「ひとつむぎの手」知念実希人

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
過酷な労働環境と低賃金の大学病院という環境で心臓外科医を目指す平良祐介(たいらゆうすけ)は、先進的な病院への出向の口約束をもとに、3人の研修医を担当することとなる。そんな平良祐介(たいらゆうすけ)の大学病院の様子を描く。

教授の甥や、そのほかにも医局内で権力を握ろうとする動きが多くある中で、祐介(ゆうすけ)は迷いながらも患者に真摯に向き合って決断をしていく。祐介(ゆうすけ)のもとについて3人の研修医、牧(まき)、郷野(ごうの)、宇佐美(うさみ)はそれぞれ異なる個性と目標をもちながらも、やがて少しずつ祐介(ゆうすけ)の患者の気持ちを最優先にした考え方に惹かれていく。特に宇佐美(うさみ)は過去に家族を亡くした経験をしているせいで、患者に特別に共感してしまう部分があり、やがて、残りの人生の短い中学生の女性を担当することなるのである。

やがて、病院内は権力争いが熾烈化していく。祐介(ゆうすけ)は患者の気持ちと、自分の出世と、そして3人の研修医の未来を考えながら毎日悩みながら医師としての職務を全うしていくのである。医局を舞台にした暖かい病院物語である。

著者知念実希人の作品は本書で2作品目となったが、どちらも病院の描写が細かく、医学への深い知識を感じた。むしろ病院を舞台としていない物語も読んでみたいと思った。

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投稿者: masatos7

都内でUI / UXデザイナー。ロゴデザイナーをしています。

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