「ギャングスター・レッスン」垣根涼介

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
渋谷で若者たちを率いていたアキはチーム解散後、裏金窃盗集団の一員になると決めた。柿沢(かきざわ)、桃井(ももい)という2人の犯罪プロフェッショナルの下で、訓練と必要な知識を学び始める。
時間的には「ヒートアイランド」と「サウダージ」の間に位置する。アキを描いたこの作品は垣根涼介のほかの作品に比べて、社会問題や人間の内なる悩みなどのテーマ性が薄いが、気軽に読める手軽さがある。
表の顔を裏の顔を持つアキを含む3人。法律の及ばない生活だからこそ、口にしたことは必ず守ろうと努力する姿勢と、いつでも冷静に物事に対応できる者が信用を勝ち取る。戸籍を売っているホームレスや武器の密輸を手伝うコロンビアの日本人たちとのエピソードから見えるのは、結局どんな状況にも共通する人間の重要な部分である。
アキ以外にも、未来に悩むヤクザの柏木(かしわぎ)や、コンパニオンのバイトをしているアケミにも目線が移る。肩で風を切って歩くヤクザも、綺麗な顔をしたコンパニオンも、みんな理想と現実のギャップに悩みながら生きている。読んでいるうちに世の中のすべての人が可愛い憎めない存在に思えてしまうから面白い。このどこか爽快な感じは垣根涼介作品に共通する空気である。
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