「フェイスブック 若き天才の野望 5億人をつなぐソーシャルネットワークはこう生まれた」デビッド・カークパトリック

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
Facebookの始まりから現在に至るまで(といっても2009年まで)を時系列に、マークザッカーバーグやその他買収に名乗りを上げた企業たち、よきアドバイザーたちとのエピソードを交えながら描く。
多くの人名や、資金調達のためのベンチャーキャピタルやGooggleやMicrosoftとの駆け引きなど、経済面に関する知識がお世辞にも豊富ではない僕にとっては、なかなかすべてを理解するのは難しく、多くの人にとっても、きっと読みやすいとはいえないだろう。しかし、それでも今までフェイスブックが辿ってきた成長の経緯と、フェイスブックのCEOであるマークザッカーバーグのフェイスブックに対する姿勢、そして、そのフェイスブックという巨大なSNSが持つ可能性はしっかり伝わってくる。
その進化の過程は必ずしも順風満帆なものではなく、フェイスブックが人とのつながりをより容易にしたがゆえに、自ら作った機能によって結束したユーザーたちが、フェイスブックの機能変更やポリシーに対して反対運動を始めるということもあったし、多くの企業が買収に乗り出したりもした。そして、もちろん問題は外部からだけでなく内部からも生じたりもした。莫大な人口に影響を与える会社を運営していくことに伴う障害やその困難、圧力を多少なりとも感じることができるだろう。
そして、本書中盤で触れている、フェイスブックの基本となる考え方が特に印象的である。

2種類のアイデンティティーを持つことは、不誠実さの見本だ。現代社会の透明性は、ひとりがふたつのアイデンティティーを持つことを許さない。

たとえばmixiを例にあげるなら、mixiで会社の人間はマイミクにしたくない、と思っている人は多いだろう。これはつまり、その人がプライベートと会社で2つのアイデンティティーを使い分けているためなのだ。
しかしフェイスブックはそれを許さない。それはつまり何かどこかで悪い行動をすれば、それが最初は一人の友達が知ることだとしても、たちどころに会社の同僚や恋人に知れてしまう可能性があることを意味する。
僕らがSNSに対して持っている恐怖の根源はこういう可能性にあると思う。しかし、本書が説明するフェイスブックのこの哲学の根源にある考えは、人々の透明性がSNSを通して増すことによって、人々はどんな場所でもどんなときでも自分の行動に責任を持たなければならなくなる。つまり人々の誠実さが増す、というのである。
話が大きくなりすぎて実感がわかないし、ただの理想論のように聞こえなくもないが、SNSというもののなかにこのような可能性を見出しているということ感心してしまった。
間違えなく本書は、読む前と読んだあとで読者のフェイスブックに対する姿勢を大きく変えてくれることだろう。そして今後のフェイスブックの動向を楽しみにさせてくれるに違いない。
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