「ケルベロスの肖像」海堂尊

オススメ度 ★★☆☆☆ 2/5
東城大学病院に脅迫状が送られてきた。AIセンターのセンター長となった田口(たぐち)はその犯人を突き止める任務を与えられる。
「チーム・バチスタの栄光」に始まるシリーズの完結編である。「ブラックペアン1988」などの過去の物語や「螺鈿迷宮」などの東城大学病院以外の物語が絡み合って物語が完結に向かう。
シリーズの他の作品と同じように、本作品も物語のなかに現代の日本の医療の問題点が描かれている。司法解剖と遺体を傷つけないAIの有用性はシリーズを通して著者が訴え続けている事の1つであるが、本作品ではエピソード自体へ重みがかかっているように感じる。
過去の登場人物やエピソードが何度も言及されるので、残念ながら過去の作品に馴染みのない方にはあまり楽しめそうにない内容である。本作品がシリーズの完結編という事で、シリーズ通じて活躍した厚生労働省の役人白鳥(しらとり)やロジカルモンスター彦根(ひこね)の爽快な展開が見られなくなるのが残念である。
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