「Getting to Yes: Negotiating Agreement Without Giving In」Roger Fisher

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
世の中には交渉が溢れている。そんな交渉をうまく進めるための考え方を語る。

交渉が重要だと気付いたのは30代になってからである。転職時の給料の交渉などはうまくいくかいかないかでその後の数年間の自分の人生に大きく影響を与えるし、毎日の同僚との会話で締め切りや誰が担当を決めるのも交渉である。以前、オンラインコースで交渉を学んでその重要性を知り、さらに深めたいと思い本書にたどり着いた。

本書の面白いところは、よくある交渉術のような、前もってポジションを決めて臨む交渉(例えば「私は5000円以上のお金を絶対払わない」のように)の姿勢を否定しており、むしろ相手と自分自身の相互に利益をもたらす着地点を見つけることを推奨している。そして、そのために踏むべきステップと、そのために陥りやすい罠と回避方法を例を交えて細かく説明している。

本書の基本的な考えは次のものである。

Seperate the People from the Problem
人と問題を別に考える

Focus on Interests, Not Positions
自分の立ち位置に固執しないで利益を考える

Invent Options for Mutual Gain
相互の利益になる新たな選択肢を考える

Insist on Using Objective Criteria
客観的な指標を用いることを主張する

本書の核となる考え方は前半に詰まっており、後半は、交渉相手が相互利益に向かう交渉に乗ってこなかった場合などの進め方など、うまく進まない場合の対処方法について書いている。こちらは問題にぶつかったときにさらに読み返すべきだろう。

以前に受けた交渉術コースはどちらかというとポジションにこだわっており、人間関係を軽視しがちな印象を受けたので、本書の両者の利益を考える姿勢は新鮮で、取り組みやすいと感じた。僕自身すでにやっている部分も多いが、こうして言語化して整理して並べてもらうとさらに考えやすく受け入れやすい。なかでも、客観的な指標を用いるという考え方は考えたこともなかったので次回から心がけてみたいと思った。

「How to Win Friends and Influence People」Dale Carnegie

オススメ度 ★★★★☆ 4/5

人にどのように好意的な印象を与え、自分の求めている人間関係を作り出すのか、そんな方法について書いている。 なんといっても驚くのは、本書の初版が1937年に書かれているということ。その後の改定では、書かれている例などを時代の変化に合うように、また新たな年代の人にもわかりやすいように書き換えただけと言うこと。つまり、人間の本質は時代を経てもほとんど変化がないということである。しかし、人に怒りをぶつけたり嫉妬に狂って物事をまっすぐ考えられない人はいつの世の中にもたくさん存在するのである。

基本的にどのように人に好印象を与えるか、どのように自分の意見を相手が受け入れやすい形で伝えるか、という点が多く書かれている。 昨今コーチングなどの書籍も多く、ただ叱るだけでは何も解決しないことを認識している人も多いだろう。そんなわけで本書に書かれているすべてが新鮮だというわけではなかったが、ぜひ今後実践したいと思ったのが次の項目である。

Techniques in Handling people 人をうまく扱うには
3.Arouse in the other person an eager want. 相手の中に欲求を起こせ

Make People Like You 人に自分を好きにさせるには
2.Smaile 笑顔でいなさい。
6.Make the other person feel important and do it sincerely. 相手に自分が大事にされていると思わせ、それを誠実に行いなさい。

Win People to Your Way of Thinking 人に自分の考え方を伝えるには
5.Get the other person saying “yes, yes” immediately. まずは相手にはいと言わせなさい。
7.Let the other person feel that the idea is his or hers. 相手にそのアイデアは彼のものだと思わせなさい。
10.Appeal to the nobler motives. さらに崇高な目的のためだと主張しなさい。

Be a Leader リーダーになるためには
4.Ask questions instead of giving direct orders. 直接の命令をするのではなく、問いをなげかけなさい。

すべての考え方が新鮮だったわけではなかったが、本書には多数の歴史的事実が例として含まれており、それらはどれも面白く好奇心を刺激してくれた。こうして事実を話として聞くと、単にフレーズを聞くよりもはるかに記憶に残る。その点でも本書は評価が高いのだと感じた。時々読み返したいと思える一冊である。

「キミが働く理由」福島正伸

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
働くことの意味がわからずに、新卒で就職した会社をすぐに退職し、その後さまざまな事業に挑戦した著者が働くことの意味を語る。

働くこのに楽しみを見出せない人向けなのだろう。僕自身今の仕事に不満を持っているわけではないが、何かしら生き方の参考になればと思い手に取った。

著者の経験から25項目の働く上での秘訣を書いているが、もちろんすべての人に必ずしもあてはまるわけではないだろう。また、楽しく幸せに生きるための心構えはすでに多くの人が語っており、本書で言っていることもかなり重複する部分があった。そんななか印象に残った項目を挙げると次の3つである。

お父さんが、「今日も仕事が楽しかったな。明日、仕事に行けると思うと、興奮しちゃうな」と言うと、子どもさんは勉強し始めるのです。
朝起きて人を励ますと、自分が元気になります。朝会社に行ったら、まず元気のない人を探しましょう。そして、その人を励ますのです。
悩んだ時はどうしたらいいかといったら、私は人に会うことだと思います。特に自分が目指している人に会うことです。

特にものすごい印象に残ったと言うわけではないが、生き方、働き方の参考の一冊として読むのは悪くないだろう。

【楽天ブックス】「キミが働く理由」

「自分のことは話すな」吉原珠央

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
イメージコンサルタントを職業とする著者が人との会話の仕方について語る。

昨今雑談力の本をよく目にするようになった。それだけ雑談というのは良好な人間関係を構築する上で重要だとみなされるようになったのだろう。しかし、著者はそんなただ単に沈黙を埋めるためだけの雑談をまっこうから否定している。著者は次の3つを不必要な雑談として切り捨てている。

  • 相手から求められていない話
  • 〇〇であろう話
  • 得のないムダ話

結局、どんなに会話を繰り返しても、相手の求めているもの、相手の欲することを考えずに話続けても信頼は築けないということなのだろう。このような本にありがちな、著者が思うことをひたすら書き綴るスタイルなので、全体に特に流れがなく読みにくいが、それでもいくつか、今後意識したいな思える内容に出会うことができた。

「質問に答えるだけの人」になるな

これはもはや説明するまでもないことだが、無口な人はムダな雑談もない代わりに、このように最小限の答えで終わりがちである。僕自身も含め男性陣はむしろここに気をつけるべきだろう。

「会って10秒・3ステップ挨拶セット」を実行せよ

ここで言う3ステップとは1.相手より先に相手の名前を呼ぶ。2.相手より先にポジティブなことを言う。3.相手より先に相手を気にかけていることがわかることを言う。である。これぐらいならば今日から実行できそうなのでぜひやってみたい。

たかが会話かもしれないが、たかが会話で信頼を築けるなら安いもの。そんな考えで少しずつ実行していきたいと思った。

【楽天ブックス】「自分のことは話すな」

「GIVE&TAKE「与える人」こそ成功する時代」アダム・グラント

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
人に惜しみなく与える人をギバー、自分の利益を優先させる人をテイカー、損得のバランスを考える人をマッチャーという。様々な事例を交えながら3つのタイプの人間と成功するための心がけを説明する。

ギバーの生き方が豊かな人生を送れることは誰もが予想することだろう本書でも基本的にギバーを推奨する点は特に驚くべきことではないが、面白いのは、どんな分野でももっとも成功している人はギバーだが、一方でもっとも劣っている人もギバーなのだという。

したがって、本書のテーマは、つまり、気遣いが報われるギバーと、人に利用されるだけのギバーが存在するということである。本書のテーマはそんな2つのギバーの違いを見極めることである。

成功するギバーになるために必要なことは、「自己犠牲的」になるのではなく、自己の利益と他者の利益の二つを同時に目指す「他社志向的」な生き方をする必要があるということである。相手に同情しすぎてただ利用されるだけで終わる人も多いという。本書では、テイカーと付き合うときはマッチャーになるように努めることを勧めている。

テイカーを相手にするときは、自衛のために、マッチャーになるのがいい。ただし、三回に一回はギバーに戻って、テイカーに名誉挽回のチャンスを与える。

僕自身は他社志向のギバーなのかもしれないが、もっとギバーになるための指針があふれていた。また、僕の周りにも利用されるだけのギバーがたくさんいるので、彼らにもぜひ読んでほしいと思った。

【楽天ブックス】「GIVE&TAKE「与える人」こそ成功する時代」

「「ひらがな」で話す技術」西任暁子

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
FMラジオのDJとして長年話し方にこだわってきた著者が話す技術を語る。

まず、人は話すときにひらがなで話す、としている。つまり、聞いている人はひらがなとして音を聞いてそれを頭の中で、漢字や意味に変換するのである。したがって、漢字で意味の通るが音としては他にも意味を持つ言葉(例えば「視覚」「死角」「四角」「視覚」など)は話し言葉としてはわかりにくいのだという。わかりやすくためには次のようなことを心がけるといいとしている。

丸い言葉を使う
句読点をつけて話す
言葉の粒の大きさを変える

言われてみれば当たり前のことだが、あまり意識してこなかったことに気づいた。確かに硬い言葉は少し頭がよく聞こえると思っているせいか、意図的にそういう言葉を使っている人も世の中にはたくさんいるような気がするが、それが伝わりやすいかというとそんなことはないだろう。紙面のうえではスペースを節約するために使われている言葉が、話し言葉でも同じように使えるというわけではないのである。

そのほかにも間の使い方、声の重要性を語っている。

自分の話し方でもいろいろ見習いたいと思うことに出会うことができた。
 

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「小さな野心を燃料にして、人生を最高傑作にする方法」はあちゅう/村上萌

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
作家のはあちゅうとライフスタイルプロデューサーという肩書きで活躍する村上萌の2人の著者が、現在の一般的に成功していると言われる状態にたどり着くまでの紆余曲折の人生を交互に語っている。

年齢が、10歳ほど年下ということもあり、生きているなかで経験する文化が若干異なるのと、男性と女性という違いゆえの考え方の違いもある。。それでも、僕自身の心がけとの共通点もあり、また、女性ならではという考えかたの新鮮に感じる部分もあった。そして、見習いたいと思える心がけにもいくつか出会えた。

お土産は必要な分+2買う
花を欠かさない

成功している人たちも、いろいろ悩みながら付与曲折を経て、努力をするだけでなく、人とのつながりに恵まれ、目の前の機会に勇気を持って飛び込むなどしながら、現在の地位にたどり着いているとわかるだろう。むしろ大学を卒業して、人生に悩んでいる女性が読むともっといいのではないかと思った。

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「雑談の一流、二流、三流」桐生稔

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
雑談の一流になるための方法をまとめている。オリラジの中田敦彦がYouTube大学で勧めていたのでたどり着いた。

雑談力の本もいくつか読んでいるので似たような話ばかりではあるが、それでも改めて意識したいと思えることに出会えた。

一流は、挨拶にツープラスする
一流は、踏襲話法で話をつなげる
一流は、ほめポイント+ワンポイントで話を膨らませる
一流は、Before → Afterをほめる
一流は、相手に腹を向ける
一流は、教えを乞う
一流は、見えなくなるまで感謝を伝える

こうやって、印象に残った内容を整理してみると、コミュニケーションの達人と崇める妻が、よくやっていることだと気づいた。僕自身も、普段からこころがけてみたいと思った。

【楽天ブックス】「雑談の一流、二流、三流」

「超一流の雑談力」安田正

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
雑談をあらゆる人間関係の入り口と説明し、その手法を語っている。雑談の始め方、話題の選び方、聞き方などをそれぞれ詳細に説明している。

多くの男性がそうであるように、僕自身はあまり沈黙が苦にならないのだが、一緒にいる相手がときどき気詰まりに感じているような気配は感じたりする。どこかで雑談は人間関係を円滑にするための手段、という話を耳にし、多少なりとも技術を磨いておけたらと感じ、本書にたどり着いた。

印象に残ったのは、聞き方の説明で、本書では

なるほどですね、そうですね、は「話を聞いていない人」の反応

と切り捨てており。理想のあいづちの「さしすせそ」をあげている

さ さすがですね。
し 知らなかったです。
す 素敵ですね
せ センスがいいですね。
そ それはすごいですね。

また、話し手が自然と話し出してしまう質問として、

何か特別なことをされているんですか?

もあげている。

どれも今日から実現できそうなことばかりである。

最後の章では人間のタイプ別の雑談の進め方を説明しており、すでに雑談力に自信のある人はぜひ使いこなしてもらいたい。全体的に非常にわかりやすくまとまっており、今日からやってみたいと思える内容があふれていた。。

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「嫌われる勇気」岸見一郎/古賀史健

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
人生に悩む青年が「人は変われる、世界はシンプルである、誰もが幸福になれる」と言う哲人のもとを訪ね、その内容を問いただす。自分の人生を嘆きそれと比較しながら、哲人の話す内容はただの理想論と言う青年だったが次第にその考え方に心を奪われていくのである。

昨今アドラー心理学という言葉をよく聞くようになったので、比較的新しい考え方だと思っていた。しかし実際にはアドラーはフロイト、ユングと並ぶ心理学の三大巨頭なのだそうだ。

まず、興味をひいたのは原因論と目的論という考え方。例えば、とある引きこもりの男性がいて、ある人がその原因を幼少期の虐待にあるとする。これが原因論による考え方である。一方で目的論をベースにするアドラー心理学は次のように捉える。その男性は社会に出たくない故に幼少期の虐待を理由に引きこもることを選んでいる、と。アドラー心理学では常に「今」の「目的」に目を向けており、「過去に人はとらわれない」という考え方をしている点が興味深い。

他人の評価などのように、自分ではどうしようもないことに干渉するためにエネルギーをかけない、という点は、選択理論などでも語られ、最近では一般的な考え方になってきたが、それでも改めてアドラー心理学の中でそれを考え直すのも悪くない。

やはりもっとも印象的だったのは「貢献感で幸せを感じる」という考え方である。人はどうしても人や社会に貢献すると、金銭や感謝の言葉などのような見返りを求めてしまうが、そこから解き放たれて自ら満足することこそが幸せになる方法なのだ。
実はこの考え方、僕自身がこの1,2年至った考え方だったので、もう少し本書を早く読んでいればもっと早くここにたどり着いたのかもしれない、と思った。


【楽天ブックス】「嫌われる勇気」