「デザインぺディア」佐藤可士和

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
日本を代表するアートディレクター佐藤可士和のデザインの考え方をまとめている。

すでに10年以上前の雑誌になるが、古くてもデザインの考え方は何かしら学ぶ部分があるだろうと思い手に取った。それなりにデザインについて熟知しているつもりでも、新たな視点や驚きを得ることができた。

そんななか佐藤可士和が以前言われたという言葉が面白い。

コレ、カッコつけてて、カッコ悪いなあ

どうしてもデザインというとカッコ良いものを作る、と思っている人はまだ多いようだが、実際には目的に応じてカッコ悪さを出すことも必要なのだ。そんなことを如実に表した一言だと感じた。また、これはデザインだけでなく人間においても言えることだと日々の感覚から思った。(カッコつけている奴が一番カッコ悪い)

そのほかにも、パスタのデザイン、レコードジャケットのデザインなど独自の視点でそのデザインの面白さを語る。そしてやがてAppleのデザインのすごさに至る。本書を読むまで、iPod Shuffleの画面をなくすという決断がすごかったという視点がなかったが、確かに組織として考えた時それはAppleという会社にしかできない大きな決断だったのだろう。

後半ではロシア・アバンギャルド、ロシア構成主義、バウハウスにも触れている。バウハウスはデザイン書籍の多くで取り上げられているので特に新鮮さはなかったが、ロシア構成主義、ロシア・アバンギャルドは本書で初めて知ったし、その印象的な写真と文字の使い方は、ぜひ仕事のなかにも機会を見つけて取り入れたら面白そうだと感じた。

冒頭でも語ったが、本書はすでに10年以上前に出版されたもの。しかし、今でも十分に役立つデザイン視点が詰まっていると感じた。

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「佐藤可士和のクリエイティブシンキング」佐藤可士和

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
日本を代表するアートディレクター/クリエイティブディレクター佐藤可士和がそのクリエイティブな考え方や日々の心構えを語る。
全体的に書かれている内容は特に目新しいことではなく、実際、世の中の多くのクリエイターや、むしろクリエイターにかぎらず、クライアントと協力して何かを作り上げなければならない仕事に就いている人の多くが意識していることだろう。しかし、著者のようにそれなりの実績を社会で持っている人間が語ると説得力を持ってくる。むしろ社会に出たばかりの人向けに書かれた内容のような印象を受けた。
その考え方の説明の過程で例としてだされるクリエイティブワークはそれなりに興味を持って読み進めることができた。個人的にはそちらの過去の事例に焦点をあてて、「過去の事例とその裏の努力」というような視点の内容であればもっと楽しめただろう、と思った。
文字が大きめで、ページ数もその厚さほどないので、この内容であれば新書で出版して欲しいところである。
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