「オブジェクト指向UIデザイン 使いやすいソフトウェアの原理」ソシオメディア株式会社、上野学、藤井幸多

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
オブジェクト指向UIデザインという、世の中のアプリケーションを使いやすくする手法を紹介している。オブジェクト指向に対して、世の中のタスクを中心に設計されたアプリケーションをタスク指向と呼び、業務系アプリケーションに多い、タスク指向のソフトウェアを、オブジェクト指向へ作り変えるための考え方を、多数のワークショップを交えて説明している。

確かに業務系のアプリケーションであればまだまだタスク指向のものも多いのかもしれないが、一般的なUIデザイナーならば自然とオブジェクト指向でアプリを作るのが自然であり、内容自体に特に目新しさは感じなかった。オブジェクト指向UIデザインという新しいデザイン用語を生み出して、読みにくいほど文字量を多くして語っている割には、デザイン初心者向けの内容に違和感に感じ、本書自体のターゲットがしっかり定まっていないか印象を受けた。ただ、「タスク指向」「オブジェクト指向」という言葉でアプリを語りはじめたことは、デザインの言語化において一つの功績と言えるだろう。

中盤はひたすら、世の中のタスク指向アプリケーションをオブジェクト指向へと作り変えるワークショップが並んでおり、内容の薄うさを感じた。もっとページ数も減らせたし面白い内容にできただろう。デザインを語りながら本書のように内容の構成にデザイン力が行かせていない本は残念である。

印象的だったのはオブジェクト指向よりもむしろ最後の最後に触れられていた、モードとモードレスという考え方である。モードがなければアプリは使いやすいとして、一つの例として、パワーポイントの図形ツールと、Keynoteの図形ツールの違いを語っている。モードレスという考え方は今までなんとなくしか持っていなかったので、しっかり意識していきたいと思った。

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