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ページをめくる手が止まらない、寝る時間さえ惜しくなる最高のエンターテイメント

泣ける本

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悲しいとかハラハラするとか怖いとか必要なく、ただただほんわかして、暖かい気持ちを感じたい人におすすめの本

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世界の大きな流れを知りたい人向け

深い物語

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生き方を考える

人生の密度を上げたい方が読むべき本

学習・進歩

常に向上していたい人が読むべき本

組織を導く人向け

日本の経済力を強くするために、組織づくりに関わる経営者などにおすすめしたい本

デザイン

ただ美しいものを作れるだけじゃなく、一歩上のデザイナーになりたいデザイナーが読むべき本

英語読書初心者向け

英語は簡単だけど面白い、そんな面白さと英語の易しさのバランスの良いものを厳選

英語でしか読めないおすすめ

英語で読む以上、英語でしか読めない本を読みたい。現在和訳版がない本のなかでぜひ読んでほしい本。

「イクサガミ 天」今村翔吾

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
大金を求めて多くの武芸に秀でるものが京都の寺に集まった。そこで始まったのは、命をかけた戦いであった。

すでにこちらの物語はドラマにもなっているらしく、今村翔吾作品のなかではめずらしく、ややフィクションの要素が強いドラマ向きの物語である。家族を救うためにお金が必要な嵯峨愁二郎(さがしゅうじろう)と同じくそこに参加していた12歳の少女双葉(ふたば)とともに、主催者から与えられた掟にしたがって、東京を目指す様子を描く。

その掟とは、与えられた札を奪い合うというもので、関門ごとに指定の枚数以上の札を持っていないと通過できないという、つまり実質の殺し合いである。

愁二郎(しゅうじろう)と双葉(ふたば)は他の参加者と協力などもしながら、可能な限り人を殺さずにゴールを目指すこととする。そして、その過程で、愁二郎(しゅうじろう)の過去が明らかになっていくとともに、他の参加者たちの素顔が明らかになっていく。

まだ物語が始まったばかりなので全体的な感想は言いようがないが、とりあえず続きも読もうと思った。

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「El mentiroso」Mikel Santiago

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
数日の記憶を失ってた庭師のAlexは、記憶をとりもどすために自分の足取りを辿り始める。

金曜日の夜からの記憶のないAlexだが、わずかな記憶の中で隣で見知らぬ男が死んでいたことを覚えていた。自分の足取りを辿ると、記憶通りの使われなくなった工場があり、そこでは記憶と同じ男の遺体があった。そして、その男は著名な作家Félixという男であることを知る。自分が殺したかもしれないという不安のなか記憶の回復に努めるAlexは、少しずつその作家Félixが、地元の地域の秘密を小説として暴露しようとしていたことを知るのである。

記憶喪失モノというと宮部みゆきの「レベル7」や真保裕一の「奇跡の人」、最近だと「Project Hail Mary」など、小説では使い古された題材ではあるが、ハズレの少ない題材だけに、本作品も程よく楽しませてもらった。ただ、学びは残念ながらほとんどない。

スペイン語新表現
contra las cuerdas 窮地に立たされて、絶体絶命で、追い詰められて
tomar a pecho 深刻に受け止める、気に病む
morder el polvo (戦いなどで)敗れる、打ち負かされる、屈辱を味わう
de segunda fila 二流の、目立たない
bala perdida 厄介者、無責任なやつ、問題児、ろくでなし
hablar por los codos べらべらとしゃべる、とめどなく話し続ける

「東大卒キックコーチが教える本当に正しいキックの蹴り方」田所剛之

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
サッカーにおける正しいキックの蹴り方を、科学的に分析して説明する。

すでにサッカー歴を超えて長くプレーしているスカッシュで、最近理想に近いスイングに近づいたと感じている際、著者の登場しているYouTubeにたまたま出会い、改めてサッカーにおいてももっと効率の良い蹴り方があったのではないかと思い、将来の指導目的もふまえ本書にたどり着いた。

なかなか言葉だけで理論的に理解するのは難しいし、理論的に理解できたからといって即実践できるとは限らない。ただ、結局のところすべての野球のバッティング、サッカーのキック、ラケットスポーツのスイング等おいて必要なのは次の3点の考え方だろう。

  • 自然な振り子運動とムチのような動き
  • 回転と狙った方向を実現するための打点
  • 打点の重さ(本書では重さとしているが、実際には「硬さ」のほうがしっくりくる)
  • 空気抵抗によるマグヌス効果

印象的だったのは、スパイクの傾向なども考慮した利用的なインサイドキックの蹴り方である。スパイクに遊びがあるインサイドよりも踵よりで蹴った方が、足が硬いため、正確なインサイドキックが蹴れるというのである。

子供がサッカーをはじめたら、戦術だけでなく蹴り方も含めて、もう一度サッカーを理論的にやり直してみたいと思った。現在サッカーをしている人にもなにかしら一方上に進むためのヒントがあるかもしれない。

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「人魚が逃げた」青山美智子

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
銀座に逃げた人魚を探している王子がいるらしい。そんな噂が流れる銀座で、人間関係に悩む6人の男女を描く。

青山美智子作品も何冊か読むと、その共通したテーマと、スタイルに気づくことだろう。いつでも今ある日常の人間関係の大事さを伝えようと、さまざまな立場の人間の目を通して伝えてくるのである。今回もそういう意味ではその哲学は変わらない。人魚姫という素材を盛り込みながら、うまくいかない人間関係をさまざまな視点で描いていく。

印象的だったのは19歳の友治(ともはる)と31歳の理世(りよ)の12歳の年齢差のカップルの物語である。第一章が友治(ともはる)目線と第五章がの理世(りよ)目線となっており、友治(ともはる)目線の物語からは、豪華なマンションで生活する理世(りよ)に劣等感を抱きながらも背伸びする男性の様子が描かれる。

また理世(りよ)目線の物語では、若い男性に自分はふさわしくないかも、と怯えながらも強がって大人の女性を演じる様子が描かれる。結局のところ両思いにもかかわらず、不安を募らせる両者が、読者として第三者目線でみると、なんとももどかしい。

60歳を過ぎて離婚した男性を扱って第3章も面白かった。勢いではなく、冷静に離婚を決断した妻の言葉は世の男性すべてが心に留めておくべきだろう。

私が本当に、ああもうだめなんだなって悟ったのは、あなたが積み立て預金に手をつけたこと自体よりも、罪悪感もなく逆ギレされたことよ。人と人を繋ぐのは結局、愛とか恋より、信頼と敬意なのよ。

どの物語からも、正直な思いを言葉にして伝えることが、どれほど重要か、そしてそれを怠ることでどれほど無駄なすれ違いを生むのかが伝わってくる。

「でも、私は彼にふさわしい人間だなんて思えない。」
「彼はきっとこう言うわ。それは僕が決めることなのに、って」

恋愛に躊躇しているすべての人に伝えたい言葉である。

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「ユーモアは最強の武器である」ジェニファー・アーカー/ナオミ・バグドナス

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
ユーモアの重要性とさまざまな実験の結果や事例とともに説明する。

序盤はユーモアの有効性、特にビジネスシーンにおける必要性を語りながら、人々がユーモアを発揮にくくさせている4つの思い込みについて触れている。

  • 1.ビジネスは真面目であるべきという思い込み
  • 2.うけないという思い込み
  • 3.面白くなくちゃいけないという思い込み
  • 4.生まれつきの才能という思い込み

面白いのは、ユーモアを試みるだけでも、つまりつまらないユーモアだったとしても職場の雰囲気は大きく変わるということである。

中盤ではさまざまな有名企業でのユーモアの事例を挙げている。本書ではグーグルやピクサーの例を紹介しており、リーダーや会社のトップがどのようにユーモアを使い、社員のユーモアにどのように反応するかが、組織におけるユーモアの文化を決めていくのだということがわかる。

特に印象的だったのが、立場において使えるユーモアが変化するという考えである。立場が低い人は、自虐ネタよりも上司をいじるユーモアが有効な一方、上司は自虐ネタの方が安全なのである。言われてみれば納得であるが、ユーモアを効果的に使えるように気をつけたいと思った。

さっそく、生活の中で使うユーモアの量を少しずつ増やしていきたいと思った。

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「マインクラフト 革命的ゲームの真実」ダニエル・ゴールドベリ/リーナス・ラーション

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
現在では子供から大人まで多くの人に愛されているゲーム、マインクラフトをつくったマルクス・パーションの生活とマインクラフト立ち上げまでをの様子を語る。

マインクラフトというゲーム自体は名前は聞いたことあるものの実際にプレイしたことはなかった。以前プレイしたバーチャルワールドであるセカンドライフのようなものという印象を何となく持っていた。子供が幼稚園生になって園児のなかにもマインクラフトを日常的にプレイしている子が多々いるということで、改めてマインクラフトについて知りたくなった。

本書を読むとマインクラフトというゲームが、ただ単に開発者であるマルクスの試行錯誤だけでなく、さまざまな過去のゲーム開発者たちの考え方を結集してたどり着いた結果であることがわかる。漫画であればスラムダンクが大きくその後の漫画を変えたように、電話であればiPhoneが革命を起こしたように、マインクラフトもゲーム史の大きな革命を起こしたのだと感じる。

また、本書からはマルクスがお金儲けよりも自分の地位よりも、ただ純粋にゲームをプレイすることやゲームを作ることを楽しんでいる様子が伝わってくる。「Tomorrow and Tomorrow and Tomorrow」でも感じたことだが、本書のマルクスのように、ゲームが生活の一部になっている人たちの話に触れると、ゲームをプレイしない自分は人生をかなり損しているのではないかと感じてしまう。映画や漫画や小説と同じように、きっとゲームも楽しいことだろう。さっそくマインクラフトをインストールして触ってみたいと思った。

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「記憶に残る人になる トップ営業がやっている本物の信頼を得る12のルール」福島靖

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
リッツ・カールトン、アメリカン・エキスプレスを経て営業コンサルティングとなた著者が良い営業になるための秘訣を語る。

著者自身の営業としての哲学は一貫して、得るものやサービスを語るよりも、信頼できる人間になるということである。そして、同時にタイトルにあるように記憶に残る人になるということである。そのための方法として著者が実践していることを本書では解説しているが、なかでも印象に残ったのは「感謝」の方法を決めないの章である。

僕自身謝罪を感謝に置き換えられるなら可能な限り感謝の言葉を伝えたい、という考えではあるが、感謝を伝えようとすると、どうしても言葉で「ありがとう」と伝える以外の方法が思いつかず、その形の制約から伝えられる相手や状況が限られてしまっていた。だからこそ本書の

感謝の方法や対象にこだわってはいけない

は非常に印象的でぜひとも取り入れたい考え方である。実際、本書では名刺に感謝のメッセージを書いて渡したり、ゴミ箱に清掃員への感謝のメモを貼ったりするシーンが描かれていて、決して難しい行動ではないと感じた。

著者は次のようにも語っている。

  • 感謝されるようなことをするよりも、小さな感謝を伝えることで人の心は動く…
  • 「すべての人」に、感謝を伝えているだろうか?

もちろん人は感謝されるために行動しているわけではない。だからといって感謝を伝えない理由はない。ぜひ実践していきたいと思った。

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「国宝」吉田修一

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
長崎の極道の家に生まれた立花喜久雄(たちばなきくお)は、抗争で父を失ったのち、歌舞伎の家で生活しながらその道へと進んでいくこととなる。

すでに本作品は映画化されており、すでに複数の人からその映画を勧められた。同じ物語の本と映画があったら本から入るべきという哲学から、本書を読むに至った。

物語は極道の過程に生まれ育った立花喜久雄(たちばなきくお)が、父親の死をきっかけに勢力を失っていくなか、知り合いの歌舞伎役者の花井(はない)家の下に預けられる。元々演技をすることが嫌いではなかった喜久雄(きくお)は、本家の息子である俊介(しゅんすけ)とともに、歌舞伎の未来を担う役者として成長していく。

一般的には本と映画があったら本のほうが良い作品であることが多い。それはそもそも良い物語を2時間の尺に詰め込むのはむずかしいし、人の心情を表情などの映像で伝わる表現だけで表現するのは不可能だということからだろう。しかし、本書に関しては、歌舞伎の描写の説明が多く含まれており、よっぽどの歌舞伎愛好家でなければ理解できないような内容が多く、映画の方が多くの人にとって入りやすいだろうと感じた。

歌舞伎の歴史や描写以外でも、喜久雄(きくお)を中心にした人間の物語はそれなりに読み応えはあるのだが、歌舞伎の描写の部分になかなかついていけなかったこともあり、物語を存分に満喫したような感じは味わえなかった。

【楽天ブックス】「国宝(上)青春篇」「国宝(下)花道篇」
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「Red Rising」Pierce Brown

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
将来移住してくる人類のために、火星の地下を掘り続けるRedと呼ばれる人々、そんななかの一人Darrowは、妻のEoが処刑されたことを機に、自分達を欺いてきた世の中の仕組みに気づく。

序盤は火星の地下の開拓のために、重労働を強いられる人々が描かれる。そんななかDarrowの妻は体制に歯向かって処刑される。Darrowは自暴自棄になったところでようやく現実に気づくこととなる。それは、すでに火星の地表には多くの人々が移住して快適に生活しており、将来の人類のために地下を開拓する、というのはRedの人々を働かせるための方便だったのである。

表向きには処刑されて死んだことになったDarrowは、肉体改造を経て、火星の頂点の種族であるGoldとして、将来のRedの反乱を確実に成功させるために、Goldの社会へと潜入する。そして、Goldの社会の中での地位を手に入れるためにGold同士の生き残りのゲームに参加することとなるのである。

火星を舞台にしたサバイバルということで、「The Hunger Games」のような印象である。未来の火星を舞台としているだけでなく、道具や技術も架空のものが多いので、なかなかその世界観についていくのが難しい。架空の世界の物語については常に言えることだが、世の中に活かせるような学びはほとんどない。本書は三部作の最初の作品ということで、物語はまだ道半ばではあるが、この労力を費やしてまで続きを読むのかは悩ましいところである。

以前よりよく名前を聞く作品で、完成度の高いファンタジー作品を期待していたのだが、若干期待はずれという印象である。

英語新表現
a game of merit 実力主義のゲーム
square up with … …と決着をつける
bent on … …に夢中になっている。
standard deviation 標準偏差
buck for … …を得ようと躍起になる
get their jollies off 楽しむ、満足感を得る、喜びを得る

「シューメーカーの足音」本城雅人

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
ロンドンで靴職人として働く斉藤良一(さいとうりょういち)と、日本で靴職人を夢見る榎本智哉(えのもとともや)の二人を描く。

すでにロンドンで靴職人として独り立ちしながらも、さらにそのブランド価値を高めようとする斉藤良一(さいとうりょういち)を描くとともに、日本で、靴の修理という小さな対応を重ねながら、将来を夢見て自らの技術の向上に励む榎本智哉(えのもとともや)を描く。

物語が進むに従って少しずつ二人の過去が明らかになっていく。現在は成功している斉藤良一(さいとうりょういち)だが現在の地位を掴むための苦労が見えてくる。そんな斎藤の過去からは、靴づくりにかける情熱と並行して、狂気のようなものも見えてくる。

一方で、榎本智哉(えのもとともや)の日常からは、斉藤良一(さいとうりょういち)を過剰なまでに意識していることがわかる。そこには父親の最期が大きく関わっていた。

やがて、智哉(ともや)の計画が功を奏して、二人は対決することとなる。

若干物語の展開が少ない。一方で靴職人の靴づくりにかける思いは十分に伝わってきて、ものづくりに没頭することのすばらしさを改めて感じた。

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「地雷グリコ」青崎有吾

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
第37回(2024年)山本周五郎賞、第77回(2024年)日本推理作家協会賞受賞作品。勝負ごとに滅法強い女子高生の射守矢真兎(いもりやまと)がさまざまな勝負に挑む様子を描く。

グリコのおまけ、坊主捲り、じゃんけん、だるまさんがころんだ、ポーカーなど、誰もが知っている勝負に、少し異なるルールを加えて勝負する射守矢真兎(いもりやまと)が、最後は想像の一つ上をいく様子を描く。

一見勝負師同士の心理戦のようにも見えるが、勝負のルールも勝負が行われている部屋もすべて著者の都合のいいように作られているので、ミステリーの要素も多い。そういう意味ではこれまでにない斬新な作品と言えるだろう。

特に現実世界に行かせそうな学びは一才ないが、重いテーマの物語を読んだ直後の一服にはちょうどいいかもしれない。

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「蹴球学 名称だけが実践している8つの真理」Leo the football

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
著者がさまざまなサッカーを研究し、また自分のチームで実践する中で身につけた理論を説明する。

本書は8つの真理としてサッカーにおいて意識すべき次の内容を説明する。

  • 正対理論
  • ポイント論
  • サイドバックは低い位置で張ってはいけない
  • アピアリング
  • ファジーゾーン
  • トゥヘルシステム
  • プレパレーションパス
  • 同サイド圧縮

いずれも自分が現役のときに知りたかった内容ばかりである。今できることとして、息子がサッカーを始めた際には伝えたいと思った。こうやって日本のサッカーがレベルアップしていくのだ感じ、実際に日本のサッカーが国際舞台で結果を出していくのを目の当たりにすると、このような書籍の貢献度の大きさを感じる。

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「じんかん」今村翔吾

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
第11回山田風太郎賞受賞作品。織田信長(おだのぶなが)に謀反を企てている松永秀久(まつながひでひさ)の過去について、信長(のぶなが)は家臣の又九郎(またくろう)語り始める。そこから見えてくるのは平和な世の中を目指した信念を持った生き方だった。

本書は信長(のぶなが)が謀反に対応する様子と、その信長自身が松永秀久(まつながひでひさ)について知っていることを語る内容、つまり過去の九兵衛(くへい)の成り上がっていく様子を交互に描く。

過去の九兵衛(くへい)の描写からは、不幸な少年期のなかで仲間を失い、やがて三好元長(みよしもとなが)の描く理想の世界に共感して、それを実現することを目的として生きていく様子を描く。それは、武士を消し去り、民の支配する世の中を作るというものであった。

中盤以降は元長(もとなが)と九兵衛(くへい)の思い通りことが運ばない様子が描かれる。

戦国時代の歴史を知ると、なぜこんなにも長く、多くの死傷者を生む戦いを繰り返していたのだろう。と不思議に思うだろう。同じように現代でも、独裁政権が倒れたら平和が訪れると思っていた国が、結局同じような紛争を繰り返すのを不思議に思うだろう。結局大部分の人間は、嫉妬、欲望、疑心暗鬼からは逃れられないのである。本書はまさにそんな人間(じんかん)の本質示してくれる。

長年敵対していた高国(こうこく)が九兵衛の問いに答える場面はまさに人間の本質を捉えている。

お主は武士が天下を乱していると、民を苦しめていると思っているのではないか?…民は支配されることを望んでいるのだ…日々の暮らしが楽になるのは望んでいる。しかし、そのために自らが動くのを極めて厭う。それが民というものだ。

やがて年齢を重ねながら、多くの仲間を失いながら、思いをなかなか達成することができずに、九兵衛も少しずつ悟ることとなる。

本当のところ、理想を追い求めようとする者など、この人間(じんかん)には一厘しかおらぬ。残りの九割九部九厘は、ただ変革を恐れて大きな流れに身をゆだねるだけではないか

現代の政治家と重なって見える。結局いつの時代も人は同じことを繰り返しているのである。自分の生活が脅かされれば反抗したり文句を言うが、本書の言葉を借りるならば、九割九分九厘の人間はは自らの責任で世の中を改善しようとしないのである。

自分は世の中を良くするために行動できる残りの一厘の人間だろうか、それとも不平を言いつつ動こうとしない残りの九割九分九厘の人間だろうか。そんなことを考えさせられる一冊である。

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「幸村を討て」今村翔吾

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
豊臣家の最後の生き残りをかけた大坂の陣、徳川軍と豊臣軍参加した武将たちはそれぞれの思惑を持ちながら参加する。そんななか鍵となるが幸村を筆頭とする真田家であった。

それぞれの武将の目から大坂の陣を語る。織田家、豊臣家、徳川家、によって少しずつ戦の機会が減り、戦国の世の中が終わりに近づく中で、自らの名を上げる機会を求める者、家の名を歴史に刻もうと努める者、自らの信念を貫く者、いまだに天下をとる夢を捨てられない者など、さまざまな思惑をもった武将たちが大坂での最後の決戦に臨む。

これまで触れてきた今村翔吾作品とは少し趣が異なる作品。それぞれの武将たちが自分の目的のために、さまざまな手段を駆使して情報を集め、さまざまな駆け引きをする様子は、「デスノート」や「ライアーゲーム」のような緊張感を感じさせる。

同時に、400年以上前の人々を想像力豊かに、深く描くその人物描写の力量に驚かされる。戦国時代の武将たち一人一人も、現代を生きる人間たちを同じように、自らの信念や世間体や子供たちの未来を考えて生きる生身の人間であったことを思い知らせてくれる。歴史的事実に分厚い人物描写を組み合わせて、これまで体験したことのない見事な歴史小説に仕上がっている。歴史小説嫌いな人も一読の価値ありである。

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「動機」横山秀夫

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
刑事、社会復帰中の犯罪者、女性新聞記者、裁判官、犯罪に関わる4つの物語を集めた短編集である。

最近、短編ほど著者の小説家としての力量を如実に示す媒体はないと悟り、これまで軽視してきた短編集を読み漁っている。なかでも横山秀夫は、好きな作家であるにもかかわらずその作品の半数ほどを短編集が占めるために、読んでいなかった作品が多い。本書もそんななかの一冊である。

本書は、期待した通り、良い小説家にかかれば、登場人物の人間を真実味を伴って描くのにページ数は必要ないということを証明してくれる。個人的には表題作となっている最初の「動機」が印象的である。警察という組織の中にも、立場に固執する者、職務に誇りを持っている者、将来を期待されている者、などさまざまな人間がいることが伝わってくる。そして表面的には異なる目的を持っているようで、結局誰もが家族を最優先に生きているのである。

今回も期待通りの著者の描写力を味わうことができた。

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「深追い」横山秀夫

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
三ツ鐘警察署でおこった事件を扱った7つの物語。

最近横山秀夫作品のすごさを改めて感じている。一冊に5つ以上の物語が入った短編集の、それぞれの数十ページの物語にでさえ、登場人物の分厚い人生を感じる。今までは長編しか読もうとしなかったのだが、短編集も全部読みたいと思い、本作もその流れの中でたどり着いた。

警察の物語というと、凶悪な連続殺人事件や誘拐事件などをイメージする人が多いだろう。しかし、短編集の本書が扱っているのは、実際に起こったとしても地方の新聞にも載らないような小さな事件ばかりである。ただ、それは小さな事件ではあるが、当事者や家族にとってはその人生に影響を与えるような大きな出来事なのである。

本書ではまさにそんな、事件に影響を受けた人々の苦悩を描いており、その横山秀夫の描写力から、どんな人間も物語の主人公になりうるのだということが伝わってくる。

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「解像度を上げる」馬田隆明

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
曖昧な思考をより明確にする作業を「解像度を上げる」として、その方法について語る。

もちろん本書でいう解像度は、画像のピクセル数の密度、という元々の意味ではない。本書でいう「解像度を上げる」とは、表現や考えの曖昧な部分がより具体的で明確な状態に近づけるということである。

本書では解像度を

  • 深さ
  • 広さ
  • 構造
  • 時間

という4つの軸で考え、それぞれの軸で向上させていく方法を語る。

全体的にかなり網羅的な内容になっている。正直網羅的すぎて、他の書籍と重なる部分も多い。例えば、解像度を深くする章ではユーザーインタビューの手法にまで触れている。本書一冊ですべてを理解したい人には良いかもしれないが、実際にはそのような読者は少ないだろう。核心となる考え方に絞って、他の書籍で語られている内容は削ぎ落としたほうが良い本になったのではないだろうか。

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「夜に星を放つ」窪美澄

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
第167回(2022年上半期)直木賞受賞作品。さまざまな人間関係を扱った5つの物語。

双子の妹を亡くした婚活中の女性、離婚調停中の男性、父親と二人暮らしの女子高生など、少し変わった人々の様子を描く。

全体的に優しい物語ではあるが、直木賞受賞作品となるほどの個性や良さがあったかというと疑問である。自分には見出せなかった良さがあるのかもしれない。

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「黛家の兄弟」砂原浩太朗

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
第35回(2022年)山本周五郎賞受賞作品。筆頭家老をつとめる黛(まゆずみ)家の様子を、三兄弟、栄之氶(えいのじょう)、荘十郎(そうじゅうろう)、新三郎(しんさぶろう)を中心に描く。

大きく前編と後編に分かれており、前編は黛家のはみ出しもので行き場を失った次男の荘十郎(そうじゅうろう)の事件をめぐるできごとを中心に展開する。黛(まゆずみ)家を存続させることを優先する父、長くともに過ごしてきたことで決断しきれない栄之氶(えいのじょう)と新三郎(しんさぶろう)の苦悩を描く。

後編は前編の13年後の物語である。黒沢家で織部正(おりべのしょう)として生きるかつでの新三郎(しんさぶろう)と、父の跡を継いで清左衛門(せいざえもん)となった栄之氶(えいのじょう)が、表向きには疎遠になったように見せながらも、その立場を利用して黛(まゆずみ)家のために生きる様子を描く。

江戸時代における男の人生を非常に巧みに描く。一方で、当時の立場や役職などに詳しくないとなかなか理解が追いつかず、物語に没頭しにくいのを感じる。登場人物の多さや改名が一般的であることから名前が固定されていないのも要因の一つであり、この辺のわかりやすさと忠実度のバランスが物語の書き手として難しいところだろうと感じた。

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「Cause of Death」Patricia Cornwell

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
海軍の船の近くを潜水中に亡くなったジャーナリストは毒殺されたことが判明した。調査の過程で少しずつKay Scarpettaの周辺で不審な出来事が起き始める。

Kay Scarpettaシリーズの第7弾である。「The Bone Collector」シリーズに飽きて、事件捜査だけでなく家族や恋人との人間的な側面の描写の多いこちらを読み続けており、今回もそんななか惰性で手に取った。今回も、事件捜査と同じぐらいKay自身の複雑な人間関係についての悩みが描かれる。不倫関係にあるWesleyとの関係、長年のパートナーで離婚とともに少しずつ堕落していく様子を隠さないMarinoとの関係、成人して少しずつ危険な警察組織としての道へと進んでいく姪のLucyとの関係などである。

事件自体は警察の汚職なども絡んでくるが若干深みに欠けて物足りない。このシリーズの良い点は事件が解決した後にダラダラその後の物語を描かない点である。前作品と今回の作品は、事件解決の余韻に浸る間も無く終わってしまった。

英語新表現
pass on 亡くなる
run-in 口論、衝突、いざこざ
have my head in the sand 見て見ぬふりをする
blow off steam 不満を発散する
do a number on … …に損害を与える