「あたらしい働き方」本田直之

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
ハワイと日本を行き来しながら生活する著者が、新しい働き方を提供する企業を取材し、自分の意見を織り交ぜながら語る。
複数の新しい働き方を提供する企業を紹介している。本書を読むといろいろ共感する部分が多い。なぜいろんな価値観を持った人がいるのに、朝の9時から夕方の18時といったように、同じ時間を会社に拘束されなければならないのか。もちろん同じ会社で働いていれば同じプロジェクトに関わることもあるため、顔を合わせる必要はあるだろう。それでも月曜日から金曜日に毎日同じ時間に8時間以上会社にいる、という必要はないのである。また同時に、なぜ会社とは行きたくない場所なのか。人生の大部分を過ごす場所なのだから、もっと心地よい場所であるべきだろう。
本書では6時間労働を実現した会社や有休日数に制限のない会社など、多くの新しい試みを実現させている会社を紹介している。休暇に旅行に行く事を推奨している制度などは面白い。何よりも経験を重視するその会社の姿勢が見える。
しかし著者は繰り返し述べている。例えば6時間労働で十分な利益をあげるためには、通常以上に効率性を追求し、集中力が必要になるのだと。魅力的に見える労働環境で意思の弱い人が働けば、単にさぼってしまうだけで、何が理想の労働環境かは、本人次第なのである。
僕自身物事を集中して効率よく行って、人生のなかでできるかぎり多くの経験を積みたいと思っている。それでも会社によって拘束される多くの時間に、人生ってそんなものなのかな、とやや諦め気味だったが、本書を読んで元気が出てきた。まだまだ理想の生活を追求することはできるかもしれない。
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「富士見高原Iターン物語」村上方子

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
横浜で編集者として働いていた著者が、結婚11年目の37歳のときに夫と長野県の富士見高原に移り住む。そのきっかけや苦労、新しい土地での生活を描く。
偶然にも著者がその決断をしたのは現在の僕と同じ年齢。多くの人にとって「どう生きるべきか」「幸せとは何か」自らに問いかけ、行動を起こそうと思う年齢なのかもしれない。それでも実際に行動が起こせる人はわずかなのだろう。本書はそんな迷っている人の背中を押してくれるかもしれない。

ここが終わり、ここからが始まり。毎日の暮らしの中でそんなふうに感じられる場面は滅多にない。でも、あの日の町の原っぱでのワンシーンは私たちのとって、確かに終わりであり、始まりであったと思う。

序盤では、著者と夫もが、2人の子供を抱えながらもその人生の一大決心をする過程が描かれている。もちろんそこには、仕事、住居、友達、両親、子供の学校など様々な問題が発生する。そんな問題をひとつづつ乗り越えていくのだ。その様子から、行動を起こすには、ある程度の決意と覚悟とある程度の無鉄砲さが必要だと思えてくる。

今の仕事は仮の姿と思いながら仕事をするのはもう嫌なんだ

印象的なのは、著者が何度も繰り返し言っているように、どこにいっても人間関係にわずらわされずに生きる事などできないということ。
後半はまさにそんな地域の人間関係に入り込んで地域に貢献しようと生き生きと毎日を送る著者の様子が描かれる。「こんな生き方もあるのだ」と改めて自分の生き方を見つめ直
す機会になるだろう。
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