
オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
第168回(2023年)直木賞受賞作品。両親とはぐれたウメは銀の採掘で栄えていた石見で喜兵衛(きへい)のもとで生きることとなる。
石見で少しずつ大人になっていくウメの様子を描く。子供の頃は周囲の子供たちと同じように、大人たちをみてやがて銀山で働く人間になろうとする。しかし、成長するに従って、自分が女であり、石見では男と女の生き方は大きく異なることに気づいていく。男は多くの銀を掘り当てることて周囲からの尊敬を集めるが、その過酷な労働環境から長くは生きられない。一方、女は労働力となる男をたくさん産むことを求められ、夫が早死にすれば、またべつの夫と再婚して子供をもうけることを求められるのである。
そんな環境でウメは、幼い頃は喜兵衛(きへい)のもとで銀の採掘に関する多くのことを学びながらも、やがて、幼馴染の隼人(はやと)の妻となって多くの女性と同じように生きることとなる。
石見銀山については地理も歴史もほとんど知識がなかったので新鮮ではある。一方で、一人一人の登場人物、特にウメ、喜兵衛(きへい)、隼人(はやと)などの生き方や考え方をもっと深掘りできたら、もっと良い作品になったのではないだろうか。