「ノーマンズランド」誉田哲也

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
「ストロベリーナイト」シリーズである。硝子の太陽ルージュ、ノワールの後の物語である。

物語は、姫川玲子(ひめかわれいこ)を中心とした殺人事件の捜査と、バレー部の高校生の男女2人を描いた甘い恋の物語が並行して進み、やがて、2つの物語が交わる形式をとっている。

自分のまわりですでに2人の刑事が殉職して自らの行動を振り返る一方で、女子大生の殺害事件の捜査を進めるのだが、容疑者として上がっている人物の周辺に不審な匂いを嗅ぎ取る。高校生の物語は、隣の中学校の女子バレーのエースの庄野初海(しょうのはつみ)に憧れた江川利嗣(えがわとしつぐ)が、高校で初海(はつみ)と同じバレー部になり少しずつ近づいていく。

そして、物語は北朝鮮による日本人拉致と絡んで進んでいく。犯人との対面によって、日本人拉致による北朝鮮側の工作員の視点が描かれているところがもっとも印象的だった。確かに僕らは、一方的に日本人拉致で北朝鮮を非難しているが、国のために、拉致を実行しなければならなかった北朝鮮工作員の心情はどのようなものだったのだろう。

「硝子の太陽 ルージュ」、「ノワール」のような一気読み感はないが、やるせなさや深みを感じさせる作品。どちらかとこちらのテイストの方が好きである。

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投稿者: masatos7

都内でUI / UXデザイナー。ロゴデザイナーをしています。

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