「ファイナルシーカー レスキューウィングス」小川一水

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
レスキューの最高峰、航空自衛隊の救難飛行隊に所属する高巣英治(たかすえいじ)を描く。
本作品が一般的な人間物語と異なる点はやはり、英治(えいじ)の小学生時代に肩にとり憑いた少女の幽霊である。英治(えいじ)はその幽霊の力があるからこそ、救難飛行隊で遭難者の発見に誰よりも貢献できるが、それゆえに、他の隊員たちのように命を懸けていないという罪悪感や、自分の実力で今の地位を手にしたわけではないという満たされない達成感に悩むのである。
そんな英治(えいじ)と仲間達が悪戦苦闘する姿を描いた展開自体はもちろん魅力的だが、物語中で言及される自衛隊員としての自覚とその矛盾に対する葛藤が面白い。

自衛隊は救助システムとしか見なされない。システムだから壊れていれば咎められ、正常に作動すれば忘れられる。

また、遭難者と隊員を比較したときに明らかに隊員のほうが世の中のためになる存在だと誰もが認識しながも、自分勝手な行動から遭難した人々のために命をかけなければならないという葛藤も面白い。
いくらでも続編が作れそうだし、それを期待してしまうような作品であった。また、近いうちに「空へ 〜救いの翼」として映画化されるということだが、きっといい作品になるだろう。
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