オススメ度 ★★★★☆ 4/5
内省という素晴らしい行動を呪いに変えてしまうチャッターを、良い方向に導く方法について語る。
本書では「循環するネガティブな思考と感情」をチャッターと呼び、その特徴や制御するための方法を語っている。昨今、人間の幸せは、持っている物の量やお金の量よりもむしろその人のマインドセットに依存する、というのはよく聞く話である。しかし、ではどんなマインドセットを持てばいいのか、どのようにしてそのマインドセットを育てればいいのか、という点においてはなかなか明確な指針がない。本書はそんなニーズに応えた構成となっている。
基本的な解決策は、自分から距離を置いて状況を客観的に見ること、であり、その手法についてさまざまな説明や関連する話と合わせて説明している。
僕自身は比較的客観的に自分を見つめることが得意な人間だと自負しているが、本書によるとそれは必ずしもそれはいいことばかりでないらしい。特に嬉しい時などは自分を客観視している人間は、自分に埋没している人ほど素直に喜べないのだと言う。
ラファエル・ナダルが試合中に重視するさまざまな儀式の重要性など、関連する物語も面白かった。末尾にチャッターを制御するための26の方法が掲載されているので、チャッターに振り回されそうになった時のために覚えておきたい。
自分だけで実践できるツール
1.距離を置いた自己対話を活用しよう。
2.友人に助言していると想像しよう。
3.視野を広げよう。
4.経験を試練としてとらえ直そう。
5.チャッターによる身体反応を解釈し直そう。
6.経験を一般化しよう。
7.心のタイムトラベルをしよう。
8.視点を変えよう
9.思ったままを書いてみよう。
10.中立的第三者の視点を取り入れよう
11.お守りを握りしめる、あるいは迷信を信じよう。
12.儀式を行なおう。
チャッターに関する支援を与えるためのツール
1.感情・認知面のニーズに応えよう。
2.目に見えない形で支援しよう。
3.子供にはスーパーヒーローになりきってみようと言おう。
4.愛を込めて(敬意も忘れずに)触れよう。
5.他の誰かのプラセボになろう。
チャッターに関する支援を受けるためのツール
1.顧問団をつくろう。
2.体の触れ合いを自分から求めよう。
3.愛する人の写真を眺めよう。
4.儀式を誰かと一緒に行おう。
5.ソーシャルメディアの受動的使用を最小限にしよう。
6.ソーシャルメディアを利用して支援を得よう。
環境に関わるツール
1.環境に秩序を作り出そう。
2.緑地をもっと活用しよう。
3.畏怖を誘う経験を求めよう。
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