移り住み、書類上だけでなく見た目においても、家族としての生活へ移っていく、その過程を本書では描いている。

興味深いのはミツローさんは前の奥さんと死別していると言う点である。そのためミツローさんやその家族のなかでも前妻の話題を出さないように気遣ったりする面があり、そんな気遣いがポッポちゃんを苦しめるのである。また、そんななか、ポッポちゃんの母親を名乗る人まで現れ、ポッポちゃんの悩みが増えていくのである。

相変わらず代筆への依頼は対応しており、そのそれぞれに一生懸命考えて作った手紙は前作同様魅力的である。ただ、今回はポッポちゃんの結婚生活への悩みや葛藤も多々含まれており、どちらかというとそれはよくある恋愛物語の一つという感じで、代書という仕事の面白さや難しさを焦点にあてた前作のほうが個性を感じた。

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「ライオンのおやつ」小川糸

オススメ度 ★★★☆☆ 4/5
余命を宣告された33歳の海野雫(うみのしずく)は、瀬戸内海の島にあるホスピス「ライオンの家」で人生の最期を過ごすことを決める。そんな人生の最期を描いた物語。

ライオンの家ではいくつか興味深いイベントがある。そのうちの一つがおやつの習慣である。ライオンの家で過ごす人々は、その思い出深い食べ物をリクエストすることができるのである。雫(しずく)も毎回おやつの時間にその味とそレに対して深い思い出を持つ人の気持ちを知ることとなるのである。

またライオンの家にいる犬六花(ろっか)との関係もほほえましい。幼い頃から犬を飼いたいと思っていた雫(しずく)だったので、六花(ろっか)の散歩をすることが日課になっていく。やがて、同じようにライオンの家にいる人々の死を見届けた後、雫(しずく)も少しずつ最期の日に近づいていく。

小川糸さんといえば鎌倉の街並みを美しく描いた「ツバキ文具店」が有名だが、本書も同じように瀬戸内海の穏やかな様子を描いたやさしい物語。最近人生の最期を描いた作品が多いように感じる。

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「ツバキ文具店」小川糸

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
鎌倉のツバキ文具店のポッポちゃんの生活を描く。

ツバキ文具店は文房具を販売する一方で、代筆屋も兼ねている。代筆とは依頼主に変わって手紙を書くことで、年賀状の宛名を書くこともあれば、離婚報告などを書くこともあり、口コミでその噂を知った人がツバキ店にやってくるのである。序盤はその依頼から手紙を作成するまでの様子を描いており、目的や依頼主の人柄に応じて、紙、字、インク、ときには切ってまで選んで手紙を作成する様子に驚かされるとともに、改めて字や形式の大切さを思い知らされる。

そして、後半は、少しずつ代筆屋のポッポちゃんが、どのような敬意を経て鎌倉の文具店を継ぐことになったのか、先代との角質などに話が及んで行く。また、近所の人々との交流も描かれており、鎌倉という土地の暖かさも感る。きっと本書を読んだ多くの人が、鎌倉に行きたくなるのではないだろうか。

代筆屋という今まで聞いたことない職業を、鎌倉を舞台として暖かく、読みやすい気軽な雰囲気で描きながらも、文字や言葉の対して改めて目を向けさせてくれる、気軽さと深みをバランスよく備えた作品。

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「ツバキ文具店の鎌倉案内」ツバキ文具店

オススメ度 ★★☆☆☆ 2/5
鎌倉にある文房具屋ツバキ文具店の店主とご近所さんがいく鎌倉の名所を紹介している。

何度か鎌倉には行ったことがあるが本書で紹介しているのは知らない場所ばかりで、また久しぶりに鎌倉に行きたくなった。

しかし、本書で言及している人の名前がまったくわからず、きっと「ツバキ文具店」というシリーズがあって、本書はそれにすでになんども触れたことがある人のために書かれたものなんだと感じた。機会があれば「ツバキ文具店」の別の作品も読んでみたいと思った。なんかほのぼのとした感じで、のんびりしたい人には良さそうなシリーズなのだろう。

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