「王妃の離婚」佐藤賢一

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
第121回直木賞受賞作品。
1498年フランス。弁護士フランソワがルイ12世が王妃ジャンヌに起こした離婚訴訟でジャンヌの弁護をすることになる。国王を相手にする訴訟故に数々の問題がフランソワに襲いかかる。
物語としては数ある法廷物語同様、検察の厳しい追及をかわして弁護をすすめる駆け引きや、重要な証言をするであろう証人の安全の確保など、予想を超えるものではないが、やはり当時の文化的な要素が物語を面白くしている。いつの時代であれ、正義と権力の間で弁護士は葛藤するのだろうか。

不正な裁判をしてはならない。弱い者におもねり、また強いものにへつらってはならない。あなたの隣人を正しくさばかなければいけない。

そもそも日本の作家が書いた作品でフランスの中世を舞台にした小説に出会った事がなかったので、読み始める前は抵抗感を抱いていたりもしたのだが、読み始めると好奇心をかき立てられることばかり。そもそも、ルイとかヘンリーとかよく聞くが、その家系はどこから来てどのような重要性を持つものなのか、マリーアントワネットは、ジャンヌ・ダルクは、と。
興味の向かう世界をまた一つ広げてくれた一冊。

教会法
広義においては、国家のような世俗的権力が定めたキリスト教会に関する法とキリスト教会が定めた法を包括した概念であるが、狭義においては、キリスト教会が定めた法のことをいい、世俗法(ius civile)と対比される概念である。最狭義においては、カトリック教会が定めた法のことをいい、カノン法ともいう。(Wikipedia「教会法」
カノッサの屈辱
聖職叙任権をめぐってローマ教皇グレゴリウス7世と対立していた神聖ローマ皇帝ハインリヒ4世が、1077年1月25日から3日間、教皇による破門の解除を願って北イタリアのカノッサ城に赴いて許しを願ったことをいう。(Wikipedai「カノッサの屈辱」
サン・ドニ大聖堂
歴代フランス君主の埋葬地となった教会堂。1966年よりカトリック教会のサン=ドニ司教座が置かれている。パリ北側の郊外に位置するサン=ドニにある。(Wikipedai「サン=ドニ大聖堂」
アンボワーズ城
フランスのロワール渓谷、アンドル=エ=ロワール県のアンボワーズにある城。シャルル7世、ルイ11世、シャルル8世、フランソワ1世らヴァロワ朝の国王が過ごした。フランソワ1世がレオナルド・ダ・ヴィンチを呼び寄せたクロ・リュッセはすぐ近くにある。(Wikipedai「アンボワーズ城」

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