「もじ部」雪朱里

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
書体デザイナーと書体に関わる仕事をしている人や書体についてデザインをしている人が書体について議論する「もじ部」のインタビューを記録している。
普段から書体に向き合っている人々の目線で書体について語られている点が非常に新鮮で、この一冊だけで書体について多くのことを学べた気がする。
UDフォントと言われるユニバーサルフォントには特に決まった形はないということと、UDフォントは見やすさを重視してはいるものの、もじ単体での読みやすさを重視するあまり日本語の持つリズムを乱していることもあるのだという。あまり考えずにUDフォントがあるならUDフォントを使用してきた僕としては非常に耳の痛い話である。
日本語は縦書きも横書きもあるので、縦に書かれた場合と、横に書かれた場合のフォントの理想形も異なるのだという。「い」や「む」の最後の一画の向き方向が次の字が下にあるか右にあるかで確かに変わるのである。書体づくりの奥深さを感じた。
また、書体デザイナー小林章さんの章では、欧文フォントのスペーシングについて学生たちに教えている。文字周辺スペースの面積を均等にするようにスペーシングするというのはわかっていてもがそれだけの知識では十分ではないというのは多くのデザイナーは経験として知っているのではないだろうか。本書で小林章氏はスペーシングについて新たな考え方を示してくれている。「AVAIL」「AVILA」という同じアルファベットで構成されながらも異なる言葉についてのスペーシングを例に、文字の並びによっっても最適なスペーシングが異なることを説明しているのだ。
パソコンによってデザインが一般の人の手の届くところに来たことはいいことだと思うが、それによって表面的なデザインが増えてしまうのも事実だろう。プロを自負するデザイナーはぜひ本書の知識を知って書体のあるべき姿を広めていってほしいと思った。
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