「マツダがBMWを超える日 クールジャパンからプレミアムジャパン・ブランド戦略へ」山崎明

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
品質はいいのに「安くていいもの」しか作れない日本の企業を嘆き、BMWやロレックスなどを例に、ブランドの育て方を語っている。

高級なブランドを作ろうと思ったら何をすればいいだろう。高品質なものを高く売ることから始めたらいいだろうか。おそらく高級なブランドを作るために考えなければならないのは、品質と値段だけではないのだ。ブランドが確立されれば、品質によらず商品が高く売れる。本書は自動車ブランドを中心い多くの例を交えながら、ブランドを語っている。

序盤では、海外のブランドに焦点をあて、それらがどのようにブランドを確立していったかを説明している。例えば、BMWは50年ほど前までは高級と呼ばれるレベルではなかったが、「運転を楽しむ」という個性を追求した結果、今ではメルセデスと並ぶブランドに成長している。そのほかにもロレックスやポルシェ、フォルクスワーゲンのブランド戦略を説明している。

中盤以降は、日本のメーカーに目を向けて、なぜブランド価値が上がらないかを説明している。トヨタがレクサスブランドを別に作りながら、やっていることが変わらないため、結局レクサスはトヨタと同じ大衆車という認識を持たれてしまっている。ブランドの価値を理解して、買収してもブランドの名を残すフォルクスワーゲンなどの海外ブランドと比較して、買収するとともに自社名に変更してしまうソニーなど(コニカミノルタ買収の件)日本企業をブランドの理解が乏しいと嘆いているのである。

そんななか、最後にマツダについて、唯一日本で海外ブランドと渡り合えるポテンシャルを持っていると推している。最近多方面でマツダへの注目の高さを耳にするので、今後にぜひ期待したい。

本書を読んで、海外の有名な自動車ブランドの多くが、実はフォルクスワーゲンの傘下に入っていることに驚かされた。ベントレーもブガッティもランボルギーニも現在はフォルクスワーゲンなんだという。この驚きがまさに、フォルクスワーゲンのブランド戦略がうまくいっている証拠と言えるだろう。ブランドを作るために大切なことがたくさん詰まっている一冊。

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「今すぐ本を出しなさい ビジネスを成長させる出版入門」水野俊哉

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
本を出版することをマーケティングと位置付けて、その方法を語る。

自分の考えを多くの人に届けるにはどのような方法があるだろうか。ブログやYouTubeなど選択肢がある中、出版という方法にも興味を持って、その進め方が知りたくて本書にたどり着いた。

本を出しても、それほど利益にならないことは多くの人がなんとなく感じていることではないだろうか。しかし、本を出すことにはマーケティングとして大きな意味がある。本書では、これまでのマーケティング手法が少しずつ通用しなくなった中、本を出すことのマーケティングとしての意味を語り、その手法を語っているのだ。

まず必要なことは、本を出す目的を明確にすることである。

テレビ・政界進出型
情報商材を売る・セミナーをする
副業から独立への道
趣味のブログ→夢の書籍化→人生の思い出作り
企画持ち込み→仕事の依頼→大ベストセラーを書くぞ
どうしても書きたいこと、伝えたいことがある

また、出版の3つのタイプを説明している。

商業出版
自費出版
カスタム出版

である。それぞれメリットもあればデメリットもあるので、出版の際はぜひ適切な選択をするのがいいだろう。

そして、最大の難関として出版社への企画の通し方について、多くのページを割いて説明している。大事なのは、テーマ選びと出版社の傾向の把握だという。人気のあるテーマとして本書では次のカテゴリを推している。

お金儲け
モテ・恋愛
結婚
自己実現
勉強法・読書術
時間術
開運方法

だれでも一つか二つ、語れることがあるのではないだろうか。

後半は、優れた目次の書き方や、作った本のプロモーションの手法について書いている。自分で買い占めてランキング上位に食い込む方法などは、倫理的にきになる人もいるかもしれないが、(個人的には許容範囲)出版した際は参考にしたいと思った。

全体的に、本書を読んで出版というものへのイメージがかなり見えてきた気がする。

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「小さな野心を燃料にして、人生を最高傑作にする方法」はあちゅう/村上萌

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
作家のはあちゅうとライフスタイルプロデューサーという肩書きで活躍する村上萌の2人の著者が、現在の一般的に成功していると言われる状態にたどり着くまでの紆余曲折の人生を交互に語っている。

年齢が、10歳ほど年下ということもあり、生きているなかで経験する文化が若干異なるのと、男性と女性という違いゆえの考え方の違いもある。。それでも、僕自身の心がけとの共通点もあり、また、女性ならではという考えかたの新鮮に感じる部分もあった。そして、見習いたいと思える心がけにもいくつか出会えた。

お土産は必要な分+2買う
花を欠かさない

成功している人たちも、いろいろ悩みながら付与曲折を経て、努力をするだけでなく、人とのつながりに恵まれ、目の前の機会に勇気を持って飛び込むなどしながら、現在の地位にたどり着いているとわかるだろう。むしろ大学を卒業して、人生に悩んでいる女性が読むともっといいのではないかと思った。

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「読書する人だけがたどり着ける場所」斎藤孝

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
読書時間ゼロの大学生が過半数を超えたという。そんな現状を嘆いて、著者は読書の効用を進めている。もちろん、大学生が何も読まないわけではないしいろんな情報には触れているのだろう。しかし、専門バカになるのではなく、深い人間になるために、インターネットで必要な情報に触れるだけでなく、読書をするべきだと主張しているのだ。

そんな主張の中で、最近のものから古典からまでさまざまな書籍を紹介している。僕自身も年間100冊以上の本を読み、読むたびにこのようにアウトプットをしているので、たくさん読んできた気でいるが、「人間失格」「カラマーゾフの兄弟」「マクベス」「金閣寺」など、タイトルは知っているほどの有名作品でありながらも、まだまだ読んでない本がたくさんあることに気づかされた。

また、著者は本を理解するための方法をいくつか紹介している。

感情をのせて読む

本のポップを書いてみよう

好きな文章を3つ選ぶ

好きな文章は、小説においてはよくやっているが、他の2つの方法もトライしてみたいと思った。そして、本書で、紹介されている本はぜひ読んでみたいと思った。読書に刺激を与えてくれる一冊。

「ホモ・デウス」ユヴァル・ノア・ハラリ
「E=mc2」デイヴィッド・ボダニス
「金閣寺」三島由紀夫

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「INSPIRED 熱狂させる製品を生み出すプロダクトマネジメント」マーティ・ケーガン

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
すぐれた製品の背後には必ず製品開発チームを率いて、顧客の抱える課題を解決する人間がいる、という著者の持つ信念をもとに、プロダクトマネジメントという役割について語る。

僕自身はデザイナーであるが、比較的プロダクトマネジメントという役割に近い位置におり、プロダクトマネジメントという役割を詳しく知ることはキャリアにおいてプラスになると考えて本書にたどりついた。

まず、序盤では、ロードマップを作って製品を開発する方法を「製品開発が失敗する方法」として否定しており、リーンやアジャイル型の開発を推奨している。しかし、多くの開発チームがリーンやアジャイルの考え方を十分に活かしきれていないとしている。

1.リスクには最後ではなく最初に取り組む。
2.製品の定義とデザインは、順を追ってではなく、協調させながら同時に実行される。
3.大切なのは機能を実装することではなく、問題解決をすることである。

ロードマップのデメリットは、開発チームの目を機能の実装に向けさせてしまう点がよくないのだという。本書では、ロードマップに変わるものとして、

製品のビジョンと戦略
ビジネスの目標

を挙げている。

本書を読んで知ったのは、プロダクトマネージャーが備えなければならない知識の多さ、そして注意しなければならない領域の広さである。本書ではプロダクトマネージャーが備えるべき資質・知識として

・顧客に関する深い知識
・データに関する深い知識
・自分のビジネスについての深い知識
・市場と業界についての深い知識
・頭が良く、創造的で、粘り強いこと

を挙げている。

中盤では、成功するためのプロセスとして、目標管理のためのOKRや、製品発見のための、プロトタイプやユーザーインタビューなどを説明している、それぞれが単独で一冊の本になりそうな分野を非常にコンパクトにまとまっていて、全体を網羅的に知りたい人にはちょうどいいのではないだろうか。

すぐに取り入れたいとおもった手法は、製品開発チームに顧客の利益に集中させる方法として書かれている。ワーキングバックワードプロセスと呼ばれるもので、架空のプレスリリースを考えるというものである。プレスリリースとして人々の注目を集めるためには、その製品がどのように顧客の生活を向上するかを簡潔に伝えなければならない。ワーキングバックワードプロセスとは、架空のプレスリリースを作って、製品開発チームに実現したいことを共通認識させるためのものである。同様の目的としてカスタマーレターという手法も紹介しているが、どちらも、目的が曖昧になったり、機能実装だけにフォーカスして、解決すべき課題を忘れがちな開発プロセスにおいて、明日からぜひとりいれたいと思った。

各章の間に挟まれているプロダクトマネージャーの物語として、AppleのiTunesやAdobeのCreative Cloudを率いた話も面白かった。

全体的に、翻訳がわかりにくくて読みにくい部分はあったが、プロダクトマネジメントについて包括的に説明している良書といえるだろう。機会があれば繰り返し読んでしっかり内容を理解したいと思った。

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「三つ編み」レティシア・コロンバニ

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
カナダのサラ、インドのスミタ、イタリアのジュリア、世界の異なる場所で女性として困難に立ち向かう3人の女性たちを描く。フランスで85万部を突破したベストセラーである。

インドのスミタは他人の糞便を手で拾い集める生活を送っていた。自分自身のカーストの低さゆえの生活を娘のラリータにはさせたくなく、娘に読み書きを学ばせることにする。

カナダのサラは弁護士として誰もが羨むような生活をしていたが、あるときガンであると診断される。常に他人を蹴落として上に上がる文化のある弁護士事務所で、その診断を隠して治療を受けようとする。

イタリアのシチリアのジュリアは、かつら工場を運営していた父が交通事故に遭い、工場を維持しなければならなくなった。

3人それぞれが程度の差こそあれ、女性ゆえの差別や息苦しさのなかで生きている。インドのカースト制度は信じられないような者だし、先進国であるカナダでも、女性ゆえにキャリアを積み上げるためには、男性のように働き続けなければならない。そして、シチリアでも、家族のために親の決めた相手と結婚しなければならない、というようなことが今も起きているのである。

そんな3人の女性が少しずつ一つの方向に向かっていく。決してハッピーエンドではないが、女性の生き方の難しさに無頓着な人間はこの一冊で何か学ぶ部分があるかもしれない。

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「モダン」原田マハ

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
ニューヨーク近代美術館MoMAに関連する5つの物語を収録している。

アンドリュー・ワイエスの作品展を開こうとした、日本の美術館とMoMAのやりとりを描いた作品。そして、MoMAの警備員が幽霊に出会う物語が印象に残った。アンドリュー・ワイエスという画家は名前しか知らなかったが、調べてみると確かに見たことがある絵で、その絵の裏側にある物語を知ることができた。また、警備員を主人公にした物語からは、警備員という普通なら誰も目を向けない存在に対する著者の優しさを感じた。著者の体験が色濃く反映されているように感じた。

そして、最後のMoMAに勤める日本人女性を扱った物語は、原田マハ自身を題材にしているのではないだろうか。全体的にMoMAという美術館のすばらしさを訴えており、MoMAの創始者であるアルフレッド・バー・ジュニアという人の行き方や、MoMAの歴史に興味を持った。

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「雑談の一流、二流、三流」桐生稔

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
雑談の一流になるための方法をまとめている。オリラジの中田敦彦がYouTube大学で勧めていたのでたどり着いた。

雑談力の本もいくつか読んでいるので似たような話ばかりではあるが、それでも改めて意識したいと思えることに出会えた。

一流は、挨拶にツープラスする
一流は、踏襲話法で話をつなげる
一流は、ほめポイント+ワンポイントで話を膨らませる
一流は、Before → Afterをほめる
一流は、相手に腹を向ける
一流は、教えを乞う
一流は、見えなくなるまで感謝を伝える

こうやって、印象に残った内容を整理してみると、コミュニケーションの達人と崇める妻が、よくやっていることだと気づいた。僕自身も、普段からこころがけてみたいと思った。

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「ノンデザイナーズ・タイプブック」Robin Williams

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
非デザイナー向けのデザイン書籍として有名なノンデザイナーズ・デザインブックのタイプ版である。正直、「ノンデザイナーズ」と謳っているわりには内容はデザイナーでも知らない人が多いのではないかというような内容で、むしろフォントや文字組をしっかり勉強してこなかったデザイナーこそ読むべき内容である。

常日頃書体には興味を持っているので知っている内容も多かったが、初めて知ったこともあった。

Garamondは優れた書体だが、小さい表示にはCaslonやTimesのほうが適していること。

短い行の長さの時に両端揃えを使うのは避けた方がよく、両端揃えにするためには活字サイズのポイント数の2倍の数のパイカ以上にすべきだということ。(つまり12pointの文字なら両端揃えにするために24パイカの行の長さが必要。)

日本語訳とはいえ内容は英語の文字組みに関することなので、日本のデザイナーにとってどこまで役にたつかわからないが、デザイナーとして知っておいて損はないだろう。

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「君と漕ぐ ながとろ高校カヌー部」武田彩乃

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
家庭の都合で埼玉県の田舎に引っ越した舞奈(まいな)が、川でカヌーをしている恵梨香(えりか)に出会い、高校のカヌー部に入部することを決意することから始まるカヌーを題材とした青春物語。

カヌーを題材とした物語というのに今まで触れたことがなかったので興味を持った。僕自身スキューバダイビングやパラグライダーなどの自然を相手にしたスポーツは体験したことがあり、そこにはほかのスポーツにはない魅力を感じる。忙しくなるとなかなかできなくなるが物語としてだけでも体験できるのはありがたい。

話の流れ自体は、マラソンやボクシングなどのスポーツを題材とした、よくある高校生の青春物語と特に大きな変わりはない。つまりスポーツに出会った初心者の主人公が少しずつその世界に入れ込んでいる様子を描いている。本書の魅力は繰り返しになるがそれがカヌーだということである。

物語は、舞奈(まいな)視点と、カヌー部を創設した、2年生の希衣(きい)視点が交互に進んでいく。少しずつカヌーにのめり込んでいく舞奈(まいな)と、地元の期待を背負いながらも少しずつ思うような成績をあげられなくなってきた希衣(きい)と千帆(ちほ)の葛藤を描く。そんな希衣(きい)と千帆(ちほ)の元に、恵梨香(えりか)という大きな才能が現れたことで少しずつながとろカヌー部は動いていくのである。

まだまだ続編がありそうな流れである。大きな学びがあるわけではないが、ときどき触れたい気分がすっきりするような雰囲気の小説である。なんてったってカヌーのような自然を相手にしたスポーツをやりたくさせてくれる。

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「Agile Software Development」Peter Oliver

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
Agile開発の基本的な考え方を説明している。

スタートアップで仕事をしていると、基本的にAgileに則った進め方になるが、常に進め方に課題はあり、そのヒントとなるような内容があればと思い本書を手に取った。

最初はAgileの説明から入り、ScrumとKanbanという二つのAgileの考え方をわかりやすく説明している。

Scrumの基本を、

透明性(Transparency)
調査(Inspection)
適応(Adaptation)

とし、Scrumの三つの役割、つまりScrum Master、Product Owner、Cross Functional Teamを説明している。一方でKanbanの6つの哲学を

Visualization
Limiting work in progress
Flow management
Making policies explicit
Using feedback loops
Collaborative or experimental evolution

としてそれぞれを説明している。

どちらかというと今までScrumを中心とした体制のもとで仕事をしてきたが、部分的にKanban方式を採用した方がうまくいくことも多いので、Kanbanの考え方をもう少し取り入れてみたいと思った。

やはりページ数が限られているので、それほど印象的な内容はなかったが、Agileの進め方について簡単に理解したい人にはちょうどいいのではないだろうか。

「ほったらかしFX」投資家 学くん

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
FXにおけるスワップ収入のメリットを語る。実際著者は半年間のスワップだけで100万円以上の利益を得たというのである。(ただし著者は540万円を投資していたというから、一般の人にとってはそう気軽にまねできる話ではない。)

かれこれFXの投資を始めて3年ほどになるが、今のところ毎年100万以上の利益をだしており、その投資方法が比較的ほったらかしだったため、その投資方法の精度を磨きたいと思って本書にたどりついた。

著者はスワップポイントによる利益がFXの魅力としており、なかでもユーロドル売りとポンドドル売りをスワップポイントの高さゆえに進めている。

残念ながらすぐにスワップポイント表を調べてみたが、どうやら著者が本書を書いた時とはかなりスワップポイントが変わっているようだ。本書をあまりに鵜呑みにしないように気をつけた方がいいだろう。

あまり今までスワップポイントを意識してこなかったが、スワップポイントに目を向けるきっかけになった。今回オンラインでのみ読むことのできる書籍を始めて購入してみたが、予想以上の内容の薄さ、ページ数の薄さに驚いてしまった。

【楽天ブックス】「ほったらかしFX」

「オブジェクト指向UIデザイン 使いやすいソフトウェアの原理」ソシオメディア株式会社、上野学、藤井幸多

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
オブジェクト指向UIデザインという、世の中のアプリケーションを使いやすくする手法を紹介している。オブジェクト指向に対して、世の中のタスクを中心に設計されたアプリケーションをタスク指向と呼び、業務系アプリケーションに多い、タスク指向のソフトウェアを、オブジェクト指向へ作り変えるための考え方を、多数のワークショップを交えて説明している。

確かに業務系のアプリケーションであればまだまだタスク指向のものも多いのかもしれないが、一般的なUIデザイナーならば自然とオブジェクト指向でアプリを作るのが自然であり、内容自体に特に目新しさは感じなかった。オブジェクト指向UIデザインという新しいデザイン用語を生み出して、読みにくいほど文字量を多くして語っている割には、デザイン初心者向けの内容に違和感に感じ、本書自体のターゲットがしっかり定まっていないか印象を受けた。ただ、「タスク指向」「オブジェクト指向」という言葉でアプリを語りはじめたことは、デザインの言語化において一つの功績と言えるだろう。

中盤はひたすら、世の中のタスク指向アプリケーションをオブジェクト指向へと作り変えるワークショップが並んでおり、内容の薄うさを感じた。もっとページ数も減らせたし面白い内容にできただろう。デザインを語りながら本書のように内容の構成にデザイン力が行かせていない本は残念である。

印象的だったのはオブジェクト指向よりもむしろ最後の最後に触れられていた、モードとモードレスという考え方である。モードがなければアプリは使いやすいとして、一つの例として、パワーポイントの図形ツールと、Keynoteの図形ツールの違いを語っている。モードレスという考え方は今までなんとなくしか持っていなかったので、しっかり意識していきたいと思った。

【楽天ブックス】「オブジェクト指向UIデザイン 使いやすいソフトウェアの原理」

「ガッツリ稼いで図太く生き残る!FX」水上紀行

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
1980年代からインターバンク市場の為替ディーラーとして活躍した著者がFXについて語る。序盤こそFXの説明だったが、途中からは為替ディーラー同士の駆け引きや、為替ディーラー時代の思い出などが焦点となってしまった。それはそれで興味深く読ませてもらったが、それがFXの個人投資にどれだけ役立つかというとほとんどないだろう。また、取引に関しては、デイトレードやスキャルピングトレードなど短期のやりとりを中心に書いているので、長期でFXを考えている人にはあまり役に立たないのではないだろうか。

本書で個人のFXトレーダーに役立ちそうに感じたことは、トレンド相場とレンジ相場の違い、レンジ相場の3つのステージでであるが、こちらもデイトレーダー向けの内容である。長期のトレーダーに役立ちそうなことは第3章の「相場シーズンの違いをふまえる」である。シーズンによってある程度傾向があるのだという。

6月末の欧米金融機関の中間決算は、1年の中でも相場に別格の影響を与えるイベントのひとつです
10月15日前後には、ファンドの45日ルールに絡んだ値動きがある

この2つの時期はしっかり頭に叩き込んでおきたいと思った。この時期の前に利益を確定しておく方がいいのだろう。

為替ディーラーの仕事に興味がある人は楽しめると思うが、個人投資家向けのFXの情報としてはかなりの上級者向けの内容となっている。

【楽天ブックス】「ガッツリ稼いで図太く生き残る!FX」

「インターフェースデザインのお約束」Will Grant


オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
世の中のインターフェースデザインの良くないところをあげて、より良いUIを提案するシリーズの一冊である。タイトルが「インターフェースデザインの心理学」から「お約束」になったからといって特に構成に大きな違いはない。デザイナーであれば、著者がどのようなUIに憤りを感じるかを、なんとなく知っておくだけでも今後妙なUIを作らないためにも役立つのではないだろうか。

今回印象に残ったもの、知らなかったもの、または普段あまり意識をしていなかったものとしては次の項目である。

まだ先があることは省略記号で表せ

英語ページではlog inではなくsign inを使え

英語ページではregisterよりsign upのほうがしっくり来る

無限スクロールはフィードコンテンツ限定に

「既存ファイルを複製して編集」のフローを用意せよ

UI要素を必須、容易、可能の3種類に分けよ

「まだ先があることは省略記号で表せ」はわかりにくいが、メニューなどの表記の仕方の話で、例えば「保存」というメニューがあった時にそのメニューを選択するとすぐに保存が実行される場合は「保存」として、選択した後に別のウィンドウ(例えば、ファイル名を入力させるウィンドウ)などが表示され保存までに別のステップがある場合は「保存…」と表記することを言っている。これは今回初めて知ったのだが、たしかにMacのメニューにもそのような表記が使われているのである。

例によって、実装の工数は一切考えずに言いたいことを言っているので、すべてを簡単にできるとは言い難いが、記憶にとどめておいて、改善できるところは改善していきたいと感じた。

【楽天ブックス】「インターフェースデザインのお約束」

「超一流の雑談力」安田正

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
雑談をあらゆる人間関係の入り口と説明し、その手法を語っている。雑談の始め方、話題の選び方、聞き方などをそれぞれ詳細に説明している。

多くの男性がそうであるように、僕自身はあまり沈黙が苦にならないのだが、一緒にいる相手がときどき気詰まりに感じているような気配は感じたりする。どこかで雑談は人間関係を円滑にするための手段、という話を耳にし、多少なりとも技術を磨いておけたらと感じ、本書にたどり着いた。

印象に残ったのは、聞き方の説明で、本書では

なるほどですね、そうですね、は「話を聞いていない人」の反応

と切り捨てており。理想のあいづちの「さしすせそ」をあげている

さ さすがですね。
し 知らなかったです。
す 素敵ですね
せ センスがいいですね。
そ それはすごいですね。

また、話し手が自然と話し出してしまう質問として、

何か特別なことをされているんですか?

もあげている。

どれも今日から実現できそうなことばかりである。

最後の章では人間のタイプ別の雑談の進め方を説明しており、すでに雑談力に自信のある人はぜひ使いこなしてもらいたい。全体的に非常にわかりやすくまとまっており、今日からやってみたいと思える内容があふれていた。。

【楽天ブックス】「人生が変わる「超一流の雑談力」

「ターゲットから発想する文字のデザイン」デザインノート編集部

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
文字をデザインする20の方法を説明した上で、実際のメイキングのプロセスと、ターゲットに応じた文字デザインの使い分けを説明している。

まず冒頭にある文字ので事案の20の方法はいずれも特に目新しいものではなかったが、デザインに詰まったときに見直したいと思った。

異なるフォントを使う
大小をつける。
メリハリをつける。
動きをつける。
重ねる。
傾ける。
ゆがめる。
エッジ効果
付け足す
枠に入れる
文字のトリミング
コミック風
手書き風
罫線をあしらう
罫線で囲む
かざり罫で囲む
色で強調する
質感をつける
メタリックな表現
写真を入れ込む

後半の実際のメイキングの様子は、多くのデザイナーに参考になることだろう。本書で使用している多くのフォントがよく見るフォントばかりだったので、綺麗なタイトルをデザインするのに必ずしも特殊なフォントが必要ないことがわかるだろう。

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「The Huntress」Kate Quinn

オススメ度 ★★★☆☆ 4/5
第二次世界大戦後、多くのドイツ人将校たちがニュルンベルク裁判で有罪判決を受けたが、小規模な戦争犯罪者たちは名前を変え、国外で普通の暮らしに戻っていた。そんな戦争犯罪者に弟を殺された戦争ジャーナリストのIanと仲間たちは世界中に逃亡した戦争犯罪者たちを正義のもとに引き出そうとしていた。

物語は三つの物語が織り混ざって進む。IanとTonyは戦争犯罪者を追い詰める組織を維持しながら、Ianの弟を殺したLorelei Vogtの足取りを探していく。一方、時代を遡ってソビエト連邦の東の果て、バイカル湖の近くの田舎町で育ったNinaは、やがてパイロットとを目指して西へと向かう。アメリカのボストンに父とクラス女性Jordanは父の再婚相手に不信を感じながらも少しずつ新しい生活に馴染んでいく。

まず何よりも戦争犯罪というと、ナチスのヒトラーや映画にもなったアドルフアイヒマンという大量殺戮に関わった人物しか考えたことがなく、本書で扱っている数人程度を殺害した戦争犯罪者という存在事態を考えたこともなかった。そんな小さな戦争犯罪者たちをIanとTonyは探し出し裁判を受けさせるようと活動しているのである。本書ではやがて、Lorelei Vogtという女性一人に絞って、Ianの妻Ninaと3人でアメリカに渡るのである。

一方で、ソビエト連邦のパイロットのNinaの物語が、この物語だけで一冊できそうなほどの濃密なのも驚きである。Ninaの物語は、バイカル湖周辺という首都モスクワから遠く離れた田舎で始まり、不時着した飛行機のパイロットに遭遇したNinaはパイロットになることを夢にみて西へ西へといくのである。日本から見たらどんな文化があるのかまったく想像できない地の描写も魅力的だが、戦時中のソビエト連邦の女性パイロットの物語としても秀逸である。Kate Quinnにはこの物語に絞ってぜひもう一冊描いて欲しいところである。

最初はなぜIanの書類上の妻でしかないNinaをここまで詳細に描くのかわからなかったが、物語が終盤に進み、Lorelei Vogtを追い詰める中で少しずつNinaの存在感が高まっていく。Kate Quinnの作品を全部読んでみたいと思わせてくれた一冊である。

和訳版はこちら。

「蜜蜂と遠雷」恩田陸

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
第156回直木三十五賞、2017年本屋大賞受賞作品。

ピアノコンクールに集まったピアニストたちの様子を描いている。

マラソン大会だけを描いて1冊を終える「夜のピクニック」も驚きだったが、本作品も、数日間にわたって行われるピアノコンクールのみを扱っており、その前後の物語はほとんどない。参加者の視点、審査員の視点、参加者の妻や友達の視点に切り替わりながら、文庫本にして2冊の量を読者を飽きさせずに読ませ続ける。それぐらいピアノコンクールという多くの人にとって未知なイベントを、ドラマチックに仕上げているのである。

物語は、ピアノに情熱を注ぐ4人の人を中心に描いている。かつては天才少女として活躍したにもかかわらずピアノをやめていた栄伝亜夜(えいでんあや)20歳、サラリーマンの高島明石(たかしまあかし)28歳、優勝候補のマサル19歳、自宅にピアノを持っていないという異色の環境の風間塵(かざまじん)16歳である。

1次予選、2次予選、3次予選とコンクールは進み、少しずつ調子をあげていく人もいれば、緊張で実力を発揮できない人もいる。間違いなくシビアな世界で、多くの人が報われずに終わるとわかっていても、そんな舞台に出て戦うことを選んだ人生を羨ましくも感じてしまう。

音楽を奏でるということをやってこなかった読者にも、音楽を奏でることの魅力が十分に伝わってくる。きっと多くの人が本書を読んだ後に、その音楽を聴こうとYouTubeを彷徨うだろう。直木賞、本屋大賞のダブル受賞も納得の一冊。

【楽天ブックス】「蜜蜂と遠雷(上)」「蜜蜂と遠雷(下)」

「みかづき」森絵都

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
昭和36年、小学校の用務員室で勉強についていけない子供達に勉強を教えていた大島吾郎(おおしまごろう)の元へ、生徒の母、赤坂千明(あかさかちあき)がやってくる。学習塾を一緒に作るためであった。戦後から平成まで、千葉で始まった学習塾の物語である。

物語は、大島吾郎(おおしまごろう)が赤坂千明(あかさかちあき)立ち上げた八千代塾が、時代の波に乗って大きくなる様子。そして、大島家の
家族の様子が描かれている。教え方や、補習塾と進学塾の方針の争い、学習塾の生き残りをかけたいやがらせ工作や合併など、今まで漠然としか知らなかった塾業界の様子がよくわかるだろう。

今でこそ学習塾の存在は当たり前で、むしろ塾に行ってない人のほうが珍しい時代だが、昭和30年代40年代は、塾に行っている生徒は白い目で見られたという、それが少しずつ変化し、平成に入ると塾に通ってない生徒の方が珍しい存在となっていく。また一方で、企業としての塾と、行政としての教育委員会の関係も少しずつ変化していくのである。

本書では、教育は常にどこかが足りないと感じながらも、それを補おうと努力するぐらいがちょうどいいと言っている。

欠けている自覚があればこそ、人は満ちよう、満ちようと研鑽を積むものかもしれない

描かれている時代も長く、登場人物も多く読み応えがある。教育に関心がある人にはぜひ読んでほしい一冊である。

【楽天ブックス】「みかづき」