オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
本作は6つの物語から構成されている。どの物語もF県警捜査第一課のに所属している警察職員を中心に繰り広げられるため、視点はそれぞれの物語で異なるものの、登場人物は同じである。
物語ごとに視点を変える手法は、同じ著者の作品「半落ち」を思い出させる。その手法によって登場人物の内面、外面がしっかり描写されているように感じる。その中でも特に個性が際立つのは強行犯捜査係の3人の班長達である。一班の朽木(くちき)、決して笑顔を見せない男。二班の楠見(くすみ)、冷血で女性を執拗までに憎む男。三判の村瀬(むらせ)、事件を直観力で見抜く男。
さすがに警察小説を描かせたら横山秀夫は上手い。新聞記者への対応、班同士の競争意識、被疑者との駆け引き、そして警察職員の正義感などでが見事に描かれている。個人的には被疑者との駆け引きで自白に追い込む場面が好きである。6つの物語のなかでもタイトルにもなっている「第三の時効」が特に気に入っている。
この作品の登場人物達のような頭のキレる人間が実在するのなら、実際に会ってその刺激を肌で感じてみたいものだ。
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