
★★★★☆ 4/5
優れた起業家が実践するとされる手法であるエフェクチュエーションについて語る。
変化の早い現代において、不確実性への対処が必須となっており、世の中の多くの人や組織やそんな不確実性への対処に頭を悩ませている。その手法として一般的なのが、目的の定義と市場の分析から入る手法である。本書ではそのような手法をコーゼーションと呼んでおり、もう一つの選択肢としてエフェクチュエーションを提案するとともに説明していく。
エフェクチュエーションとは簡単に説明すると、自分の持っている資源を活用して小さく始めていく、ということである。本書では5つの原則として、つぎの項目を挙げ、続く章でそれぞれの詳細について説明している。
- 手中の鳥の原則 「目的主導」ではなく、既存の「手段主導」で何か新しいものを作る
- 許容可能な損失 機体利益の最大化ではなk、損失(マイナス面)が許容可能化に基づいてコミットする
- レモネードの原則 予期せぬ事態を避けるのではなく、むしろ偶然をテコとして活用する
- クレイジーキルトの原則 コミットする意思を持つ全ての関与者と交渉し、パートナーシップを築く
- 飛行機のパイロットの原則 コントロール可能な活動に集中し、予測ではなくコントロールによって望ましい成果を帰結させる
小さく始めるという点においてはリーンスタートアップなどにも共通しているが、目的や理想に縛られることなく、動きやすい範囲で動いていくというのは、かなり取り組みやすい現実的なアプローチに感じた。注意すべきはコーゼーションのアプローチを否定しているわけではなく、重要なのは使い分けや二つのバランスであるということである。
コーゼーション方向に寄りすぎている考え方の人にとっては大きな気づきとなるだろう。
【楽天ブックス】「エフェクチュエーション 優れた起業家が実践する「5つの原則」」
【amazon】「エフェクチュエーション 優れた起業家が実践する「5つの原則」」