「千里眼キネシクス・アイ」松岡圭祐

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
ゲリラ豪雨に襲われている能登半島で岬美由紀(みさきみゆき)はノン=クオリアのステルス機に出会う。ゲリラ豪雨はノン=クオリアが意図して起こした災害だった。
今回は「シンガポールフライヤー」で登場した人の感情の存在を否定しする集団ノン・クオリアの陰謀を阻むことが主な目的となる。
序盤は美由紀(みゆき)の小学生時代のエピソードが描かれており、小学生でありながら日経を読むことを習慣にしていたりその異質な存在感も面白いが、美由紀(みゆき)をライバル視するクラスメイトの黒岩裕子(くろいわゆうこ)のエピソードにも楽しませてもらった。
また家族思いの美由紀(みゆき)の父親が、まだ幼くいながらも現在と同じように暴走しがちな美由紀(みゆき)の行いを優しく諭すシーンが温かい。

こんなことを言ってはどうかとも思うけど、人間少しはみ出してもいいと、お父さんは考えてる。それが絶対に正しいことだと自分が感じるのなら

上巻の中盤以降は舞台を現代に戻して話は進む。例によって時事ネタを取り入れた物語展開は期待を裏切らないが、かといって、世の中の問題点などを浮き彫りにするような内容の深さがあったかというと、今回はその点ではやや物足りなさを覚えた。
僕の記憶ではノン・クオリアは「シンガポール・フライヤー」から本作品までの間には登場していないように感じているし、松岡圭祐のサイトを見てもその認識で間違いないようだが、内容からは別のエピソードがその間起こっているような表現が見られた。小学館から発刊されていた初代千里眼シリーズと、角川から発刊されている千里眼シリーズで、多くの過去の作品が「完全版」の名を持って書き直されることによって若干の混乱を感じている。

カクテル・パーティ効果
たくさんの人が雑談している、カクテルパーティーのような雑踏のなかでも、自己に興味のあるヒトの会話、自分の名前などは、自然と聞き取ることができる。(Wikipedia「カクテルパーティー効果」

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