「ダライ・ラマ自伝」ダライ・ラマ

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
5歳のときにダライ・ラマとして即位しその後中国の侵略によってインドに亡命しながらも祖国チベットの平和のために尽くすダライ・ラマ14世がこれまでの生涯を語る。
インドに亡命してから、多くの国の著名人達と出会って、祖国の平和のために尽くすダライ・ラマの姿からは、僕ら日本人が普段意識しない何か大切なものの存在を感じられるのではないだろうか。本書を読もうと思ったきっかけは、チベットを扱った映画「セブン・イヤーズ・イン・チベット」のなかの、神の化身ように人々から扱われているダライ・ラマと、最近メディアで見かける人のいいおじさんのようなダライ・ラマの間の隔たりに興味を持ったからである。本書を読んでその隔たりがすべて埋まったわけではないが、ダライ・ラマが仏教やチベットの伝統を変えてまでそこくに尽くそうとした結果なのだろう。僕らは、仏教に限らず、宗教における地位の高い人の人柄を想像するとき、考え方の偏った人間を想像してしまうが、少なくともダライ・ラマ14世に関しては、新しい考え方を偏見なく受け入れようという姿勢を持っているように見える。
また本書では繰り返し、中国のチベットに対する行いの非道な行いについて触れられている。近隣の国で起こったことにも関わらず、あまり自分が知らなかった事にも驚かされた。
そして、ダライ・ラマのこんな言葉に未来への希望を感じた。

わたしは、消費そのものを目的とする消費者優先主義が、われわれ人間は地球の資源を保護しなくてはならないという正しい判断に道を譲りつつあることに勇気づけられるのだ。これは非常に大切なことである。

あまりページを先へ先へとめくりたくなるような文章ではなく、多少読み進めるのに根気がいるが、ダライ・ラマという人間を知るのには大いに役立つだろう。
【楽天ブックス】「ダライ・ラマ自伝」

「セブンイヤーズ・イン・チベット チベットの7年」ハインリヒ・ハラー

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
オーストラリア人の登山家がチベットにたどり着く。そこでの生活からチベットの魅力に取り憑かれていく。
ブラッドピット主演で映画になった「セブンイヤーズ・イン・チベット」の原作である。冒頭で著者自身も「わたしには文才がない」と述べているように、映画のように面白く読者を飽きさせないような展開や描写ではなく、むしろ著者自身の体験をひたすら単調に綴った形になっている。そのため、冒険物語を期待して本書を手に取った人にとってはやや期待はずれかもしれないが、それでも著者の体験を通じてチベットという土地の魅力は伝わってくるだろう。
本書を読んで改めて興味を持ったのが、ダライ・ラマ14世の生き方である。最近ではテレビ出演までしているのダライ・ラマは、著者がチベットを訪れた1940年代には、チベットの人はダライ・ラマを直接見ることさえしなかったのである。チベットの平和や世界の平和を守るためにダライ・ラマが伝統よりも重要なこと、として決断した結果なのだろうか。
また、ダライ・ラマ14世の誕生の話を知ると、世の中には本当に「輪廻」というものはあるのかもしれない、と感じる。チベットや、ダライ・ラマについてもっと知りたいと思わせてくれる一冊である。
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「ランウェイ・ビート 」maha

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
青々山学園高校に転校してきた背の低い生徒ビート。おしゃれが好きでかっこいい服を作ってクラス全体を巻き込んでいく。
高校を舞台とした青春物語、コンピューターオタクだったワンダやモデルをしていたミキなど、次々とビートの力に巻き込まれていくなか、やがて一つのブランドを立ち上げようとする。ちなみに、著者はmahaとなっているが、美術を題材とした小説でも有名な原田マハである。しかし、残念ながらほかの原田マハ作品にあるように、美術に関する深い知識のようなものを感じさせてくれる内容ではない。
一気読みしてすっきりしたい人向けの物語。
【楽天ブックス】「ランウェイ・ビート 」

「あるロマ家族の遍歴 生まれながらのさすらい人」ミショ・ニコリッチ

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
ロマとして生きるミショ・ニコリッチがその人生を語る。
人生のあり方について考えるうちに、イタリア旅行に行った際のジプリーの姿が蘇った。通常の文明社会からは距離をとりながら、移動を繰り返し生活するジプシーの生き方とはどんなものなのだろうか。何に価値を見いだしてそのような生き方をするのだろうか、と。
本書はそんなジプシーとして生きる一人の男性によって書かれたものである。父親と母親との出会いから、著者自身が大人になって多くの人間と関係を築き、また戦争という大きな動きのなかで生き抜いていく様子が描かれている。ジプシーに限らずこの時代は誰にとっても困難なものだっただろうから、ジプシーとそれ以外の人の生活の違い、というのは見えにくい。むしろ、家に住んだり、車に乗ったりと、予想以上に通常の生活をしていることに驚かされた。
本書で描かれる程通常の生活を彼らがするのであれば、疑問はむしろ、なぜ彼らは差別を受けるのだろうか、ということであるが、本書ではそのようなことには触れられていない。それでも動乱の時代を生きた一人の人間の物語としては楽しめるだろう。
【楽天ブックス】「あるロマ家族の遍歴 生まれながらのさすらい人」

「シメオネ超効果 リーダーの言葉で今あるチームは強くなる」ディエゴ・シメオネ

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
それまでFCバルセロナやレアル・マドリートの影に甘んじていたアトレティコマドリートを強豪チームに作り替えたシメオネ。その考え方を語る。
最近サッカーから離れていために、あまり意識していなかったのだが、確かに最近のアトレティコ・マドリートの飛躍は驚くほどである。以前は数あるチームのなかの一つに過ぎなかったのが、昨年にはヨーロッパチャンピオンズリーグの決勝まで進んでいたのである。残念ながら選手としてのシメオネは、アルゼンチンの代表ではありながらも、特に僕にとって目立った印象を残すほどではなかったが、このような現在の成功を考えると、見えない部分でチームの重要な役割を担っていたのだろう。
本書ではシメオネがチームを導く際に、常に意識している信念などについて語る。その内容の多くは、ほかの成功物語やリーダーシップについて語られた本と共通する部分もあるが、ところどころでシメオネという人間の個性が見えてくる。

発言と行動が違ったら決して許してもらえない
強制されたことは必ず悪い結果に繋がる
名選手とは、長所を伸ばし短所を隠せる者
ボールではなくサッカーをプレーする選手を支持する

本書だけでなく、多国籍のチームを一つにまとめあげる監督の物語は、人を率いる立場の多くの人に読んで欲しい。
【楽天ブックス】「シメオネ超効果 リーダーの言葉で今あるチームは強くなる」

「さようならオレンジ」岩城けい

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
第29回太宰治賞受賞作品。
アフリカから日本に移り住んだサリマとその同じような境遇の外国人が、学び、働き、子供を育てながら新しい文化に溶け込もうとする様子を描く。
後半まで、物語の舞台がどこだかわからなかったが、最終的には日本なのだろうという結論に至った。というのも本書では何度もサリマや、その友人のハリネズミが英語を学んでいる様子が描かれるのである。英語を学んでいるのだからそこはアメリカなどの英語圏なのだろう、と思ってしまったのだ。本書はこの点について、つまりなぜ日本語ではなく英語を学んでいるのかという点には触れていないが、僕自身がこのような境遇の人々の生活の苦しさを普段意識していない事に気付かせてくれた。
言語の問題だけでなく、サリマたちは子供を育てるために劣悪な環境で働くことになる。それでも少しずつそんな生活に適応していくのだ。最初は自分を受け入れてくれない周囲の人々に不満を抱いていたサリマが、少しずつ勉強や仕事に生き甲斐を見いだして、周囲の人々の親切や温かさにも触れていく。そんな様子は心を和ませてくれるだろう。
今まで以上に異文化に目を向けようと思わせる温かい一冊。
【楽天ブックス】「さようならオレンジ」

「IMF(国際通貨基金)使命と誤算」大田英明

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
IMFについて語る。
誰もが一度は耳にしたことがあるであろうIMFという組織。ところが実際その目的は何でどのような活動をしているかというとほとんどの人は知らないのではないだろうか。本書ではその発足の経緯と役割や実例について示している。簡単に書かれているとはされているが、僕も含めて外交や経済のある程度の知識がないとすべてを理解するのは難しいだろう。
個人的にはIMFや国際機関の役割の重要性を漠然と理解させてくれるとともに、経済的分野においてもっと知識を深めたいという良い刺激を与えてくれた。

外貨準備
中央銀行あるいは中央政府等の金融当局が外貨を保持すること。保持している外貨の量を外貨準備高(がいかじゅんびだか)という。(Wikipedia「外貨準備」
金融自由化
金融業において、金利、業務分野、金融商品、店舗などの、それまで政府によって制限されていた事柄の制限が廃止されて自由になることをいう。(Wikipedia「金融自由化」
資本自由化
国際資本取引に対する制限を緩和,撤廃することで,広義には資本の流入,流出の両面についての自由化をいうが,狭義には外国資本の流入,特に外国企業の進出を自由に認めることをいう。(コトバンク「資本自由化」
世界銀行
各国の中央政府または同政府から債務保証を受けた機関に対し融資を行う国際機関。当初は国際復興開発銀行を指したが、1960年に設立された国際開発協会とあわせて世界銀行と呼ぶ。(Wikipedia「世界銀行」

【楽天ブックス】「IMF(国際通貨基金)使命と誤算」

「Messgenger of Truth」Jacqueline Winspear

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
展覧会の準備中に組み立ててあった足場から落ちて亡くなった期待の芸術家Nick。双子の姉であるGeorginaがその死に他殺の疑いを抱いて、Maisieに調査を依頼する。
Maisie Dobbsシリーズの第4弾。探偵物語というだけではもはやありふれたものになってしまうだろう今、本シリーズは戦争の悲惨さをその物語のなかで常に訴える点が面白い。本作品はある芸術家Nickの死の謎を解くことが調査の目的であるが、彼は戦争から戻ってきた後にその悲惨な体験を絵に描くことで芸術家として開花する事となったし、依頼主でありNickの双子の姉であるGeorginaは文章を描くことに才能を持ち、戦争を描写することで評価をあげたのだった。また、NickとGeorginaの姉であるNollyも夫を戦争で失っているという過去を持つ。そして、Maisieが少しずつ真実に近づいていくに従って、各々が戦時中に受けたつらい経験や過去、知りたくなかった出来事が見えてくる事になる。
また、調査だけでなくMaisieのアシスタントのBillyの生活や、Maisieに想いを寄せる医者Andrew Deneとの関係にも変化が起きる。心に傷を抱えながらもそれぞれが少しずつ人生を歩んでいく様子が印象的である。また、一方で、ドイツでヒトラーが勢いを増しているという。今後どのように展開していくのだろうか。

「目標達成の技術」青木仁志

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
目標達成に必要な考え方や心構えを語る。
著者は都内で繰り返しセミナーを開催しており、その内容の多くも含まれている。基本的には自身が元々もっていた考えに近い物だが、印象的だったのは人生において明確な目的を持つべきという点で、自分の人生にの目標についてもっと具体的にイメージしないといけないと思った。しかし、全体的には世の中には溢れ返っている自己啓発本とあまり変わらない印象を受けた。ベースとなっている「選択理論」の考え方自体は非常に好きなものではあるが、本として強い印象を残すほどではなかった。
【楽天ブックス】「目標達成の技術 」

「Indemnity Only」Sara Paretsky

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
有名銀行の幹部と名乗る男からその息子の恋人を探して欲しいという依頼を受ける。しかし、調査を始めたV.I. Warshwskiが最初に見つけたのはその息子の死体であった。
V.I. Warshwskiシリーズの第1弾。V.I. Warshwskiという名前から日本人の僕にはそれが男性だか女性だか判断できなかったのだが、女性である。
行方不明の若い女性の捜索という簡単な仕事のはずが、マフィアや巨大な組織犯罪と関わっていく事となる。シカゴを舞台としており、シカゴを本拠地とするメジャーリーグチームの動向など、アメリカ人の生活も伺える点が面白い。本書の事件はややありきたりではあるが今後どう物語が広がっていくのか、このシリーズをもう少し読んで善し悪しを判断してみたいと思った。

「断捨離 私らしい生き方のすすめ」川畑のぶこ

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
ものを捨てる事による人生への効用を語る。
断捨離について書いた本の2冊目であるが、本書はどちらかというとすでに断捨離を始めた人向けである。断捨離の方法だけでなく、それによってぶつかろうであろう障壁や、それによって変わる考え方にまで触れている点が、1回目に読んだ断捨離の本とは異なる。最後の章のタイトルとなっている「モノより経験を」はまさに僕自身が思っているだ。むしろそういう考えを持てずにモノに執着している人が読むべき本なのかもしれない。
【楽天ブックス】「断捨離 私らしい生き方のすすめ」

「月は怒らない」垣根涼介

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
借金の清算を請け負う仕事をする梶原(かじわら)。大学生の弘樹(ひろき)、警察官の和田(わだ)。お互いに接点のない3人はいずれも市役所で働く三谷恭子(みたにきょうこ)という女性と不思議な関係を持つ。1人の女性と3人の男性の不思議な関係を描く物語。
物語は25歳の三谷恭子(みたにきょうこ)を中心とした、それぞれの男性との関係と、その発端となったできごとを描く。三谷恭子(みたにきょうこ)自身、特に美人でもなければ派手な服装をすることもなく、男性に誘いをかけることもない。それでも3人の男性は彼女に惹かれて、繰り返し合ってくれる事を求めるのである。彼女の持つその魅力は一体何なのか、また、その年齢の割に、地味で目立たないように生きようとする三谷恭子(みたにきょうこ)の目的は何なのか。それが物語の面白さとなっている。
やがて、三谷恭子(みたにきょうこ)がたびたびある公園に訪れてそこで短期記憶しか持つ事のできない男性と話すことがわかる。毎回初対面を装ってその男性に話しかける三谷恭子(みたにきょうこ)は人生に何を求めているのだろう。次第にその形が明らかになっていく。
誰もが「満たされたい」と思いながら、異性やモノや権力でその隙間を埋めようとするが、永遠に「満たされない」。人によってはそれを知りその努力すらすることをしない。人間の生きる意味とは一体なんなんだろうか。そんなことを考えさせる作品。

本来ヒトは意味なく生まれ、意味なく死んでいく。そして、人間だけがその虚しさを知り、それに耐えていく動物と言えば、言えるのかもしれません。
止観(しかん)
仏教の瞑想のことである。サンスクリット語から「奢摩他(サマタ)・毘鉢舎那(ビバシャナ)」と音訳されることもある。禅観(ぜんかん)とも。(Wikipedia「止観(しかん)」)

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「断捨離アンになろう! モノを捨てれば福が来る」鈴木淳子

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
「断捨離」という言葉はすでに5年ほど前から聞かれるようになったが、本書はそのブームを作ったなかの1冊。モノを捨てることの効用を語る。
もともと僕自身モノに執着する方ではないが、ここ数年その傾向に一段と拍車がかかった気がする。海外でも「ミニマリスト」「ミニマリズム」という言葉で語られることだが、「断捨離」とは単純に「モノを捨てる」行為ではなくて、自分の周囲にあるモノ、人、時間などを、「本当に自分に必要か?」と改めて問いかける行為であり、その結果として、必要のないと判断したものを捨てることになるのである。
本書に書かれていることは、基本的に僕自身が元々持っていた考え方に似ていて特に目新しい考え方はなかったのだが、いくつか元々の考え方の助けになりそうな表現に出会えた。

デパートや洋服屋さんは私のクローゼット
スーパーやコンビニは私の冷蔵庫
図書館や書店やインターネットは私の本棚

【楽天ブックス】「断捨離アンになろう! モノを捨てれば福が来る」

「変わる世界、立ち後れる日本」ビル・エモット

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
世界のなかで日本が向かうべき方向を示してくれる。
5年ほど前に書かれた本ということで、やや現状にそぐわない部分もあったが、日本を中心に現状と未来への提言を書いている。正直、なかなかすべてを理解したとは言い難く、読んでいるうちに自分の知識の乏しさを思い知ることになった。本書で触れられている言葉の意味をもっとしっかり理解しておきたいと思った。例えばGATT、IMF、WTOなどのそれぞれの発足の経緯やその活動内容。変動為替性と固定為替性のメリット、デメリットなどである。
個人的にはサービス業と製造業という分類に対して疑問を呈している著者の姿勢が印象的だった。

しかし実際のところ、この二つはお互いに深く関連している。つまり、製造業にとって不可欠なデザインや最先端の技術革新は、どちらもサービス業である。

もう少し経済についても知識を深めるべきだと思わされた。
【楽天ブックス】「変わる世界、立ち後れる日本」

「世界でもっとも強力な9のアルゴリズム」ジョン・マコーミック

オススメ度 ★★★☆☆
世界的に有名なアルゴリズムについて説明する。
検索エンジンのインデックス方法、ページランクの付け方、公開鍵暗号法、ファイルの圧縮など、もはや人々の生活にとって欠かせないものとなってしまった、アルゴリズムの仕組みをわかりやすく説明してくれる。検索エンジンのインデックス方法やページランクは以前より興味を持っていた内容だったので非常に楽しむ事ができた。公開鍵暗号法はとても面白い内容でそれを扱っている本は本書だけではないのだが、残念ながら本書の説明の仕方がわかりやすいとは思えなかった。本書でいまいちわからなかった方にはサイモン・シンの「暗号解読」という本をお薦めしたい。
画像圧縮の話も面白かったが、終盤はややわかりにくい話になってしまったように思う。序盤がわかりやすく面白かっただけに本の完成度を落としてしまった感じで残念である。
【楽天ブックス】「世界でもっとも強力な9のアルゴリズム」

「三国志(二)」吉川英治

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
三国志の第二弾。董卓(とうたく)が権力を強めていく。
洛陽から長安へと董卓(とうたく)は移動する。王允(おういん)は美しい女性、貂蝉(ちょうせん)に命じて、董卓(とうたく)を討とうとする。
相変わらず人名の多さや、中国の地理に体する無知ゆえに物語にしっかり着いていってない感じもあるが、呂布(りょふ)、劉備(りゅうび)、曹操(そうそう)、孫策(そんさく)などそれぞれの個性が徐々に見えてくる。ようやく読み続けられるかも、と思えてきたが、きっと三国志の物語をしっかりと理解するには小説だけでなくマンガやゲームなど繰り返し触れる必要があるのだろう。
【楽天ブックス】「三国志(二)」

「三国志(一)」吉川英治

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
日本の邪馬台国の時代。中国では後漢の霊帝の代。青年劉備(りゅうび)は関羽(かんう)、張飛(ちょうひ)とともに世を救うために旅立つ。
物語としてはこれ以上ないというほどに有名な物語だが、これまで小説に限らずマンガ、アニメ、ゲーム含めて一切触れたことがなかった。それでも長く語り継がれる物語には相応の理由があるということで今回手に取った。
序盤は劉備(りゅうび)を中心としたよくある冒険物語といった印象を受けたが、その後の流れは単純な英雄伝説のようにはいかないらしく、物語の壮大さを感じさせる。
後半に入ると人名や地名などに着いていけない感じがしてきた。そもそも「三国志」の「三国」とは何を指すのかすら未だわかっていないが、頑張って読み進める事にする。
【楽天ブックス】「三国志(一)」

「アイデアのちから」チップ・ハース/ダン・ハース

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
重要でもないのに人々が何年も語り継ぐ都市伝説と、重要で広まって欲しいのにすぐに忘れ去られてしまう物語の違いは一体なんなのだろう。アイデアに普及力、影響力を与えるための方法を研究した著者がその内容を語る。
著者の説明によると力のあるアイデアは次の6つの要素を満たしているという。

単純で、意外性があり、具体的で、信頼性があって、感情に訴える物語(Simple Unexpected Concrete Credible Emoritonal Story)

頭文字をとるとSUCCESsとなる。本書ではそんな6原則について、例を交えながら説明する。アポロ計画の成功や「知の呪縛」など、有名な話もあれば、初めて聞いた話もあった。本書で説明されている内容を、本当に伝えたい話をするときは意識してとりいれてみるといいだろう。
【楽天ブックス】「アイデアのちから」

「サクラ咲く」辻村深月

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
学生たちの物語の3部作。
タイムマシンで未来からやってきた少年との友情。図書館の本のなかで行われる見知らぬ相手とのメッセージの交換。映画を作ろうとする映画同好会。どれも懐かしい教室のかおりが漂うような物語。辻村深月の他の作品のように、人間の感情を鋭く描き出すような描写は本作品にはなく、そのせいで物語自体に目新しさはないが、力を抜いた楽しめる青春小説に仕上がっている。
3つの物語が微妙に繋がっている点も読者を楽しませてくれるだろう。
【楽天ブックス】「サクラ咲く」

「魂を売らずに成功する 伝説のビジネス誌編集長が選んだ飛躍のルール52」アラン・M・ウェバー

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
多くの起業家や偉大なリーダー達と話をした経験を持つ著者が、自分を偽らずに成功をする52のルールについてまとめた。
確かに「成功」という言葉は、金銭的に潤うという意味でとらえられることが多いが、それで本人が幸せになれるかというと、そんなことはないのだろう。特に高いモラルを備えた人間であれば社会の役に立ち、自らの良心に恥じない行動によって報酬を得て初めて「成功」と言えるのではないだろうか。
著者が本書を書く発端もまさにそれである。52のルールに著者自身の経験や見聞きした内容をふまえてわかりやすく説明をする。どれも世の中に存在する多くの企業の社長に聞かせたいことばばかりである。

T「社員が一番大事な資源」と断言しているのに、景気が後退したり株価が下落したりすれば、真っ先に人件費をカットするのはなぜだろう。

残念ながら英語を日本語に無理に訳したせいか、どのルールも言葉的に陳腐な響きになってしまっているように感じる。
【楽天ブックス】「魂を売らずに成功する 伝説のビジネス誌編集長が選んだ飛躍のルール52」