オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
統計学の基本的な部分を説明している。
学生時代に習った期待値や最小二乗法などの意味がより深く理解できた気がする。また、検定という考えについてもようやく少し分かってきた。しかし、やはり鉛筆と紙を用いて書かれている内容を繰り返し使用してみないと本当の理解には到達しないというのが身にしみてわかった気がする。読書時間ではなく勉強時間を別に設ける必要があるのだろう。
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カテゴリー: 和書
「「学力」の経済学」中室牧子
オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
日本の教育のあるべき姿について、データを元に説明していく。
例えば、「本を与えれば成績がよくなる」とか「ゲームをさせると成績が下がる」とか、世の中でよく言われることを科学的に説明しようと試みていく。その過程で、日本の教育がどれほど証拠もなしに、先入観によって構築されているかに気付かされるだろう。
また、著者はそれ以外にも教育システムの向上のために多くの内容に触れているが、なかでも印象的だったのは計る事のできない「非認知能力」つまり「やりぬく力」の重要性である。教育に関心のある多くの人が中学や高校での教育の重要だと思う一方で、本当に人生を変えるほど重要なのは、小学校に入るまでに培われた自らを律する「やりぬく力」だというのである。「自制心」とも呼ばれるこの力は、若い頃のしつけや部活などの活動を通じで培われていくものだそうだ。
目の前の定期試験で数点を上げるために、部活や生徒会、社会貢献活動をやめさせたりすることには身長であるべきかもしれません。学力をわずかに上げるために、長い目でみて子どもたちを助けてくれるであろう「非認知能力」を培う貴重な機会を奪ってしまうことになりかねないからです。
また、後半で著者が語っている、教員免許の弊害についての考え方も新鮮で面白かった。教育に対して新たな考え方をもたらしてくれる一冊である。
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「JavaScript:The Good Parts」ダグラス・クロフォード
オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
ここ数年で一気に需要が高まっているJavaScript。しかしそれは多くのプログラマーを悩ませる仕様が詰まっている。JavaScriptの性質を知り尽くした著者が、JavaScriptで「良いパーツ」を作るための方法をまとめている。
若干僕のJavaScriptの知識レベルには早すぎたという印象もあり、理解できない箇所も多々あったが、いいJavaScriptを書くためにやったほうがいいことと、やらないほうがいいことはいくつか知る事ができたし、なによりも本書によって癖のあるJavaScriptという言語に魅力を感じてしまった。
おそらく本書によってJavaScriptという言語の不完全さを知って嫌いになる人もいるだろうが、僕のように逆にその深さに魅了されてしまう人もいるだろう。本書には、もう少し知識を貯えてきてからまた戻ってきたいと思った。
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「満願」米澤穂信
オススメ度 ★★★★☆ 4/5
第27回(2014年)山本周五郎賞受賞、2015年このミステリーがすごい!国内編第1位作品。
6つの物語を集めた短編集。短編集とはいえどれも非常に質の高い物語が集まっている。最初の物語の「夜警」は殉職した警察官の話。彼はあまり警察官に向いていなかったが、その日、酔った犯人に発砲すると同時にその犯人に刺されて亡くなったのである。しかし、彼の性格やその日の様子を詳細に振り返ってみるとその裏に隠された意図が見えてくるのである。
3番目の「万灯」の物語も印象的である。プロジェクトでバングラディシュに派遣された男性は、そこでのプロジェクトの完遂のために、ある村に拠点を築く必要がある。しかしその村の権力者達は、それに反対する一人の権力者を殺すことを条件にそれを受け入れる提案をするのである。彼は仕事のためにそれを受け入れるのだが、それはやがてさらなる問題を生むことになるのである。
上記の2つ意外もどれもずっしりと印象に残る物語ばかり。著者米澤穂信は軽いミステリーを描くという印象を持っていたが、ここ最近の作品からは、雰囲気作りなど非常に優れた小説家になってきたということに驚かされる。
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「破門」黒川博行
オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
第151回直木賞受賞作品。
小さな建設コンサルタントを営む二宮(にのみや)は知り合いの暴力団の桑原(くわばら)によって暴力団同士の詐欺に巻き込まれていく。
二宮(にのみや)と桑原(くわばら)を中心に、関西圏を中心とした多くの暴力団と喧嘩、駆け引きを繰り返しながら、物事をなんとか丸く収めようと奔走する様子が描かれている。面白いのは二宮(にのみや)の微妙な立ち位置である。堅気でありながらもお金欲しさに桑原(くわばら)と関わり、諍いの渦中にどんどん引き込まれていくのだが、暴力に怯えながらもお金は欲しいため桑原(くわばら)にお金を要求していくのである。
二宮(にのみや)が飼っているインコや、従姉妹の悠紀(ゆうき)の存在が物語に彩りを添えている。
物語の全体の流れが特別印象的というわけではないが、二宮(にのみや)と(くわばら)の会話の独特のテンポが印象的だった。
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「ドッグ・ラン」樋口明雄
オススメ度 ★★☆☆☆ 2/5
横浜の探偵の鯉沼(こいぬま)と鷹羽(たかば)はある日目を覚ますと首に爆弾ば巻かれていた。自らの命と引き換えに銀行強盗をするように要求されるのである。
こんなコミカルなドタバタ劇は久しぶりである。世の中は最近小説さえも現実の多くの新しい情報が詰まっているせいで、このような物語はむしろ時代の古ささえ感じる。
著者、樋口明雄は動物、特に犬を描いた作品で最近注目していたので、本作品もそのタイトルからそのような内容を期待したのだが、犬はペットとして登場するものの、期待した内容とはほど遠かった。まだ、著者自身が書く小説のスタンスに試行錯誤しているのかもしれない。
本作品自体は、時間つぶしに役立てられる程度のものだろう。本書から学べるものはほとんどない。
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「天空の犬」樋口明雄
オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
警察官の夏実(なつみ)は救助犬のメイとともに南アルプス山岳救助隊に参加することとなる。夏実(なつみ)とメイが仲間達と一緒に、人命救助に奔走する様子を描く。
序盤は少しずつ夏実(なつみ)が南アルプスの救助に慣れていく様子や、仲間と打ち解けていく様子が描かれる。興味深いのは、夏実(なつみ)が共感覚の持ち主ということ。つまり、夏実(なつみ)は人の感情を色としてみることができるのである。その能力によって夏実(なつみ)は救助犬メイと心を通わせることができるが、一方で、友人や同僚にはその能力を隠しているために生きづらさを感じるのだ。
同じ救助隊のメンバーも個性的な人で構成されている。同じ女性隊員で完璧主義者の静奈(せいな)は夏実(なつみ)の存在を好意的に受け入れようとしない、また、深町(ふかまち)は過去の出来事によってすでに辞める事を決めている。それでも全員で協力していくうちに人命救助を繰り返していくのである。そして、物語後半はある有名な政治家が山に登ることからいろいろな人を巻き込んだ大きな出来事へと発展していく。
「ドッグテールズ」という短編集が期待以上に良かったため、こちらの長編はもっと期待してしまった。期待値が高すぎたせいでややがっかりした部分もあるが、信頼し合った動物と人間の感動的な物語である。
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「スマートフォンのためのUIデザイン」池田拓司
オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
2013年に発行された本という事でiOS7のフラットデザインの流れは反映されてはいないがiOSアプリとAndroidアプリの基本的な違いや、アプリの様々な名称や呼び方の違いなどが網羅されている。特に新しい知識を与えてくれるわけではないが、UIについていくつかの気付きを与えてくれる。
本書だけでUIの十分な知識を得るということはないが、助けにはなるだろう。
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「ドッグテールズ」樋口明雄
オススメ度 ★★★★☆ 4/5
犬を扱った5つの物語。
著者の犬に対する優しさが伝わってくる。どれも面白かったが、3番目の物語である「疾風(はやて)」と最後の「向かい風」が特に印象的だった。「疾風(はやて)」は熊の出没によって熊退治が必要になったある山村の物語。弥太郎(やたろう)と猟犬疾風(はやて)が協力して熊に立ち向かうなかで、人間と動物の信頼関係が見えてくる。また「向かい風」は災害救助犬のハンドラー、高津弥生(たかつやよい)と救助犬エマの物語。中国の震災の祭の悲劇によって心に傷を負った弥生とエマだったが、行方不明となった幼い姉妹を探すために再び動き出すのである。
本書を読むと、犬の誠実さが伝わってくる。考えてみれば人間の多くが、お金や地位や嫉妬に囲まれて生きている。しかし、動物にはそれがなくただ生存のために生きている。もししっかりとした信頼を気付く事ができれば、動物、特に人間と共存する犬ほど、その信頼できる存在はないのではないかと感じさせてくれる。
今注目の著者。他の作品もすべて読んでみたいと思った。
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「本日は大安なり」辻村深月
オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
大安のその日、とある結婚式場では4組のカップルが結婚式を挙げようとしていた。それぞれの式がそれぞれの問題を抱えたまま行われようとしている。
4組のなかでもっとも印象的なのは、双子の姉妹の妹である妃美佳(きみか)の結婚式である。双子として生まれ、常に姉の鞠香(まりか)と比較されて育ってきたからこそとも思える想いが詰まっている。妃美佳(きみか)は同じ顔をした鞠香(まりか)に花嫁を変わってもらって、夫が本当に2人の違いに気付くかを試そうとするのである。
その他のカップルも、いろんな事情を抱えて結婚式にこぎつけているので、そこにはいろいろなドラマが溢れている。それでも最後は人間の温かさを感じられるだろう。辻村深月の作品のなかでははかなり爽やかな物語である
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「統計学が最強の学問である」西内啓
オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
現代の統計学の重要性を説く。
実際には19世紀の中程にはその重要性を認識されていたにも関わらず、それを実現するためのツールが整ったのは最近である。コンピューターやインターネットが発展したことによって、多くのデータの収集や分析が個人レベルでも可能になった今、統計学はもっとも先見性のある分野と言えるだろう。
一般的な数学教育を受けた人ならば、序盤の平均や中央値を利用してデータを解説する部分には特に新しさを感じないだろう。基本的な統計に関する考え方から入っているが、むしろ本書の興味深い点は、統計学をどうやって実際の方針の決定に使用するか、という統計学の応用のためのヒントが書かれている点だろう。
著者は言う。取得したデータの結果によって何をするかを決めないと、取得するべきデータの粒度が決まらないのだと。どんなデータもサンプル数を多くする事によって精度をあげることはできるが、その先の行動を決めなければ、どれほど高い精度のデータが必要なのかを決めることができずに、無駄に情報集めや分析の時間を消費する事になるのである。現在多くの企業がそうやって無駄にデータ分析にコストをかけているのだという。
本書で述べられているように、データ分析を行動を決めるための指針と考えると、「標準誤差」という考え方の重要性がわかってくる。残念ながら、本書に書かれているその計算式だけではその背後にある考え方を理解できなかったが、その重要性は十分に伝わってくる。
後半はかなり素人の僕には難しくなってしまったし、実際には紙と鉛筆で実際に計算しながらでないと理解できない物なのだろう。本書中で出てきた「回帰分析」「t検定」「標準誤差」などの新しい言葉はしっかり理解したいと思った。
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「自覚 隠蔽捜査5.5」今野敏
オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
しがらみや上下の階級意識の強い警察組織において、合理的に物事を解決しようとする大森署署長の竜崎伸也(りゅうざきしんや)の物語。
「隠蔽捜査5.5」という副題が小数点をつけているのは、本書が短編集という意味である。同じ警察組織の中の、竜崎(りゅうざき)の周辺の人々が、日々起きる事件や問題を対処していく様子を描く。一歩判断を間違えれば大きな問題になりかねない状況を、竜崎(りゅうざき)が解決していく様子が爽快である。
本書ではシリーズ全体を通じてたびたび登場する戸高(とだか)の活躍もいくつか見られる。彼は優れた捜査官でありながらその勤務態度ゆえに問題視されているのであるが、仲間からの信頼は厚い。竜崎(りゅうざき)と戸高(とだか)の不思議な信頼関係は本シリーズの魅力の一つでもある。
このシリーズを読むといつも思う事であるが、自分自身も人間として竜崎(りゅうざき)のように、常に冷静で、平等かつ合理的に行動したいと思わせてくれる。
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「盗まれた顔」羽田圭介
オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
人の多い町に出て、記憶した顔と一致する顔がないかを探し続ける見当たり捜査員である、白戸(しらと)は同僚の安藤(あんどう)、谷(たに)とともに毎日犯罪者の顔を探す事を仕事とする。
テレビ番組などで聞いたことのある見当たり捜査であるが、このように小説となってその捜査を見るとその厳しさに驚くだろう。通常でも1ヶ月に1人か2人の犯罪者を見つけられる程度なのだと言う。つまり1ヶ月のうちの大部分は、ただ町に出てなんの成果も挙げられない日々なのである。
実際、本書では白戸(しらと)の同僚の谷(たに)が何ヶ月も成果を挙げられずに憔悴する様子が描かれている。また、逆に白戸(しらと)の、すでに逮捕した犯罪者の顔が忘れられずに苦しむ様子も興味深い。実際の見当たり捜査員にしかわからないであろう悩みや葛藤が描かれている点が面白い。
さて、ある日の捜査の際に、白戸(しらと)が既に死んだと思っていた男の顔を見かけてから物語は大きく動き出す。白戸(しらと)は大きな陰謀に挑んでいく事となるのである。
警察物語としては、組織内の陰謀などはもはや新しくもないが、やはり見当たり捜査員という、見ることのできない人生を見せてくれるという点で興味深い。本書を書くために多くの調査をしたと思われる著者羽田圭介(はだけいすけ)という著者にも好感が持てたので、別の作品も読んでみたいと思った。
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「光る牙」吉村龍一
オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
北海道日高山脈で熊によって一人のカメラマンが犠牲となった。森林保護官を勤める樋口孝也(ひぐちたかや)は上司の山崎(やまざき)とともに熊を追う。
本書では、樋口孝也(ひぐちたかや)とその上司の山崎(やまざき)が冬眠できずに人の味を覚えたヒグマを退治するために奔走するのだが、その過程で見えてくるのはヒグマの恐ろしさだけでなく、それが利己的な人間によって生じた事であり、自然界の復讐のように描かれている点が印象的である。
さて、そんな凶暴な熊を追うなかで、樋口孝也(ひぐちたかや)は自らの不甲斐なさと向き合い、また、尊敬する上司である山崎(やまざき)に少しでも近づくために成長していく。物語の展開としてはそれほど新しくはないが、それをどう描くか、という部分がこのような物語では重要なのだろう。ただ単に動物によってパニックに陥るだけでなく、何かを読者に訴えかける物語であった欲しいものだ。
動物による人間への復讐をテーマにした物語としては「シャトゥーン ヒグマの森」や「約束の地」などが思い浮かぶ。比較して読んでみるのも面白いかもしれない。
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「衛星を使い、私に」結城充孝
オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
自動車警邏隊の女性警官クロハの日々を描く短編集。
本書は「プラ・バロック」「エコイック・メモリ」に続く第3弾であるが、時間としてはそれ以前ということで、クロハがまだ未熟な時代を描いている。短編集という事で6つの物語に別れているが、どれも読み応えがあり、また根底には一つの共通した問題があり、全体として一つの物語としても捉える事ができる。
さて、このシリーズでいつも印象的なのは、著者が現代のIT技術をうまく物語に組み込む点である。本書でも撮影された画像の位置情報や、交通事故のシミュレーションが捜査に大きく影響を与えるため、新しい知識も得る事ができる。
個人的には第二編の「二つからなる銃弾」が印象的である。射撃の優れた腕を持つクロハが射撃競技に出場する様子を描く。あまり見る機会のない射撃という競技の様子を感じる事ができるだろう。
引き続き本シリーズの続編を楽しみにしたい。
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「スイッチ!「変われない」を変える方法」チップ・ハース&ダン・ハース
オススメ度 ★★★★☆ 4/5
人間は正論をぶつけても動かない。なぜなら人間は「感情」で動く人間だから。そんな視点から組織や人を変えるための方法を語る。
冒頭で本書は述べている。人や組織が変われないのは、私たちのなかで「像(感情)」と『像使い(理性)」が戦っているからだと。怠け者で気まぐれな「像」と計画的な「象使い」が協力し合う事で初めて人間は変化を起こすことができるのだ。
例えば、やせたい人間に、「運動をしろ、食事を減らせ」というのは簡単だし、そんなことができればやせる事は本人にもわかっている。でも理性ではわかっていてもできないのが、「感情」を持つ人間なのである。それでは像(感情)に訴える方法とはどんなものなのだろうか。本書はそんな、像(感情)に訴えて成功した例をいくつも挙げている。どの例も興味深く、次第に像(感情)に訴える方法がわかってくるだろう。
そのうちの一つは、「1から始めなければならない」と思う場合と、「すでに途中まで達成している」と感じる場合とでは人の行動は異なるというもの。例えばすべてのスタンプ押したら特典が得られるポイントカードで、10個のうち2個すでに押してあるカードを渡された客と、1個もスタンプの押されていない8個で満杯のポイントカードを渡された客とでは、貯めなければならないスタンプの数は同じ8個でも達成する可能性は大きく異なるという。また、普段の仕事で多くのカロリーを消費していると教えられた家政婦とそうでない家政婦とではその後の体重の増減に明らかな違いがあるという。
職場の部下や子供の教育、会社のポリシーへの影響、ビジネスにおけるユーザーへの対応など、さまざまな場所に応用できそうな内容で詰まっている。
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「なぜこの店で買ってしまうのか新版 ショッピングの科学」パコ・アンダーヒル
オススメ度 ★★★★☆ 4/5
さまざまな店舗において、客がどのように行動するかを分析した著者がその経験から学んだ事を語る。
例えば、人間は鏡がある場所で歩く速度を落とす、女性は男連れだと買い物時間が短くなる、など、言われてみれば納得のいくものもあれば、今まで考えてもみなかったようなことが買い物に大きく影響を与えていることもある。
試用や試着をしてから物を買おうとする女性と、試着したがらず、試着したら買わなければならないと思う男性というように、男女の違いの大きさも面白い。しかし、物を売る側にとって常に意識しなければならないのは、買い物の時間を減らすこと、買い物客の持てる荷物の量を考慮する事だろう。
本書は実店舗の話を主に扱っているが、これがインターネット上での買い物にどの程度提供されるかという点は非常に興味がある。本書は「新版」としており、インターネットについても触れているが、実店舗の分析に比べるとまだまだ内容が薄い。しかし、全体的には店舗という空間に新たな視点をもたらせてくらる一冊である。
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「ダイヤモンドより平和がほしい 子ども兵士・ムリアの告白」後藤健二
オススメ度 ★★☆☆☆ 2/5
ダイヤモンドの産地として有名なシエラレオネ。著者はそこで少年兵士をしていた青年ムリアと出会う。
ムリアは父と母を殺され、そのまま誘拐されて少年兵として訓練され、多くの人を殺したのだという。被害者である彼は、多くの人を殺したがゆえに、多くの憎しみも向けられ、罪悪感を抱えながらも、現在多くの事を学んで国の平和に貢献使用している。
あまり馴染みのないシエラレオネという国の現状、未だ平和がほど遠い国があるということなど、改めて感じるのではないだろうか。
タイトルに惹かれて読んだのだが、思った以上に子供向けの内容で中身が薄かったのが残念である。ちなみに著者は先日シリアで犠牲になった後藤さんだということです。
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「手足のないチアリーダー」佐野有美
オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
生まれつき手足のなかった著者、そんな著者が高校を卒業するまでを語る。
手足のない子供が生まれてきた時の両親の驚きや、障害を持った人の周囲で生きる人間の戸惑いが見えてくる。
印象的だったのは著者が小学校高学年だったときの話、障害にも関わらずその明るい性格から人気者になり、やがてそれが傲慢に変わってしまうという話。障害者とはいえ、友人の気持ちを考えずに行動すれば、結果として友人から孤立してしまうのである。僕らは障害者がイジメを受ける、と聞くとその障害が原因かと思うが、本書の場合は、むしろその障害が明るくクラスの人気者にして、それが結果として傲慢な態度を生み、その結果孤立したというのだから驚きである。
また、周囲の人々の温かさも本書を通じて感じることができる。障害を持った人に取っては、哀れみを受けるよりも、普通の人間として厳しく、優しく接してもらえる事が何よりも嬉しいのだということを改めて知る事が出来た。
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「成功する練習の法則 最高の成果を引き出す42のルール」ダグ・レモフ
オススメ度 ★★★★☆ 4/5
どんな分野でも能力を伸ばすためには、しっかりと考えた「練習」が必要である。本書はそんな効果的な練習方法について説明している。
本書で書かれているのははむしろ「練習方法」というよりも、「練習の指導方法」といった印象を受けた。具体的には次のような内容である。
漠然とした言葉から、具体的な言葉にすることによって周囲の人間の能力が大きく変わるということは、僕らはもっと言葉や振る舞いに気をつけなければならないという事である。しかし、どれほどの人がその指導する言葉の重要性を理解しているのだろうか。「頑張れ」「気合い入れろ」などのような漠然とした指示がどれほど意味がないのかをもっと意識すればより効果的な指導ができるようになるだろう。同じようにほめる時も「よくやった」とか「がんばった」ではなく、何が良かったのかをはっきり示すべきなのだそうだ。
本書で例としてとりあげる練習が、教師の指導方法についてであることが多いので、仕事にも応用できそうな状況が多く描かれていた。本書の内容を常に意識する事によって、組織を高いパフォーマンスの集団に変えることができるかもしれない。
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