「自分の中に毒を持て」岡本太郎

オススメ度 ★★☆☆☆ 2/5
岡本太郎が自らの生きる考え方を語る。

基本的に著者が、日本人にありがちな保守的な生き方を批判し続けていくという内容である。出版はすでに30年以上前ということで、随所に時代を感じる。また、僕らの時代から見ると彼のもっとも有名な作品である「太陽の塔」はその有名さゆえに自然に受け入れられたものであるが、当時はその斬新さから反対の声もあったのだと知った。

全体的に、多少の個性わあれども、ただの年寄りの自慢話に聞こえなくもないが、個性によって有名になり仕事をもらう立場である以上、ここまで尖る必要があったのだろう。結婚という考えについてもいろいろ語っているが、多くの結婚しなかった年配の男性が語るであろう。過去の女性との自慢話がかなり続く。ここは別に相手がフランス人だった以外は岡本太郎でなくても同じように語れそうな気もする。

今でこそ、転職が当たり前になりつつあり、個性を出すことが認められているからそれほど本書に新しさを感じないが、
刊行当時に読んだらもっと衝撃的だったのかもしれない。そういう意味では、本書の本来の目的よりも、日本の社会の時代の変化の大きさを感じさせてくれた。

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