「ファーストラヴ」島本理生

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
第159回直木三十五賞受賞作品。

父親を殺した大学生の聖山環菜(ひじりやまかんな)の手記を書くために臨床心理士の真壁由紀(まかべゆき)は、弁護士の迦葉(かしょう)とともにその動機を探る。

少しずつ心を開いていく環菜(かんな)の証言からその異質な、交友関係や家庭環境、そして環菜(かんな)の心の傷が浮かび上がっていく。また、真壁由紀(まかべゆき)自身も、過去に辛い体験をしていて、物語が進むにしたがって、由紀(ゆき)と迦葉(かしょう)の過去の関係が明らかになっていく。

ちいさな習慣が積み重なって、心の中で消えない大きな傷に発展し、ときにそれが大きな事件につながるのである。そんな悲しい物語ではあるが、ラストで環菜(かんな)のしっかりとした考え方が見えるのが救いである。

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