「フォルトゥナの瞳」百田尚樹

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
自動車塗装工として働く木山慎一郎(きやましんいちろう)はある日人の体が透けて見えることに気付く。それはその人が近いうちに死ぬ事を示すものだった。人の死が見えることで慎一郎(しんいちろう)の生活は変わって行く。
形こそ、近いうちに死ぬ人がわかる、というものだが、慎一郎(しんいちろう)の苦しみは、世の中に数多くあるタイムトラベルを用いた物語と共通している。未来が見えるゆえに近いうちに死ぬ人がわかり、その人を救いたいのだが、どのように説明すればいいかわからない、というものである。そういう意味では慎一郎(しんいちろう)のその能力ゆえの葛藤は、普段SF物語に触れている人には見慣れたものなのかもしれない。
一方で、家族を幼い頃になくし、天涯孤独で生きていながらも、目の前の仕事に誠実に取り組み、やがて恋に落ちる慎一郎(しんいちろう)の普通の人間としての生き方は尊敬できる。
物語は終盤に向かうにつれて、慎一郎(しんいちろう)は多くの人の死を知り、自らの行動を決断することとなる。
多少は形を変えているものの、よくあるSF物語の焼き直しという印象で、全体的には大きく予想を裏切ることも超える事もなかった。肩の力を抜いて読むにはいいかもしれない。
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