「ダイスをころがせ」真保裕一

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
駒井健一郎(こまいけんいちろう)34歳は職を失い、ハローワークで職を探していた。そんな折、高校時代の友人、天知達彦(あまちたつひこ)と出会った。達彦(たつひこ)は次の衆議院選挙に立候補するから手伝ってほしいと告げる。度重なる説得の末、健一郎は第二の人生を選挙戦へと注ぎ込むこととなる。
真保裕一は好きな作家とはいえ、堅苦しい政治の話だと思って、この本を手に取るまで時間がかかった。なぜなら、僕にとっては自民党にも民主党にも大した違いは見えないし、今の政治に満足しているわけでは決してないが、興味を注いで動向を見つめるほどでもないからだ。そんな僕には達彦(たつひこ)が健一郎(けんいちろう)を説得するために語った言葉は耳が痛い言葉ばかりだ。

この国がどうなったって、自分の暮らしさえ今と変わらなきゃいい。そんなことしか考えられない身勝手な連中に、今の政治家を笑う資格があるか

「投票に行け」とか、「政治を駄目にしているのは国民だ」などと頭ごなしに言われればつい反論したくなるが、この本を読み進めていくうちに「国民の政治への無関心さ」を良くないことだと素直に受け入れざるを得なくなる。
また、今まで見えなかった選挙というものの裏側がリアルに伝わってくるとともに。政治を腐敗させる原因が選挙制度の中にもあるということを教えてくれる。

政治家は、落選してしまえば、即収入の道を絶たれて仕事を失う。落選すればただの人、という恐怖心が、過剰な広報活動の出費を引き出していくのだ

しかし、達彦(たつひこ)はこう語る

政治っていうのは解決のために道を探るのではなく、道を示すものだ

達彦(たつひこ)が語った政治論は「理想」であり「現実」とは程遠い考え方なのかもしれない。そして理想だけでは政治家であり続けることができず、政治家でなくなればなにも実現できない。そんな葛藤が現実にはあるのだろう。しかし政治家には「理想」と「絶対に譲れない線」は持ち続けて欲しいと思った。
そして達彦(たつひこ)はこうも語る。

俺は思うんだよ。選挙は政治家の姿勢が試される時なんかじゃない。有権者である国民の姿勢が試される時なんだって、な

本当に耳が痛い・・
なにより僕を刺激してくれたのは健一郎とその仲間たちの仲間を支えようという想いである。情熱を注ぐものさえ見つければ、何歳になっても熱い感動を味わうことができるということだ。眠る時間も惜しんで情熱を注げるもの。そんなものをまた見つけたくなった。
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「「ダイスをころがせ」真保裕一」への1件のフィードバック

  1. 私も「ダイスをころがせ」読みました。
    面白かったので上下2冊を一気に読みました。
    実は真保作品を読んだのは初めてだったのですがはまってしまい、
    真保裕一氏のファンサイトまでつくってしまいました。
    良かったら見に来てくださいね。
    真保裕一ファンサイト
    http://www.shimpo-fan.com/

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