「サクリファイス」近藤史恵

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
第10回大藪春彦賞受賞作品。
ロードレースチームに所属する白石誓(しらいしちかう)は、チームのエースを優勝に導くためのアシストとなることに魅力を感じる。しかしチームのエースには嫌なうわさが囁かれていた。
過去自転車を職業としている人の物語というのは読んだことがあってもロードレースをメインに扱ったものは記憶にない。それぐらい自転車競技というのは日本ではマイナーな存在なのだ。それを裏付けるように、最初の数ページで僕らがどれだけロードレースというものに対する知識がないか知るだろう。そして同時にロードレースが単にマラソンの自転車版という程度の単純なものではなく、他のスポーツにはない魅力をもったものであることも。
さて、物語中では誓(ちかう)が次第にレースで力を発揮できるようになるのだが、そこでチームのエースである石尾(いしお)にまつわる噂が頭から離れなくなる。強い若手に対する嫉妬から過去、若手の一人の大怪我をさせているという噂。
タイトルとなっている「サクリファイス」つまり「犠牲」。これがどんな意味を含んでいるのか。そんなことを考えて読むのも面白いだろう。
最終的にはやや誓(ちかう)の刑事なみの洞察力に違和感を感じながらも、心地よい汗のにおいを感じさせるような青春小説として読むことができた。
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