「三体II 黒暗森林」劉慈欣

三体II 黒暗森林

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
400数年後に三体文明からの侵略艦隊が到達することが明らかになり、また、地球は智子(ソフォン)によって監視されている。そんななか地球の未来は4人の面壁者に託されることとなった。

三体の続編である。ようやく物語が大きく動き始める。地球の動きは、三体文明の解き放った智子(ソフォン)によって監視されているが故に、4人の面壁者は地球を守る計画を、頭のなかだけにとどめて公にすることはできないが、あらゆるリソースを理由を言わずに自由に使える権限を持つのである。そして、本作品は面壁者の1人である羅輯(ルオ・ジー)が主に中心となって描かれる。

序盤はそんな4人の面壁者の苦悩や、計画を描く。もちろん行動から簡単にその内容が明らかになってしまうようでは、三体文明にも筒抜けになってしまうので、計画の核となる部分は頭の中にだけながら、それぞれの面壁者は行動を開始していくのだが、大きなリソースを使う権力なだけに、政治的な駆け引きも絡んでいく。また、一方で地球の三体文明を支持するグループ、地球三体協会(ETO)はそれぞれの面壁者の計画を破壊する、破壁人(ウォールブレイカー)を割り当てるのである。

そして、後半は185年後の様子を描く。羅輯(ルオ・ジー)を含む何人かの面壁者は冬眠して時を飛び越え、一方で三体文明の解き放った探査機が太陽系に到達し、地球は三体文明と初めて向かい合うこととなるのである。

正直、前作「三体」は物語展開に乏しく、三体の前評判が高すぎたので若干がっかりしたのだが、本作品は一気に物語が動いて最後まで期待を裏切らない展開となった。本書で三体文明との決着はついたようにも見えるので、むしろ三体IIIではどのような物語が描かれるのか非常に気になってくる。

【楽天ブックス】「三体II 黒暗森林(上)」「三体II 黒暗森林(下)」

「滅びの前のシャングリラ」凪良ゆう

オススメ度 ★★☆☆☆ 2/5
1ヶ月後に地球に隕石が激突することが明らかになる。そんな滅亡の前の人々を描く。

小学生の江那友樹(えなゆうき)はクラスではいじめられっこという存在でありながらも、地球滅亡を前にクラスのヒロインである藤森さんに少しずつ近づいていく。また、目力信士(めぢからしんじ)は、40歳でヤクザとして生きてきたが、知り合いのヤクザか殺しの依頼されて実行に移そうとする。そんな2人を含む4人の視点から滅亡前の様子を描く。

地球滅亡を前にして、人々はずっと会いたかった人に会いに行ったり、好きな人に告白したり、略奪や欲望のままに行動したりする。そんな少しずつ混沌としていく世界の中で、藤森さんを守ろうとする友樹(ゆうき)や昔の恋人に会いにいく信士(しんじ)の前に様々な障害が立ちはだかるのである。

正直、地球滅亡前の人々の行動がなんとも現実感なく感じてしまうのは僕の想像力の欠如からなのだろうか。多くの人は残りの時間を考えると、使いきれないほどのお金を持っていることになるのし、食料も国としては余ることになるので、実際にはそこまで略奪する必要もなく、最後まで倫理的に行動する美学を持って普段通り行動する人が本書で描かれるよりも多いのではないかと感じてしまった。

著者の別の作品「流浪の月」が良かったので本書も読もうと思ったのだが、正直今回はあまり深みを感じなかった。ひょっとしたら、著者のなかにこの特殊な設定を通じてしか訴えられないものがあったのかもしれないが、残念ながら理解できなかった。

【楽天ブックス】「滅びの前のシャングリラ」

「税金を払うやつはバカ!」大村大次郎

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
国税局で10年間働いてきた著者が税金について語る。

昨今、自身の収入が少しずつではあるが増えてきたせいか、税金を意識する機会が多くなった。そんななか少しでも節税ができればと本書にたどり着いた。

面白いのは、国税局で働いてきた経歴を持ちながらも、税金をできるかぎり払わないことを推奨している点である。本書では個人事業主から会社員まで、支払う税金を少なくするための様々な方法を説明している。また、あわせて、日本の税金の制度のよくない点も説明している。

残念ながら会社員の僕がすぐに適用で起用できそうな方法は、せいぜい医療費控除に適用できる出費を知っただけで大きなものはなかった。むしろ節税の方法よりも、税金の制度について新たな視点をもたらしてくれた。例えば、消費税が公平な制度ではない、というのはよく耳にするが、消費税が格差社会を作るとまでは思っておらず、本書を読むまでしっかり理解していなかった。また、同様に消費税が非正規雇用を増やすことに貢献しているという視点も新鮮だった。

節税対策としてすぐに行動できる内容は少なかったが、税制度に対して新たな視点をもたらしてくれた。

【楽天ブックス】「税金を払うやつはバカ!」

「三体」劉慈欣

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
各地で科学者たちの自殺が相次いでいる知った、ナノテク素材の研究者である汪森(ワン・ミャオ)だが、ある日自身も目の前にカウントダウンの数字が見えるようになる。

汪森(ワン・ミャオ)のカウントダウンから逃れようとする現代の様子に先んじて、文化大革命で科学者の父を亡くした葉文潔(イエ・ウェンジエ)が描かれ、時代を超えた大きな陰謀が陰謀が少しずつ形になっていくことを感じさせる。そんななか、汪森(ワン・ミャオ)は「三体」という仮想空間を舞台にしたゲームに魅せられていく。そこでは太陽が3つ存在し、その太陽の動きによって文明は何度も滅亡を繰り返すのである。

やがて、謎のカウントダウンから逃れようと奮闘する汪森(ワン・ミャオ)は、文潔(イエ・ウェンジエ)の存在を知り、そ少しずつ中国の田舎にある秘密の施設で過ごした文潔(ウェンジエ)の日々が明らかになっていく。

印象としては、本作品はまだ序章といった感じで、大きな展開はほとんどない。評価があまりにも高いためにちょっと拍子抜けした感じである。もちろん続編を読まなければ「三体」という作品自体の評価はできないが、長ければ良いと言うものでもなく、どの程度描きどの程度を読者に委ねるかと言うバランスが重要で、もう少しコンパクトに書けるのではないかと感じてしまった。

もし「三体」こそ最高のSFと思っているなら、個人的には鈴木光司の「ループ」をオススメしたい。「リング」「らせん」があまりにもホラーとして一人歩きしてしまったが、その完結編の「ループ」こそ日本の最高のSFである。

【楽天ブックス】「三体」

「サピエンス全史」ユヴァル・ノア・ハラリ

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
ホモ・サピエンス、つまり人類の進化の歴史を詳細に説明する。

人類の進化の歴史を詳細に説明するなかで、ホモ・サピエンスが現代のように地球の支配者となった主な要因について説明している。

例えば初期の大きな変化は農業革命である。農業革命によって、狩猟から農耕へと移ったことにより、人々は定住化し、住居を持ち、その住居や土地に愛着を持つようになったという。著者は本当にそれが良かったかどうかについては疑問を投げかけているが、種としての進歩の過程で、その中の一個体、または特定の集団が、狩猟と農耕の生活の違いを比較して良い方を選択するということができないと結論づけている点が面白い。

もっとも興味深かったのは、ホモ・サピエンスの想像上の秩序によって一緒に行動することができるという特性であり、その特性によって、ホモ・サピエンスは他の種を圧倒することができたという主張である。例えば、チンパンジーやクジラなどの哺乳類も、どこに天敵がいるなどの簡単な会話はかわすことができるが、一般的なコミュニケーションで行動を共にできるのはせいぜい150個体程度の集団であり、それ以上の個体数、1万、10万という個体が共通の目的を持って行動するためには、宗教や神話など想像上の秩序を共通認識として持つ必要があるというのである。

キリスト教やアメリカの独立宣言など例をあげればきりがないほどさまざまな形でホモ・サピエンスはそれをこれまでにやってきて、今この時点でも様々な想像上の秩序に依存した関係のなかで生きていることは間違いのない事実である。

悲しいことに、多くの絶滅が、ホモ・サピエンスがその大陸に到達した時期と重なっているという。これはホモ・サピエンスの一個体として真実として受け入れるしか無いだろう。

学生時代に歴史の授業で学んだより時から、20年以上経って、現在はるかに多くのホモ・サピエンスの歴史が判明されていることに驚かされた。このような本でも読まない限りなかなか目を向ける機会のない分野なので、新たに知ったことがたくさんあった。ただ、前回読んだ「21Lesson」でも感じたことだが、若干冗長な語りが多く全体的に読みにくい。読もうと思った時にはある程度の覚悟が必要である。まだ未読の「ホモデウス」も名前はよく聞く作品なのでぜひ読みたいとは思っているが、しばらく間を置きたいと思った。

【楽天ブックス】「サピエンス全史(上)」「サピエンス全史(下)」

「ひと」小野寺史宣

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
大学生の柏木聖輔(かしわぎせいすけ)は、親が急死したために、大学を辞めて、偶然立ち寄った惣菜屋で働き始める。そんな聖輔(せいすけ)を描く。

聖輔(せいすけ)は高校生のときに交通事故で父親を失い、大学生になって母を突然死で失ったことで人生を大きく考え直さなければならなくなる。正直僕自身、両親に早くに先立たれる人の苦労を知らずにいた。しかし、実際にはそれほど珍しくない話で今回はそんな人生に触れることができた。

やがて聖輔(せいすけ)は親切な惣菜屋の店主や店員の助けを借りて、独り立ちしていく。物語を通じて感じるのは、なによりも聖輔(せいすけ)自身の真面目さが、多くの人の信用を集めているということである。

この惣菜屋の店主などのように、困っている人に機会を差し出せる人間になりたいと思った。また、本書の聖輔(せいすけ)のような、若い人間目線としては、約束を守ること、誠実でいることで多くの人の優しさを引き寄せるのだと感じた。子供達にはそのことを伝えていきたいと思った。

物語を読み終わってもう一度タイトルを見ると、そこに深い意味が感じられる。

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「お探し物は図書室まで」青山美智子

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
近所の図書館を訪れたことによって人生が動き出す5人の男女を描く。

本書は5人の男女を描いている。ちょっとしたきっかけから近所の公民館を訪れ、そこで出会った司書に本を勧められたことで、人生が少しずつ動き出すのである。どの人生にも印象的なシーンはあったが、個人的に好きなシーンは35歳の諒(りょう)の章、40歳なつみの章、30歳浩哉の章の次の箇所である。

もう動き出しているじゃないの、私が行けと言ったわけじゃない。あなたがあの店に気がついたんだよ。自分で決めて自分の足で…すでに始まってるよ
独身の人が結婚してる人をいいなあって思って、結婚してる人がこどものいる人をいいなあって思って。そして子供のいる人が、独身の人をいいなあって思うの。ぐるぐる回るメリーゴーランド。…それぞれが目の前にいる人のおしりだけ追いかけて、先頭もビリもないの。つまり、幸せに優劣も完成形もないってことよ。
俺の小さなひとことを、そこまで大事にしてくれてたなんて。

人に影響を与えられる本書の司書小町さゆりのような生き方は素敵だと思った。また、どの話にも言えることだが気の持ち方で人生はいくらでも好転させることができると改めて感じた。そして、なによりそのことを物語にして広めることをしているこの本とこの作家が素晴らしいと思った。

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「道具としてのベイズ統計」涌井良幸

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
ベイズ統計についてわかりやすく説明している。

本書でベイズ統計については3冊目である。概念的なところから入り少しずつ細かいことまで理解したいと考え、数式などを極力省略しないで実践的に説明している書籍をと思い本書にたどりついた。

これまでによんだベイズ統計の本のなかでもっともわかりやすかった。ベイズの定理の事前確立や事後確立を、事前分布、事後分布と確立分布という分布という考え方にも適用し、確立の総和が1であることを利用して、単純でかつ汎用性が高い考え方になることをわかりやすく説明している。

また、自然な共益分布を用いることによって計算が簡単になり、事象によって適した共益分布があるということも理解できた。二項分布ならベータ分布が適しているのということである。

一方で、分散が未知の場合の考え方あたりから、着いていくのが難しくなった。この辺はまたモチベーションの高い時にさらに繰り返し読んでしっかり身に付けたいと思った。以降は様々な手法についてExcelによる実際の実行方法なども含めて触れている。

理系の人間には問題ないだろうが、若干省略されていると感じる部分もあった。とはいえベイズ統計についてわかりやすくまとまっていて、初めて不足なくベイズ統計について知りたい人には最適と言えるだろう。

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「シン・ニホン」安宅和人

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
これから迎えるデータ×AI時代に日本はどのように備えるべきなのかを、経済、教育、医療などさまざまな視点から語る。

日本だけでなく、世界の様々な国の考え方や事情を知っているからこその考え方が詰まっている。

AIに対して、多くは「AIに仕事が奪われるという」と言うが、本書ではそんな「人間vsAI」という議論は意味がないと切り捨てている。実際には「AIを使わない人」と「AIを使える人」に分かれていくのだと言う、だからこそ、AI時代に対応できる知識を身につける必要があり、そのための教育の必要性を強調している。そんなAI時代に備えて次の3つのスキルの重要性を語っている。

  • ビジネス力
    課題背景を理解した上でビジネス課題を整理し、解決する力
  • データエンジニアリング力
    データサイエンスを意味のある形に使えるようにし、実装、運用できるようにする力
  • データサイエンス力
    統計数理、分析的な素養の上、情報処理、人工知能などの情報科学系の知恵を理解し、使う力

教育について語っている章では、日本と海外の大学の(特にアメリカの)システムの違いについて触れている。日本ではどんどん予算が削られ、教員の給料が頭打ちになっているために、優秀な教員が海外に奪われる自体が起きているだけでなく、卒業生からの寄付も少ないのでどんどん海外の大学に置いていかれているという。

医療や高齢化社会という問題については、老人ではなく若い人に投資する社会にすべきと語り、また尊厳死の合法化にまで触れている点が面白い。

さまざまなデータから日本が進むべき未来を提言している。圧倒的なデータ量とその知識に驚かされるだろう。僕自身AI時代に備えるとともに、子供を持つ親として、どのような教育を子供に与えるべきかを考えさせられる内容である。

【楽天ブックス】「シン・ニホン」

「キネマの神様」原田マハ

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
幼い頃から、父の影響で映画を愛する歩(あゆみ)は、40歳を目前に転職して伝統ある映画雑誌の会社に勤めることなる。

大企業のキャリアを捨てて、老舗だが潰れかけの映画雑誌の会社で働き始めた歩(あゆみ)は、やがて、同僚とともに父を巻き込んでインターネット上に映画のレビューサイトを立ち上げる。また、それを英語版でもリリースしたことから、ローズ・バッドという謎の外国人が書き込むことから国境を超えた映画愛好家同士の書評バトルが繰り広げられていくのである。

まずは、歩(あゆみ)の父とローズ・バッドの書く映画のレビューが本書の魅力の一つである。普段映画を見ない人にはどう感じるかわからないが、どれも有名作品ばかりなので映画好きにはたまらなく、みてない作品はみたくなるだろう。歩(あゆみ)の父とローズ・バッドの映画に対する向き合い方の違いから、レビューというものの奥深さを感じさせる。

「ここがいい」と言ってしまったら、作り手の思う壺だ、ってね。日の当たる部分を注意深く避けながら、自分の論拠で映画を包囲してしまう。それが私の手法だった。

やがて、物語はお互いあったことのない歩(あゆみ)の父とローズ・バッドという海を隔てた友情へと発展していく。

物語の軽快さのなかに、適度な深みを感じさせるとともに、物事の見方に新たな視点を与えてくれる作品。原田マハという作家はそのキュレーターとしての経歴からか、絵画に造詣が深いという印象があるが、言葉や文字の一つ一つの選び方について特別な感覚を持っているのだと感じた。「本日はお日柄もよく」ではスピーチを題材にして読者を楽しませてくれたが、今回は映画のレビューで楽しませてくれた。僕自身もこうして読んだ本について言葉にしている身としては、本書のなかに登場する映画レビューから感じられる熱量を少しでも取り入れたいと思った。

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「マネジャーの最も大切な仕事」テレサ・アマビール/スティーブン・クレイマー

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
インナーワークライフを向上するためにマネジャーができることはなんなのか。様々な企業のチームから7ヶ月にわたって日誌を提出してもらい分析した結果を説明する。

インナーワークライフとは個人的職務体験としており、次の3つの要素で構成される。

  • 認識・・・職場での出来事に対する状況認識
  • 感情・・・職場での出来事に対する反応
  • モチベーション・・・その仕事への熱意

なぜインナーワークライフが組織において重要かと言うと、それがパフォーマンスに大きな影響を与えるからである。そしてモチベーションのために重要な要素として、見過ごしがちな進捗の法則を含む次の3つの要素を説明している。

  • 進捗の法則
  • 触媒ファクター
  • 栄養ファクター

七大触媒ファクターと四大栄養源を次のように説明している。

  • 明確な目標を設定する
  • 自主性を与える
  • リソースを提供する
  • 十分な時間を与える(しかし与えすぎてはいけない)
  • 仕事をサポートする
  • 問題と成功から学ぶ
  • 自由活発な意見交換

四大栄養源

  • 尊重
  • 励まし
  • 感情的サポート
  • 友好関係

このようなマネジメント関連の本は、どうしても机上の空論のようで現実感に乏しく感じてしまうのだが、本書は実際の現場からあがってきた日誌とともに紹介している(もちろん個人が特定できないように名前や地名などは変えてある)ので説得力が感じられる。

僕自身、小さな進捗のサポートできているだろうか。良い触媒ファクター、栄養ファクターを与えられているだろうか。そんなことを考えさせられ、マネジメントにうまくいかない時などに、なんども戻ってきたいと思える内容である。

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「図解・ベイズ統計「超」入門 あいまいなデータから未来を予測する技術」涌井貞美

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
ベイズ統計についてわかりやすく解説する。

昨今ベイズ統計について触れる機会があり、ベイズ統計の本を読み漁っている。本書もそんななかで出会った。

本書では、トランプや天気予報を例に、乗法定理、加法定理、ベイズの定理を説明している。大まかなベイズ統計の考え方は理解できる。ベイズ更新よって、常にデータを更新できる点が実践的であるという印象を受けた。感覚的に受け入れるのが難しいのが「理由不十分の原則」であるが、ここにかんしてはそういうものとして受け入れるしかないのだろう。

また、ベイズとかベイジアンという言葉をよく見るが、ベイズ確率論やベイズ統計論などベイズという言葉を使った学問も多岐に渡ることを知った。

今まで読んだベイズ統計の本のなかでもっともわかりやすかった。とはいえ手順を手取り足とり示してもらってようやく付いて行ける程度で、まだ、理解が漠然としているので、引き続き繰り返して理解を深めたいと思った。

【楽天ブックス】「図解・ベイズ統計「超」入門 あいまいなデータから未来を予測する技術」

「オリエント急行の殺人」アガサ・クリスティー

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
世界各国からの乗客が集まるオリエント急行で殺人が起こり、偶然乗り合わせた名探偵ポアロは真実の解明を依頼される。

アガサ・クリスティーの作品を読むのは大学生の時以来20年ぶりである。本作品はそもそも物語の展開自体がすでに知ってないと話が通じない人というぐらいまで多くの場所で引用されているのを眼にする。これは読んでおかなければ、と思いようやく今回読むに至った。

1933年に書かれた作品ということで、やはり稚拙さや心情描写の浅さを感じなくはない。小さな驚きではあるが、1930年代にすでにアメリカやイスタンブールという国を超えた行き来がここまで一般的だったことに驚かされた。海外旅行はここ20年ぐらいで一般的になってきたものという認識なのだ、それはあくまでも飛行機による旅の話で、電車や船による移動、特に大陸間ではもっとずっと前から一般的だったのだろう。

感想としては、確かに予想外といった印象で、当時としては新鮮だっただろうと感じた。他にも「アクロイド殺し」も名作とよく聞くのでどこかのタイミングで読んでみたいと思った。

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「ユダヤ人大富豪の教え」本田健

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
1年間アメリカに滞在した著者はそこでユダヤ人の大富豪であるゲラー氏と出会う。その後の著者の人生に大きく影響を与えたゲラー氏の教えを描く。

さまざまな場所で本書の名前を耳にしながらも読んだことがなかったので今回手に取った。

ゲラー氏は著者に、世の中で生きる人を自由人と不自由人という2つの種類に分けて説明している。自由人になるためには、目の前にあることを好きになるべきで、好きであれば、どれだけ時間を費やしても楽しく、その楽しさは人に伝染すると語っている。

またお金の原則としてつぎの5つを語っている。

  • 1.たくさん稼ぐ
  • 2.賢く使う
  • 3.がっちり守る
  • 4.投資する
  • 5.分かち合う

好きなことに時間を費やすことの力や、投資の話に特に驚きはなかった。本書を読んで改めて思ったこととしては、僕自身人脈への意識が薄いということである。本書の「多くの人に気持ちよく助けてもらう」「人脈を使いこなす」に書かれていることは少しでも実践していきたいと思った。

偉い人には、あたかも彼がえらくないかのように接しなさい。そして、えらくない人には、あたかもその人が偉い人のように接しなさい。
もし自分でできたとしても、できるだけ多くの人を巻き込んで助けてもらうことだ。そしてその人たちに感謝して喜んでもらうことが君の成功のスピードを速めるのだよ。

人脈の大切さやお金の投資の重要性はそこら中で語られているので、本書で書かれていることは特に新鮮というわけではない。例えば「夢をかなえるゾウ」なども同じようなことを言っている。しかし、このような生きる上での大事なことは、繰り返し触れてなんども思い出し自分の人生の軌道修正をするのに必要であり、そういう意味では本書もまた有益なのだと感じた。

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「ベイズ推定入門」大関真之

オススメ度 ★★☆☆☆ 2/5
ベイズ推定について初心者にもわかりやすく説明している。

仕事で使用するABテストでベイズ推定の考え方が用いられていることを知り、よく聞くベイズ推定を深く知りたいと思ってその一歩目として本書にたどりついた。

かなり簡単に書かれているとは言え、簡単に書くために必要以上に省略していると思われる部分が多く、逆にわかりにくく感じた。また、本書は別冊の「機械学習入門」の続編と位置付けられているようで、あくまでも機械学習のためのベイズ推定という内容で、一般的なベイズ推定の範囲とは少し異なるようにも感じた。

とりあえず、本書で出会った最尤推定、最尤法などの詳細な方法、事前分布から事後確率分布の更新方法などはもう少ししっかりと理解したいと感じた。

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「21 Lessons」ユヴァル・ノア・ハラリ

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
21のテーマについて今後の展望や考え方、問題について語る。

正直テーマによって僕自身関心が強いものと弱いものがあり、それは著者についても同じで、考え方が深いと感じられるテーマもあるが、表面をなぞっただけで新鮮さも内容なことしか書いてないこともあり、テーマによって面白いとつまらないが大きく分かれるだろう。

個人的に面白かったのは「自由」と「移民」の章である。

自由の章ではアルゴリズムの発展によって世界がどのように変わっていくかを語っている。特に医療の発展が想像を超えていたので新鮮だった。確かに医療のAIが発展するなら、簡単なスキャンで現在の不調の原因や将来に不調が起こりそうな箇所を指摘して改善に努めることができ、しかもそれが世界中の医療ネットワークに共有されたなら、世界中どこにいても格安でコンビニやスタバに行くような感覚で自分の健康チェックと食べるものやすべき運動習慣を確認できるようになることだろう。

移民については、日本は現在あまり移民を受け入れておらず、「日本ももっと移民を受け入れるべきだ」と言うのは簡単だが、政策以前に「移民を受け入れる」という行為の中にもいくつか考えるべきポイントがあることに気づかされた。

著者は次の議論ポイントを挙げている。

  • 移民の受け入れは義務なのか恩恵なのか。
  • 移民した人はどの程度までその国の文化に同化すべきなのか。
  • 移民した人がその国の正規の国民とみなされるまでどれくらいの時間の経過が必要なのか。

答えのない問題を突きつけられた気がする。今度ぜひ移民の話になったらこんな疑問をぶつけてみたいと思った。

著者はユダヤ人とのことだが、ユダヤ教の選民思想やイスラエルでの体験についても語っている点が面白い。ひょっとしたら他の作品でもっと多く語っているのかもしれない。

新たな視点をもたらしてくれることは間違いないのだが、すべての章が安定して面白いわけではなく、ついていきにくいと感じる箇所もいくつかあり、全体的に疲れる読書だった。この著者の他の作品も有名なので読んでみたいとは思うが、きっと同じように疲れる本で、エネルギーがないときに読むのはちょっとつらいかもしれない。時間をおいてまた挑戦したいと思った。

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「自転しながら公転する」山本文緒

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
茨城で実家暮らしをしながらモールのアパレルスタッフとして働く三十代の与野都(よのみやこ)の悩みながら生きていく様子を描く。

一時期は都内で最先端のアパレルショップで店長として働いていたものの、家庭の都合から実家に戻って、地元のモールで働く都(みやこ)は、家庭に縛られて結婚も独立もできない日々を送っている。

そんななか、物語は、都(みやこ)がモールの中の回転寿司で働く貫一と出会うことで動き出す。このままよくある恋愛小説家の流れになるかと思いきや、勘一の中卒という経歴や収入の少なさに結婚へ踏み切れない都(みやこ)は思い悩むのである。

恋愛だけではなく現実も考えなければならない、現実に起こりがちなリアルな恋愛模様を描いているように感じた。希望に満ちていた20代が終わり、人生の可能性が狭まっていく30代を描いている点で、共感する部分があるのではないだろうか。また、一方で全体的に自分のやりたいことや人生で重要なものを自分自身でわかっていない都(みやこ)にイライラしながら読み進める人が多いのではないかとも感じた。

一般の恋愛小説なら登場人物の感情の表面を軽くなぞって終わるところを、一歩踏み込んで、人間の嫌な感情や葛藤まで見せてくれる点が、本書を他の恋愛小説よりも際立たせている点だろう。個人的には久しぶりに恋愛小説で楽しませてもらったという印象である。

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「瞬読」山中恵美子

オススメ度 ★★☆☆☆ 2/5
本を早く読む方法を語る。

僕自身本を一般の人よりは早く読む方ではあるが、最近この時間を少しでも内容の濃いものにしたいと考え、速読に関する本や、くだらない本を選ばないようにするなど試みている。そんななか本書に出会った。

悲しいことに、前半部分は本を読むことの大切さと、この本によってどれだけ本が早く読めるようなことを長々と書いており、なかなかその「瞬読」のないように入らない。よくある本の厚みを増やすためのページという印象であり、前半はまさに「瞬読」技術のない人でも「瞬読」すべきパートなのだろう。

本書のエッセンスは第2章の、わずか30ページほどに含まれていることが全てで次の3つに集約される。

  • 読むのではなく見る
  • 見たものをイメージに変換する
  • 手書きでアウトプットをする

本書の表紙に書いているように、「1冊3分で読めて99%忘れない」というのはかなり誇張な気がするが、記憶に止めるためには読むだけではなくアウトプットをすべきとい点や、一字一句すべてを読まなくても、(音読などしなくても)知っていることなら、何を言いたいかがわかる、という点もまさにその通りと感じた。

一般の人と比べて読む速度が遅いと感じている人にはヒントになるのかもしれない。僕自身もこのようなデジタルのアウトプットだけでなく手書きのアウトプットも考えるべきなのかもしれない。

【楽天ブックス】「瞬読」

「最高のランニングのための科学 ケガしない走り方、歩き方」マーク・ククゼラ

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
人生におけるランニングの重要性を説く著者が、長くランニングを続けるために必要なことを語る。

最近、改めて走るという行為を再確認しており、ランニング関連の書籍を読み漁るなか本書に出会った。

本書はマラソンのための本ではなく、ランニングのための本である。したがって、マラソンに役にたつことはあるが、マラソンのトレーニングに焦点を書いている本ではない。むしろ、人生において運動をすることの重要性を説いておりそのもっとも簡単な運動として、歩くこと、走ることを勧めているだけである。

なにより、昨今座ったまま仕事をすることが多くなったせいで、人間は体を動かすことが少なくなり、人間はかつてないほど老いていると主張する。言い換えるなら、平均寿命は伸びていても平均活動寿命は短くなっているのだというのである。そして、そんな平均活動時妙を伸ばすためにランニングを進めているのである。

長くランニングを続けるために、怪我の予防や回復など、さまざまな面で語っているが、なかでももっとも印象的だったのは食事についてだろう。砂糖が健康に良くない話はよく聞くはなしであるが、本書では炭水化物(精製炭水化物と呼んでいる)も糖尿病への発生につながるとして、炭水化物耐性、インスリン感受性の高い体づくりを推奨している。

本書を呼んで、長く健康な人生を楽しむためには食事を見直していかないとならないと感じた。若い時に大丈夫だったとはいえ、年齢を重ねるごとに大丈夫ではなくなっていくのである。

また、足本来の機能を活かして走ることを推奨しており、ベアフットラニンニングやミニマリストシューズに触れている。このあたりは「Born to Run」にも書かれていたことで、少しずつ考えてみたいと思った。

ランニングを中心として、運動や食事について新たな視点をもたらしてくれる一冊である

【楽天ブックス】「最高のランニングのための科学」

「1兆ドルコーチ」エリック・シュミット、ジョナサン・ローゼンバーグ、アラン・イーグル

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
スティーブ・ジョブズやラリーペイジなど、AppleやGoogleの創業者や幹部にコーチングをすることで大きな影響を与えたビル・キャンベルのコーチングについて語る。

GoogleやFacebook、アップルなどシリコンバレーの成功物語を読んだことがある人ならビル・キャンベルという名前を耳にしたことがあるのではないだろうか。しかし、名前は聞いたことがあるが何をやっている人かどうかはわからない、というのが正直なところだろう。

そもそもAppleやGoogleの創業者や幹部たちといえば一般的には天才と呼ばれる人達。そのような人たちにコーチングが必要なのだろうか。そしてどのような人間ならばそこまで多くの人から感謝されるコーチとなれるのか。

本書でビルの周囲の人の言葉から、その率直な物言いと情熱的な振る舞いが見えてくる。また、ビル自身自分がコーチングする人の選別をしっかり行っていたことや、自分自身のなかに人生の達成したいものの尺度があったことが見えてくる。

ビル、肩書きがあれば誰でもマネジャーになれるけど、リーダーをつくるのは部下よ
利口ぶるやつはコーチできない

ビルはコーチャブルな資質として次の4つが挙げられている

  • 正直さ
  • 謙虚さ
  • あきらめずに努力を厭わない姿勢
  • つねに学ぼうとする意欲

僕自身人の役に立ちたいという思いを持ちながらも、1人の人間が影響を与えられる人の数というのは、妻や家族など、せいぜい10人程度だと考えていた。そのため、本書でビルが数百人という人たちに影響を与えたことを知って驚かされ、もっとできることがあるのではないかと考えるきっかけになった。

何よりも本書で感じたのは率直さの重要性である。結局、人を傷つけることを恐れて、遠回しな物言いばかり繰り返しても深い人間関係は築けないし、人の人生に影響を与えることもできないのだと改めて感じた。

いきなりすべてを真似することはできないが、少なくとも同じ会社の人々の家族構成ぐらいは覚えていこうと思った。

【楽天ブックス】「1兆ドルコーチ」