「流浪の月」凪良ゆう

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
2020年本屋大賞の受賞作品。

9歳の更紗(さらさ)両親が亡くなって親戚の家に引き取られることとなる。自らの居場所に悩むなか、あるとき公園で大学生の文(ふみ)と出会う。

9歳の更紗(さらさ)と大学生の(ふみ)の物語である。大学生の男と小学生の女の子なので、大学生の(ふみ)を見る世間の目は厳しい。そんな危険な関係がどのように展開していくかという点が緊迫感があって面白い。そんな2人はやがて離れ離れになり、15年の時を経て再び近づいていくのである。

周囲の人間の持つ先入観に振り回されながらも強く生きる更紗(さらさ)と(ふみ)の生き方が印象的である。幼い女性しか愛せないという、どちらかといえば世の中から敵意を持って見つめられがちな嗜好性を持つ人間を、物語の中心に据えている点に新鮮さを感じる。普通の人間として生きることのできない人間の、強く切ない物語である。

この感覚を言葉にするのは難しいが、こんな辛い生き方をしている人も世の中に入ることを理解し、、そんな人間が周囲にいるのだとしたら、応援できる人間でありたいと感じた。

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投稿者: masatos7

都内でUI / UXデザイナー。ロゴデザイナーをしています。

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