オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
後半はアプリにあまり関係ないような心理的な話も多かったが、それをどう応用するかはデザイナー次第なのだろう。
クリック数はあまり重要ではないということは本書で初めて知った。これからのUIデザインにおいては、「ユーザーを悩ませないこと」こそ優先し、むしろ選択肢を減らして決断しやすくして、選択の回数を増やす(つまりクリック数を増やす)という方向へ進むのが正しいと思った。
「データより物語」とか「目標に近づくほどやる気が出る」とか、いろんな書籍で触れられているような内容や、以前に聞いたことがあるような内容ばかりではあったし、必ずしもインターフェースデザインに関係がなく、むしろ心理学に近いような内容も多く含まれていたが、新鮮でなくても同じ考えに繰り返し注意を向けるという意味では、本書は悪くないと感じた。
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カテゴリー: 趣味/関心事
「The Girl in the Spider’s Web」David Lagercrantz

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
「ドラゴンタトゥーの女」という印象的なタイトルで、映画にもなったこのミレニアム3部作は、「面白い本」と聞かれたら必ずタイトルである。不幸にも著者のスティーグ・ラーションが亡くなったことで、続編を諦めていたのだが、本書によって別の著者による4作目がつくられたのである。
正直、著者が変わったことで本書は懐疑的に見ていた。実際序盤は描写がややしつこく、シリーズ三部作までに感じられたテンポの良さが失われてしまった印象を受けたが、中盤から物語が大きく動き出すとそんなことも気にならなくなり十分に楽しむ事ができた。
物語は、人工知能の第一人者であるBalderが殺害されることから始まる。しかし、幸か不幸かBalderの自閉症の息子Augustがその現場を目撃していたのである。それに気付いた犯人だが、その不自然な行動から自閉症と判断し、自閉症の子供であればわざわざ目撃者として殺す必要はないとその場を去る。実はAugustは自閉症でもサヴァン症候群という見た物を強烈に記憶し、写真のような絵を描く事のできる能力を持っていたのである。それを知ってAugustを殺そうとする犯罪集団とAugustを守ろうとするBlomkvistやSalanderを描く。
得意のハッキングで誰よりも早くAugustの危険を察知して救出するSalanderは、これまでの4作品のなかではもっともSalanderが優しくかっこいい人間として描かれている気がする。それはAugustという少年と行動することになったこの物語のせいなのか、著者が変わったせいなのかはわからないが、Salanderに対する見方が変わるかもしれない。
また、Augustの救出劇だけでなく、雑誌社ミレニアムの社員達も重要な活躍をする。特に若い優秀なAndrei Zanderは重要な役割を担う鵜。若く優秀でジャーナリズムを愛するAndrei Zanderの好きな映画、好きな小説が本書で触れられていたので挙げておく。
そして、やがて現れるSalanderの双子の姉妹Camilla Salanderの影。里親の証言からCamillaの歪んだ考え方が明らかになって行く。
今後も続編があることを感じさせる終わり方で、次回作品が楽しみである。
「組織戦略の考え方 企業経営の健全性のために」沼上幹
オススメ度 ★★★★☆ 4/5
組織というのは大きくなるに従って昨日しなくなって行く。無駄なミーティングに費やす時間が多くなり、忙殺される人がいる一方で、暇な人もいる。本書は組織が陥りがちなこととその改善方法や予防を著者の経験から説明する。
「組織戦略」という言葉からは、むしろ企業などの組織を競合とどのように渡り合って行くか、を描いたような印象を受けたが、本書で描かれているのは、むしろ組織内部が機能するための方法である。
まずは組織を単純なヒエラルキーと捕らえる事から説明する。組織とは、業務をプログラム化し、そのプログラムで対応できない状況のみを管理者・経営者が判断するという形を基本としているのだ。この状況が機能しなくなるのは、例外処理が増えすぎて管理者・経営者が忙殺されてしまうことから起こるのだそうだ。本書はこんな状況に対して5つの解決策を挙げて説明している。
中盤では、事業部制、職能性、マトリクス組織という3つの代表的な組織構造についてメリットとデメリットを説明している。
また、マズローの欲求階層説を挙げて、日本の多くの企業が「自己実現欲求」を過信していると語る。
本書の多くは僕自身が過去企業に属していて感じた事を再確認させてくれた。今後組織作りに携わる事が会ったら繰り返し読み直したいと思えるほど内容の濃さを感じた。
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「何を話せばいいのかわからない人のための雑談のルール」松橋良紀
オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
雑談が苦手な人というのは意外にも多いようで、本書はそんな人のために雑談を巧くこなすための方法を語っている。
僕自身もどちらかというと合理的な生き方をしている人間なので、「会話は「情報交換」」という意識が強い。そのせいか、共通の趣味を持っている人には聞きたい事が山ほど溢れてくるのだが、初対面の相手には「あまりプライバシーに踏み込んでは失礼」という思いも手伝って、すぐに話す事が尽きる。そんな僕みたいな人間にとって、本書は耳の痛くなるような内容のオンパレードである。
後半は、よく言われるオープンクエスチョンや、話し相手を4つのタイプ(視覚タイプ、聴覚タイプ、体感覚タイプ、理論タイプ)に分類して会話を組み立てる方法など、実践してみたいと思う内容がいくつか含まれていた。話を掘り下げるチャンクダウンや漠然とした方向へ展開するチャンクアップなども、意識して会話に臨んでみると面白いかもしれない。
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「蘇る教室」菊池省三/吉崎エイジーニョ
オススメ度 ★★★★☆ 4/5
「学級方向立て直し請負人」という異名を持つ菊池省三の教育方針を、元生徒である著者が描く。
学級崩壊はなぜ起きるのか。序盤は現状の教育の現場と、菊池が立ち直らせた生徒達、立て直したクラスについてのエピソードとその方法について描いている。
まず印象的なのは本書のなかで「ほめ言葉のシャワー」と呼ばれる取り組みである。「ほめ言葉のシャワー」とは毎日帰りのホームルームで、その日の日直がみんなの前に立ち、生徒がそれぞれその人のいいところを褒めるのだ。いい行動を褒められる事で、引っ込み思案な生徒も、自分の存在価値を認識するのである。そして、普段素行の悪い生徒も、自分にもいいことができるということを学ぶのだそうだ。
その描写を見て思ったのは、両親に褒められることのない生徒というのが決して少なくないという点だろう。「ほめ言葉のシャワー」という取り組みによって変われる生徒がたくさんいるのは、その裏返しなのだ。
僕自身が比較的いい育てられ方をしたために、そのような状況で育てられる環境というのが想像しにくいのだが、教育というものを突き詰めるためには、多くの子供達がどのような環境で育てられているかを理解するのは大切だと思った。
菊池が生徒たちに教えようとするものの多くは、一生通じるような考え方ばかりである。
本書は教育に関する内容について書かれているが、大人になって誰もが一人前と認めて、自分を叱ってくれないと思う人は、菊池が生徒達に教えようとしていることに感じるものがあるだろう。
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「42.195kmの科学 マラソン「つま先着地」vs「かかと着地」」NHKスペシャル取材班

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
年々高速化が進むマラソンについて語る。本書では特にエチオピアのゲブレシラシエ、ケニアのパトリック・マカウを取り上げている。日本人と比較した際のこの2人のマラソン体質(乳酸の量や赤血球の形)も興味深いが、後半に触れいている2人の走り方の違いも興味深い。
また、タイトルにもなっているように、本書では、「つま先で着地」するマカウとゲブレシラシエの走り方が、日本人に多い「かかと着地」よりも有効であると説明する。しかし、それではなぜ日本人ランナーも「つま先着地」をしないのか。実は「つま先着地」の走り方を身につけるためには、幼い頃から「つま先着地」を繰り返し、それに必要な筋肉やアキレス腱を身につける必要があるのだそうだ。
また、なぜアフリカの選手がマラソンで強いのか、彼らの生活を説明する事で、その勝利に対するハングリー精神を示してくれる。また、マラソンで成功して裕福になった例だけでなく、裕福になったが故に酒に溺れて堕落した例もあり、自らを律することがどれほど重要なことかを改めて感じるだろう。
本書では、近いうちに20年以内に2時間を切るという予想についても触れている。正直、趣味でマラソンをする人に役立つような内容ではなかったが、繰り返し繰り返しトレーニングすることで伸ばす事のできる、人間の無限の可能性を感じられるのではないだろうか。
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「イーロン・マスク 未来を創る男」アシュリー・バンス
オススメ度 ★★★★☆ 4/5
アメリカの起業家であり、スペースXのCEOであるイーロン・マスクについて語る。
スティーブ・ジョブスの次に世界を変えるのはこの男、と言われるイーロン・マスク。正直、最近になって初めてイーロン・マスクという名前を知って興味を持ったのだが、本書はそんな興味をさらに大きくしてくれる。
彼のやってきたことのなかで最も印象的なのはスペースXの取り組みだろう。彼は、人類が宇宙を旅する事を本気で実現しようとしているのだ。宇宙に行く事は可能だとしても、それが一般の人間が楽しむレベルになることはないし、そもそもそこまで宇宙に行くことに魅力もメリットもない、と多くの人は考え、だからこそ、世の中の企業は宇宙という分野に注力する事はなかったのだろう。しかし、マスクはそんな常識を覆し、古い権力や考え方に振り回されないようにロケットに必要なすべてをスペースXで作ることを実現して行くのだ。
AppleのiPhoneなどのかつてのイノベーションは、今ある物を改善したり、今はある物の隙間に新たなチャンスを見い出すようなものだったが、スペースXの取り組みは、これまでのイノベーションとはまったく違った印象を与えてくれる。それは誰も目を向けていなかった先へ人類を導く取り組みなのだ。
また、マスクはスペースXだけでなくテスラという企業で今までにない車を作る事にも取り組む。こちらについても本書を読むまで知らなかったが、多くの失敗を経て完成したテスラのモデルSにとても興味をかき立てられてしまった。
マスクのように、何事に対しても情熱的に生きてみたいと思わせてくれる。
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「ラファエル・ナダル自伝」ラファエル・ナダル/ジョン・カーリン
オススメ度 ★★★★☆ 4/5
プロテニス選手のラファエル・ナダルがその人生を綴る。
ナダルと言えば、僕の中ではフェデラーに次ぐ存在で、どちらかというと華麗さや美しさよりも、力強さや泥臭さを印象として持っていた。その印象は本書を読んでも大きく変わることはなく、むしろ意外だったのは、控えめなその性格である。5歳年下の妹マリベルとは頻繁に連絡を取り合い、両親の住むマヨルカ意外では落ち着いて過ごす事もできないのだという。
2008年のウィンブルドンのフェデラー対ナダルの決勝はもはや伝説であるが、本人にとってもそうだったようで、本書では大部分をその試合の重要な場面とそれに関連する出来事を描くことによって占められている。ナダルが語るその試合の様子からは、世界のトップの選手がどれだけ多くのことを考えているかが窺い知れる。1つの試合のなかでも、重要な場面、諦めるべき場面、ひたすら我慢して好機を待つ場面、など、僕らが思っている以上に多くのことを考えながらプレーしているのだ。
また、本書からは、ナダルの成功は家族や周囲の人間達に支えられたものだとわかる。プロサッカー選手を叔父に持つナダルや家族は、トップ選手がどんな生活を送るかを前もって知っていたのである。また、叔父のトニーはナダルのコーチとして、自ら考えて行動する事とつらい練習や試合の厳しい状況に耐える忍耐力を植え付けた。時に理不尽と思えるトニーの言動がナダルの成功の大きな要因となっていることは間違いないだろう。
周囲の人間が、うぬぼれを恥ずかしいこととして行動する様子も印象的である。ナダルの母も、ナダルのガールフレンドもナダルの成功によって華やかな舞台に出たりは決してしないのである。
スポーツに限らず、自分が日々取り組んでいる事に対して、さらに深く考えようと思わせる一冊。
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「野球ノートに書いた甲子園」高校野球ドットコム編集部
オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
高校野球に打ち込んだ高校生のなかに野球ノートというものがある。単純に自分のことやプレーを綴るだけのものだったり、チームについて綴って監督とコメントを交換するものだったりと様々である。本書はそんな野球ノートを扱っている。
驚いたのは、強豪チームの選手達がつけていた野球ノートの内容である。強いチームの中心選手なのだから、ある程度野球について深く考えているのは当たり前なのかもしれないが、チームへの貢献のための目線や、家族や周囲の人々への感謝の気持ちなど、20歳になる前に彼らがこの精神状態に達していたということに驚かされ、また同時に、この経験は彼らのその後の人生に大きく役立つだろうと思った。
書くという行為の意味をもう一度見直したくなる一冊。
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「頂点への道」錦織圭
オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
2015年世界ランキングを自己最高の4位まであげたプロテニスプレイヤーの錦織圭。彼が綴るブログを中心にその成長の経緯を描く。
基本的には錦織が普段綴っているブログと、その当時の戦績と、記者のコメントを並べているだけなので、読者はそれを読んで何かを感じるしかない。ラケット競技であるスカッシュを10年以上続けている僕にとっては、同じ相手と繰り返し戦い、その度に勝つために相手の弱点を分析して戦い方を変えていくという錦織のいるステージがとても羨ましくかんじた。また、そこまで突き詰めてスカッシュをやってこなかったことに考えが至り、1つの競技というものへの自分の取り組み方を改めて考えさせられた。
ブログの投稿はどれも錦織の生の声で、テニスの技術が優れている事をのぞけばどこにでもいる一人の青年だということが窺い知れる。特に何度も携帯をなくしたり、水没させたりする点にはとても親しみがわく。
錦織の今後の戦いに注目したい。
【楽天ブックス】「頂点への道」
「幸せの条件」誉田哲也
オススメ度 ★★★★☆ 4/5
24歳の梢恵(こずえ)は惰性でつとめていた会社から長野に行ってバイオエタノール用の米を作ってくれる農家を探すように命じられた。
渋々行った長野で梢恵(こずえ)はいくつかの農家を訪問した後、その地域の農業の発展に努める「あぐもぐ」という会社を経営する温かい家庭に迎えらる。会社のために農業を学ぶ、という目的で農家の仕事を手伝い始めた梢恵(こずえ)は、そこで農業と農業とともに生活することに魅力を感じていくのである。
単純な話ではあるが、最先端の農業について物語を通じで学べる点が面白い。若い人間は、農業と聞くと、効率の悪い地味な作業のような印象を持っているかもしれないが、本書で描いている最先端の農業は、非常に合理的な物である。物語中で、農業に関連する言葉に対して、質問する梢恵(こずえ)に、社長である茂樹(しげき)が丁寧に答えていく。どれも興味深い話ばかりで、農業という領域に読者の興味を向けてくれるだろう。特に食糧自給率の話は印象に残った。世の中は作為的な数字にだまされているのかもしれない。
また、物語は東北大震災と時期が重なっており、福島の原発の引き起こした出来事がどれほど農家に深刻な影響を与えたかが伝わってくる。
物語の面白さだけでなく、新たな分野に視野を広げてくれたという点でも評価できる一冊。
【楽天ブックス】「幸せの条件」
「統計学入門」盛山和夫
オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
統計学の基本的な部分を説明している。
学生時代に習った期待値や最小二乗法などの意味がより深く理解できた気がする。また、検定という考えについてもようやく少し分かってきた。しかし、やはり鉛筆と紙を用いて書かれている内容を繰り返し使用してみないと本当の理解には到達しないというのが身にしみてわかった気がする。読書時間ではなく勉強時間を別に設ける必要があるのだろう。
【楽天ブックス】「統計学入門」
「「学力」の経済学」中室牧子
オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
日本の教育のあるべき姿について、データを元に説明していく。
例えば、「本を与えれば成績がよくなる」とか「ゲームをさせると成績が下がる」とか、世の中でよく言われることを科学的に説明しようと試みていく。その過程で、日本の教育がどれほど証拠もなしに、先入観によって構築されているかに気付かされるだろう。
また、著者はそれ以外にも教育システムの向上のために多くの内容に触れているが、なかでも印象的だったのは計る事のできない「非認知能力」つまり「やりぬく力」の重要性である。教育に関心のある多くの人が中学や高校での教育の重要だと思う一方で、本当に人生を変えるほど重要なのは、小学校に入るまでに培われた自らを律する「やりぬく力」だというのである。「自制心」とも呼ばれるこの力は、若い頃のしつけや部活などの活動を通じで培われていくものだそうだ。
目の前の定期試験で数点を上げるために、部活や生徒会、社会貢献活動をやめさせたりすることには身長であるべきかもしれません。学力をわずかに上げるために、長い目でみて子どもたちを助けてくれるであろう「非認知能力」を培う貴重な機会を奪ってしまうことになりかねないからです。
また、後半で著者が語っている、教員免許の弊害についての考え方も新鮮で面白かった。教育に対して新たな考え方をもたらしてくれる一冊である。
【楽天ブックス】「「学力」の経済学」
「JavaScript:The Good Parts」ダグラス・クロフォード
オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
ここ数年で一気に需要が高まっているJavaScript。しかしそれは多くのプログラマーを悩ませる仕様が詰まっている。JavaScriptの性質を知り尽くした著者が、JavaScriptで「良いパーツ」を作るための方法をまとめている。
若干僕のJavaScriptの知識レベルには早すぎたという印象もあり、理解できない箇所も多々あったが、いいJavaScriptを書くためにやったほうがいいことと、やらないほうがいいことはいくつか知る事ができたし、なによりも本書によって癖のあるJavaScriptという言語に魅力を感じてしまった。
おそらく本書によってJavaScriptという言語の不完全さを知って嫌いになる人もいるだろうが、僕のように逆にその深さに魅了されてしまう人もいるだろう。本書には、もう少し知識を貯えてきてからまた戻ってきたいと思った。
【楽天ブックス】「JavaScript:The Good Parts」
「UI is Communication: How to Design Intuitive, User Centered Interfaces by Focusing on Effective Communication」Everett N McKay
オススメ度 ★★★★☆ 4/5
UIについて語る。
タイトルも示しているように、本書がひたすら繰り返すのは、UIはコミュニケーションである、ということである。例えば、新宿駅で本屋の場所をたずねたときに、ニューヨークの本屋を紹介するというのは普通のコミュニケーションであればありえないことだが、世の中の多くのサイトはそのようなことを平然と行っているのだ。
同様に同じ事を繰り返したずねるのも普通のコミュニケーションであれば失礼で、相手を深井に感じさせることである。しかし、僕らは何度もメールアドレスを入力する事があるし、同じエラーメッセージが何度も表示される事がある。また、興味深いのは言葉の使い方である。「You failed….」(あなたは失敗した)のようにユーザーを避難する言葉ではなく「Something went wrong.」(異常が発生しました)のようにシステム側に問題があることを示唆する言葉を使うべきだというのである。
なぜこのようなことが起きるかというと、UIデザインは未だにシステム目線で行われているからなのだ。それを表すのに次のような印象的な言い方をしている。
上記のような内容を、徹底的に実際のサイトやアプリを例にとって解説してくれる。本書は世の中のすべての物の見方を変えてくれるだろう。UIデザインに関わる人は必読の一冊。
「新しいアナリティクスの教科書」
オススメ度 ★★★★☆ 4/5
Webにおけるデータ分析の考え方を語る。
企業のデータ分析に対する取り組みを本書は4つのステージに分けている。
技術の進歩によってデータ分析に力を入れる企業は増えてきたとはいえ、まだまだ幼年期や少年期どころかそれ以前の企業も多いことだろう。本書は、そんなこれからデータ分析に取りかかろうとしている企業だけではなく、すでにデータを集めてはいるが、それをどのように活用したらいいかわからない、といった少年期や青年期の企業にとっても役に立ちそうな考え方が詰まっている。
個人的に印象的だったのが、すべてのページをトラフィックと指標(滞在時間や遷移率)という2つの指標からマトリックス化して、次のように対応する考えである。
ト
・ラフィック少なく、指標も低い
…簡単には改善の効果が見込めないので放置する。
またABテストについても軽く触れられていて、これから取り組んでみたいことについて全体の概要をつかむのに非常に役に立った。
【楽天ブックス】「新しいアナリティクスの教科書」
「スマートフォンのためのUIデザイン」池田拓司
オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
2013年に発行された本という事でiOS7のフラットデザインの流れは反映されてはいないがiOSアプリとAndroidアプリの基本的な違いや、アプリの様々な名称や呼び方の違いなどが網羅されている。特に新しい知識を与えてくれるわけではないが、UIについていくつかの気付きを与えてくれる。
本書だけでUIの十分な知識を得るということはないが、助けにはなるだろう。
【楽天ブックス】「スマートフォンのためのUIデザイン」
「統計学が最強の学問である」西内啓
オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
現代の統計学の重要性を説く。
実際には19世紀の中程にはその重要性を認識されていたにも関わらず、それを実現するためのツールが整ったのは最近である。コンピューターやインターネットが発展したことによって、多くのデータの収集や分析が個人レベルでも可能になった今、統計学はもっとも先見性のある分野と言えるだろう。
一般的な数学教育を受けた人ならば、序盤の平均や中央値を利用してデータを解説する部分には特に新しさを感じないだろう。基本的な統計に関する考え方から入っているが、むしろ本書の興味深い点は、統計学をどうやって実際の方針の決定に使用するか、という統計学の応用のためのヒントが書かれている点だろう。
著者は言う。取得したデータの結果によって何をするかを決めないと、取得するべきデータの粒度が決まらないのだと。どんなデータもサンプル数を多くする事によって精度をあげることはできるが、その先の行動を決めなければ、どれほど高い精度のデータが必要なのかを決めることができずに、無駄に情報集めや分析の時間を消費する事になるのである。現在多くの企業がそうやって無駄にデータ分析にコストをかけているのだという。
本書で述べられているように、データ分析を行動を決めるための指針と考えると、「標準誤差」という考え方の重要性がわかってくる。残念ながら、本書に書かれているその計算式だけではその背後にある考え方を理解できなかったが、その重要性は十分に伝わってくる。
後半はかなり素人の僕には難しくなってしまったし、実際には紙と鉛筆で実際に計算しながらでないと理解できない物なのだろう。本書中で出てきた「回帰分析」「t検定」「標準誤差」などの新しい言葉はしっかり理解したいと思った。
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「Drive: The Surprising Truth About What Motivates Us」Daniel H. Pink
オススメ度 ★★★★☆ 4/5
あらゆる組織において重要な、社員のモチベーションをあげるための方法を書いている。
人間は初期には食欲や性欲によって行動をしていた。そして1900年代は罰と報酬によって行動していた。そして、世の中の仕事の単純作業の多くはコンピューターによって行われるようになった今、人々は今までにないほど創造性を求められるようになったのである。本書ではこれまでの報酬によるモチベーションを「モチベーション2.0」と呼び、好奇心による内なるモチベーションを「モチベーション3.0」と読んでいる。
著者は最初に、一つの実験の結果を見せてくれる。2つのグループがあるパズルを解くための時間を計測する実験である。報酬を約束されたグループは報酬をもらわなかったグループよりも早くパズルを解決するが、次の実験として、2つのグループともに報酬をもらえないということになると、前の実験で報酬をもらったグループのほうが、最初から最後まで報讐をもらえなかったグループよりも作業が遅くなる、という面白い結果である。つまり、報讐は短期的には効果があるが、長期的に見ると作業者のモチベーションを落としているのである。
また、報酬を目ざす作業者はショートカットを求める方向に向かうため、創造性を発揮する事が少なくなるという。だからこそ、より創造性が求められる現代において、「モチベーション3.0」を生み出せるかどうかが企業の生き残りの鍵となるだろう。本書ではいくつかの例をあげて、「モチベーション3.0」を育むための人への接し方や声の掛け方、褒め方を説明している。
しかし、著者は報酬を与えるということをすべて否定しているわけではない。創造性を必要としない単純作業の場合にはむしろ報酬は効果的に機能するというのである。報酬が役に立ちそうな状況についても説明しているので非常にわかりやすい。
会社に限らず、チームやコミュニティなど、組織を構成する多くの人に取って、効果的に機能を果たす組織をつくるために役に立ちそうな内容が詰まっている。会社の人間にもぜひ読んで欲しいと思った。
「自覚 隠蔽捜査5.5」今野敏
オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
しがらみや上下の階級意識の強い警察組織において、合理的に物事を解決しようとする大森署署長の竜崎伸也(りゅうざきしんや)の物語。
「隠蔽捜査5.5」という副題が小数点をつけているのは、本書が短編集という意味である。同じ警察組織の中の、竜崎(りゅうざき)の周辺の人々が、日々起きる事件や問題を対処していく様子を描く。一歩判断を間違えれば大きな問題になりかねない状況を、竜崎(りゅうざき)が解決していく様子が爽快である。
本書ではシリーズ全体を通じてたびたび登場する戸高(とだか)の活躍もいくつか見られる。彼は優れた捜査官でありながらその勤務態度ゆえに問題視されているのであるが、仲間からの信頼は厚い。竜崎(りゅうざき)と戸高(とだか)の不思議な信頼関係は本シリーズの魅力の一つでもある。
このシリーズを読むといつも思う事であるが、自分自身も人間として竜崎(りゅうざき)のように、常に冷静で、平等かつ合理的に行動したいと思わせてくれる。
【楽天ブックス】「自覚 隠蔽捜査5.5」