「猫鳴り」沼田まほかる

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
モンと名づけられた猫の3つの物語。
中年夫婦の元に現れた子猫モン。第一部では子猫のモンを夫婦が飼うことを決断するまでの過程、第二部はその10年ほど後、近所に住む男の視点からモンを見つめ、最後は命の終わりを迎えようとするモンとすでに妻に先立たれた飼い主、藤治(とうじ)を描く。
正直、三部に別れているそれぞれの章にどんな意味があるのか、表面的に文章を読むだけで理解できるもの以上のなにかが込められている気もしたが結局よくわからず、本作品をしっかり理解できたなどとは到底思えないが、それでも最後、死を迎えようとするモンを世話しながらも、すでに自分も妻に先立たれてそう遠くない日に死を迎えるであろうと自らの人生と比較するような描写は、心に染み入るものがあった。
【楽天ブックス】「猫鳴り」