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ページをめくる手が止まらない、寝る時間さえ惜しくなる最高のエンターテイメント

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思いっきり泣きたい人向け

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悲しいとかハラハラするとか怖いとか必要なく、ただただほんわかして、暖かい気持ちを感じたい人におすすめの本

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世界の大きな流れを知りたい人向け

深い物語

いろいろ考えさせられる、深い物語

生き方を考える

人生の密度を上げたい方が読むべき本

学習・進歩

常に向上していたい人が読むべき本

組織を導く人向け

日本の経済力を強くするために、組織づくりに関わる経営者などにおすすめしたい本

デザイン

ただ美しいものを作れるだけじゃなく、一歩上のデザイナーになりたいデザイナーが読むべき本

英語読書初心者向け

英語は簡単だけど面白い、そんな面白さと英語の易しさのバランスの良いものを厳選

英語でしか読めないおすすめ

英語で読む以上、英語でしか読めない本を読みたい。現在和訳版がない本のなかでぜひ読んでほしい本。

「How to Win Friends and Influence People」Dale Carnegie

オススメ度 ★★★★☆ 4/5

人にどのように好意的な印象を与え、自分の求めている人間関係を作り出すのか、そんな方法について書いている。 なんといっても驚くのは、本書の初版が1937年に書かれているということ。その後の改定では、書かれている例などを時代の変化に合うように、また新たな年代の人にもわかりやすいように書き換えただけと言うこと。つまり、人間の本質は時代を経てもほとんど変化がないということである。しかし、人に怒りをぶつけたり嫉妬に狂って物事をまっすぐ考えられない人はいつの世の中にもたくさん存在するのである。

基本的にどのように人に好印象を与えるか、どのように自分の意見を相手が受け入れやすい形で伝えるか、という点が多く書かれている。 昨今コーチングなどの書籍も多く、ただ叱るだけでは何も解決しないことを認識している人も多いだろう。そんなわけで本書に書かれているすべてが新鮮だというわけではなかったが、ぜひ今後実践したいと思ったのが次の項目である。

Techniques in Handling people 人をうまく扱うには
3.Arouse in the other person an eager want. 相手の中に欲求を起こせ

Make People Like You 人に自分を好きにさせるには
2.Smaile 笑顔でいなさい。
6.Make the other person feel important and do it sincerely. 相手に自分が大事にされていると思わせ、それを誠実に行いなさい。

Win People to Your Way of Thinking 人に自分の考え方を伝えるには
5.Get the other person saying “yes, yes” immediately. まずは相手にはいと言わせなさい。
7.Let the other person feel that the idea is his or hers. 相手にそのアイデアは彼のものだと思わせなさい。
10.Appeal to the nobler motives. さらに崇高な目的のためだと主張しなさい。

Be a Leader リーダーになるためには
4.Ask questions instead of giving direct orders. 直接の命令をするのではなく、問いをなげかけなさい。

すべての考え方が新鮮だったわけではなかったが、本書には多数の歴史的事実が例として含まれており、それらはどれも面白く好奇心を刺激してくれた。こうして事実を話として聞くと、単にフレーズを聞くよりもはるかに記憶に残る。その点でも本書は評価が高いのだと感じた。時々読み返したいと思える一冊である。

「The Cruellest Month」Louise Penny

オススメ度 ★★★★☆ 4/5

カナダの長閑な田舎町Three Pinesで、町の知り合いの間で開かれた交霊会の最中に女性が亡くなった。Armand GamacheはBeauvoirとNicholなどとともに真相の究明に乗り出すのである。

三作目であるが、前二作と同様にThree Pinesで起こった事件を扱う。今回亡くなったのはMadeleineという町中の人から好かれていた女性で、誰からも好かれる女性だったからこそその殺人の動機が事件解決のカギとなる。そして、今回もThree Pinesの人々の魅力は健在である。詩人のRuth Zardoは見つけた卵から鳥の雛を孵化させる。画家のClaraは夫のPeterの助けを借りて、自らの作品作りに悩む。そんななか、本を愛する黒人女性Myrnaの人間関係をするどく指摘した言葉が深く印象的である。

Attachment masquerades as Love, Pity as Compassion and Indifferences ad Equanimity.
依存は愛を装い、憐れみは思いやりを装い、無関心は冷静さを装う。

また、事件解決と並行して、前二作品でGamacheの過去の大きな出来事としてほのめかされてきた、Gamacheが警察内部の不正を明らかにしたArnot事件の全貌が、Beauvoirの口から語られることで明らかになっていく。

今まで名前としてしか存在してなかった登場人物のGamacheと一緒に働く理由や、Gamacheの過去を不安に思っている様子が描かれ、個性を際立たせてくる回である。せっかく個性が立ってきた登場人物を忘れないうちに続編を楽しみたい。

「BORN TO RUN 走るために生まれた ウルトラランナー vs 人類最強の“走る民族”」クリストファー・マクドゥーガル

★★★★☆ 4/5
怪我に悩まされてきた著者が、メキシコの奥地に住む走る民族タラウマラ族を探しの旅に出たことをきっかけに、改めて走ることに魅了され歴史的なレースに巻き込まれていく様子を描く。

タラウマラ族という走ることを得意としながらも人前に出ることを嫌った民族の話。人間は走ることに向いているのかそれとも向いていないのか、ランニングシューズは人間の走る能力を向上させているのかそれともダメにしているのか、など、走ることに関連した様々なテーマを取り上げて説明していく。

そして同時に著者は、カバーヨ・ブランコという名の男に出会ったことで、若くて勢いに乗っている女性ランナーや、過去の伝説的なランナーなど、様々なランナーたちと出会い、やがて一つの歴史的なレースへと巻き込まれていくのである。

序盤は話が行ったり来たりして最初は本書の焦点がどこにあるのかわかりにくく、翻訳せいもあってお世辞にも読みやすくはない。しかし、流れがつかめてくると、本書が伝えようとしている、人間の進化と走ることの深い関わり合いや、走ることの魅力に魅了されるだろう。本書を読み終えたらきっとみんな広い大地を思いっきり走りたくなるに違いない。

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「短くても伝わる文章のコツ」ひきたよしあき

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
博報堂スピーチライターの著者がわかりやすい文章を書く秘訣を語る。

印象的だったのは文章のエッセンスを読み取る力を養う

1ページ1ライン法

というもので、そもそも文章の中にそれほど多く重要な要素はなく、1ページに1箇所ていどなのだというのである。また、わかりやすい文章を書くためのコツとして挙げているのが

「接続詞」をうまく使うコツは「“が”禁止」と「定型文」

というものである。著者は接続詞を文章の方向指示器としてその重要性を強調しており、「が」という曖昧な接続詞は極力避け、「でも」「だから」「それゆえ」などの接続詞を使用することで、前後の関係を明確になるのだという。

中盤からは敬語や習慣の話に焦点が移っていく。敬語の話はすでに文章のコツではないと思うが、興味深かったのはら抜き言葉の判断のしかたの考え方である。

命令形にしたときに「ろ」で終わる言葉は、「見られる」となります。つまり「ら抜き言葉」にしてはいけません。

前半はともかく、中盤以降は著者の習慣やこだわりなど、ただページを増やすだけを目的に語っているだけの印象を受けが、前半に出てきたいくつかの考え方は早速取り入れたいと思った。

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「The Girl Who Lives Twice」David Lagercrantz

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
Salanderは妹Camillaとの対立を激化させていく。一方でBlomkvistは自分の電話番号を持ったまま亡くなった、不可解のホームレスの死の謎に惹かれていく。

ミレニアムの第6弾である。最初の3作品の面白さゆえに著者が変わっても続編ということで読み続けている。

BlomkvistはSalanderの力を借りて、亡くなったホームレスは特別な遺伝子を持ったネパール生まれのシェルパであることを突き止める。彼はなぜスウェーデンの地に現れたのか。そして、彼が死の間際に口にしていた言葉の意味とはなんなのか。やがて、Blomkvistはやがて世間を騒がせたエベレストの事件にたどり着くのである。

一方でSalanderは妹Camillaの動向を常に観察し、Camillaもまた、Salanderを見つけるために躍起になり、まさに殺すか殺されるかという状況に陥っていく。

エベレスト登山の過酷さを扱った物語は、実際に起こった第遭難事故を暑かった映画「エベレスト」や「淳子のてっぺん」などでこれまでにそのいくつかに触れているため知識としては知っていたが、本作品はそこに改めてシェルパとしての立場からの視点をもたらしてくれた。

ただ、それ以外には特に新鮮さや際立った驚きはなく、特に、SalanderとCamillaの追跡劇は、ようやく向かい合った因縁の対決にしては、古いアクション映画のような展開の薄っぺらさや稚拙さを感じてしまった。

このシリーズは最初の著者Stieg Larssonからに引き継がれて3作品目になるが、全体的にも、展開が安っぽくなったという印象は否めない。むしろ人の作り出した世界観に習ってここまで3作品書いてきた著者David Lagercrantzを評価すべきなのだろう。Stieg Larssonの作り出した世界観を壊してはならない一方で、作家として生きる以上自分の個性を出していきたい、など、いろんな葛藤があったに違いないが、そろそろ潮時なのかもしれない。

「GACKTの勝ち方」GACKT

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
さまざまな能力を身につけているGACKTがその生き方を語る。

テレビやメディアなどでは、語学やポーカーなどさまざまな能力を身につけている印象がある。僕自身GACKTのファンという訳では特にないが、その生き方や考え方に何かしら参考になる部分があることを期待して本書を手に取った。

本書によると、それ以外にもさまざまなビジネスを手がけており、自らのブランディングを非常に住してしているという。本書ではGACKT自身が持っているさまざな考え方を書いているが、もっとも印象的だったのが次の考え方である。

一般的には

知・覚・考・動

という言葉の、最後の2つを入れ替えて、

知・覚・動・考

とし、「ともかくうごこう」と読むことで、行動することの大切さを強調しているのである。

またそれ以外にも多くの印象的な言葉が引用されておりそのいくつかは覚えておきたいと思った。読む前は、そもそもタレントの出している本にそこまで期待するべきではない、と期待値は低かったが、予想以上に楽しむことができた。GACKTに限らず、成功している人は行動の重要性を熟知しており、ポジティブな考え方をしており、失敗も大きな学びの機会と捉えているという点は共通している。今回も改めてそんな生き方の重要性を感じた。

文字が少なく1時間ほどで読めてしまう内容なので値段ほど価値があるかは読み手次第ではあるが、個人的には悪くなかったと感じた。

【楽天ブックス】「GACKTの勝ち方」

「ここで差がつく!英文ライティングの技術 英語はIで始めるな!」鈴木健士

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
英文のライティングについて説明する。

日本人が英語を書こうとすると、どうしてもIで始めたり、soでつなげたりしがちである。話し言葉でならそれは許容できても、書き言葉でそのような書き方をすると、文章自体の密度も薄れて稚拙に聞こえてしまう。本書はそんな日本人がやりがちな英文ライティングの改善方法を説明している。

第一章では文章をカタマリにする方法を説明している。カタマリにすることでより洗練された文章になるのである。

(改善前)I deeply loved her, so I was able to oercome all the obstacles.
(改善後)My deep love for her enable me to overcome all the obstacle.

いくつかよくあるパターンを知っているだけで応用の効く考え方である。本書における重要なことは第一章でほとんどすべて語られているが、第二章では実際の日本人ば書きがちなエッセイを例にとって、第一章の考え方を利用して改善していく。カタマリ化だけでなく、importantやgood、badという言葉を使いがちな箇所も

play an important role

have a positive effect, have a negative effect

で置き換えると一気に英語らしくなる。

コンマやwhich、〜ingによる並列の書き方、そして「一生懸命〜したので・・・」を「My commitment/dedication/devotion」で言い換えるのも非常に便利だと感じた。同じように「もし〜が増えたら」「もし〜が減ったら」「もし〜があったら」「もし〜がなかったら」なども日本語から英語を構成しようと考えると長くなりである。しかし、「More…」「Fewer…/Less…」「With…」「Without…」で始めることで、短い文章で表現できるのであるどれも、なかなか慣れていないとできないことなので、ライティングに限らず、会話でも自然に出てくるようになるまで意識して使っていきたいと思った。

世の中には英語学習の本は溢れており、残念ながら英語学習の表面をなぞっただけのような本が多い。しかし、本書はそんななかでも非常に密度が濃くさらに読みやすいく、手元においておきたいと思える数少ない英語学習書籍の一冊である。早速英文のブログやCVに活かしてみたい。

【楽天ブックス】「ここで差がつく!英文ライティングの技術 英語はIで始めるな!」

「超訳 ニーチェの言葉」フリードヒ・ニーチェ

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
ドイツの哲学者ニーチェの言葉をまとめている。

ニーチェという哲学者の名前は、おそらく多くの人が聞いたことぐらいはあるだろう。僕自身もそんなニーチェを名前だけ知っている一人だったが、今回同僚から薦められたこともあり、いい機会だと思って入りやすそうな本書にたどり着いた。

本書は1ページに満たないニーチェの短文を集めたもの。人間のあるべき生き方や愛や成長や心構えを語っている。何よりも驚いたのは、その一つ一つの考え方が現代でもまったく違和感なく伝わってくるというもの。「ニーチェって最近の人だったっけ?」と途中でニーチェが確かに100年以上前に生きた人であることを確認してしまったぐらい、まるで現代の人々を見て語っているような表現が多いのに驚かされた。

いくつか印象的だったもののタイトルだけ挙げると次のような内容である。

  • 脱皮して生きていく
  • 組織をはみ出す人
  • 所有の奴隷
  • そのままの相手を愛する
  • 愛と尊敬は同時にはもらえない
  • 読むべき書物
  • 真の教育者は解放する

タイトルを聞いただけでも現代の人間が見つめ直さなければならないものに合致しているのがわかるのではないだろうか。

ひょっとしたら人間関係に悩んでいる人、成長に悩んでいる人、愛に悩んでいる人は読んでみると何か気づきがあるかもしれない。

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「The Burial Hour」Jeffery Deaver

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
アメリカで発生した誘拐犯がイタリアで新たに活動を開始した。Rhyme、Amelia、Thomはイタリアに降り立ち、現地の警察とともに誘拐犯Composerを追い詰めていく。

Lioncoln Rhymeシリーズの13弾である。さすがに13弾目となると、犯人の手口もこれ以上新しくしようと思っても難しいだろうし、登場人物を増やすにも限界がありどうしても展開がマンネリ化してくる。しかし、今回は舞台を初めてアメリカ以外の国、イタリアに移して展開するという点で新しさを演出している。そして、それによってイタリアの警察関係者が多数登場するのも面白く、特に、トリュフなどの密輸入を管理する仕事をしながらも刑事になることに憧れていたErcoleがRhymeの捜査にへの知識からComposer追跡チームへと加わり、不器用ながらも成長していく様子や、イタリアの警察組織の仕組みを描いているあたりが新鮮である。

今回の犯人であるComposerは音に非常にこだわりがある点が新しい。拉致した人間の鼓動や息遣いに病的なこだわりを見せるのである。Composerはどのような基準で拉致する人間を選んでいるのか、なぜイタリアを選んだのか、などが今回の大きな謎となる。

ただ、追跡自体はいつものように現場に残されていたわずかな痕跡を辿りながら薦められていく。この過程においてはシリーズを読み続けている人にとっては特に目新しさはないだろう。ただし人間関係においては一捻りもふたひねりもある展開になっていく。

最後はついにAmeliaとRhymeの待ちに待った幸せな時間が訪れる。2人の結婚式である。おそらくシリーズの中でも結婚式を描くのは本作品だけだろう。そういう意味においてはシリーズを語る上で読まなければならない一冊かもしれない。

「教養としての投資」奥野一成

オススメ度 ★★☆☆☆ 2/5
投資会社を運営する著者が、投資について語る。

短期で株を売買することを投機、買うべき株を見極めて長く持つことを投資として分けており、投機をギャンブルとして、長く持つ投資を勧めており、投資のメリットデメリットを語っている。特に株を選択する際に、参入障壁があるかないかを重視するという点が印象的だったが、現在の状況でETFやインデックスファンドをメインに考えないで企業の株を買うことを重視するのは若干不自然に感じた。

日本人全体を投資嫌いと一括りにしているあたりも残念で、投資に関してふわっと全体的にさわっただけという印象である。世の中に投資の本が溢れていることを考えると、本書を読む特別な理由はないと感じた。むしろ複利の力を利用して豊かな人生を送ることを学ぶなら有名な書籍「FIRE」などが深く掘り下げているし、本書は読者のターゲットが定まらないまま、特に整理せずに著者が思っていることを羅列しただけという印象で、ただ本を出すために書いた著者のため本といった印象で、誇張表現も多く、誰かを幸せにすることを目的に書いていないのが伝わってくる内容だった。

【楽天ブックス】「教養としての投資」

「ブラック・スワン 不確実性とリスクの本質」ナシーム・ニコラス・タレブ

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
黒い白鳥と呼んでいる不確実な出来事について、それとどのように向き合っていけばいいのかを語る。

本書で黒い白鳥と呼んでいる事象は次のようなことを3つの特徴を備えている事象のことである。

1.以上であること。つまり過去に照らせば、そんなことが起きるかも知れないとはっきり示すものは何もなく、普通に考えられる範囲の外側にあること。
2.とても大きな衝撃があること。
3.以上であるにもかかわらず、私たち人間は、生まれついての性質で、それが起こってから適当な説明をでっち上げて、筋道をつけたり、予測が可能だったことにしてしまったりすること。

そして、そのような黒い白鳥が起きる可能性を、「拡張不可能な月並みの国」と「拡張可能な果ての国」と、世の中を大きく2つに分けて説明している。

果ての国は格差が大きい。データ一つが集計量や全体に、圧倒的に大きな影響を及ぼす。

月並みの国風のランダム性なら、一つの出来事にすぎないのに全体の流れを左右するような黒い白鳥が起こって驚かされることはありえない。

今の世の中では、果ての国に属する事象のほうがはるかに多く、だからこそ黒い白鳥が現れるのだという。そして、残念ながら著者は終始、予測というのは限界があり、黒い白鳥は予測できないと強調している。

本書の大部分は予測できないことを説明する話が繰り返されていく。そんななかでも面白かったのが、物言わぬ証拠の問題についての話である。「ビギナーズ・ラック」や「水泳選手の肉体」の話は、世の中が物言わぬ証拠を軽視するせいで、世の中を正しく見ることのできないわかりやすい逸話である。

インターネットの普及やアウトソーシングなど、グローバリゼーションによって果ての国の領域は今後さらに広がっていくだろう。そんな現代において本書が語る不果実性にどのように備えるかは間違いなく大きな鍵となる。そんなことを改めて感ん替えさせてくれた。

ただ、言っていることの重要性はわかるのだが、話が難しくなりすぎていて、もう少し単純にして読みやすく説明できないいものかと感じてしまった。世の中の本書に対する評価は非常に高いのだが、必ずしも人にはお勧めできないと感じた。

【楽天ブックス】「ブラック・スワン 不確実性とリスクの本質(上)」「ブラック・スワン 不確実性とリスクの本質(下)」

「ファクトフルネス」ハンス・ロスリング、オーラ・ロスリング、アンナ・ロスリング・ロンランド

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
世界のことを知らなすぎる世間に懸念を抱いて、世界をありのままに見る方法を伝える。

2019年にもっとも話題になったといっていい本書。ようやく読むに至った。

本書では冒頭で印象的なクイズを読者に出し、現在の世の中の状況を説明する。世間の人々が世の中をただしく理解することのできない次の10の本能について説明する。

  • 分断本能
  • ネガティブ本能
  • 直線本能
  • 恐怖本能
  • 過大視本能
  • パターン化本能
  • 宿命本能
  • 単純化本能
  • 犯人探し本能
  • 焦り本能

簡単に総括してしまうと、僕らが思っているほど世界は悲観的ではないし、むしろ確実によくなっているということである。なかでも、もっとも印象的だったのは、これまで当然のように使ってきた「途上国」と「先進国」という世界を2つにグループ分けしてしまう言葉は、もはや世界の現状認識としては合ってないというもの。本書では次の4つのレベルに分けて世界の国を説明している。

  • レベル1…1日あたりの収入が1ドル
  • レベル2…1日あたりの収入が4ドル
  • レベル3…1日あたりの収入が16ドル
  • レベル4…1日あたりの収入が32ドル

また、レベルが同じ人たちは地域や宗教によらず似たような生活をしていることが多いのだという。

本書の狙い通り、世の中を見る目をもたらしてくれる一冊。何よりも本書を読んだことで世の中が少しずつよくなっていることを知れたのが嬉しい。父親の思いを、息子とその妻が書籍にした家族の魂を感じさせる本である。

【楽天ブックス】「ファクトフルネス」

「星の子」今村夏子

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
林ちひろは幼い頃体が弱く、そのため両親はちひろのためにある水の力を信じるようになる。そんな家族の中で生きる中学生のちひろを描く。

両親が信じる宗教とともに生きるちひろを描く。普通の中学生として、普通に友達を作り、普通に恋愛もしながらも、自分の家族が少し普通と違うこともわかってるし、水の力を信じる両親のことを恥ずかしく思う気持ちも持っている。それでも家を出るという大きな決断を下すことができずに、流されながら中学校生活を送っている。

大きな展開が起こりそうで起きないあたりが少し不思議な少し不思議な物語である。特に新鮮さは感じなかったが、この作品が本屋大賞にノミネートされているということは、もっと異なる解釈があるのかもしれない。

【楽天ブックス】「星の子」

「ぼくたちは習慣で、できている。」佐々木典士

オススメ度 ★★☆☆☆ 2/5
習慣の重要性と習慣を身につけるための方法について説明する。

どちらかというと一般の人に比べて、僕自身は、自分のやりたいことを習慣化するのが得意な方だと思うが、さらにその純度をあげたいと思い、本書を手に取った。

著者が見聞きした著名人の言葉や研究結果を引用し、著者自身の言葉や体験談で補足するという流れで、習慣の重要性や、習慣を身につける方法をひらすら説明していく。

決して、それぞれの章で語っていることが信憑性が薄いわけではないのだが、ひたすら著名人の言葉と自分の体験談を同じような流れで繰り返しており、残念ながら本全体から大きな流れや哲学が感じられない。また、特に著者自身が興味深い研究をしてその結果を共有しているわけでも、なにか偉大なことを成し遂げたわけでもなく、ただただ、僕らと同じように習慣を実践する一人の人間に過ぎず、著名人の引用を繰り返しているだけなので、あまり言葉に重みが感じられない。

著者自身、ヨガやジムへ行くこと、マラソンや、早起きの習慣があり、それ自体はいいことだと思うが、著者の体験談は同じ話の繰り返しで、もう少し一冊の本として、強弱や芯の通った構成にできないものかと感じた。

むしろ本書で語っているようなことは「脳を鍛えるには運動しかない」や「ファスト&スロー」「GRIT やり抜く力」などすでに世の中から認められたすばらしい書籍があるので、そちらを読むことをおすすめしたい。本書のように表面をなぞるだけでなく、その本質を理解できることだろうと感じた。

僕自身読みやすさやとっつきやすさを重視した本が溢れている昨今、このような表面をなでただけのような本に時間を費やすことを、どのように避けていくかは、しっかり考えるべき問題だと感じた。

【楽天ブックス】「ぼくたちは習慣で、できている。」

「Found」Erin Kinsley

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
イギリスの町で少年Evanがラグビーの練習の帰り道、バス停で友人と別れたのを最後に行方がわからなくなる。

事件発生当初の家族や、友人たちの様子が生々しい、また、あわせて事件の発生から時間が経つとともに、世間や周囲の関心はより新しい事件や、自分たちの周囲の出来事に移っていき、少しずつ忘れられていく点も実際にありそうな話である。

物語は事件解決の謎解きの物語というよりも、息子の失踪によって苦しむEvanの両親ClaireとMattや祖父のJackとなど、家族の戸惑いや葛藤の様子をより鮮明に描いている点が新鮮である。また、警察のHagenやNaylorも限られて人員と絶え間なく発生する事件のために、Evanの発見に全力を傾けられないで苛立つ様子を描いている点も面白い。

また、物語の舞台がイギリスなので、イギリスの文化やイギリス英語特有の表現が多々出現する点が面白い。捜査官Naylorの様子は私生活や仕事場の恋愛模様も含めて描かれているので、ひょっとしたら著者の他の作品にも登場するのかもしれない。

しかし、残念ながら物語としてとりたてて強調するような面白さがあったわけではない。今後もこの著者の本を改めて手にとるかは怪しいところである。

「フラット化する世界 普及版」トーマス・フリードマン

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
インドや中国の現状を元にフラット化していく世界について語る。

アメリカ企業によるアウトソーシングによって栄えるインドのバンガロールをきっかけとして、世界のフラット化について語る。国や地域だけでなく、YouTubeやウォルマート、グーグル、UPS、アパッチ、デルなどのサービスや有名企業などがどのようによってフラット化を進めたり、フラット化を利用しているかについて説明する。

そして著者はそんなフラット化が進む世界において、祖国アメリカの未来を嘆くのである。アメリカ国内の教育、成功願望、予算、インフラなど様々な面で、フラット化が進む世界において十分な備えができていないというのである。

決して読みやすい本ではないが、世界の見方に新たな視点をもたらせてくれる。フラット化(というより均一化だが)する世界のことを、例えば、賃金が安い方へ安い方へとインターネットの力を最大限に利用して仕事が流れていく、と説明してしまえば、なにを今更当然のことを、となるであろうが、本書はその世界のフラット化の様子を様々な興味深い事実とあわせて説明するから非常に説得力があり重い。

そんななか、もっとも印象的だったのは、インドとパキスタンの紛争がフラット化のせいで深刻な事態になることを避けられたという出来事と、著者が考えるフラット化による平和へ貢献、そして9.11が起こったことについての著者による考察である。

世界におけるアラブ・イスラム世界を見ると、さまざまな面で地球上のほかの地域より遅れているのが目に留まる。…若いアラブ・イスラム教徒は自問せざるをえない。われわれの宗教は、信仰、政治、経済まですべてを網羅する優れた教えであるはずなのに、なぜ異教徒のほうがずっといい暮らしをしているのか?
かつてイスラム教徒が支配していたキリスト教国スペインの現在のGDPが、アラブ諸国すべて合わせたより大きいとは何事か。…ビン・ラディンは侮辱されたと感じた。
9.11同時多発テロにまつわる国民感情を、ブッシュ大統領が破廉恥にも政治目的に悪用したことは、歴史がいずれ明らかにしてくれるだろう。

有名な本ですでに出版から10年以上が経っているが、素晴らしい本だと感じた。ベルリンの壁の崩壊や9.11の航空機作戦など、本書で触れられているフラット化の大きな出来事について、もっと知りたいと感じた。

【楽天ブックス】「フラット化する世界普及版(上)」「フラット化する世界普及版(中)」「フラット化する世界普及版(下)」

「新装版 話を聞かない男、地図が読めない女」アラン・ピーズ/バーバラ・ピーズ

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
男と女の違いを面白おかしく説明する。

タイトルのインパクトで名前だけは聞いたことあったが読んでいなかった本書。先日「自動的に夢がかなっていくブレイン・プログラミング」という同じ著者夫婦による素晴らしい本に触れたことにより、この本が生まれた時の話なども書かれていたため、せっかくなんで読んでみようと思い手に取った。

本書は新装版となっているが、本書のオリジナルが出版されたのは20年近く前になる。本書の当時の人気もあって、おそらく本書で書かれているようなことはその後多くのその後のメディアが似たようなことを語り、そのいくつかばすでに一般的な考え方になってしまったのだろう。残念ながら今読むと特に目新しさは感じなかった。

もっとも印象的だったのは、世の中、性別、人種を問わず人々を平等に扱おうという風潮だったため、このような男女の違いについた本を出すのは当時新しかったということ。今は平等よりも個性の尊重の方に重みが置かれていると感じるので、20年の間にたしかに時代は変わったなと感じた。

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「ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代」アダム・グラント

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
オリジナルな人間になるための考え方を説明している。

メガネのネット販売でメガネ業界に大きな変革を起こしたワービー・パーカーの創業者たちの話をきっかけに、どのようにして大きなことを成し遂げるかを説明していく。

著者が繰り返し強調しているのは、世の中に大きな変化を起こすのは誰にでもできることで、人生の大きな決断など必要ないということである。例えば、スティーブ・ジョブスやビルゲイツは必ずしも若い時に人生の賭けに出たからその後の成功があるわけではない。同じようにマーチン・ルーサー・キングやイブラハム・リンカーンも僕らが思っているほど、人生において誰もまねできないような大胆な行動をとった結果、幸世に語り継がれる存在になったのではないのだという。偉大な人たちも人生のリスクヘッジをしながら自分の持つ新しいアイデアを少しずつ実行に移してきたのである。

では、どのようなことを日々意識して生きていけばそんな偉大なことを成し遂げられるのか。本書はそのために次のことを説明している。

  • アイデアの出し方
  • まわりの巻き込み方
  • 情熱の育み方
  • タイミングの撮り方
  • 誰と手を組むか
  • 組織のつくりかた
  • 困難への立ち向かい方

多くの人が思っていることと実際の成功者や成功しげ企業にはかなり乖離があると感じた。例えば、何事も先にやった人や企業が成功する可能性が高い印象があるが、必ずしもそんなことはない。またベートーベンは偉大な作曲家として有名だが、実際に評価されている曲は彼が作曲した650曲以上の曲のなかの一部でしかない。つまり、質の高いものは数が多ければ自然と生まれてくるのである。

ポラロイドの凋落や、公民権運動、婦人参政権運動、セグウェイの失敗など過去のさまざまな事象を例にとって説明する。本書が言おうとしている内容だけでなく引用されたそれぞれの出来事が興味深く、新たな好奇心を刺激してくれる。序盤で出たオンライン販売のワービー・パーカーだけでなく「となりのサインフェルド」などについても今回新しく知った。

良い刺激を与えてくれる非常に中身の濃い一冊である。

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「I AM ZLATAN ズラタン・イブラヒモビッチ自伝」ズラタン・イブラヒモビッチ/ダビド・ラーゲルクランツ

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
スウェーデン代表のサッカー選手ズラタン・イブラヒモビッチがそのサッカー人生を語る。

アヤックス、ユベントス、インテル、バルセロナ、ミランなどの強豪チームで活躍し、母国スウェーデンでは英雄といえるほどの地位に上り詰めた著者のこれまでのサッカー人生を描いている。どちらかというと熱い選手なので、嫌いなサッカーファンも多いのではないだろうか。僕自身もどちらかというと冷静にプレーする選手に魅力を感じるほうで、試合中に熱くなりレッドカードをもらうような選手は好きではない。そんな見方もあって、今回こういうタイプの選手はどのように選手人生を歩んでいるんだろう、と興味を持った。

さて、本書ではサッカー選手として頭角を表すまでと、その後いくつかの有名サッカーチームで活躍する様子を描いている。なんといっても興味深いのは、どちらかというと著者にとっては失敗と言える移籍と言えるスペインのFCバルセロナ時代についての話である。監督グアルディオラとは著者をベンチに置いたまま使おうとしないで、しかおその理由を説明しようともしない。そんなグアルディオラに苛立ち、やがてクラブを去るという決断をするまでを著者目線で説明している。

FCバルセロナのしかもグアルディオラの時代はまさに黄金時代だったので、さぞかし選手の心を掴むのがうまい監督なんだと思っていたのだが、1選手からはここまで無能な監督として捕らえられている点が面白かった。

そのほかにもサッカー選手としてだけでなく、妻との出会いなどの人生の大きなイベントについている書いている。全体を通して読んでみると、世の中が思っているほど傲慢で独りよがりな人間ではなく、様々なプレッシャーや葛藤を力に変えて成功した人物だと言うことがわかる。

【楽天ブックス】「I AM ZLATAN ズラタン・イブラヒモビッチ自伝」

「オムニバス」誉田哲也

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
ストロベリーナイトに始まる姫川玲子(ひめかわれいこ)のシリーズで7つの短編から構成される。

本書の面白いところは姫川玲子(ひめかわれいこ)やその姫川の近くにいるその同僚の視線で様々な事件とそれに対応するの様子が描かれることである。

姫川(ひめかわ)は直感的に事件に向き合い、時に姫川自身も理由を説明できない直感によって、捜査をする。それが結果として事件解決に結びつくことも多いため、警察のなかでも姫川(ひめかわ)を高く評価したり、憧れを抱いたりする人がいる一方、論理的な捜査をこのむ刑事のなかにはその存在を疎ましく思うものいるのである。

7つの物語はどれも犯人が早い段階で拘束されるが動機がわからないというもの。事件が解決される流れを見る中で、様々な境遇で生きている人々の生き方が見えてくるだろう。

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