「ダメだ!この会社 わが社も他社も丸裸 」山崎元/倉田真由美

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
11回の転職をした著者が自らの経験を基に、いい会社や悪い会社の傾向について、会社勤めをしたことのない漫画家倉田真由美と共に語る。
「こんな会社はだめだ」と端的に言い切るところが面白い。いくつか挙げると次のようなものだ

意味不明の肩書きが多い会社
役員フロアがゴージャスすぎる会社
上司・同僚を肩書きで呼び合う会社に未来なし

そんな表面的なことばかり書かれているかというとそんなことはない。本書で語られていることのなかで印象的だったのは、悪い会社も務める人の心の持ちようによってはいい会社になり、またその逆もありえるというところ。結局大事なのは自分の価値観に見合う会社を選ぶということなのだろう。こうやって書いてみると当たり前のようのことのように思えるのかもしれないが、しっかりと自らの価値観を見極めるまでにはある程度の年月を、価値観の合わない会社で働く必要があるのだ。
本書で書かれていることの多くが真実であったとしても、自ら経験するからこそしっかり理解できることなのだろう。それでも知識として持っておいて損はない。
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「コンサル一年目が学ぶこと」大石哲之

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
外資系のコンサルティング会社出身者はその後さまざまな分野で活躍している。そんな彼らが1年目に学ぶ、その後の人生にずっと影響を及ぼすような内容とは何なのかを語る。

本書は4つの章に分かれている。「話す技術」「思考術」「デスクワーク術」「ビジネスマインド」である。どれも非常に論理的な考え方なので、普段から論理的な考え方をしている人にとっては、当たり前のことばかりなのかもしれないが、改めて自分の行動を見直し、それをさらに磨くためには本書はいいきっかけになるのではないだろうか。

話す技術のなかで、「PREPの型に従って話す」というのがある。PREPとはPoint、Reason、Example、Pointで、まず結論を話し、その理由を説明し、具体例を語った上で再度結論を繰り返す、という流れである。「結論を先に話す」というのはよく言われることではあるが、改めて自分自身の本日、昨日の職場での言動を振り返ってみるとすべてにおいてそのように実行できていたかは怪しい。

また「Quick and dirty」という考え方も、常にできているとは言い難い。「Quick and dirty」とは完璧ではないものでも早く人に精査させることによって軌道修正を行うということである。必要以上に間違ったものを作り込んで無駄な時間とエネルギーを使うことを避けるために非常に有効な考え方で、アジャイル開発などでも取り入れられている考え方だが、人の目を考えるとついつい作り込んでしまいがちである。

コンサルタントがなぜあれほど高い給料をもらえるのだろうか、というところに興味を持って本書を手に取ったのだが、彼らも特別なことをやっているわけではないということがわかった。本書では多くの参考図書が紹介されていたのであわせて読んでみたい。

参考図書
「まだ「会社」にいるの?」山口揚平
「得点力を鍛える」牧田幸裕
考えながら走る グローバル・キャリアを磨く「五つの力」」秋山ゆかり
なぜゴッホは貧乏でピカソは金持ちにだったのか?」山口揚平
「観想力・空気はなぜ透明か」三谷宏治

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「僕の隣で勝手に幸せになってください」蒼井ブルー

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
写真家である著者が発するツイートをまとめた本。
写真家ということで若い女性と接する機会が多いせいか、恋愛や男女関係に関するツイートが多く、ときどきはっとさせられるような独特な視点のツイートがあって面白い。
印象的なツイートはたくさんあったのだがなかでも個人的なヒットを3つ挙げておく。

電車で隣に立っている女子。吊り革を持つ手の甲にペンで「おとん誕プレ」と書かれていて、この時点で抱きしめたいし、もう一方の手には大きめのユニクロの袋を持っていて、おとんに贈るダウン的な物だと考えたら心まであたたかいし、おとんの子育て間違ってなかったし、結婚してないけど娘欲しいし。
まだ若いのに夢を叶えた人のこと尊敬する。もう若くないのに夢を叶えようとしている人のこと尊敬する。
今日が終わって欲しくなくて寝ようとしないの、明日ごと終わるからやめた方がいい。

ちょっとハゲを気にするツイートが多く、そこがなんか同じ男として共感できる。
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「リーンスタートアップ ムダのない起業プロセスでイノベーションを生み出す」エリック・リース

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
いくつかの事例を交えてリーン・スタートアップについて説明する。改めて実例と共にそのコンセプトを読み進めると理解が深まる。
特に印象的だったのがMVP(Minimum Viable Product)の重要性である。制作に関わる人間はどうしても、「できるかぎりいいものを世の中に出したい」と思って作りこむことに時間をかけてしまうが、実際に作っているものが世の中の求めているものとは限らないのである。実用に耐えうる最低限のものを、アーリーアダプターに提供することによって世の中でどんなものが求められているかを早く知り、早く軌道修正することができるのである。
もう一つ印象に残ったのがバッチサイズの縮小のメリットである。バッチサイズとは繰り返しの作業による1つの工程から次の工程への作業量の大きさである。例えば100通の手紙を用意するのに、100枚の手紙をまず折って、その後100枚の手紙を封筒に入れる、という作業の流れだとパッチサイズ100となる。これに対して手紙を1枚ずつ仕上げる方法がパッチサイズ1である。僕らは、作業は繰り返すほどに習熟するという思い込みがあるため、バッチサイズが大きいほど効率的という思い込みがあるが、バッチサイズが小さい方が問題が早く浮上し、すばやく修正を反映することができるのである。
非常に読みやすく、リーン・スタートアップについて理解するのに非常にわかりやすい本である。

参考図書「イノベーションのジレンマ 技術革新が巨大企業を滅ぼすとき」
「イノベーションへの解 利益ある成長に向けて」
「製品開発フローの原則 第2世代リーン製品開発」ドナルド・G・レイナーツェン
「教育 × 破壊的イノベーション 教育現場を抜本的に変革する」
「ザ・トヨタウェイ」ジェフリー・ライカー
「トヨタ生産方式 脱規模の経営をめざして」大野耐一
「プランB 破壊的イノベーションの戦略」ジョン・マリンズ、ランディ・コミサー
「リーン・シンキング改訂増補版」ジェームズ・P・ウォーマック、ダニエル・T・ジョーンズ

【楽天ブックス】「リーンスタートアップ ムダのない起業プロセスでイノベーションを生み出す」

「指を置く」佐藤雅彦/斎藤達也

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
指を置くことで意味を持つ絵や図形をまとめている。
1時間ほどで読み終わる内容ではあるが、そのコンセプトを理解するのは中々難しい。冒頭で本書はこおように語っている。

通常の絵画や彫刻などの美術の鑑賞では、作品の前面に向かうのは、あなたの眼です。手や指は関与してきません。しかし、本書では自分の存在を敢えて、コンテンツに参加させます。そのとき、果たして自分の存在は、メディアへの没入感にどのような干渉を及ぼすのでしょうか。

僕が本書に辿り着いたのはユーザーインターフェースデザインの関連からだった。スマートフォンのタッチパネルがメインであるユーザーインターフェースデザインは、まさに本書の言う「自分の存在がコンテンツに参加したデザイン」である。そのための手がかりになるものが本書から得られたかどうかはまだわからないが、引き続き模索し続けたいと思った。
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「It’s not how good you are, it’s how good you want to be.」Paul Arden

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
クリエイティブに関わる人間が心がけるべき言葉に溢れている。手元に置いておいていつでも見返せるようにしたいと思える本。

Don’t look for the next opportunity. The one you have in hand is the opportunity.
次のチャンスを探すな、今目の前にあるものがチャンスなのだ。
Do not seek praise. Seek criticism.
賞賛を求めるな、批判を求めろ

ぜひ手にとって、1つ1つの言葉を噛み締めてもらいたい。

「薬剤師は薬を飲まない」宇多川久美子

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
薬を飲まない薬剤師である著者がその理由を語る。
著者によると、世の中の年配者の多くがやっている薬を常用している状態というのはおかしいのだそうだ。なぜなら、薬が病気を治してくれるなら一定の期間飲めば薬は必要なくなるはずなのだから。実際には多くの場合、薬はただ症状を抑えるもので、完治させるものではないのだという。痛みや苦しみが発生する根本の原因を解決しないで、場当たり的に薬に頼って症状を抑えている限り、永遠に改善することはない。薬を手放して、自然治癒力や自己免疫力を維持することこそ健康な生活を送るために必要なのだそうだ。
言われてみればどれももっともな内容でたびたび頭痛薬を飲む自らの生活を反省する部分もあると感じた。内容としてはもっと年配の人に向けられて書かれているように感じたが考え方として持っておくことに早すぎるということはないだろう。
後半は健康な体を育むためのエクササイズも紹介している。薬剤師のエクササイズがどれほど本書の読者の役に立つかは疑問である。健康のための運動を日常的に行っている人にとっては後半は退屈かもしれない。
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「世界史を変えた薬」佐藤健太郎

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
世界を大きく変えた薬について紹介する。
世の中にはわずかな違いで、歴史が大きく変わっていたかもしれないことがある。クレオパトラの鼻がもう少し低かったら、というように。本書はそれを薬について語っているのだ。実際100年ほど前までは日本人の平均寿命は40歳程度だったのだというから驚きである。言い換えるなら「世界史を変えた薬」が生まれていなければ、僕はもう死んでいたかもしれないのである。
本書で扱っているそんな「世界史を変えた薬」とは、ビタミンC、ペニシリン、アスピリンなどである。薬のど素人の僕でさえ知っている名前ばかりである。つまりそれは現在ではそれほど広範囲で使用されているということなのだろう。大航海時代に多くの航海者が悩まされた壊血病を解決するビタミンCの発見に始まり、多くの興味深い歴史的事実を交えて、薬の発明を紹介している。薬という世界の入り口としては非常に面白い一冊である。
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