とにかくおすすめ

ジャンル関係なくオススメを知りたい人向け

とにかく面白い

ページをめくる手が止まらない、寝る時間さえ惜しくなる最高のエンターテイメント

泣ける本

思いっきり泣きたい人向け

優しい気持ちになれる本

悲しいとかハラハラするとか怖いとか必要なく、ただただほんわかして、暖かい気持ちを感じたい人におすすめの本

世界を知る

世界の大きな流れを知りたい人向け

深い物語

いろいろ考えさせられる、深い物語

生き方を考える

人生の密度を上げたい方が読むべき本

学習・進歩

常に向上していたい人が読むべき本

組織を導く人向け

日本の経済力を強くするために、組織づくりに関わる経営者などにおすすめしたい本

デザイン

ただ美しいものを作れるだけじゃなく、一歩上のデザイナーになりたいデザイナーが読むべき本

英語読書初心者向け

英語は簡単だけど面白い、そんな面白さと英語の易しさのバランスの良いものを厳選

英語でしか読めないおすすめ

英語で読む以上、英語でしか読めない本を読みたい。現在和訳版がない本のなかでぜひ読んでほしい本。

「Como agua para chocolate」Laura Esquivel

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
生まれた時から料理が大好きだったTitaだったが、末っ子だったため一生母親の面倒を見ることを運命づけられていた。そんな慣習の中で料理に情熱を注ぐTitaの人生を描く。

末っ子は母親の面倒を一生見なければならない、という古い伝統に縛られた家庭を、末っ子のTitaと母Mamá Elenaを中心に描く。そんななかTitaに恋をしたPedroは、Titaが結婚を許されていないことを知り、それでもTitaの近くにいるために、Titaの姉のRosauraと結婚することを選ぶのである。この決断によって複雑な関係が始まっていくのである。

そんな複雑な人間関係のなかで一生懸命生きるTitaやその姉妹とともに、調理の描写が細かいのが印象的である。本書を読むとメキシコの古いしきたりだけでなく、料理についても触れることができる。

スペインのスペイン語に慣れていると、メキシコのスペイン語を読むのが大変であるが、それに加えて調理方法や調理器具などに関する言葉が多くて読むのに苦労させられた。本書は「赤い薔薇ソースの伝説」「Like Water for Chocolate」として、映画化されて映画も高い評価を得ているようなので、機会があったら見てみたいと思った。

スペイン語新表現
pedir la mano de … 〜にプロポーズする、〜に結婚を申し込む
conciliar el sueño 眠りに落ちる
en balde 無駄に
por doquier どこでも、至る所に

和訳版はこちら

「教誨」柚月裕子

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
親戚の死刑囚三原響子(みはらきょうこ)の遺品の受け取り人として指定されていた吉沢香純(よしざわかすみ)は、三原響子(みはらきょうこ)が幼い子を二人殺めた理由を知ろうとする。

幼い自らの子供だけでなく、近所の女の子まで殺害した三原響子(みはらきょうこ)は死刑を執行された。遺品と遺骨を受け取った香純(かすみ)の記憶では、小学校の頃に一度言葉を交わしたことがあるだけであるにも関わらず、そんなことをするような女性には感じられなかった。遺骨を納める地を探すとともに、同年代の響子(きょうこ)に起きた出来事を知ろうとするのである。

世の中の伝統や仕組みゆえに、犯罪が起こる。という物語は、宮部みゆきの名作「火車」を思い起こさせる。ただ、このような、物語の展開よりも心の描写を中心に描くのであれば、よくある物語の何倍も深く、鋭く人の心を描写しないと、傑作にはなりえないなと感じた。そういう意味では、悪くはないが長く心に残るほどの作品には至ってない。

【楽天ブックス】「教誨」
【amazon】「教誨」

「Hamnet」Maggie O’Farrell

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
Hamnetは双子の妹のJudithが高熱で倒れたことから母を探していた。

物語は序盤は、Judithの高熱に対応する母を探して近所を歩き回るHammnetの様子、そして、その15年前、風変わりなAgnesと手袋職人の家の長男がやがてAgnesと結婚するまでの様子が交互に描かれる。

後半は家族を失ったことと、父親がロンドンで仕事をすることで、心が少しずつ離れ離れになる様子が描かれる。

正直、最後の最後まで、この物語がシェイクスピアを扱った物語だということに気づかなかった。HamnetとHamletが同じ意味の単語であることも知らなかったし、そもそもハムレットの物語自体を知らなかったから、重要な部分を見逃しているのかもしれない。やはり退屈でも古典には触れないといけないと感じた。

ただ、物語としてはかなり展開が少ない。Judithの高熱が、ひと段落するまで物語の半分以上を消費してしまう。

見どころは、子供を失った両親の描写だろう。きっとその描写から得られる感情は、独身の読者と子供を持つ読者では異なるのではないだろうか。そんなことを子供を持つ立場になってみるといろいろ伝わってくるものが違うのに気付かされた。

英語新表現
at odds with … …と矛盾する
Will-o'-the-wisp 欧米の神話に登場する不思議な光のこと
by-your-leave あなたの許可
chimney breast 暖炉や煙突などの部屋の中に出ている部分
chest cold 気管支炎

「極楽征夷大将軍」垣根涼介

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
第169回 (2023年上半期)直木賞受賞作品。足利家に生まれた兄弟、又太郎(またたろう)と次三郎(じさぶろう)が、やがて室町幕府を起こすまでを描く。

本書は足利尊氏とその弟直義(ただよし)や高師直(こうもろなお)中心に室町幕府を起こすまでを描いている。

正直、今まで触れてきた歴史物は、戦国時代から江戸時代のものが多かったし、それ以前の物語だと武蔵坊弁慶や源義経など鎌倉幕府に関わる物が多かったので、この時代についてはほとんど知らなかった。それだけに本書で描かれていた足利尊氏(あしかがたかうじ)の人間性や室町幕府成立に対するる尊氏(たかうじ)の弟直義(なおよし)の貢献さには大きさには驚かされた。

本書では足利尊氏(あしかがたかうじ)は、政治に才能を発揮する弟の、直義(ただよし)や師直(もろなお)に任せきりで、人情味あふれる人間ではあれど、ほとんど政治に興味を示さない野心ない人間として描かれているのである。

後半では、室町幕府が成立して以降の、終盤では、さまざまな内紛の様子が描かれる。それまで一緒に室町幕府を支えていた。直義(ただよし)と師直(もろなお)が、少しずつ疎遠にいく様子からは、当時の遠方との意思疎通の難しさが伝わってくる。

そういう意味では、日本という大きな土地を長く統治することがどれほど難しいかが伝わってくる。一方でそれは、のちに長く全国を平和に統一した徳川家康につても興味を掻き立ててくれる。

【楽天ブックス】「極楽征夷大将軍」
【amazon】「極楽征夷大将軍」

「氷点」三浦綾子

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
辻口家の娘のルリ子を殺した犯人は、自分も生まれたばかりの娘を遺して自殺した。辻口啓造(つじぐちけいぞう)は浮気をしていた妻夏枝(なつえ)への復讐のために、犯人の子供を引き取ることとする。

タイトルは何度も耳にしたことがある作品にもかかわらず読んだことがなかったので、今回手に取ってみた。

犯人の子を陽子(ようこ)と名づけて、長男の徹(とおる)とともに我が子として育てる夫辻口啓造(つじぐちけいぞう)と妻夏枝(なつえ)の様子を描く。夏枝(なつえ)の一時の気の迷いから生まれた行為が誤解を生み、そんな夏枝(なつえ)への復讐のための陽子(ようこ)が犠牲になっているという流れである。

強い嫉妬や復讐が描かれることが多い展開の中、唯一の救いは、母から辛くあたられるという苦難の中でも、前向きに生きようとする陽子(ようこ)の姿である。しかしそんな困難をプラスに変える生き方が、さらに母夏枝(なつえ)の敵対心を増していくのである。

個人的に気になったのは、自らの子供を殺した犯人の娘だかという理由で、真実を知ってから陽子(ようこ)につらく当たる夏枝(なつえ)の行動である。子供には何の罪もなく、幼い頃から育ててきだ子供であれば、血が繋がっているいないに関係なく愛情を注げると感じるのだが、この違和感は2020年代に読むからこそ感じるのだろうか。本書が出版された1970年代にはこの「殺人者の血」という考えが、今よりも自然に受け入れられていたのかもしれない。

すでに40年以上前に出版された物語であり、その舞台はさらにその10年以上前の戦後を舞台としているので、描かれる生活の様子が古いのはもちろんだが、登場人物の心情の描き方が表面的である点が、読んでいて古臭さを感じた。

一つの古典作品として読むのならまったく問題ないが、単純に一つの物語として楽しめるかと言われれば、やはり現代の深い心情描写や、息もつかせないような物語展開の作品と比べると見劣りしてしまう。

【楽天ブックス】「氷点(上)」「氷点(下)」
【amazon】「氷点(上)」 「氷点(下)」

「営業の神様ヤマナシさんが教えてくれたこと」早崎郁之

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
不動産会社の営業として成績がふるわない早崎(はやさき)はある日、ヤマナシさんと出会い、営業に対する考えを変えていく。

売るために物件のスペックばかりを説明していた早崎(はやさき)がヤマナシさんの助言によって、少しずつお客の本当に実現したいことは何かに耳を傾けるようになっていく。

その後は早崎(はやさき)がさまざまなお客に対して同様の考えをすることで、営業の成績をあげていく。結局本書で重要なのは次のことである。

その人がその商品やサービスを通じて得たいと思っているもの。誰かに愛されること、受け入れられること、認められること。これこそが真の欲望、『スーパーウォンツ』なんだよ

営業だけでなくさまざまなサービスにおいてもよく聞く話ではある。ブランドのひけつについて書いた「Building a storybrand」にも、サービスをスターウォーズにたとえて、私たちはヨーダになるべきでルークルカイウォーカーになってはならない。という言葉があった。結局、成功するサービスは常にお客様が主人公であることを意識しているのである。

そしてそれを常に実行するために、本書の「スーパーウォンツ」ように、共通の言葉を与えているのは有益だろう。

【楽天ブックス】「営業の神様 ヤマナシさんが教えてくれたこと」
【amazon】「営業の神様 ヤマナシさんが教えてくれたこと」

「日本一わかりやすい ひとり社長の節税 〜税理士YouTuberが“本音”で教える〜」田淵宏明

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
個人で仕事をしている人向けの節税方法について語る。

確定申告でかなりの税金をとられることから、他にも節税方法がないかと思っていたところで知人に本書を勧められた。

独立後の働き方としては、個人事業主として働くか、法人化するかという二つの選択肢があり、本書は基本的に法人化を進めており、全体的にも法人化したのちの節税方法について書いている。

大きな学びは、よく言われる年収1,000万円付近が法人化の目安、というのは特に信憑性がなく、年収500万円程度でも法人化した方が節税になるということである。

とはいえ、法人化した後の節税方法を知れば知るほど、考えなければいけないことが複雑になっていくという点が非常に悩ましい。法人としての税金計算に加え、個人としての計算も必要になり、単純に考えても計算にかかる手間が二倍以上になる。また、それを税理士に依頼するとさらに複雑になり、法人化すると税務調査が入る可能性も大きく高まるという。

漠然と法人化したのちのイメージはついたが、なかなか手間を考えると簡単には決断できないと感じた。人生の豊かさは持っているお金だけでなく、どれだけ生活を単純化するかにも大きく依存すると感じているので、節税のためとはいえむやみに人生を複雑にすべきではないだろう。

本書はすでに法人化を決断した人が読むと、使える情報にたくさん出会えるかも知れない。

【楽天ブックス】「日本一わかりやすいひとり社長の節税」
【amazon】「日本一わかりやすい ひとり社長の節税 〜税理士YouTuberが“本音”で教える〜」

「The Perks of Being a Wallflower」Stephen Chbosky

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
高校生のCharlieが日常の出来事を日記に綴っていく。兄や姉や家族の話や、高校の友人たちの話を語る。

前半は、本当に普通の高校生が日常を綴っているという印象である。基本的には仲のよいPatrickと大好きなSamを描くことが多い。他にもさまざまな高校の友人たちが描かれ、Charlieが描く友人たちが、みんな非常に優しい人たちなのが伝わってくる。ただ、高校生活の些細な出来事が多く、なかなか物語が大きく動かないので若干飽きてしまうかもしれない。

しかし、中盤以降、少しずつCharlieが、普通の高校生とは少し違った感覚の持ち主で、過去の出来事によって心に大きな傷を抱えていることがわかってくる。そして、Charlieが日記をつけ始めたのは、精神科医に勧められて始めたということである。

やがて、Charlieは周囲の家族や周囲の友人たちの支えもあって、少しずつ自分の人生に向き合うようになっていくのである。

作品としては映画化もされており、大きく評価されてはいる。しかし、読んでみるとそこまで本を読み慣れている人に響く作品には感じられなかった。どちらかというと、その日記というスタイルから、主人公のCharlieと同年代の十代の若者の共感を集めたのだろうと感じる。

一方で高校生であるCharlieが日記をつづる、というスタイルの物語なので、時々出てくる高校生らしいスラング以外は出てくる英単語は非常に簡単である。

英語新表現
somebody's crush 誰かの片思いの人
designated hitter 指名打者
do acid 幻覚剤を摂取する
behind by one run 一点差で負けている
the beer starts to hit him ビールで彼は酔っぱらい始めた
second string 補欠(2番手)選手

「El cuco de cristal」Javier Castillo

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
心臓移植で命を救われたCora Merloは、自分の命を救ってくれたCharlesがどんな人生を送ってきたのかを知るためにCharlesの故郷のミズーリ州Steelvilleを訪れることとなる。しかし、Steelvilleでは未解決の行方不明事件が繰り返し起こっていた。

物語としては、CoraとCharlesの兄のJackが、行方不明の事件の真実に迫っていく様子を描く現在の様子と数年前の様子を交互に描いている。CoraはドナーであるCharlesの生前の様子を知るためにSteevilleに滞在し、そのなかで偶然行方不明のこどもを発見したことから事件に巻き込まれていくこととなる。一方Jackは、CoraのドナーとなったCharlesを弟に持つだけでなく、行方不明者を捜索していた警察官だった父親も失踪しているという過去を持つのである。

現代と並行して描かれる過去の物語では、失踪前のJackの父のEdwinが、子供の頃に行方不明になった姉を探す様子を描く。姉は田舎町の生活に嫌気が出て家族も顧みずに出ていった、と思っていたEdwinだったが、警察官として町の事件の解決に奔走する中で姉と思われる写真を見つけ、姉は実は拉致され殺害されていたのではないかという疑いが濃くなるのである。

Edwinの姉が行方不明になった1980年とEdwinが警察官として行方不明者の捜索に奔走する2000年、そしてCoraとJackがEdの父親Jackを含む行方不明者の謎に迫る2017年と、40年近くを隔てた3つの時代に起こった未解決行方不明事件の謎に迫るという、こんなに風呂敷を広げて大丈夫なんだろうかと思うほど謎満載の物語である。

マラガ生まれの著者のスペイン語の物語であるにもかかわらず舞台はアメリカという点がちょっと残念であるが、物語自体はしっかり楽しませてもらった。

スペイン語新表現
a hurtadillas こっそりと
de costado 脇腹から、横向きに
una camisa a cuadros チェック柄のシャツ
los juegos de mesa ボードゲーム
a merced de … 〜に翻弄されて、〜のなすがままに

「黒牢城」米澤穂信

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
第166回直木賞受賞作品。織田信長に反旗を翻して長岡城に立て篭もる荒木村重(あらきむらしげ)を描く。

時代小説ではあるが、本作品はこれまで出会ってきた時代小説と異なる新鮮な要素がある。まず、興味深いのが謀反を起こして籠城中という設定である。物語全体を通じても、ほとんど戦は起きない。むしろ、焦点となるのは、籠城という先の見えない状態の中で、すこしずつ疲弊していく民や、誰に従うべきかと考え揺れ動く武将たちの心や、自分の大将としての影響力を気に掛ける村重(むらしげ)の葛藤である。

もう一つ興味深いが、小寺官兵衛(こでらかんべえ)という武将の存在である。村重の謀反を思いとどまるように進言しにきた小寺官兵衛(こでらかんべえ)は、その場で村重(むらしげ)に捉えられ牢に入れられたのである。しかし、しだいに大将として籠城を行う長岡城を統べる村重(むらしげ)が、唯一本音で語れる相手となっていくのである。

やがて、村重(むらしげ)は城内で起こっていた不可解な出来事の答えに辿り着くこととなる。そこで村重(むらしげ)はさまざまな考えを知るのである。

犬死をおそれる殿の気持ちも、わからないではございませぬ。…
されどわたくしはーーこの先も苦しみが続くと思いながら迎える死こそが、もっとも残酷と思うております。

著者米澤穂信作品は長く読み続けており、軽い雰囲気のミステリーを描いていた頃から知っているため、一人の作家の成長ぶりも併せて楽しませてもらっている。前回読んだ著者作品「可燃物」が評価の割に登場人物の人間味が薄く期待はずれだったため、本書もそれほど期待値は高くなかったが、同じ著者がここまで異なる雰囲気の作品を描けるのかと驚かされた。

昨今、今村翔吾垣根涼介などによって戦国時代を描いた歴史小説が一気に面白くなったが、本書もまったく引けをとらない。

【楽天ブックス】「黒牢城」
【amazon】「黒牢城」

「親子で学ぶどうしたらお金持ちになれるの?人生という「リアルなゲーム」の攻略法」」橘玲

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
合理的に生きればお金持ちになれるとして、その方法を子供にもわかりやすく説明する。

全体的にはコスパやタイパ、複利の話などをわかりやすく説明している。常に合理的な考え方をしている人にとってはあまり新しい内容はないだろう。

しかし、本書でも繰り返し語られるように、世の中には不合理な人たちが溢れているのである。宝くじを買ったり、ギャンブルに大金を注ぎ込んだり、わずかなお金を節約するために多くの時間や労力を消費したりする人はたくさんいるのである。

全自動洗濯乾燥機や食洗機があるのに、毎日洗濯や食器洗いに1時間以上かけている人など数えきれないほどいるだろう。そういう人はお金の大小ばかりに目を奪われて、時間という有限の資源の重要性を理解できないのだ。

そういう意味では、本書のような本とともに、子供の頃から、一番大切で取り返しのつかないものは時間である、という考えを育てるのは非常に良いことなのかもしれない。

【楽天ブックス】「親子で学ぶどうしたらお金持ちになれるの?人生という「リアルなゲーム」の攻略法」
【amazon】「親子で学ぶどうしたらお金持ちになれるの?人生という「リアルなゲーム」の攻略法」

「データサイエンス「超」入門 をウソと見抜けなければ、データを扱うのは難しい」松本健太郎

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
いくつかの事例とともにデータの読み方を語る。

最近の新聞記事を題材としてデータの見方を説明する。面白かったのはGDPの章である。GDPは経済成長について語る時によく出てくる言葉ではあるが、どれほどの人がGDPという数字の意味についてわかっているのだろう。本書では名目GDPや実質GDPなどの言葉から、GDPという数値が生まれた経緯も含めて説明している。

他にも失業率や貧困率、地球温暖化などのデータを題材としてその仕組みを説明している。

結局データをみる時に心に留めておくべきことは次の点だろう

聞き方が違うため、同時点のマスコミの各社の世論調査どうして支持率を比較しても意味がありません。マスコミそれぞれの支持率の推移に意味があります。
何ら偏っていない、真の精緻な世論調査はどこにあるのでしょうか?

つまり、データは常に多少の偏りがあり、質問や収集の仕方でいくらでも恣意的に示すことができるということである。

改めて、偏ってないデータなどは存在しいないこと、推移を示した時系列の連続したデータではなはない、一時的な調査結果を示したデータは疑ってかかるべきことを心に留めておきたいと思った。

【楽天ブックス】「データサイエンス「超」入門 をウソと見抜けなければ、データを扱うのは難しい」
【amazon】「データサイエンス「超」入門 をウソと見抜けなければ、データを扱うのは難しい」

「看守眼」横山秀夫

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
警察や司法、報道に関わる人々を描いた6つの物語。

今回も横山秀夫の人間描写力が際立っており、わずか数ページの短編で登場人物の人間味が深く描かれている。物語の面白さというよりも、優れた人間描写術としてみると、本書のような短編集でも十分楽しめるだろう。

個人的に印象的だったのは三篇目の「口癖」である。家庭裁判所の調停委員のゆき江の物語で、調停に訪れた人が知っている人物だった、というものである。調停委員という職業について初めて知ったが、知人への出会いが、結果的にゆき江の娘の過去を明らかにするまでの流れも面白かった。

どの物語も、それほど大きな事件ではなく、原稿が見つからない、とか、ミスをバレないようにしたい、などむしろ世の中の誰にでも起こりうる小さな出来事から始まる。しかし一人ひとりの個人にとっては世間からみたら小さくみえる出来事が、その日の最大の挑戦なのである。そんなそれぞれが感じる緊迫感と共に描かれるから、どの物語からも分厚い人間味が感じられるのだろう。

【楽天ブックス】「看守眼」
【amazon】「看守眼」

「1%の努力」ひろゆき

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
世の中の「頑張ればなんとかなる」と思っている人たちに向けて、サボる才能を磨く方法を語る。

世の中の出来事に対して、独自の視点で語るのが面白い。「サボる」という言葉をそのまま受け取ると強烈だが、もう少し受け入れられやすそうな表現にすると、何も考えずに努力するのではなく、ベストな場所と方法を見極めようというものである。

確かに日本では未だ、努力を過大評価している点があるし、未だに結果が出てないのに「一生懸命やっているんだから・・・」と自分を正当化しようとする人が多いのも事実である。ひょっとしたらそんな人には本書は響くかもしれない。

本書を読んで初めて知ったのだが、実は著者ひろゆきは自分と同じ年齢であるということ。以前から考え方で似ているところがあると思っていたのだが、それはこの世代に共通のものかもしれない。ただ、自分は著者ほどサボることが好きではなく、それを努力と呼ぶかは別にして、毎日何かに打ち込んでいる行き方の方が好きな点が大きく考え方の違う点だと感じた。

【楽天ブックス】「1%の努力」
【amazon】「1%の努力」

「A Dead Draw」Robert Dugoni

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
釈放されたErik Schmidtは、2人の女性を殺害した疑いがあり、Tracyの妹のSarhaを殺害したEdmund Houseと刑務所で親しかったという。出所したSchmidtは少しずつTracyに狙いを定めTracyの家族に接近し始める。

Tracy Crosswhiteシリーズの第11弾で、久しぶりに第一作目の大きな事件、妹のSarahの死や犯人Edmund Houseの話が登場する。

Schmidtに出会ってから過去の悪夢が復活し、射撃の腕にまで影響が出始めたTracyは、釈放されたScmidtから家族を守るために故郷のCeder Groveにしばらく滞在すこととする。また、その間なまった射撃の腕を回復するために、子供時代の射撃の先生であるMasonとその娘のLydiaとともにトレーニングに打ち込むこととなる。

しかし、そんななかSchmidtと思える男性が少しずつ夫のDanや娘の周囲に現れ、やがてTracyはSchmidtと、現在は廃墟と鉱山の町で対決することとなるのである。

久しぶりに犯人との直接対決というわかりやすい展開である。唯一興味深かったのはLydiaが自閉症で様々な能力に長けているにもかかわらず、人とのコミュニケーションを苦手とする点である。

英語新表現
chopped liver 無視される存在、おまけ扱い
horse around 馬鹿騒ぎする
put your asses on the line 命懸けでやる、全力でやる
tucker out 疲れさせる
easy peasy 楽勝
sass you back 反論する
belie the spite 悪意を隠す
refuse to give ground 一歩も引かない
I'm locked and loaded! 準備完了だ、行くぞ!
on the spectrum 自閉スペクトラム症(ASD)である

「昭和の犬」姫野カオルコ

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
第150回(2013年下半期)直木賞受賞作品。滋賀県に生まれた声の小さな女の子の柏木イクが、高度経済成長期で大きく発展を遂げる昭和を、さまざまな犬と関わりながら生きる様子を描く。

少し難しい家庭の父と母の下で育ったイクが、どちらかというと冴えない女の子である点が面白い。

さまざまな犬を描いているだけでなく、大きく変貌を遂げる日本のなかで、少しずつ文化や習慣が変わっていく様子も伝わってくる。

昭和という時代も、イクの生き方も、どちらも少し変わっているので共感するのは難しいかもしれない。それでも昭和という時代が令和とは少しずつ異なることが十分に伝わってくる。どの家にもテレビがついていたな、とか、放し飼いの犬がうろちょろしていたな、とか、昭和を知っている世代には懐かしく感じるだろう。

【楽天ブックス】「昭和の犬」
【amazon】「昭和の犬」

「信長の原理」垣根涼介

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
織田信長の生涯を描く。

織田信長といえば、戦国武将の中でももっとも有名な武将の一人である。しかし、その生涯を描いた物語にはこれまで漫画や映画も含めほとんど触れてこなかった。以前読んだ垣根涼介の「光秀の定理」が面白かったので、本書も、新しい視点を盛り込んだ歴史小説を期待して読むに至った。

そもそも織田信長という武将については、天下を初めて統一したこと、その後天下を統一した豊富秀吉や徳馬が家康に比べると非常に厳しい人格であること。そして、本能寺の変で明智光秀に裏切られて命を落としたことぐらいしか知らなかったので、細かい出来事はどれも楽しめた。

基本的には信長の生涯を時代の経過とともに描いているが、面白い試みとして、信長が常に世の中の不思議な法則に注意を向けている点である。5人の人間が集まれば、秀でているものは1人だけで3人は平凡になり1人は怠け者になるという、つまり現代はパレートの法則と呼ばれる法則である。「光秀の定理」ではモンティ・ホール問題が物語の鍵となっていたが、本書ではまさにこのパレートの法則が常に一貫したテーマとなっているのである。

物語は、信長目線だけでなく、のちの秀吉である木下藤吉郎や明智光秀目線でも展開する点も面白い。また、今村翔吾の「じんかん」でも描かれた松永弾正(まつながだんじょう)についても、非常に好意的に描かれているのが印象的であった。

終盤、信長の最期、つまり本能寺の変に近づくにつれて、光秀目線の物語展開が増えてくる。光秀側の正当化された光秀像が見えてくる。

いずれの出来事も、どこまでが歴史的な事実として明らかになっている出来事で、どこからが著者による新たな解釈なのかを知りたくなった。そのためには別の著者の書いた織田信長の物語に触れるしかないのだろう。人間の深みを感じるとともに歴史にも改めて目を向けさせてくれた。

【楽天ブックス】「信長の原理(上)」「信長の原理(下)」
【amazon】「信長の原理(上)」「信長の原理(下)」

「人を動かす」D・カーネギー

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
人を動かす方法をさまざまな例とともに説明する。

中盤まで読んだあたりで、タイトルがかなり異なるので気づかなかったが、英語版の「How To Win Friends and Influence People」で読んでいることに気づいた。ただ、このような重要なことは何度読んでも読みすぎるということはないだろう。

それぞれの例や物語を読んだ方がさらに実感をともなって伝わることは間違いないが、重要な項目は目次として抜き出されている。

人を動かす三原則
盗人にも五分の理を認める
重要感を持たせる
人の立場に身を置く
人に好かれる六原則
誠実な関心を寄せる
笑顔を忘れない
名前を覚える
聞き手にまわる
関心のありかを見抜く
心からほめる
人を説得する十二原則
議論を避ける
誤りを指摘しない
誤りを認める
穏やかに話す
”イエス”と答えられる問題を選ぶ
しゃべらせる
思いつかせる
人の身になる
同情を寄せる
美しい心情に呼びかける
演出を考える
対抗意識を刺激する
人を変える九原則
まずほめる
遠まわしに注意する
自分の過ちを話す
命令をしない
顔をつぶさない
わずかなことでもほめる
期待をかける
激励する
喜んで協力させる

どれも新しいことではないが、常にできている人はほとんどいないのではないだろうか。人間関係でうまくいかないとき、この項目を見れば解決策が見つかるかもしれない。

【楽天ブックス】「人を動かす」
【amazon】「人を動かす」

「Malibu Rising」Taylor Jenkins Reid

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
カリフォルニアの海辺の街Malibuでレストランを経営しながら生活するNina, Jay, Kitの4人の兄弟を描く。4人は恒例行事となったパーティの準備を進めることとする。

著名なサーファーでかつプロテニス選手との結婚していたNinaは、夫との破局直後だったため、パーティで人に顔を合わせるのが憂鬱な状態であった。そんなNinaを気遣って弟たちJay, Hud, Kitはパーティの準備を手伝いつつ、Ninaを外に連れ出そうとする。

パーティの準備が進む中で、少しずつ4人の兄弟の置かれた状況が明らかになっていく。彼らの父親は著名なアーティストですでに何年も前に家を出てって帰ってきていないこと。Hudは実は同じ母の子ではなく父親が別の女性と作った子であること。また、数年前に母が突然亡くなって、それ以来、長女のNinaが学業などあらゆることを我慢して3人の兄弟の面倒をみているということである。

特にNinaの生き方が印象的である。Ninaは弟たちの学費や、家事のために自分の学業を諦め、また必要なお金を稼ぐために世の男性の下心ある視線にさらされることを知りながらも自分の写真を世に出すことを決意したのである。

そんななかパーティが始まり、著名人たちがあつまってくるのである。さまざまなことが同時に起こる中で疲れ切っているNinaに友人のTarineがぶつける言葉が印象的である。

I suspect you have not lived a single day for yourself.
あなたは一日たりとも自分のために生きたことがないんじゃない?

そして、パーティにはやがて、長く帰ってこなかった父親までもが姿を見せる。4人は父の正直な思いを前に、長く抱えてきた思いをぶつけるのである。自分は父親にはなれなかったと語る父にぶつけるNinaの言葉が強烈である。

I didn't feel capable of any of that! But did that matter? Of course not. So I've gotten up every single day since Mom dies and I have done what needed to be done. Capable is a question I never had the luxury of asking.
私は自分ができるなんて思わなかった。でもそれが重要?もちろん重要じゃないわ。だからママが死んでから毎日起きてやるべきことをやった。私は「できるか?向いているか?」なんて自分に問いかける贅沢すら与えられなかった。

自らを犠牲にして誰かを支える生き方は、尊い生き方ではあるが、本人が幸せかどうかは別問題である。本人も周囲の人間も何が本当に最適な生き方なのかしっかり考えなければならないだろう。

やがてNinaもあるべき自分の生き方を悟っていく。

And Nina understood maybe for the first time, that letting people love you and care for you is part of how you love and care for them.
そしてNinaはおそらく初めて悟った。愛してもらったり世話してもらったりすることは、誰かを愛して世話することの一部でもあるということを。

良好な人間関係に必要なのは、自立や強さだけではないということである。

あまり出会ったことのない種類の物語で新鮮である。家族の愛の物語ではあるが、Nina目線だと自己犠牲側面も強くあり、考えさせられる。

英語新表現
with abandon 後先考えずに
stave off 食い止める、しのぐ
fend for ourselves 自力で切り抜ける
be in someone's hair 〜を煩わせる、〜にまとわるつく
be out on bond 保釈中である

「走り革命理論 今まで誰も教えてくれなかった「絶対に足が速くなる」テクニック」和田賢一

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
足の速さは才能ではないとし、ランニングとスプリントの違いとその習得方法を説明する。

僕自身ジョギングを趣味としており、最近では息子の走る練習に付き合ったりしているため、走るという行為をより論理的に理解したいと感じている。そんななか著者のYouTubeチャネルをみて基本的な考えは知っていたのだが、より深く理解したいと思い本書を手に取った。

本書はランニングよりもスプリント、つまり長距離よりも短距離に焦点をあてているが、個人的には効率よく走るための基本的な考えはどちらにも応用できると感じている。足の回転を増やすためにすべきことは、可能な限り地面への設置時間を短くすることであり、それをするためには本書のいう空中スイッチをすることである。

本書では効率の良い空中スイッチを習得するためのさまざまなドリルを説明している。改めて思うのは、新しい技術を身につけるためにはそれを表現する的確な言葉が必要ということである。例えば本書ではスプリントに必要なそれぞれの動きに対して次のような言葉を使用している。

  • アンクルホップ
  • 空中スイッチ
  • ベースポジション
  • 足首ロック

いずれも非常に良い言葉なのでぜひ使わせてもらおうと思った。

なかでも印象的だったのは腕振りの章である。

力んでしまう人への本質的なアドバイスは、「力を抜け!」ではなく、力を入れる”瞬間“のタイミングを明確に伝えることなんです。

ちょうど腕振りの効果を最大限に発揮できていないと感じていた時期だったので、腕振りの考え方は大いに参考になった。また、それぞれの考え方は息子とのかけっこトレーニングや自身のジョギングに取り入れたい。

【楽天ブックス】「走り革命理論 今まで誰も教えてくれなかった「絶対に足が速くなる」テクニック」
【amazon】「走り革命理論 今まで誰も教えてくれなかった「絶対に足が速くなる」テクニック」