「ファミコンの驚くべき発想力」 松浦健一郎

オススメ度 ★★☆☆☆ 2/5
僕はファミコン世代。小学生時代はまさにそのブームのど真ん中。それからゲームは進化して、今ファミコンのゲームの画面を見ると、長い年月が経った事を実感するが、当時は、その限られたメモリや様々な制限のなかで面白いゲームを作ろうという、制作者たちの試行錯誤があったのだという。本書はそんな制作サイドの裏話に触れられることを期待して手に取った。
いくつかの有名なゲームを例にあげてその裏話を披露している。面白かったのはドラクエの呪文の話。メモリ使用量を減らすためには使用できるカタカナはわずか20文字にしていた。つまりホイミやラリホーなどドラクエIからある呪文はそんな制約のなかから生まれたのである。その他にもドルアーガの塔やスーパーマリオブラザーズなど懐かしのゲームの裏話を見せてくれる。
その制限がたくさんあったなかでゲームを作り出そうとしたファミコンソフト開発者の心を今の制作者たちも見習うべきだと著者はいう。現代のゲームはほとんどファミコン時代に比べるとほとんど制限がないといってもいいくらい何でもできる。しかし、だからといっていたずらにデータを増やして、ユーザを待たせたりするべきではないというのだ。
上にあげたドラクエやドルアーガの話は非常に面白かったが、残念ながらそんな話ばかりでなく、メモリや演算など、プログラムに普段触れている人にしかわからなそうな話も混在して、本書自体がターゲットを絞り込めていない印象を受けた。いろいろ語りたい事はあるのだろうが、もう少し読みやすさを優先して本を書いて欲しかった。
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