「なぜ日本からGAFAは生まれないのか」山根節、牟田陽子

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
GAFAつまりGoogle, Facebook, Apple, Amazonを日本の企業と比較し、その違いを分析している。

海外にはYコンビネーターを代表とする、スタートアップに積極的に投資する仕組みがある。もし日本にもそのような仕組みを作ったら、メルカリのような企業がたくさん日本からも生まれるようになるのだろうか。実際には文化の違いなど、別の問題もあると感じており、他の人はどのように考えているのか知りたくなって本書にたどり着いた。

本書ではGoogle, Facebook, Apple, Amazonの現状やその発展の中のターニングポイントを説明した上で、日本の類似企業、Appleはソニーと、GoogleをNTTドコモと、Facebookを任天堂と、Amazonを楽天と比較している。

GAFAのいずれの企業についても過去何冊か本を読んだことがあったので、どの物語もまったく新しく知ったというわけではなかったが、改めて各企業を見直す機会となった。驚いたのはマークザッカーバーグの考え方である。映画ソーシャルネットワークによってどちらかというといたずら好きな男性というイメージが強かったのだが、本書を読んでそのイメージが少し変わった。Facebookという大企業の中で世界の動きや抵抗や世論と向き合いながらも、悩みながら成長している様子が伝わってくる。

19歳でフェイスブックを始め、社会人経験もなかった自分にとって、会社を経営する中で起こってきた色々な問題を全て咀嚼することは不可能でした。私にとってのこの15年間は、そういう問題1つ1つに対して、もっと責任を取れるように努力してきた歴史だと言えます。

毎回感じるのは創業者の持ち続けている強い信念である。GAFAの各企業はその成長の過程で、何度も莫大な金額で売却できる機会がありながらも、走業社たちは、自らの手で、その信念に則って成長させることを選んだのである。日本で同じようなことがあったら、その創業者はそのお金に目がくらまずに、自ら苦難の道を選ぶことができるだろうか。そう考えると日本とアメリカの違いはシステムだけでなく、信念の違いなのかもしれないと感じた。

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