「地雷グリコ」青崎有吾

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
第37回(2024年)山本周五郎賞、第77回(2024年)日本推理作家協会賞受賞作品。勝負ごとに滅法強い女子高生の射守矢真兎(いもりやまと)がさまざまな勝負に挑む様子を描く。

グリコのおまけ、坊主捲り、じゃんけん、だるまさんがころんだ、ポーカーなど、誰もが知っている勝負に、少し異なるルールを加えて勝負する射守矢真兎(いもりやまと)が、最後は想像の一つ上をいく様子を描く。

一見勝負師同士の心理戦のようにも見えるが、勝負のルールも勝負が行われている部屋もすべて著者の都合のいいように作られているので、ミステリーの要素も多い。そういう意味ではこれまでにない斬新な作品と言えるだろう。

特に現実世界に行かせそうな学びは一才ないが、重いテーマの物語を読んだ直後の一服にはちょうどいいかもしれない。

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「蹴球学 名称だけが実践している8つの真理」Leo the football

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
著者がさまざまなサッカーを研究し、また自分のチームで実践する中で身につけた理論を説明する。

本書は8つの真理としてサッカーにおいて意識すべき次の内容を説明する。

  • 正対理論
  • ポイント論
  • サイドバックは低い位置で張ってはいけない
  • アピアリング
  • ファジーゾーン
  • トゥヘルシステム
  • プレパレーションパス
  • 同サイド圧縮

いずれも自分が現役のときに知りたかった内容ばかりである。今できることとして、息子がサッカーを始めた際には伝えたいと思った。こうやって日本のサッカーがレベルアップしていくのだ感じ、実際に日本のサッカーが国際舞台で結果を出していくのを目の当たりにすると、このような書籍の貢献度の大きさを感じる。

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「動機」横山秀夫

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
刑事、社会復帰中の犯罪者、女性新聞記者、裁判官、犯罪に関わる4つの物語を集めた短編集である。

最近、短編ほど著者の小説家としての力量を如実に示す媒体はないと悟り、これまで軽視してきた短編集を読み漁っている。なかでも横山秀夫は、好きな作家であるにもかかわらずその作品の半数ほどを短編集が占めるために、読んでいなかった作品が多い。本書もそんななかの一冊である。

本書は、期待した通り、良い小説家にかかれば、登場人物の人間を真実味を伴って描くのにページ数は必要ないということを証明してくれる。個人的には表題作となっている最初の「動機」が印象的である。警察という組織の中にも、立場に固執する者、職務に誇りを持っている者、将来を期待されている者、などさまざまな人間がいることが伝わってくる。そして表面的には異なる目的を持っているようで、結局誰もが家族を最優先に生きているのである。

今回も期待通りの著者の描写力を味わうことができた。

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「解像度を上げる」馬田隆明

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
曖昧な思考をより明確にする作業を「解像度を上げる」として、その方法について語る。

もちろん本書でいう解像度は、画像のピクセル数の密度、という元々の意味ではない。本書でいう「解像度を上げる」とは、表現や考えの曖昧な部分がより具体的で明確な状態に近づけるということである。

本書では解像度を

  • 深さ
  • 広さ
  • 構造
  • 時間

という4つの軸で考え、それぞれの軸で向上させていく方法を語る。

全体的にかなり網羅的な内容になっている。正直網羅的すぎて、他の書籍と重なる部分も多い。例えば、解像度を深くする章ではユーザーインタビューの手法にまで触れている。本書一冊ですべてを理解したい人には良いかもしれないが、実際にはそのような読者は少ないだろう。核心となる考え方に絞って、他の書籍で語られている内容は削ぎ落としたほうが良い本になったのではないだろうか。

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「夜に星を放つ」窪美澄

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
第167回(2022年上半期)直木賞受賞作品。さまざまな人間関係を扱った5つの物語。

双子の妹を亡くした婚活中の女性、離婚調停中の男性、父親と二人暮らしの女子高生など、少し変わった人々の様子を描く。

全体的に優しい物語ではあるが、直木賞受賞作品となるほどの個性や良さがあったかというと疑問である。自分には見出せなかった良さがあるのかもしれない。

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「黛家の兄弟」砂原浩太朗

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
第35回(2022年)山本周五郎賞受賞作品。筆頭家老をつとめる黛(まゆずみ)家の様子を、三兄弟、栄之氶(えいのじょう)、荘十郎(そうじゅうろう)、新三郎(しんさぶろう)を中心に描く。

大きく前編と後編に分かれており、前編は黛家のはみ出しもので行き場を失った次男の荘十郎(そうじゅうろう)の事件をめぐるできごとを中心に展開する。黛(まゆずみ)家を存続させることを優先する父、長くともに過ごしてきたことで決断しきれない栄之氶(えいのじょう)と新三郎(しんさぶろう)の苦悩を描く。

後編は前編の13年後の物語である。黒沢家で織部正(おりべのしょう)として生きるかつでの新三郎(しんさぶろう)と、父の跡を継いで清左衛門(せいざえもん)となった栄之氶(えいのじょう)が、表向きには疎遠になったように見せながらも、その立場を利用して黛(まゆずみ)家のために生きる様子を描く。

江戸時代における男の人生を非常に巧みに描く。一方で、当時の立場や役職などに詳しくないとなかなか理解が追いつかず、物語に没頭しにくいのを感じる。登場人物の多さや改名が一般的であることから名前が固定されていないのも要因の一つであり、この辺のわかりやすさと忠実度のバランスが物語の書き手として難しいところだろうと感じた。

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「Cause of Death」Patricia Cornwell

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
海軍の船の近くを潜水中に亡くなったジャーナリストは毒殺されたことが判明した。調査の過程で少しずつKay Scarpettaの周辺で不審な出来事が起き始める。

Kay Scarpettaシリーズの第7弾である。「The Bone Collector」シリーズに飽きて、事件捜査だけでなく家族や恋人との人間的な側面の描写の多いこちらを読み続けており、今回もそんななか惰性で手に取った。今回も、事件捜査と同じぐらいKay自身の複雑な人間関係についての悩みが描かれる。不倫関係にあるWesleyとの関係、長年のパートナーで離婚とともに少しずつ堕落していく様子を隠さないMarinoとの関係、成人して少しずつ危険な警察組織としての道へと進んでいく姪のLucyとの関係などである。

事件自体は警察の汚職なども絡んでくるが若干深みに欠けて物足りない。このシリーズの良い点は事件が解決した後にダラダラその後の物語を描かない点である。前作品と今回の作品は、事件解決の余韻に浸る間も無く終わってしまった。

英語新表現
pass on 亡くなる
run-in 口論、衝突、いざこざ
have my head in the sand 見て見ぬふりをする
blow off steam 不満を発散する
do a number on … …に損害を与える

「国を蹴った男」伊東潤

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
第24回吉川英治文学新人賞受賞作品。信長、秀吉、家康と天下の情勢が大きく移り変わる戦国時代において、自らの生き方を貫いた6人の男たちを描く。

本書はいずれも1600年近辺の戦国時代に生きた男たちに焦点をあてた短編集である。牢人、茶人、職人など、後の世に名を残すことのない男たちの、誇り高い生き方を描いている。

個人的に印象的だったのは茶人山上宗二(やまのうえそうじ)を扱った「天に唾して」の章である。美しさがわからない秀吉を卑下する茶人と、嫉妬しつつ権力で支配しようとする秀吉という構図は「利休にたずねよ」などでも描かれているが、本書でも権力に屈しず信念を貫く茶人たちを描いている。

この辺は、CEOの意見の前に譲歩しなければならない現代のデザイン作業にも通じるところがあるのを感じる。異なるのは切腹しなくても良いというところだろう。

自分の印象では秀吉は農民から成り上がった人間として好意的に受け取っているのだが、本書ではどちらかというと、その出自ゆえのコンプレックスからか、権力とともに傲慢になっていくように描かれている。先日読んだ「八本目の槍」の描き方とはまた、大きく異なっていたので、あらためて、史実に忠実でありながらも人格についてはさまざまな解釈があるのだと感じた。

短編集という難しいスタイルでありながらも、どれも登場人物に深みを感じたので、引き続き著者伊東潤の他の作品にも触れてみたいと思った。

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「El jardín de las mujeres Verelli」Carla Montero

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
祖母のNonnaが亡くなったことで、バルセロナの祖母のレストランを片付けていたとGiannaとCarlosの兄妹はイタリアにも家があることを知る。それをきっかけに、祖母Aniceの人生に興味を持ち始める。

物語は現代のGiannaとCarlosが、店主を失ったレストランの片付けをするなかで見つけた遺品からイタリアの田舎町の風車小屋の鍵と古い日記を見つけたことで、自分の祖先である曽祖母Aniceの過去に興味を持ち始める。

一方、日記からは第一次世界大戦前の祖父母の生き方が少しずつ明らかになっていく。物語はそんなふうに現代と戦時の二つの時代を行き来しながら、また地理的にもバルセロナとイタリア北部の田舎町をを行き来しながら展開していく。

Giannaは交際していた結婚している男性との間に子供ができてしまったことで、建築家としてのキャリアを諦めるべきか子供を中絶すべきか悩むこととなる。そんななか少しずつ明らかになっていくAniceの生き方がGiannaに大きな刺激となるのである。

世の中の男女の不平等に触れながらも、女性らしい強い生き方を描く。

スペイン語新表現
la boca muere el pez 口は災いの元
estar patas arriba はめちゃくちゃである(足が上である)
patear las calles 徹底的に街を歩き探す
sin rodeos 単刀直入に
dar rienda suelta a 〜を思う存分発揮する(〜に自由な手綱を与える)

「まるまるの毬」西條奈加

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
吉川英治文学新人賞受賞作品。江戸で和菓子屋の南星屋(なんぼしや)を営む家族、治兵衛(じへい)、娘のお永(えい)、孫娘のお君(きみ)を描く。

物語は和菓子屋である南星屋(なんぼしや)を中心に進む。物語が進むに従って治兵衛(じへい)の和菓子作りだけでなく、お永(えい)の元夫との関係や、武家出身伝ある治兵衛(じへい)の過去など、家族の物語や、老舗和菓子屋との確執などにも広がっていく。

江戸時代という200年以上昔を描いているにも関わらず、人々の毎日の様子が生き生きと伝わってくる。このゆな人間のさまざまな感情を描いた時代小説に出会うと、いつの世も人間というのは変わらないのだと感じた。

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「コロナと潜水服」奥田英朗

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
5編の少し不思議な物語。

どの物語も引っ越したり、リストラされたり、閑職に追い込まれたり、コロナ禍で世の中が大きく変わったり、と人生の転機を描いている。また、それぞれの物語で少し不思議なことが起きるので、昔懐かしい「世にも奇妙な物語」のほっこり版といった印象である。

5編のうち3編が50歳前後の男性を描いているということで、僕自身と年齢が近く、必ずしも共感ではないが暖かい気持ち読むことができた。一方で特に強くお勧めするほど何か学びや新鮮な描写があるわけではない。気楽な読書を楽しみたい人にはいいかもしれない。

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「しろがねの葉」千早茜

しろがねの葉

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
第168回(2023年)直木賞受賞作品。両親とはぐれたウメは銀の採掘で栄えていた石見で喜兵衛(きへい)のもとで生きることとなる。

石見で少しずつ大人になっていくウメの様子を描く。子供の頃は周囲の子供たちと同じように、大人たちをみてやがて銀山で働く人間になろうとする。しかし、成長するに従って、自分が女であり、石見では男と女の生き方は大きく異なることに気づいていく。男は多くの銀を掘り当てることて周囲からの尊敬を集めるが、その過酷な労働環境から長くは生きられない。一方、女は労働力となる男をたくさん産むことを求められ、夫が早死にすれば、またべつの夫と再婚して子供をもうけることを求められるのである。

そんな環境でウメは、幼い頃は喜兵衛(きへい)のもとで銀の採掘に関する多くのことを学びながらも、やがて、幼馴染の隼人(はやと)の妻となって多くの女性と同じように生きることとなる。

石見銀山については地理も歴史もほとんど知識がなかったので新鮮ではある。一方で、一人一人の登場人物、特にウメ、喜兵衛(きへい)、隼人(はやと)などの生き方や考え方をもっと深掘りできたら、もっと良い作品になったのではないだろうか。

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「Nightcrawling」Leila Mottley

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
父が亡くなり、母もいなくなった家庭で、兄のMarcusと生活をする17歳のKiaraの様子を描く。

Kiaraは兄のMarcusとともに生活していたが、家賃の値上げをきっかけに、アルバイトを探し始める。兄のMarcusは音楽家になる夢を捨てられずに仕事が続かないことから、やがてKiaraは自分の体を売ることとなる。そして少しずつ、大きな売春へと関わることとなっていく。

これまであまり黒人女性を描いた物語に触れたことがなかったので新鮮だった。Kiaraが自分や友人のために少しずつ体を売る生活をせざるを得なくなる点が印象的で、映画などで見る白人の豊かな生活はアメリカ社会の一部でしかないのだと感じた。あまり描かれることのないアメリカの貧困層の生活を知ることができるだろう。

英語新表現
neighborhood staple 近所になくてはならない存在
zip-tie 結束バンドで結ぶ
take a beat 一拍置く、少し間を置く
tug-of-war 綱引き

「あなたの才能も一気に開花 プロだけが知っている小説の書き方」森沢明夫

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
小説家の著者が小説の書き方を語る。

最近小説を書いてみようかと思い立って、書き始めたのだが、予想以上に難しい。特に自分の体験は比較的書けるにもかかわらず、女性の登場人物が難しい。少しでもヒントがあればと思い本書を手に取った。ちなみにこの著者の作品には触れたことがないので、面白い小説なのかどうかもわからない。

本書は作家を志す人々からの質問に答える形で、著者の考え方を解説している。特にどれかの項目が印象的だったわけではないが、なんとなく行き詰まった時に何をすべきか掴めた気がする。

また、詰まった時にこのような本に触れたいと思った。

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「地図と拳」小川哲

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
第168回(2022年下半期)直木賞受賞作品。1899年、日本が満州へと領地を拡大するなか、その地で生きる日本人や中国人を描く。

日本の側は、満州の地図を描くプロジェクトを中心にそこに関わる人々を描く。一方で中国の側は、外国人が押し寄せてきたことによって家族や家を失った李大綱(リーダーガン)が、その思いを力に変え、のし上がっていく様子と合わせて、同じように不幸な環境で育ったその娘の孫氶琳(ソンチョンリン)を中心に描く。

タイトルにあるように日本の川では満州の地図を描くことや建築についての思考錯誤する様子が繰り返し描かれる。現代で言うとAIのように、正確な地図が広まっていなかった当時は、正確な地図を描くことが単に個人の知識としても、国家間の争いにおいても大きな意味を持ったことが伝わってくる。

しかし、満州という新しい国土をどのように発展させるかを議論を重ねて進める中で、満州という場所を国土として維持できないのであれば、苦労して築いた場所がそのまま敵国のものになってしまうという事実もあるのである。世界を巻き込んだ戦争へと突き進む中で、立場や持っている情報によって、日本人の間でも満州にしっかりとした街を築こうとするものと、満州への資源の投資を節約しようとする人など立場が分かれるのが興味深い。

カンボジアの内戦を描いた「ゲームの王国」でも感じたことだが、著者小川哲が膨大な時間をかけて歴史の調査にあてながら物語に仕上げているのを感じる。しかし、その一方で、それぞれの登場人物の心情描写が乏しく人間としての深みがほとんど感じられない。登場人物の個性が薄いため名前だけの存在になってしまい、読んでいるうちに誰が誰だかわからなくなることが多々ある。読者として有意義な読書にするためには、人間の物語に期待するのではなく、教科書よりも詳細に描かれた歴史として、少しでも現代に通じる真理や知識を学び取ろうという積極的な姿勢が求められる。

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「成瀬は天下を取りにいく」宮島美奈

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
第21回(2024年)本屋大賞受賞作品。けん玉やシャボン玉など幼い頃からなんでもできて、周囲に振り回されない生き方を貫く中学二年生成瀬あかりの様子を友人の島崎(しまざき)が語る。

成瀬(なるせ)と島崎(しまざき)は地元の西部デパートの閉店のカウントダウンで毎日西武に通うことにしたり、一緒にM-1グランプリに出場するために漫才をしたりするのである。そんな毎日一生懸命生きる二人の様子はきっと良い刺激になることだろう。

本書の魅力は成瀬(なるせ)の真っ直ぐな考え方やその行動力であるが、もう一つ面白いのは滋賀県の膳所(ぜぜ)を舞台にしていることである。大都市でもなければ田舎でもなく、そんなほどほどの街だからこそあまり物語に登場しない場所なので新鮮である。

全体的に、成瀬(なるせ)真っ直ぐに生き方が爽快である。現実ではなかなかここまで割り切って生きることが難しいからこそ、読者の琴線に触れるのではないだろうか。とりあえず自分も成瀬を見習って200歳まで生きることを挑戦したいと思った。

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「インフレーション宇宙論」佐藤勝彦

★★★☆☆ 3/5
宇宙の始まりに関するインフレーション理論について説明する。

宇宙の物語について少しでも理解したくて、宇宙論や量子論に関する本を読んでおり、本書にもその過程で出会った。

本書ではビッグバン理論までの流れとビッグバン理論の矛盾を説明し、その後インフレーション理論を説明していく。
相変わらず想像上の話が多く理解しずらいが、インフレーション理論とはそれまでのビッグバン理論を否定するものではなく、ビッグバン理論では説明できないビッグバン理論以前の宇宙を説明する理論、つまり捕捉する理論であることがわかった。

相変わらず読めば読むほどわからない考えや理論が溢れてくることに圧倒される。暗黒物質、暗黒エネルギー、真空のエネルギー、グレートウォール、力の統一論など、引き続き知識を深めていきたいと思った。

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「コーチング思考」五十嵐久

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
経営者専門のコーチである著者がコーチングの重要性と考えを語る。

年齢を重ねると若い頃のようにさまざまなことを指摘してもらう機会が減ってくるし、どうしても決まった考え方に流れがちである。そういう意味ではコーチングが重要であることは明確なのだが、コーチをつけた経験もないので、実際それがどんなものなのだかがわからない。同時に、むしろ自分自身が妻や子供、同僚への良いコーチになりえるなためのヒントが得られるのではないかと感じてこちらに辿り着いた。

コーチングにおいて重要な考え方のいくつかを箇条書きにしてくれている点がありがたい。例えば次のような項目である。

コーチャビリティを伸ばす「SPACE」
・自分を知っている(Sele-Awareness)
・情熱がある(Passion)
・当事者意識がある(Accountability)
・好奇心旺盛である(Curiosity)
・実行力がある(Execusion-Ability)

本書ではコーチャブルな人間としてこの項目を書いているが、成長を続けられる人の特徴とも言える。常に自分がSPACEであるか意識したいと思った。

なかでももっとも印象的だったのが、成功の循環モデルというものである。

成功の循環モデル
・関係性の質
・思考の質
・行動の質
・結果の質

世の中には良いサイクルと、悪いサイクルがあり良いサイクルは関係性の質の改善から取り組むのに対して、悪いサイクルは結果の質を改善しようと取り組むとしている。これこそまさに、世の中のうまくいっていない企業や人間関係を端的に表していると感じた。

全体的に日本の本屋にあふれている余白だらけでどこかで聞いたような話の寄せ集めのような内容の薄い本に見えたが、読んでみると初めて聞く話など印象的な内容もあった。

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「コロナ漂流録 2022の銃弾の行方」海堂尊

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
コロナの感染者数が増える中、前首相が手製の銃で狙撃される。コロナ禍の東城医大を中心に政治や社会の様子を描く。

コロナ三部作の三作品目である。前二作品と同様に、実際の出来事にかなり忠実に描かれているので、前首相の狙撃などは描かれているものの、読者の想像を超えるような物語の大きな動きは少ない。一方で中抜きのために税金を大量に投入してつくったコロナアプリや、ワクチンの補助金を受け取りつつワクチン開発を断念した企業の問題など、今まで御用メディアが報じない政治の深刻な問題に目を向けてくれる。

随意契約で四億円、問題が発覚した後の再委託が三億五千円、総額七億五千万円の税金を投入して開発されたアプリは、不具合が次々に噴出して機能不全になっていた。
しかも支払いは中抜きに次ぐ中抜きで、実際に開発した下請け会社に渡ったのはたったの四百万円だったというのだから、呆れて物が言えない。

上場以来二十年、株式市場から資金調達を続けながらも一度も黒字化していない製薬会社で、ワクチン開発実績ゼロのベンチャーに百億円以上も補助金をだすなんて決めやがったのは、一体どこのどいつだよ

結果として国への大きな失望感を感じるとともに、一人の国民として行動をしなければならないという危機意識を再認識させられた。そしてまた、世の中の動向を知るにはテレビだけでは不十分どころかむしろ危険で、多方面の視点から描かれた感想や物語に触れるのが一番だと感じた。

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「ELEVATE 自分を高める4つの力の磨き方」ロバート・クレイザー

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
自分を高める4つの力について順を追って説明している。

自分を高める4つの力を精神のキャパシティ、知性のキャパシティ、身体のキャパシティ、感情のキャパシティとしてそれぞれを章ごとに説明している。身体のキャパシティ以外の3つが若干区別しずらいが、日本語では目的、知識、健康、心構え、という言葉で語られることが多い。

印象的だったのは感情のキャパシティの章で触れられていた、人の心に変化を起こすとする次の公式である。

心のつながり+挑戦=変化

改めて、人や世の中を良い方向に変化させるためには、適度なつながりを構築する必要があることを感じた。

それぞれの章の冒頭に格言が書かれているのが興味深い。印象深かったものを挙げると次の2つである。

心の姿勢が正しい人が目標を達成するのを阻止することができる者は存在しないし、
心の姿勢が間違っている人を助けられる者もこの世には存在しない
自分が若いときにいてほしかった人になれ

ページ数も少ないうえに余白も多く、内容も引用や本やWebサイトの紹介が多く、値段に見合うほど中身の濃い本とは言えない。1時間程度で読み終わってしまうような内容なので、学べる点をなにがなんでも見つけようとか、紹介されている本やサイトをすべて見てみよう、など強く意識しない限り意味のある読書にはならないだろう。

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