★★★★☆ 4/5
優れたパフォーマンスを発揮するチームを作る方法をさまざまな実例とともに説明する。
昨今は心理的安全性などが多くの組織で語られるように、単純に優れた人間を集めただけでは組織は最高のパフォーマンスを発揮できないことはわかっているだろう。しかし、実際にそのような組織を作るのは簡単ではない。著者ダニエル・コイルは才能を育てることをテーマにした「The Talent Code」が印象的だったので、本書も組織作りに関しての新たな視点をもたらしてくれることを期待して手に取った。
本書は3つの章から成る。
- 安全な環境をつくる
- 弱さを共有する
- 共通の目標を見る
一部の人間には「弱さを共有する」というのは新鮮かもしれないが、自分にとってはむしろこの言葉がこれまであまり語られてこなかったのが不思議なくらいである。本書ではチームのパフォーマンスは次の5つの要素の影響を受けるとしている。
- 1.チームの全員が話、話す量もほぼ同じで、それぞれの1回の発言は短い
- 2.メンバー間のアイコンタクトが盛んで、会話や伝え方にエネルギーが感じられる
- 3.リーダーだけに話すのではなく、メンバー同士で直接コミュニケーションを取る
- 4.メンバー間で個人的な雑談がある
- 5.メンバーが定期的にチームを離れ、外の環境に触れ、戻ってきた時に新しい情報を他のメンバーと共有する
全体的に違和感ないが、それぞれ1回の発言の短さの重要性に触れている点が印象的である。つまり、中心人物が長々と演説をしているようではチームは育たないということだ。
最後の共通の目標を見るの章では、ジョンソン&ジョンソン、ピクサー、チャータースクールKIPPなどのさまざまなエピソードと共に、組織内で優先することを言葉として繰り返すことの重要性を伝えている。どんな組織でも使えそうな印象的な言葉がたくさんあったので、ここに挙げておきたい。
- 問題を愛する
- 門番ではなく使者になれ
- 自分より賢い人を雇う
- すべての人のアイデアを聞く
期待した通りいろいろな気づきを与えてくれる作品。会社だけでなく家庭でも今日から実践できることばかりである。一方で、リモートワークが普及する中で、これをオンラインで実現するにはどんな方法があるか、まだまだ試行錯誤が必要だと感じた。
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