「教誨」柚月裕子

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
親戚の死刑囚三原響子(みはらきょうこ)の遺品の受け取り人として指定されていた吉沢香純(よしざわかすみ)は、三原響子(みはらきょうこ)が幼い子を二人殺めた理由を知ろうとする。

幼い自らの子供だけでなく、近所の女の子まで殺害した三原響子(みはらきょうこ)は死刑を執行された。遺品と遺骨を受け取った香純(かすみ)の記憶では、小学校の頃に一度言葉を交わしたことがあるだけであるにも関わらず、そんなことをするような女性には感じられなかった。遺骨を納める地を探すとともに、同年代の響子(きょうこ)に起きた出来事を知ろうとするのである。

世の中の伝統や仕組みゆえに、犯罪が起こる。という物語は、宮部みゆきの名作「火車」を思い起こさせる。ただ、このような、物語の展開よりも心の描写を中心に描くのであれば、よくある物語の何倍も深く、鋭く人の心を描写しないと、傑作にはなりえないなと感じた。そういう意味では、悪くはないが長く心に残るほどの作品には至ってない。

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「極楽征夷大将軍」垣根涼介

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
第169回 (2023年上半期)直木賞受賞作品。足利家に生まれた兄弟、又太郎(またたろう)と次三郎(じさぶろう)が、やがて室町幕府を起こすまでを描く。

本書は足利尊氏とその弟直義(ただよし)や高師直(こうもろなお)中心に室町幕府を起こすまでを描いている。

正直、今まで触れてきた歴史物は、戦国時代から江戸時代のものが多かったし、それ以前の物語だと武蔵坊弁慶や源義経など鎌倉幕府に関わる物が多かったので、この時代についてはほとんど知らなかった。それだけに本書で描かれていた足利尊氏(あしかがたかうじ)の人間性や室町幕府成立に対するる尊氏(たかうじ)の弟直義(なおよし)の貢献さには大きさには驚かされた。

本書では足利尊氏(あしかがたかうじ)は、政治に才能を発揮する弟の、直義(ただよし)や師直(もろなお)に任せきりで、人情味あふれる人間ではあれど、ほとんど政治に興味を示さない野心ない人間として描かれているのである。

後半では、室町幕府が成立して以降の、終盤では、さまざまな内紛の様子が描かれる。それまで一緒に室町幕府を支えていた。直義(ただよし)と師直(もろなお)が、少しずつ疎遠にいく様子からは、当時の遠方との意思疎通の難しさが伝わってくる。

そういう意味では、日本という大きな土地を長く統治することがどれほど難しいかが伝わってくる。一方でそれは、のちに長く全国を平和に統一した徳川家康につても興味を掻き立ててくれる。

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「氷点」三浦綾子

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
辻口家の娘のルリ子を殺した犯人は、自分も生まれたばかりの娘を遺して自殺した。辻口啓造(つじぐちけいぞう)は浮気をしていた妻夏枝(なつえ)への復讐のために、犯人の子供を引き取ることとする。

タイトルは何度も耳にしたことがある作品にもかかわらず読んだことがなかったので、今回手に取ってみた。

犯人の子を陽子(ようこ)と名づけて、長男の徹(とおる)とともに我が子として育てる夫辻口啓造(つじぐちけいぞう)と妻夏枝(なつえ)の様子を描く。夏枝(なつえ)の一時の気の迷いから生まれた行為が誤解を生み、そんな夏枝(なつえ)への復讐のための陽子(ようこ)が犠牲になっているという流れである。

強い嫉妬や復讐が描かれることが多い展開の中、唯一の救いは、母から辛くあたられるという苦難の中でも、前向きに生きようとする陽子(ようこ)の姿である。しかしそんな困難をプラスに変える生き方が、さらに母夏枝(なつえ)の敵対心を増していくのである。

個人的に気になったのは、自らの子供を殺した犯人の娘だかという理由で、真実を知ってから陽子(ようこ)につらく当たる夏枝(なつえ)の行動である。子供には何の罪もなく、幼い頃から育ててきだ子供であれば、血が繋がっているいないに関係なく愛情を注げると感じるのだが、この違和感は2020年代に読むからこそ感じるのだろうか。本書が出版された1970年代にはこの「殺人者の血」という考えが、今よりも自然に受け入れられていたのかもしれない。

すでに40年以上前に出版された物語であり、その舞台はさらにその10年以上前の戦後を舞台としているので、描かれる生活の様子が古いのはもちろんだが、登場人物の心情の描き方が表面的である点が、読んでいて古臭さを感じた。

一つの古典作品として読むのならまったく問題ないが、単純に一つの物語として楽しめるかと言われれば、やはり現代の深い心情描写や、息もつかせないような物語展開の作品と比べると見劣りしてしまう。

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「営業の神様ヤマナシさんが教えてくれたこと」早崎郁之

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
不動産会社の営業として成績がふるわない早崎(はやさき)はある日、ヤマナシさんと出会い、営業に対する考えを変えていく。

売るために物件のスペックばかりを説明していた早崎(はやさき)がヤマナシさんの助言によって、少しずつお客の本当に実現したいことは何かに耳を傾けるようになっていく。

その後は早崎(はやさき)がさまざまなお客に対して同様の考えをすることで、営業の成績をあげていく。結局本書で重要なのは次のことである。

その人がその商品やサービスを通じて得たいと思っているもの。誰かに愛されること、受け入れられること、認められること。これこそが真の欲望、『スーパーウォンツ』なんだよ

営業だけでなくさまざまなサービスにおいてもよく聞く話ではある。ブランドのひけつについて書いた「Building a storybrand」にも、サービスをスターウォーズにたとえて、私たちはヨーダになるべきでルークルカイウォーカーになってはならない。という言葉があった。結局、成功するサービスは常にお客様が主人公であることを意識しているのである。

そしてそれを常に実行するために、本書の「スーパーウォンツ」ように、共通の言葉を与えているのは有益だろう。

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「日本一わかりやすい ひとり社長の節税 〜税理士YouTuberが“本音”で教える〜」田淵宏明

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
個人で仕事をしている人向けの節税方法について語る。

確定申告でかなりの税金をとられることから、他にも節税方法がないかと思っていたところで知人に本書を勧められた。

独立後の働き方としては、個人事業主として働くか、法人化するかという二つの選択肢があり、本書は基本的に法人化を進めており、全体的にも法人化したのちの節税方法について書いている。

大きな学びは、よく言われる年収1,000万円付近が法人化の目安、というのは特に信憑性がなく、年収500万円程度でも法人化した方が節税になるということである。

とはいえ、法人化した後の節税方法を知れば知るほど、考えなければいけないことが複雑になっていくという点が非常に悩ましい。法人としての税金計算に加え、個人としての計算も必要になり、単純に考えても計算にかかる手間が二倍以上になる。また、それを税理士に依頼するとさらに複雑になり、法人化すると税務調査が入る可能性も大きく高まるという。

漠然と法人化したのちのイメージはついたが、なかなか手間を考えると簡単には決断できないと感じた。人生の豊かさは持っているお金だけでなく、どれだけ生活を単純化するかにも大きく依存すると感じているので、節税のためとはいえむやみに人生を複雑にすべきではないだろう。

本書はすでに法人化を決断した人が読むと、使える情報にたくさん出会えるかも知れない。

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「黒牢城」米澤穂信

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
第166回直木賞受賞作品。織田信長に反旗を翻して長岡城に立て篭もる荒木村重(あらきむらしげ)を描く。

時代小説ではあるが、本作品はこれまで出会ってきた時代小説と異なる新鮮な要素がある。まず、興味深いのが謀反を起こして籠城中という設定である。物語全体を通じても、ほとんど戦は起きない。むしろ、焦点となるのは、籠城という先の見えない状態の中で、すこしずつ疲弊していく民や、誰に従うべきかと考え揺れ動く武将たちの心や、自分の大将としての影響力を気に掛ける村重(むらしげ)の葛藤である。

もう一つ興味深いが、小寺官兵衛(こでらかんべえ)という武将の存在である。村重の謀反を思いとどまるように進言しにきた小寺官兵衛(こでらかんべえ)は、その場で村重(むらしげ)に捉えられ牢に入れられたのである。しかし、しだいに大将として籠城を行う長岡城を統べる村重(むらしげ)が、唯一本音で語れる相手となっていくのである。

やがて、村重(むらしげ)は城内で起こっていた不可解な出来事の答えに辿り着くこととなる。そこで村重(むらしげ)はさまざまな考えを知るのである。

犬死をおそれる殿の気持ちも、わからないではございませぬ。…
されどわたくしはーーこの先も苦しみが続くと思いながら迎える死こそが、もっとも残酷と思うております。

著者米澤穂信作品は長く読み続けており、軽い雰囲気のミステリーを描いていた頃から知っているため、一人の作家の成長ぶりも併せて楽しませてもらっている。前回読んだ著者作品「可燃物」が評価の割に登場人物の人間味が薄く期待はずれだったため、本書もそれほど期待値は高くなかったが、同じ著者がここまで異なる雰囲気の作品を描けるのかと驚かされた。

昨今、今村翔吾垣根涼介などによって戦国時代を描いた歴史小説が一気に面白くなったが、本書もまったく引けをとらない。

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「親子で学ぶどうしたらお金持ちになれるの?人生という「リアルなゲーム」の攻略法」」橘玲

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
合理的に生きればお金持ちになれるとして、その方法を子供にもわかりやすく説明する。

全体的にはコスパやタイパ、複利の話などをわかりやすく説明している。常に合理的な考え方をしている人にとってはあまり新しい内容はないだろう。

しかし、本書でも繰り返し語られるように、世の中には不合理な人たちが溢れているのである。宝くじを買ったり、ギャンブルに大金を注ぎ込んだり、わずかなお金を節約するために多くの時間や労力を消費したりする人はたくさんいるのである。

全自動洗濯乾燥機や食洗機があるのに、毎日洗濯や食器洗いに1時間以上かけている人など数えきれないほどいるだろう。そういう人はお金の大小ばかりに目を奪われて、時間という有限の資源の重要性を理解できないのだ。

そういう意味では、本書のような本とともに、子供の頃から、一番大切で取り返しのつかないものは時間である、という考えを育てるのは非常に良いことなのかもしれない。

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「データサイエンス「超」入門 をウソと見抜けなければ、データを扱うのは難しい」松本健太郎

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
いくつかの事例とともにデータの読み方を語る。

最近の新聞記事を題材としてデータの見方を説明する。面白かったのはGDPの章である。GDPは経済成長について語る時によく出てくる言葉ではあるが、どれほどの人がGDPという数字の意味についてわかっているのだろう。本書では名目GDPや実質GDPなどの言葉から、GDPという数値が生まれた経緯も含めて説明している。

他にも失業率や貧困率、地球温暖化などのデータを題材としてその仕組みを説明している。

結局データをみる時に心に留めておくべきことは次の点だろう

聞き方が違うため、同時点のマスコミの各社の世論調査どうして支持率を比較しても意味がありません。マスコミそれぞれの支持率の推移に意味があります。
何ら偏っていない、真の精緻な世論調査はどこにあるのでしょうか?

つまり、データは常に多少の偏りがあり、質問や収集の仕方でいくらでも恣意的に示すことができるということである。

改めて、偏ってないデータなどは存在しいないこと、推移を示した時系列の連続したデータではなはない、一時的な調査結果を示したデータは疑ってかかるべきことを心に留めておきたいと思った。

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「看守眼」横山秀夫

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
警察や司法、報道に関わる人々を描いた6つの物語。

今回も横山秀夫の人間描写力が際立っており、わずか数ページの短編で登場人物の人間味が深く描かれている。物語の面白さというよりも、優れた人間描写術としてみると、本書のような短編集でも十分楽しめるだろう。

個人的に印象的だったのは三篇目の「口癖」である。家庭裁判所の調停委員のゆき江の物語で、調停に訪れた人が知っている人物だった、というものである。調停委員という職業について初めて知ったが、知人への出会いが、結果的にゆき江の娘の過去を明らかにするまでの流れも面白かった。

どの物語も、それほど大きな事件ではなく、原稿が見つからない、とか、ミスをバレないようにしたい、などむしろ世の中の誰にでも起こりうる小さな出来事から始まる。しかし一人ひとりの個人にとっては世間からみたら小さくみえる出来事が、その日の最大の挑戦なのである。そんなそれぞれが感じる緊迫感と共に描かれるから、どの物語からも分厚い人間味が感じられるのだろう。

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「1%の努力」ひろゆき

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
世の中の「頑張ればなんとかなる」と思っている人たちに向けて、サボる才能を磨く方法を語る。

世の中の出来事に対して、独自の視点で語るのが面白い。「サボる」という言葉をそのまま受け取ると強烈だが、もう少し受け入れられやすそうな表現にすると、何も考えずに努力するのではなく、ベストな場所と方法を見極めようというものである。

確かに日本では未だ、努力を過大評価している点があるし、未だに結果が出てないのに「一生懸命やっているんだから・・・」と自分を正当化しようとする人が多いのも事実である。ひょっとしたらそんな人には本書は響くかもしれない。

本書を読んで初めて知ったのだが、実は著者ひろゆきは自分と同じ年齢であるということ。以前から考え方で似ているところがあると思っていたのだが、それはこの世代に共通のものかもしれない。ただ、自分は著者ほどサボることが好きではなく、それを努力と呼ぶかは別にして、毎日何かに打ち込んでいる行き方の方が好きな点が大きく考え方の違う点だと感じた。

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「昭和の犬」姫野カオルコ

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
第150回(2013年下半期)直木賞受賞作品。滋賀県に生まれた声の小さな女の子の柏木イクが、高度経済成長期で大きく発展を遂げる昭和を、さまざまな犬と関わりながら生きる様子を描く。

少し難しい家庭の父と母の下で育ったイクが、どちらかというと冴えない女の子である点が面白い。

さまざまな犬を描いているだけでなく、大きく変貌を遂げる日本のなかで、少しずつ文化や習慣が変わっていく様子も伝わってくる。

昭和という時代も、イクの生き方も、どちらも少し変わっているので共感するのは難しいかもしれない。それでも昭和という時代が令和とは少しずつ異なることが十分に伝わってくる。どの家にもテレビがついていたな、とか、放し飼いの犬がうろちょろしていたな、とか、昭和を知っている世代には懐かしく感じるだろう。

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「信長の原理」垣根涼介

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
織田信長の生涯を描く。

織田信長といえば、戦国武将の中でももっとも有名な武将の一人である。しかし、その生涯を描いた物語にはこれまで漫画や映画も含めほとんど触れてこなかった。以前読んだ垣根涼介の「光秀の定理」が面白かったので、本書も、新しい視点を盛り込んだ歴史小説を期待して読むに至った。

そもそも織田信長という武将については、天下を初めて統一したこと、その後天下を統一した豊富秀吉や徳馬が家康に比べると非常に厳しい人格であること。そして、本能寺の変で明智光秀に裏切られて命を落としたことぐらいしか知らなかったので、細かい出来事はどれも楽しめた。

基本的には信長の生涯を時代の経過とともに描いているが、面白い試みとして、信長が常に世の中の不思議な法則に注意を向けている点である。5人の人間が集まれば、秀でているものは1人だけで3人は平凡になり1人は怠け者になるという、つまり現代はパレートの法則と呼ばれる法則である。「光秀の定理」ではモンティ・ホール問題が物語の鍵となっていたが、本書ではまさにこのパレートの法則が常に一貫したテーマとなっているのである。

物語は、信長目線だけでなく、のちの秀吉である木下藤吉郎や明智光秀目線でも展開する点も面白い。また、今村翔吾の「じんかん」でも描かれた松永弾正(まつながだんじょう)についても、非常に好意的に描かれているのが印象的であった。

終盤、信長の最期、つまり本能寺の変に近づくにつれて、光秀目線の物語展開が増えてくる。光秀側の正当化された光秀像が見えてくる。

いずれの出来事も、どこまでが歴史的な事実として明らかになっている出来事で、どこからが著者による新たな解釈なのかを知りたくなった。そのためには別の著者の書いた織田信長の物語に触れるしかないのだろう。人間の深みを感じるとともに歴史にも改めて目を向けさせてくれた。

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「人を動かす」D・カーネギー

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
人を動かす方法をさまざまな例とともに説明する。

中盤まで読んだあたりで、タイトルがかなり異なるので気づかなかったが、英語版の「How To Win Friends and Influence People」で読んでいることに気づいた。ただ、このような重要なことは何度読んでも読みすぎるということはないだろう。

それぞれの例や物語を読んだ方がさらに実感をともなって伝わることは間違いないが、重要な項目は目次として抜き出されている。

人を動かす三原則
盗人にも五分の理を認める
重要感を持たせる
人の立場に身を置く
人に好かれる六原則
誠実な関心を寄せる
笑顔を忘れない
名前を覚える
聞き手にまわる
関心のありかを見抜く
心からほめる
人を説得する十二原則
議論を避ける
誤りを指摘しない
誤りを認める
穏やかに話す
”イエス”と答えられる問題を選ぶ
しゃべらせる
思いつかせる
人の身になる
同情を寄せる
美しい心情に呼びかける
演出を考える
対抗意識を刺激する
人を変える九原則
まずほめる
遠まわしに注意する
自分の過ちを話す
命令をしない
顔をつぶさない
わずかなことでもほめる
期待をかける
激励する
喜んで協力させる

どれも新しいことではないが、常にできている人はほとんどいないのではないだろうか。人間関係でうまくいかないとき、この項目を見れば解決策が見つかるかもしれない。

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「走り革命理論 今まで誰も教えてくれなかった「絶対に足が速くなる」テクニック」和田賢一

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
足の速さは才能ではないとし、ランニングとスプリントの違いとその習得方法を説明する。

僕自身ジョギングを趣味としており、最近では息子の走る練習に付き合ったりしているため、走るという行為をより論理的に理解したいと感じている。そんななか著者のYouTubeチャネルをみて基本的な考えは知っていたのだが、より深く理解したいと思い本書を手に取った。

本書はランニングよりもスプリント、つまり長距離よりも短距離に焦点をあてているが、個人的には効率よく走るための基本的な考えはどちらにも応用できると感じている。足の回転を増やすためにすべきことは、可能な限り地面への設置時間を短くすることであり、それをするためには本書のいう空中スイッチをすることである。

本書では効率の良い空中スイッチを習得するためのさまざまなドリルを説明している。改めて思うのは、新しい技術を身につけるためにはそれを表現する的確な言葉が必要ということである。例えば本書ではスプリントに必要なそれぞれの動きに対して次のような言葉を使用している。

  • アンクルホップ
  • 空中スイッチ
  • ベースポジション
  • 足首ロック

いずれも非常に良い言葉なのでぜひ使わせてもらおうと思った。

なかでも印象的だったのは腕振りの章である。

力んでしまう人への本質的なアドバイスは、「力を抜け!」ではなく、力を入れる”瞬間“のタイミングを明確に伝えることなんです。

ちょうど腕振りの効果を最大限に発揮できていないと感じていた時期だったので、腕振りの考え方は大いに参考になった。また、それぞれの考え方は息子とのかけっこトレーニングや自身のジョギングに取り入れたい。

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「イクサガミ 天」今村翔吾

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
大金を求めて多くの武芸に秀でるものが京都の寺に集まった。そこで始まったのは、命をかけた戦いであった。

すでにこちらの物語はドラマにもなっているらしく、今村翔吾作品のなかではめずらしく、ややフィクションの要素が強いドラマ向きの物語である。家族を救うためにお金が必要な嵯峨愁二郎(さがしゅうじろう)と同じくそこに参加していた12歳の少女双葉(ふたば)とともに、主催者から与えられた掟にしたがって、東京を目指す様子を描く。

その掟とは、与えられた札を奪い合うというもので、関門ごとに指定の枚数以上の札を持っていないと通過できないという、つまり実質の殺し合いである。

愁二郎(しゅうじろう)と双葉(ふたば)は他の参加者と協力などもしながら、可能な限り人を殺さずにゴールを目指すこととする。そして、その過程で、愁二郎(しゅうじろう)の過去が明らかになっていくとともに、他の参加者たちの素顔が明らかになっていく。

まだ物語が始まったばかりなので全体的な感想は言いようがないが、とりあえず続きも読もうと思った。

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「東大卒キックコーチが教える本当に正しいキックの蹴り方」田所剛之

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
サッカーにおける正しいキックの蹴り方を、科学的に分析して説明する。

すでにサッカー歴を超えて長くプレーしているスカッシュで、最近理想に近いスイングに近づいたと感じている際、著者の登場しているYouTubeにたまたま出会い、改めてサッカーにおいてももっと効率の良い蹴り方があったのではないかと思い、将来の指導目的もふまえ本書にたどり着いた。

なかなか言葉だけで理論的に理解するのは難しいし、理論的に理解できたからといって即実践できるとは限らない。ただ、結局のところすべての野球のバッティング、サッカーのキック、ラケットスポーツのスイング等おいて必要なのは次の3点の考え方だろう。

  • 自然な振り子運動とムチのような動き
  • 回転と狙った方向を実現するための打点
  • 打点の重さ(本書では重さとしているが、実際には「硬さ」のほうがしっくりくる)
  • 空気抵抗によるマグヌス効果

印象的だったのは、スパイクの傾向なども考慮した利用的なインサイドキックの蹴り方である。スパイクに遊びがあるインサイドよりも踵よりで蹴った方が、足が硬いため、正確なインサイドキックが蹴れるというのである。

子供がサッカーをはじめたら、戦術だけでなく蹴り方も含めて、もう一度サッカーを理論的にやり直してみたいと思った。現在サッカーをしている人にもなにかしら一方上に進むためのヒントがあるかもしれない。

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「人魚が逃げた」青山美智子

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
銀座に逃げた人魚を探している王子がいるらしい。そんな噂が流れる銀座で、人間関係に悩む6人の男女を描く。

青山美智子作品も何冊か読むと、その共通したテーマと、スタイルに気づくことだろう。いつでも今ある日常の人間関係の大事さを伝えようと、さまざまな立場の人間の目を通して伝えてくるのである。今回もそういう意味ではその哲学は変わらない。人魚姫という素材を盛り込みながら、うまくいかない人間関係をさまざまな視点で描いていく。

印象的だったのは19歳の友治(ともはる)と31歳の理世(りよ)の12歳の年齢差のカップルの物語である。第一章が友治(ともはる)目線と第五章がの理世(りよ)目線となっており、友治(ともはる)目線の物語からは、豪華なマンションで生活する理世(りよ)に劣等感を抱きながらも背伸びする男性の様子が描かれる。

また理世(りよ)目線の物語では、若い男性に自分はふさわしくないかも、と怯えながらも強がって大人の女性を演じる様子が描かれる。結局のところ両思いにもかかわらず、不安を募らせる両者が、読者として第三者目線でみると、なんとももどかしい。

60歳を過ぎて離婚した男性を扱って第3章も面白かった。勢いではなく、冷静に離婚を決断した妻の言葉は世の男性すべてが心に留めておくべきだろう。

私が本当に、ああもうだめなんだなって悟ったのは、あなたが積み立て預金に手をつけたこと自体よりも、罪悪感もなく逆ギレされたことよ。人と人を繋ぐのは結局、愛とか恋より、信頼と敬意なのよ。

どの物語からも、正直な思いを言葉にして伝えることが、どれほど重要か、そしてそれを怠ることでどれほど無駄なすれ違いを生むのかが伝わってくる。

「でも、私は彼にふさわしい人間だなんて思えない。」
「彼はきっとこう言うわ。それは僕が決めることなのに、って」

恋愛に躊躇しているすべての人に伝えたい言葉である。

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「ユーモアは最強の武器である」ジェニファー・アーカー/ナオミ・バグドナス

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
ユーモアの重要性とさまざまな実験の結果や事例とともに説明する。

序盤はユーモアの有効性、特にビジネスシーンにおける必要性を語りながら、人々がユーモアを発揮にくくさせている4つの思い込みについて触れている。

  • 1.ビジネスは真面目であるべきという思い込み
  • 2.うけないという思い込み
  • 3.面白くなくちゃいけないという思い込み
  • 4.生まれつきの才能という思い込み

面白いのは、ユーモアを試みるだけでも、つまりつまらないユーモアだったとしても職場の雰囲気は大きく変わるということである。

中盤ではさまざまな有名企業でのユーモアの事例を挙げている。本書ではグーグルやピクサーの例を紹介しており、リーダーや会社のトップがどのようにユーモアを使い、社員のユーモアにどのように反応するかが、組織におけるユーモアの文化を決めていくのだということがわかる。

特に印象的だったのが、立場において使えるユーモアが変化するという考えである。立場が低い人は、自虐ネタよりも上司をいじるユーモアが有効な一方、上司は自虐ネタの方が安全なのである。言われてみれば納得であるが、ユーモアを効果的に使えるように気をつけたいと思った。

さっそく、生活の中で使うユーモアの量を少しずつ増やしていきたいと思った。

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「マインクラフト 革命的ゲームの真実」ダニエル・ゴールドベリ/リーナス・ラーション

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
現在では子供から大人まで多くの人に愛されているゲーム、マインクラフトをつくったマルクス・パーションの生活とマインクラフト立ち上げまでをの様子を語る。

マインクラフトというゲーム自体は名前は聞いたことあるものの実際にプレイしたことはなかった。以前プレイしたバーチャルワールドであるセカンドライフのようなものという印象を何となく持っていた。子供が幼稚園生になって園児のなかにもマインクラフトを日常的にプレイしている子が多々いるということで、改めてマインクラフトについて知りたくなった。

本書を読むとマインクラフトというゲームが、ただ単に開発者であるマルクスの試行錯誤だけでなく、さまざまな過去のゲーム開発者たちの考え方を結集してたどり着いた結果であることがわかる。漫画であればスラムダンクが大きくその後の漫画を変えたように、電話であればiPhoneが革命を起こしたように、マインクラフトもゲーム史の大きな革命を起こしたのだと感じる。

また、本書からはマルクスがお金儲けよりも自分の地位よりも、ただ純粋にゲームをプレイすることやゲームを作ることを楽しんでいる様子が伝わってくる。「Tomorrow and Tomorrow and Tomorrow」でも感じたことだが、本書のマルクスのように、ゲームが生活の一部になっている人たちの話に触れると、ゲームをプレイしない自分は人生をかなり損しているのではないかと感じてしまう。映画や漫画や小説と同じように、きっとゲームも楽しいことだろう。さっそくマインクラフトをインストールして触ってみたいと思った。

【楽天ブックス】「マインクラフト 革命的ゲームの真実」
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「記憶に残る人になる トップ営業がやっている本物の信頼を得る12のルール」福島靖

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
リッツ・カールトン、アメリカン・エキスプレスを経て営業コンサルティングとなた著者が良い営業になるための秘訣を語る。

著者自身の営業としての哲学は一貫して、得るものやサービスを語るよりも、信頼できる人間になるということである。そして、同時にタイトルにあるように記憶に残る人になるということである。そのための方法として著者が実践していることを本書では解説しているが、なかでも印象に残ったのは「感謝」の方法を決めないの章である。

僕自身謝罪を感謝に置き換えられるなら可能な限り感謝の言葉を伝えたい、という考えではあるが、感謝を伝えようとすると、どうしても言葉で「ありがとう」と伝える以外の方法が思いつかず、その形の制約から伝えられる相手や状況が限られてしまっていた。だからこそ本書の

感謝の方法や対象にこだわってはいけない

は非常に印象的でぜひとも取り入れたい考え方である。実際、本書では名刺に感謝のメッセージを書いて渡したり、ゴミ箱に清掃員への感謝のメモを貼ったりするシーンが描かれていて、決して難しい行動ではないと感じた。

著者は次のようにも語っている。

  • 感謝されるようなことをするよりも、小さな感謝を伝えることで人の心は動く…
  • 「すべての人」に、感謝を伝えているだろうか?

もちろん人は感謝されるために行動しているわけではない。だからといって感謝を伝えない理由はない。ぜひ実践していきたいと思った。

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