「幸村を討て」今村翔吾

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
豊臣家の最後の生き残りをかけた大坂の陣、徳川軍と豊臣軍参加した武将たちはそれぞれの思惑を持ちながら参加する。そんななか鍵となるが幸村を筆頭とする真田家であった。

それぞれの武将の目から大坂の陣を語る。織田家、豊臣家、徳川家、によって少しずつ戦の機会が減り、戦国の世の中が終わりに近づく中で、自らの名を上げる機会を求める者、家の名を歴史に刻もうと努める者、自らの信念を貫く者、いまだに天下をとる夢を捨てられない者など、さまざまな思惑をもった武将たちが大坂での最後の決戦に臨む。

これまで触れてきた今村翔吾作品とは少し趣が異なる作品。それぞれの武将たちが自分の目的のために、さまざまな手段を駆使して情報を集め、さまざまな駆け引きをする様子は、「デスノート」や「ライアーゲーム」のような緊張感を感じさせる。

同時に、400年以上前の人々を想像力豊かに、深く描くその人物描写の力量に驚かされる。戦国時代の武将たち一人一人も、現代を生きる人間たちを同じように、自らの信念や世間体や子供たちの未来を考えて生きる生身の人間であったことを思い知らせてくれる。歴史的事実に分厚い人物描写を組み合わせて、これまで体験したことのない見事な歴史小説に仕上がっている。歴史小説嫌いな人も一読の価値ありである。

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投稿者: masatos7

都内でUI / UXデザイナー。ロゴデザイナーをしています。

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