「The Judas Child」Carol O’Connel

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
小さな町で2人の少女が行方不明になった。幼い頃双子の妹を殺害されるという経験を持つRouge Kedallは、2人の少女の失踪という類似性によって再び過去の事件と向き合うことになる。
物語は2つの側面から展開する。誘拐を解決するために動いているFBIなどの捜査側の視点と、監禁されている建物の中で、必死で生き抜こうとする2人の10歳の症状、GwenとSadieの視点である。
少女達の視点で展開される側では、それぞれの少女の個性が際立っている点が物語を興味深いものにしている。Gwenは副知事の娘で大人しく控えめである一方で、Sadieはいたずら好きで行動力があり、常にGwenをリードしていくのである、まだ10歳という年齢でありながらも固い友情で結ばれているゆえの2人の言動が見所だろう。
そんな一方で、Rouge KendallはFBIの人間と協力しながら、幼い頃に殺された妹、Susan Kendallの事件の真相を解明しようとする。一卵性双生児で常に一緒に行動し、ほかに友達を持たなかったことによって、幼い頃にRougeとSusanが見せた非科学的な行動には好奇心をかきたててくれるだろう。

たくさんの双子のを見てきたが、彼らのようなのは初めてだった。私がRougeの手術の準備をしているときに麻酔をかけた。看護師はSusanにガウンをかけて、マスクをつけさせた。だから彼女には針が見えなかったはずなのに、麻酔は彼女にも効いたんだ。まるで、2つの体を持つ1人の子供を扱っているようだった。

物語の舞台となっているのが非常に小さな田舎町なのだろう。それぞれの立場や職業が相互に依存しあっており、その結果として登場する多くの人物名のせいで、途中、やや話についていけない感も抱いたが、最後の数ページでそんな鬱憤のすべてを吹き飛ばされてしまった。正直、もう犯人なんてどうでもよくて、公共の場所で呼んでいたために涙をこらえるのに必死になってしまった。
挑戦するひとにはぜひ、途中の中だるみで諦めずに最後まで読み切って欲しい。記憶に残る本は、読後に喜びや悲しみよりもなにか喪失感のようなものを与えてくれる気がするが本作品もそんななかの一つと言っていいだろう。