
オススメ度 ★★★★☆ 4/5
三ツ鐘警察署でおこった事件を扱った7つの物語。
最近横山秀夫作品のすごさを改めて感じている。一冊に5つ以上の物語が入った短編集の、それぞれの数十ページの物語にでさえ、登場人物の分厚い人生を感じる。今までは長編しか読もうとしなかったのだが、短編集も全部読みたいと思い、本作もその流れの中でたどり着いた。
警察の物語というと、凶悪な連続殺人事件や誘拐事件などをイメージする人が多いだろう。しかし、短編集の本書が扱っているのは、実際に起こったとしても地方の新聞にも載らないような小さな事件ばかりである。ただ、それは小さな事件ではあるが、当事者や家族にとってはその人生に影響を与えるような大きな出来事なのである。
本書ではまさにそんな、事件に影響を受けた人々の苦悩を描いており、その横山秀夫の描写力から、どんな人間も物語の主人公になりうるのだということが伝わってくる。
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