オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
プリンストン大学の図書館から盗まれた5つの有名作家のオリジナル原稿は、Camino islandにある本屋のオーナーが所持しているとの疑いを持った保険会社は、Camino島で生まれ育った女性作家Mercerに本屋のオーナーBruce Cableに近づいて調査をすることを依頼するのである。

Mercerが執筆作業という名目でCamino等に滞在し、本屋のオーナーであるBruceや、Camino島にいるたくさんの作家と知り合いになるなかで、本屋や多くの作家事情が描かれている点が面白い。また、有名作家の初版本やサイン本、オリジナル原稿などが取引される闇マーケットについても描かれており、作家である著者の専門分野だけに真実に近い部分も多く含まれていることだろう。

普段あまり関わりのない世界に触れさせてもらえたという意味では新しいが、物語の内容としては特に驚くような展開もなく特別進めるような部分はない。

本書が初めて読んだJohn Grisham作品だが、他にも映画化された名作がたくさんなるので、少しずつ読んでいきたい。

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
田舎町に赴任した警察官のKaneはその街の保安官代理
Jennaとともに、街で行方不明になった人々の捜索を続ける。真実に少しずつその町の大きな犯罪が明らかになっていく

よくあるアメリカ警察物語という印象。シリーズのなかでこれから面白くなるのかもしれないが、本作品に関しては特に驚くようなことはなかった。暗い過去を持っているらしいKaneとJennaの関係が今後どのように発展していくのかが唯一気になる部分である。

DeputyやSherifなど、アメリカにおける保安官と警察官の役割の違いなどを自分がよくわかってないことを知った。

シリーズの続編を読むことはしばらくないと感じた。

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
フィリピン人の日本の介護事情について語る。

知り合いにフィリピン人の介護師がいるので、その仕事の状況や日本におけるフィリピン人介護師の立場を知りたくて本書にたどり着いた。

序盤は、フィリピン人を介護してとして受け入れるまでの、日本とフィリピン外交的経緯から日本で介護士として働くまでのフィリピン人が受けなければいけない教育過程など、現在の介護の状況を説明している。フィリピン人というと風俗などのイメージが付きまとってしまうが、本書を読んでフィリピン人が介護士としては非常に優秀であることがわかった。中盤からは現在日本で介護士として働くフィリピン女性たちの生活やそれぞれの持つ悩みについて書いている。彼女たちにとって介護士として働くために問題なのは、漢字の読み書きや職場の人間関係なのだという。

人材不足の日本の介護事情を解決するための手段として期待されるフィリピン人介護士ではあるが、僕らの持つ印象とは違って、問題となるのは彼女たちの教育よりもむしろ、受け入れる側の環境の問題なのだとわかった。日本人介護士に起こりがちな職場問題が、南の国で育った彼女たちには受け入れがたいのだろう。

後半はフィリピンで老後を過ごす日本人たちを紹介している。彼らの日本を出るという決断までの経緯と、現在の状況を読むと、フィリピンで過ごすのも悪くない気がしてきた。

本書は現在のフィリピン人による介護状況の概要を知りたいとう要求にはしっかり答えてくれた。

【楽天ブックス】「どこへ行く!?介護難民」

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
スタイリストの著者が服のコーディネートについて語る。

まず重要なのは、

センスのいいコーディネートにとっていちばん必要なのは、本当はセンスではなく、まずアイテムです。

ということだ。そのコンセプトにのっとって、本書ではさまざまな「使いまわしのきくアイテム」を紹介している。基本的に女性向けのコーディネートを扱っているが、男性にも採用できるアイテムや考え方が含まれている。個人的に「さっそく買ってこよう」と思ったのがストライプシャツ、ジージャン、白のトートバッグである。

毎日私服で働いている人にとってはファッションは印象を大きく左右するもの。不必要に労力やお金をかけたくはないが、考え方ひとつで大きく改善できるならぜひしたい。早速本書の考え方を取り入れていきたいと思った。

【楽天ブックス】「毎朝、服に迷わない」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
効率の用意プログラミング業務の進め方を「Extreme Programming」として紹介する。

XPは次の4つのことを重視している


コミュニケーション
フィードバック
シンプルであること
勇敢さ

である。最初の3つに多くの人は異論ないだろう。しかし最後の「勇敢さ」は普段意識指定なのではないだろうか。Exreme Programmingが重視する「勇敢さ」とは「ミスを認める勇気」である。ミスを認めるのが遅ければ遅いほど、そこからフックするのに時間がかかるのである。

後半で書いてあった

機能するもっとも単純な実装をする

は、エンジニアではなくPOやCOに知ってほしいと思った。デザインやコードをシンプルに実装することでどれほど将来的な柔軟性があがるかを組織においてどれほどの人が理解しているかどうかが大きな鍵だと感じた。

将来的に必要かもしれない機能に時間をかけることは、今必要な機能にかける時間を削るリスクを伴う。

シンプルであるために、デザイナーやエンジニアはもっとPOや顧客に対して声を上げることが、組織を効率的に動かすための近道なのだと感じた。エンジニア向けの本ではあるが、組織を動かす立場の人には誰にでも役立つ内容と言えるだろう。

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
誰も買っているところを見たことないにもかかわらず、定期的に街をまわってくるさおだけ屋や、ベッドタウンにあるフランス料理店など、身近に存在する不思議な例で好奇心を刺激して、その流れで会計を説明する。

非常に有名な本ではあるが、今まで読んだことがなく、今回妻との会話のなかから「そういえばさおだけ屋ってなんで潰れないんだっけ?」という会話の流れで読むことになった。全体的には楽しく読むことができたし、雑談に使えそうなネタがいくつか増えたきがする。

もちろん会計について理解するには本書だけでは不十分で、そこは本書で著者も述べているように、他の専門書に譲っているということだ。そんな著者の狙い通り、会計学についてもっと詳細を勉強したいと思った。そういう意味では「難しくない会計学」という、本書が目指していた目的は達成できたのではないだろうか。

【楽天ブックス】「さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問から始める会計学」

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
これからの時代の生き方について語る。

どちらかというと、これから社会に出て行く若い人向けに書かれた内容だが、僕のような社会人10年以上の人間が読んでも学ぶ部分はある。

物と同じように、人も同じ能力を持った人間がたくさんいれば、価格競争になってしまう。つまりコモディティ化が進んでしまうのだ。賃金を下げたくなければコモディティにならない生き方をすることが重要なのである。

著者はコモディティ化しないための生き方として4つの生き方をあげている。

マーケター
イノベーター
リーダー
インベスター

である。今後の生き方を改めて考えさせられた。

【楽天ブックス】「僕は君たちに武器を配りたいエッセンシャル版」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
多くの企業が様々な局面で非効率な業務フローを採用していたり、不必要なものを生産していたりする。その多くは視覚化することによって解決が容易になるのだ。本書はそんな視覚化の手法を「Alignment Diagram」として紹介している。

カスタマージャーニーマップやエクスペリエンスマップなどのUXデザインにおいて有名なものから、サービスブループリントやメンタルモデルダイアグラムとあまり知られていないものまでを、企業が陥りそうな状況を例としてその使い方を説明している。

本書ではたくさんの視覚化の手法をその名前とともに紹介しているが、実際には名前は重要ではない。状況に従って、紹介された手法を組み合わせることも必要である。大切なのは、状況に応じて的確な視覚化を行うことなのだ。

読むだけで身につくということはないので、必要なときに何度も読み直したいと思った。各章の末尾に掲載されているオススメの書籍、記事も少しずつ読んでいきたいと思った。

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
女性警察官Josieはなかなか進まない女性の行方不明者の捜査にいらだち、謹慎処分中にも拘らず自ら捜査に動き出す。

Josieは謹慎中という身にもかかわらず、被害者や生存者が口にする「Ramona」という謎の言葉の正体を追って、真実に迫っていく。そんななかJosieの人としての葛藤や人間関係も多く描かれている。離婚届に判を押さない前の夫のRayや、現在の恋人のLukeは、物語のなかでも重要な役割を果たす。また報道者として第一線に戻ろうとするあまりJosieとたびたび衝突するTrinity Payneの存在も面白い。

暇つぶしには悪くないが、よくある警察小説の範囲を出ていない。この本でなければ知ることのできない何かを教えてくれることはなかった。

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
マイクロコピーの重要性を、過去の著者の経験と実例をもとに語る。

マイクロコピーとは、トップページにあるような大きな文言ではなく、Webサイトやアプリケーションの各所に散らばるコピーのことである。本書はマイクロコピーの重要性を謳う理由は次のように語っている。

トップページの修正ではひどい時には2週間以上かかり、いったんサイトの稼働を止めなければならないほどだったのに、奥のページにいけばいくほど修正箇所は小さくなる。修正にかかる時間も短くなり・・・なのに売り上げは大きく上がる。

興味深いのは、たくさんの例を本書で示しているにもかかわらず、結局のところどんなサイトでも通用するような正解のコピーの書き方はないということである。あるサイトで成功したコピーが他のサイトでは逆効果になることもあり、そのサイトのユーザー層によって傾向は変わるのだという。結局、何度もABテスト等を繰り返して探っていくしかないのだという。

実際にコピーを見直す時にもう一度読み直したいと思った。

【楽天ブックス】「Webコピーライティングの新常識 ザ・マイクロコピー」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
「隠蔽捜査」に始まる竜崎伸也(りゅうざきしんや)のシリーズの第6弾である。

大森署署長を務める竜崎のもとに 大森署管内で連れ去り事件が発生する。このシリーズの面白い点は、毎回事件解決と同じぐらい警察組織内の政治が描かれている点である。今回もその点では同様で、組織内の立場や面子を気にして行動する人々の中で、ひたすら論理的に行動して正義を貫く竜崎の生き方が爽快である。

今回は、竜崎の娘の美紀(みき)の恋人との問題を仲介したり、署内の女性警察官、根岸紅美(ねぎしくみ)の業務改善をする過程でストーカー問題に焦点があたっている。

読み終えて気づいたのだが、このシリーズの面白さは竜崎伸也(りゅうざきしんや)の真っ直ぐさだけで、他に特に学ぶ部分はないのである。にもかかわらずこうやって第6弾まで読み続けている点が面白い。きっと同じように竜崎の生き方だけに魅力を感じてこのシリーズを読み続けている読者は多いのだろう。

【楽天ブックス】「去就 隠蔽捜査6」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5

インンターネットが発展した今、小さい会社でも大きな会社と対等に渡り合える。本書はそんなテーマでブランド戦略、マーケティング戦略について書いている。序盤では「小さいことは悪いことではない」ということを繰り返し強調した後、それの実現方法について次の順番で例と筆者自身の経験を交えながら語る。

自分のブランドを定義する
自分のブランドに合った人との関係を築く
自分のブランドに合って人との繋がりと会話を維持する
行動し、修正する

印象的だったのは最後の「行動して、修正する」で語られている次の4つのレイヤーである。

Direction 方向
Strategy 戦略
Messaging メッセージ
Delivery 伝え方

著者はこのように語っている「マーケットの問題に直面していると感じている多くの会社が、実は方向性の問題に直面していることが多い」。つまり、多くの会社が自分たちがどのような方向に進むべきかを考えもしないで、目の前の仕事に忙殺されているのだ。

あなたは何で、あなたは何がしたいのか?

何よりもまずこれを定義せずに、周囲の企業の真似ばかりしていてはいつまでたっても方向が定まらない。その結果、その先にあるはずの戦略も、メッセージも伝え方も決まらないまま時間ばかりが経ってしまうのだ。

本書は中小企業のための本であるが、人間関係においてもそのまま適応できると感じた。当面起業する予定はないがしっかり頭に刻んでおきたいと思った。

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
誰にでもわかりやすくデザインについて書いた本。

正直このようなデザインの「良い」「悪い」を語った本は多く、あまり内容が深いとは言えないので今まで敬遠してきた。しかし、本書は友人のデザイナーたちも持っているので、以前より気になっていたのである。デザインを仕事にしている僕に取ってもいくつか新しいことを知ることができた。

文字を加工して丸みをつける タイトルに「止め」を作る

なかなかデザイナーとして長く仕事をしていると、少しずつ別のデザイナーの視点に触れる機会が少なくなってくる。たとえ新しく知ることのできることが1割程度だったとしても、このような本にもっと触れるべきかもしれないと思った。

【楽天ブックス】「なるほどデザイン 目で見て楽しむデザインの本。」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
12歳の黒人男性がバスケットの試合の帰り道に車にはねられて死亡した。犯人の車はすぐに特定され、海軍の運送担当の男性と判明するが、その男性は犯行を否認し続けるのである。

女性刑事Tracy Crosswhiteシリーズの第5弾である。シリーズの他の作品と同様に物語の中心はTracyだが、同じチームのDelの妹の娘がドラッグの過剰摂取で亡くなったばかりなため、Delの違法ドラッグ密売の捜査も多く描かれている。また、ひき逃げ事件の裁判の過程で、海軍の専門の弁護士としてLeah Battlesという女性弁護士が登場し、Leah Battlesの知り合いの検事との因縁や、趣味のクラブマガの様子など、本作品はTracy以外の描写が多かった。

Tracyの私生活の方は、結婚したばかりのDanとのあいだに子供を授かるために奮闘する様子が描かれる。仕事や家庭などさまざまな場所で悩みながら生きていくTracyの様子が非常にリアルである。Tracyがどのように家庭と向かっていくのかは今後もきになるところである。

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
アジャイル開発を繰り返すうちに、作業者は要件だけを重視し、その機能が全体のサービスにおいてどのように位置付けられているかを見失いやすい。そんな状況の解決方法の1つであるストーリーマッピングについて語る。

現在の会社の状況の問題点を解決しようといろいろ調べていてユーザーストーリーマッピングに行き着いた。ユーザーストーリーマッピングの代表的な本といことで本書にたどり着いた。

これまでの開発手法であれば、開発中の機能について不明な部分が出てくると、「仕様書をしっかり書こう」ということになっただろう。しかし、どんな詳細に書かれた仕様書であっても書いた人の頭のなかには存在しながらも文字にならない部分は必ずあるのである。仕様書を書くことに時間を費やすのはやめて、ユーザーのストーリーを語ることによって共通理解をつくろう、というのがストーリーマッピングの考え方である。

基本的にストーリーマッピングの利点は、マッピング作成の過程で生じる議論に参加することによって、参加者全員の共通理解が進むということである。またストーリーマッピングによってユーザーがサービス利用時に困る部分を見つけ出しサービスの改善につなげることもできるし、製作者側が見落としていた部分を発見することにも役立つのだ。

こうやって語ってみると、いいことばかりのようにも聞こえるが、残念ながら本書ではユーザーストーリーマッピングの詳細なやり方は書いていない。いくつかの事例においてのユーザーストーリーマッピングの様子を語っているだけで、実際効果的なストーリーマッピングの方法は組織や目的によって変わるためファシリテートする人には高いの能力が必要となる。

ストーリーマッピングの効果には本書を読んだ後でも特に疑問はないが、本書自体は翻訳もわかりにくく、英語が苦手でない人は英語版を読んだほうが理解しやすいのではないだろうか。また、構成も読みにくく、ストーリーマッピングを理解するためには不要と思われる部分もあったように感じた。

【楽天ブックス】「ユーザーストーリーマッピング」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
講義を録画した動画を事前に見てきて、授業中は生徒たちが学んだことを確認するために費やす「反転授業」について書いている。

5年前、YouTubeを利用して講義を公開して有名になったカーンアカデミーに興味を持った際に「反転授業」という言葉を知った。反転授業が効果があることは当時も想像はついたが、生徒に事前に講義の動画を見せるというのは難しいのではないかと感じていた。その後「反転授業」がどのように発展したのかを知りたくて本書を手に取った。

本書はただ単に「反転授業」の説明だけにとどまらず、どのようにそれを学校の授業に取り入れるかまで丁寧に説明している。著者の2人が本当に世の中の教育を変えたいのだという思いが伝わってくる。

後半では「完全習得学習」という考え方に触れている。完全習得学習とはその名の通り、生徒一人一人が異なるペースで学習し、理解度が一定の基準に達するまで行うという学習である。その効果は認められていたが教師の負担が大きいことからこれまで広まらなかった。興味深いのは、著者の2人が、動画を利用した反転授業によって「反転型完全習得学習」を目指している点である。

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
UX向上のための方法について書いている。

序盤でUXの一般的な考え方について触れている。著者も書いている通り、UXに明確な定義はないが、ISO版のUXの定義、UXのハニカム構造、Elements of User Experienceはしっかり覚えておきたいと思った。

第5章の「UX向上の具体例」では、UX向上方法についてかなり詳細に書いている。多くのUX関連の書籍が、ユーザーインタビューなどの、調査に多くのページを割いていることを考えると、本書はUX向上のためのテストについて詳細に書いている点が印象的だった。

特にメッセンジャーアプリ、ハードディスクレコーダーなどの具体例の中で

ユースケースの洗い出し
ユースケースの詳細化
UXチェックリストの作成
UXテストの実施

のUX向上の鍵となる流れをわかりやすく解説している。全体的にはなかなかすぐに役立てられるようなものではないが、知識として持っておくぶんには悪くないように感じた。UXをこれから勉強しようとしている人に勧められるような本ではない。

【楽天ブックス】「UX虎の巻」

オススメ度 ★★★★☆ 3/5
組織の英知を結集するためにファシリテーションが重要だと感じ、本書を手に取った。

本書はファシリテーションを「仕込み」と「さばき」という大きな2つの部分に分けて構成している。「仕込み」の章で面白かったのが「出発点と到達点を明確にする」という点。ビジネスにおける議論は次の4段階から形成され、その出発点と到達点を意識する必要があるというのである。

「議論の場の目的共有」
「アクションの理由の共有・合意」
「アクションの選択と合意」
「実行プラン・コミットの確認・共有」

必ずしも議論の参加者全員が同じ段階にいるとは限らないため、参加者によっては個別にケアして納得感を持った状態で同じ出発点に立ったうえで議論を開始する必要があるだろう。

後半は、「さばき」であり、一般的にファシリテーターの求められる能力はこちらの方が大きいのではないだろうか。「さばき」の基本動作として本書では

発言を引き出す
発言を理解し、共有する
議論を方向づける
結論づける

という4つを挙げている。それぞれの動作について考えられる障害、それに対するアドバイスがたくさん書かれており、定期的にファシリテーターを務める人であれば手元に一冊おいておいて何度も見返したくなることだろう。個人的には「発言の理解」の部分が印象的で、論点(=問い)、主張、根拠、目的を考えて人の意見を聞くということの重要性気付かされた。ファシリテーションを学びたくてたまたま本書を手に取ったが非常に満足である。

【楽天ブックス】「ファシリテーションの教科書 組織を活性化させるコミュニケーションとリーダーシップ」

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
読む人に伝わる作文技術についてわかりやすく解説している。

ブログなどで世の中に発信する機会は今後増えていくだろう。それによって今まで以上に伝わりやすい文章を書く必要があると考え本書を手に取った。

物語は、新入社員である新田文(にったあや)に先輩である梶山聡(かじやまさとし)が仕事のなかで文章の書き方を指導していく。どれも仕事でもブログでも文章を書くときに活かすために覚えておきたいことばかりである。

まずは

必要なことはもれなく記述し
必要でないことは一切書かない

当たり前ではあるが、どうしても不必要なことを書き込んでしまう。

目標規定文をまとめる

文章を書き始める前に、その文章を何を目標として書くのかをはっきりさせるということ。目標があることによって「必要なこと」と「必要でないこと」の判断がしやすくなる。

重点先行主義
概念から細部へ

どちらも文章を書く際によく言われることであるが常に意識していないと難しい。すべての人間が書いた文章をすべて読むとは限らないということを意識すべきなのだ。

逆茂木型を避ける

逆茂木型とは修飾句や修飾節の長い文章をのことである。日本語で何かを説明しようとするとどうしても修飾節が長くなりがちだが、意識して文章を分けたりすることで解決できる。

また、意見と言っても6つに分けられるというのはこれまで考えたこともなかった。

推論
判断
意見
確信
仮説
理論

書こうとしていることが、6つのうちのどれに当てはまるのか、これから意識して文章を書きたいと思った。

知識として持っていただけでいい文章が書けるわけではないが、今後意識していきたい。この本は「理科系の作文技術」という新書をベースとして書かれたということなので、そちらの本も近いうちに読もうと思った。

【楽天ブックス】「理科系の作文技術」

オススメ度 ★★☆☆☆ 2/5
「乾いている世代」「乾けない世代」という言葉を使って、今の若者たちの価値観の違いを語る。

「乾いている世代」である団塊世代よりも上の世代に、今の30代以下の人たちの持つ価値観を教えるような内容でもあるが、一方で逆に、「乾けない世代」である若者たちにこれからの時代の生き方を教えているようでもあり、何が言いたいのかはっきりしない印象を受けた。

改めて本書の目的を確認したくて「はじめに」を読むと「若い世代のモチベーションを理解することが最大の武器となる。」と書いてあるので、ターゲットは若者の考え方の理解できない年配者だったのだろうが、中盤あたりからは若者向けの内容になっている。おそらく、著者が言いたいことを適当に書き綴ったものを集めて出版にしただけなのだろう。

章ごとのつながりも希薄なために、書籍全体としての目的がはっきりしない印象を受けた。読む人によっては新しい情報もあるのかもしれないが、基本的に他の書籍などでも触れられている考えばかりで、特に新しいことはなかった。

【楽天ブックス】「モチベーション革命 稼ぐために働きたくない世代の解体書」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
キリスト教への迫害が進むなか、長谷倉六右衛門(はせくらりくえもん)は藩主の命により宣教師ベラスコとともに海を渡ることとなった。

遠藤周作の名作の一つとして前回読んだ「沈黙」で描かれていた宣教師の葛藤が印象的だったため、本作品もと思い手に取った。

物語は、キリスト教の世界のなかで名声を高めようとする宣教師ベラスコと、先代から受け継がれていた土地を返してもらうために、海を渡ることを決意した侍、長谷倉六右衛門(はせくらりくえもん)の視点で交互に描かれる。

驚いたのは、まず当時のスペイン領メキシコに向かった点である。当時スペインが巨大な植民地を持っていたことは知識と知っていたが、やはり物語としてそれを味わうのは違うもの。彼らは東回りでメキシコへ到着し、その後スペインを目指すのである。この時代にはまだパナマ運河がなかったために、一行はメキシコ到着後に、大西洋側に移動してから別の船でスペインにむかったのだということも併せて知った。長い航海のなかで何人かの人は命を落とし、また暴風雨で船から投げ出されるなど、物語を通じて当時の旅の難しさを知ることができた。

その後一行はさらに、ローマ法王に謁見するためにローマに向かう。

当時のキリスト教の布教が、ペテロ会とポーロ会という2つの派閥の間で起こっていたことを知る。ポーロ会宣教師ベラスコとペテロ会の宣教師たちが議論するシーンでは、日本での布教がなぜこれほど難しいのかについても語っており、日本人の持っている考え方の特殊な部分について改めて考えさせられるだろう。

また、武将として一つの時代をいきながらも時代の変化のなかで戦が減り、新しい生きる道を探しヨーロッパに向かうこととなった長谷倉六右衛門(はせくらりくえもん)からは、当時の時代の変化が人々に強いた変化を感じることができる。

本書を読み終えて、どうやら本書が実在の人物支倉常長を題材としているということに気づいた。支倉常長という名前は耳にしたことはあったが何をやった人物かということは知らなかった。本書でその航海のために作られたガレオン船も、実在した船サン・ファン・バウティスタ号をモデルとしており、それは支倉常長とともに宮城でとても有名で博物館もあることを知った。近いうちに行ってみたいと思った。

また、遠藤周作という作家については、人の心の葛藤を描くのがうまいと感じた。キリスト教を深く調べているにもかかわらずどちらかというと否定的な描き方をしているので、キリスト教に対してどのような考えを持っていたのか、作家自身の考えについて興味を持った。

【楽天ブックス】「侍」

オススメ度 ★★★★☆ 4/5

成功する人とそうでない人の差はなんなのか。それは社会的知性(SQ)でもなければ、知能指数(IQ)でもなくでも、GRITという呼ばれる力なのだという。本書はそんな成功するための力「GRIT」について語っている。

序盤ではこれまで考えられていたIQの重要性を否定してからGRITに語っていく。GRITとは度胸(Guts)、復元力(Resillience)、自発性(Initiative)、執念(Tenacity)という4つの力で、多くの実例を交えて説明している。

まず印象的だったのは「夢を捨てされ」の章である。僕らは「夢を持つこと」はいいことだと教わってきた。それは確かに目標に向かう原動力となり得るのだが、夢を語ってばかりで実際にその1歩を踏み出さない人も多くいるのだという。夢想している暇があったら「今日できることをする」という考え方が重要なのだという。

また、拒絶されても立ち直る力を身につけるために、ある男性が行なったリジェクションセラピーの話も面白かった。投資家からの資金提要を断られたことがショックだった彼は立ち直る力を身につけるために、100日間連続で人に断られることを目標にしたのだ。断られるための無茶な要望にもかかわらず、受け入れてくれた人がいたことから、男性は自分の望みを叶えるためには拒絶を恐れずに、頼んでみることが重要なのだと知るのである。拒絶は人間の否定ではなく、ただ単にあなたの要求が相手の求めているものにマッチしなかったというだけなのだ。

終盤の「期限は無限」の章で紹介されていた、92歳の時にアルファベットを学び始め、98歳のときにベストセラーを書いた男性の話は、多くの読者へ、将来への希望を与えてくれるだろう。

多くの例は触れられているものの、実際にどのような方法をとればGRITが身に付けられるのかはわかりにくい。それでも「忍耐力」、「楽観主義」、「固定思考」よりも「成長思考」と、いくつかの鍵となる考え方を知れば今後の生き方のヒントとなるのではないだろうか。何よりもいい話に溢れているので一読の価値ありである。

【楽天ブックス】「GRIT(グリット) 平凡でも一流になれる「やり抜く力」」

オススメ度 ★★★★☆ 4/5

目的を達するためのデザインを作成する手法について説明している。

僕自身もデザイナーであり15年以上デザインの仕事に関わってきた。現在でこそ、その作業フローは確立されてきているが、最初の頃はただただ美しくかっこいいものを作ることに大量の時間を費やしていた。きっと現在も多くのデザイナーがそんな美しいだけのデザインを作ることに大量に時間を費やしているのだろう。

しかし、本書の冒頭でも語られているように、デザインとアートは違うのである。アートであれば美しくかっこいいものを作ればそれでよかったかもしれないが、デザインは常に目的がありその目的を達成してこそ「いいデザイン」なのである。

本書はそんなデザインの流れを体系化して説明している。読者によっては反論したくなるようなこともあるかもしれないが、個人的にはどれも納得のいくことばかりで、僕自身が何年も経て辿り着いた手法とかなり近いと思った。

まず、良くあるデザインの勘違いと、デザイナーが心がけるべきことにいくつかの例を挙げながら触れた後に、実際に著者が辿り着いたDesign Methodの説明へと入っていく。そのDesign Methodは大きく分けると次の4つのステージから成る。

1.Discovery
データを収集し、観察と分析から状況を知る

2.Planning
問題とニーズを突き止め戦略と実行可能な計画を作る

3.Creative
考えうる案を検討しデザインの方向性を決める

4.Application
試験と分析を繰り返しながらデザインを適用する


デザイナーによってその作業範囲はそれぞれであるが、実際に多くの人が「デザイン」という言葉からイメージするのは「Creative Stage」以降なのではないだろうか。残念ながら今でも多くのデザイナーや制作プロダクションが1のDiscoveryステージと2のPlanningステージにほとんど時間をかけていないのが実情である。

4つのステージを順を追って細かい進め方、陥りやすい間違いなどについて詳細に説明している。部分的にでも参考にできそうな部分はたくさんあるだろう。

個人的には4のApplicationステージの進め方が印象に残った。本書ではデザインの作成段階でも常に、適応しつつ結果を見て調整していくとしている。つまり、少しデザインを適応しては結果を確認し、その結果によってその先のデザインの適用を調整していくというのである。

確実に機能するデザインを作るという点で非常に納得ではあるが、そのようなテストをしながらデザインを適用するためには、クライアントとの信頼関係づくりがかなり重要となるだろう。実際本書では何度もクライアントとの関係づくりの重要性に触れている。クライアント側の担当者目線でデザインがどのように見えるか語っている部分も印象的だった。確かに、ほとんどデザインのことを知らないなかで、デザイナーと打ち合わせて決めていかなければならない、クライアント側の担当者の立場に立つと、今までとは違った部分が見えてくる。

デザイナーだけでなく、デザインプロジェクトの担当者としてこれからデザイナーを探さなきゃいけない人など、デザイナーに関わる全ての人にとって学べる内容がたくさん含まれている。

関連書籍
「The 80/20 principle」Richard Koch
「The Dip」Seth Godin
「The Elements of Typographic Style」Robert Bringhurt
「Good to Great」Jim Collins
「How to Be a Graphic Designer without Losing Your Soul」Adrian Shaughnessy
「Positioning」Al Ries and Jack Trout
「Whatever You Think the Opposite」Paul Arden
「Zag」Marty Neumeier

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
高校生のときに、調律師の仕事に魅せられた男性外村(とむら)が、調律師として成長していく様子を描く。

調律師という仕事を、実際にその仕事に従事している人のの視点で見せてくれたことがありがたい。調律師という仕事があることは知っていたが、それはギターの音を合わせるように、一定の周波数に音を合わせる誰にでも機械的にできる作業かと思っていた。どんな仕事も毎日その作業を行う人のしか見えない深さがあるのだろう。それが、こうやって物語として触れると、自分がその仕事をしているかのように深く見えてくるから不思議である。

個人のピアノを調律するのと、コンサートのピアノの調律をするのは大きく違ことや、その会場の物の配置が変わっただけで音に影響が出るということが新鮮だった。また、物語中で語られるこんな言葉にも感動した。

持ち主に愛されてよく弾かれているピアノを調律するのはうれしい。一年経ってもあまり狂いのないピアノは、調律の作業は少なくて済むかもしれないが、やりがいも少ないと思う。

主人公である外村(とむら)のほかにも、同じ職場で調律師として働く人が出てくる。天才調律師の板鳥(いたどり)、元々はピアニストを目指していたが諦めて調律師となった秋野(あきの)、バンドでドラムをしている柳(やなぎ)である。調律師として生きる人にもいろんな過去があることが面白い。

毎日こつこつと技術を積み上げていく職人気質の仕事に改めて魅力を感じた。

【楽天ブックス】「羊と鋼の森」

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
妻と離婚して新しい人生を歩み始めた38歳の杉村は、知り合いからの勧めによって探偵事務所を開くこととなった。そんな杉村が扱った4つの事件を描く。

杉村三郎シリーズの3作品目で、前作「ペテロの葬列」で妻との別れを決意したあとの杉村を描いている。実は、娘がいて離婚経験者ということで、どこか年上のような気がしていたが予想以上に年齢が違いことを知り、今回はいつも以上に親近感を持って読むことができた。

4つの物語のなかでもっとも印象的だったのは3番目の事件「砂男」である。地元の繁盛していた蕎麦屋の若い亭主が、不倫をして失踪した事件で、その不倫相手の女性の行方を探すこととなるが、調査を進めるうちにその男性にはつらい過去があることがわかってくるのだ。父や妻の複雑な感情と行動を描いていて、4つの物語の中でもっとも宮部みゆきらしさを感じた。

また、4番目の物語である「ドッペルゲンガー」では東北大震災を題材にしている。阪神大震災を題材に含めた物語にはたびたび出会うが、東北大震災を描いている物語はまだ少ないため新鮮だった。

宮部みゆきは期待値が高いだけに、それなりの作品でも失望の方が大きくなってしまうのが評価の難しいところである。本作品もそれほど悪くはなかったのだが、宮部みゆきらしい人間の感情を切り開くような表現があまり見られなかったのが少し残念だった。

【楽天ブックス】「希望荘」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
人を宇宙に運ぶという輝かしい使命よりも、むしろコロンビア空中分解事故、チャレンジャー爆発事故で印象的なスペースシャトル。そもそもスペースシャトルという計画はどのような目的でどのようにして始まったのか知りたくて本書を手に取った。

面白いのはスペースシャトルを思い描く時誰もが最初に思い描くであろうあの大きな翼は、実はほとんど意味がないということ。言われてみれば確かに、宇宙は無重力空間だからもちろん翼による揚力は発生するはずもない。地球に帰還するときに少しだけ役に立つのだという。むしろその翼がスペースシャトルを設計する上で一つの大きな足かせになっているのだという。人を運ぶのに必要な設備と、物を運ぶのに必要な設備は大きく異なり、その2つを同時に詰め込もうとしたために困難になってしまったのだ。

ちなみに、報道でスペースシャトルのことを聞いていると、チャレンジャーやコロンビアなどいろんな名前があるけど見た目的な区別がつかないと思っていたが、どうやら機体は同じで名前だけが異なるということ。

本書を読んでスペースシャトルは、そもそもの設計として大きく間違っていたことや、政府や地方経済に大きく影響を与えるほどの巨大プロジェクトは、大きな政治的圧力がかかるゆえになかなかうまく進まないことがわかった。しかし、月面着陸を果たしたアポロ11号や奇跡の生還で知られるアポロ13号に代表されるアポロ計画はどのようにすすめられたのだろう。次はアポロ計画について知りたいと思った。

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オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
刑務所に服役中のSalanderに会いに行った際、BlomkvistはLeo Mannheimerという36歳の男性について調べるように言われる。Blomkvistが調べたところ、ある日を境にLeo Mannheimerが左利きから右利きになったという。

Stieg Larssonの「The Girl with the Dragon Tattoo」に始まる物語の5作目。著者がDavid Lagercrantzへ変わってから2作目にあたる。前作「The Girl in the Spider's Web」で法律に反する行為を行なったSalanderが刑務所で服役している状態で本作品は始まる。
その刑務所のなかでさえ、すべての権力を掌握し、艦種でさえ逆らうことのできない囚人Benitoや同じ刑務所にいるバングラデシュ出身の美しい女性Fariaの存在など、最初から問題山積みであるが、物語は、助けを申し出たBlomkvistに対してSalanderがLeo Mannheimerという男性の名を挙げたことで始まるのだ。

そして、いろんな情報源を頼りに少しずつLeo Mannheimerの真実に迫るうちに、Salanderの過去と大きくつながっていることが明らかになっていくのである。

シリーズ全体を通じて言えることだが今回も、普段なじみのないストックホルム周辺の地名が多く出てきて、遠い異国の地の人生を感じることができる。そして、人当たりは悪いながらも、正義感に突き進むSalanderの冷静な行動は爽快である。ただ、残念ながら、前作までにはあった一日中読んでいたくなるような勢いが今回は感じられなかった。著者が変わったせいなのか、物語の展開ゆえにそうなったのかはなんとも判断できない。

また、物語の過程で、「人の人格を決めるのは、才能なのか環境なのか」という研究結果に触れている部分があり、過去何度も議論が重ねられたこの問題について改めて考えさせられた。また、過去関連する多くの実験が試みられたこともわかり、その実験の内容や結果をもっと知りたくなった。

シリーズとしてはまだまだ続きそうなので、続巻が出る限り読み続けたいと思った。

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
ルーブル美術館のキュレーターJacques Saunièreが技術館の館内で殺された。その死ぬ間際に書き残したメッセージによって、警察から殺人の疑いをかけられた言語学者のLangdonはJacques Saunièreの孫娘Sophieとともに真実を探ることとなる。

映画化もされた有名作品ではあるが、すでに映画を見たかどうかも忘れており、新鮮な気持ちで読むことができた。本書でもっとも興味深いのはやはり、物語中でも最大のテーマになっている、イエス・キリストの新しい真実だろう。

なんとローマ帝国のコンスタンティヌス以前は、キリスト教およびユダヤ教は女性を神聖化していたのだという。ローマ帝国が国教として取り入れるにあたって、それまでの考え方を政治に都合のいい方向に変えていった結果、今の女性の地位が男性より低い世の中になっているというのである。

物語としてはキュレーターJacques Saunièreの残したメッセージの謎を少しずつ解きながら非常に価値のある宝物に近づいていくという使い古された形式ではあるが、その過程で描かれる真実が印象的なので物語全体を面白いものにしている。

本より映画のほうがいいこともたくさんあるので、映画を否定するわけではないのだが、映画を見てしまうと深い物語が2時間のひどく陳腐で大衆受けする物語になってしまうこともよくあり、この物語は映画が有名だっただけになおさらそんな印象を持っていたが、実際こうして原作を読んでみるととても素敵な物語だということを知った。

映画しか見ないでこの物語を評価した人に、おそらく物語の内容を忘れてしまったであろう今、改めて本書を読んで欲しいと思った。

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
デザインがおかしいせいで、人の死につながったり、大きな事故を起こしたケースを紹介しながらデザインの重要性を説く。

序盤は、医療機器の操作方法がおかしくて大量の放射線を浴びて死に至った患者の話や、操縦席の計器の表示がわかりにくくて墜落した飛行機の話などデザインが生み出した悲劇を紹介している。

「医療機器や飛行機のデザインは僕らが扱っているデザインとは違う」などと他人事と思ってはいけない。中盤以降ではFacebookやLinkedInなどのUI /UXによって一生忘れないようなひどい体験をした人のエピソードを紹介している。

本書を読めば、デザイナーは自分の仕事の大切さと責任を再確認することだろう。そして、デザイナーでない人でも、クリエイティブな世界で生きる人間は自分の作り出すものがどのような結果をユーザーにもたらす可能性があるのか、その責任の大きさを改めて認識することだろう。

インターネットが普及したせいで、実際に傷ついている人を目にする機会は少なくなったが、それでも確実に、自分たちの作ったものはユーザーに使いにくく感じさせたり、疎外感を与えたりしているのである。迷った時は僕らは、実際にそのような対応を店のスタッフにされたら自分がどう感じるのか考えるべきだ。そう考えることによってエラーメッセージひとつとってもたくさん改善すべき箇所が見えてくるにちがいない。

デザイナーだけでなく、多くの人に読んで欲しいと思った。終盤で著者も語っているが「人はみなデザイナー」であり、声をあげ、行動することで世の中は使いやすいもので溢れ、過ごしやすくなっていくのである。

関連書籍
「Thinking Objects:Contemporary Approaches to Product Design」ティム・パーソンズ 「Articulating Design Decisions」キャロル・リギ
「User-Centered Design Stories」トムグリーバー

【楽天ブックス】「悲劇的なデザイン」

オススメ度 ★★☆☆☆ 2/5
YahooのUIデザイナーがフラットデザインについて語る。

出版が2014年ということで、移り変わりの激しいUIデザインにおいて4年前の本というとすでに古すぎるのではないかという懸念もあったが、デザインの移り変わりを理解するためには悪くないのではないかと感じで手に取った。

さて、序盤こそフラットデザインについて語っているものの、後半はなぜか「UIデザインの本質」といって、基本的なUIの役割について本の半分ほどを割いている点が残念である。多くのUIデザイナーにとっては前半の100ページまで読めば十分なのではないだろうか。唯一この本が与えてくれた新しい刺激は、今まであまり関心がなかったWindows Phoneで採用されているModern UIに目を向けてくれた点である。

【楽天ブックス】「フラットデザインで考える新しいUIデザインのセオリー」

オススメ度 ★★★★☆ 4/5

15年前に自殺した女性高校教師は、実は他殺だったというタレコミがあった。その死は高校生3人によって行われた「ルパン作戦」と呼ばれる行動に関係があるという。時効を目前に警察はその3人を呼び出し当時のことを語らせる。そうして少しずつ当時の出来事が明らかになっていく。

12年ぶりの2回目の読了である。すでに内容を忘れていたが、とても素敵な物語だったことを覚えていて、今回再度読みたくなった。

15年前に起こった事件の解明を機に呼び出されたのは当時高校生の橘、喜多(きた)、竜見(たつみ)である毎日のようにつるんでいたにもかかわらず、今はそれぞれがまったく異なる人生を送っているのが感慨深い。特に当時冷静な男であった橘(たちばな)が現在はホームレスとして生活をしている点が人生の不思議さを感じさせる。そして、3人の取り調べが進む中、徐々にルパン作戦の全貌が明らかになっていくのである。

もっとも印象に残ったのは同級生の死を、当時の供述をするなかで喜多(きた)が思い出すシーンである。

いつ相馬の死を忘れてしまったのだろう。あれほど嘆き、悔やみ、取り返しのつかない心の傷に思えたのに・・・。

どれほどつらい記憶でも時と忘れたり、乗り越えたりして、その記憶は風化し、それぞれが新しい人生を歩んでいくのだろう。

事件が3億円事件の時効直前、1975年を舞台にしているのも面白い。アポロ11号の月面着陸など、当時の高校生たちがどのように何を考えて生きていたかが伝わって来る。これはまさに著者横山秀夫が見てきた人生なんだと知り、もう一度その時代に起こった大きな出来事に目を向けてみたくなった。

12年前に読んだときとはまた異なる部分が印象に残るのが面白い。2回目に読んだ今回も良い作品を読んだときのみ感じられる読後の爽快感に溢れていた。あまり知られていない作品ではあるがぜひ多くの人に読んでもらいたいと思った。

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オススメ度 ★★☆☆☆ 2/5
PDCAのPが「Plan」でDが「Do」で...と序盤でPDCAの本当に簡単な説明はしているものの、それ以降PDCAにはほとんど触れず、著者の生きるうえでの考え方をいろんな状況について語っている。著者の語る内容が間違っているとはまったく思わないしどれも賛同することばかりだけど、どれもどこかで聞いたような考え方ばかりで、ページ間のつながりも特になく趣味で書いた本という印象である。本書を読まなければわからないこと、気づけないことは特になかった。

きっと「PDCA」という言葉が入っているという理由だけで本書を買う人がいることを期待したのかもしれない。著者は本書以外にも多数の本を出しているらしいが、ぜひPDCAでもう少し内容の濃い本を書けるようにぜひPDCAして欲しいと思った。PDCAについては先日読んだ冨田和成氏の「鬼速PDCA」の方がずっとおすすめである。

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オススメ度 ★★★☆☆ 3/5

人間の寿命は過去から現在に至るまで伸び続け、現在もその勢いは続いている。2007年生まれの先進国の人の50%は107歳まで生きるのだという。そんな100歳まで生きることが普通となっていくなかで、人はどのように生きるべきかを語る。

何よりも100歳まで生きるということは65歳で引退するという選択をすると、その先35年もの引退期間を生きることとなり、必要な貯金の額も想定と大きくことなるという。なによりも、学生として勉強する時代と、社会にでて働く時代と、引退後の生活という3つの人生のステージの生き方が今後大きく変わっていくという。

個人として考えていかなければいけないのは、20代前半までで身につけた技術や知識だけで、その先100歳までの人生のための十分なお金を稼ぐのは難しいということ。学生を終えて社会に出た後も、仕事をする時期と、学んで新たな知識を身につける時期を送ったり、働きながら新たな知識を身につける必要がある。本書ではそんな寿命の変化は、各世代に生きる人々にどのような影響を与えるのかを、1945年生まれのジャック、1971年生まれのジミー、1998年生まれのジェーンという架空の人物で説明している。

仕事や学びだけでなく、結婚やパートナーとの関係も変わってくるという。人生が長くなれば女性の出産による仕事から離れる期間もそれほど大きな問題ではなくなるために、女性と男性の関係が対等に近づいていくという。女性の出産期間にパートナーである夫がその生活を支えるように、男性の学びの期間に、そのパートナーの女性が生活費を補うような、それぞれの生活を経済的に支えあうようなパートナー関係が多くなるという。

個人的には僕自身が働くIT系の会社では多くの人がすでに考えている内容であるため、それほど大きな驚きはなかった。むしろ転職等をせずに1つの会社でずっと働き続けている人にこそ役立つのかもしれない。そんな人は本書を読んで、これからの時代の変化に対応できるような柔軟性を育む準備をしたほうがいいのではないだろうか。65歳まで1つの会社で生きてしまうと、その後他の生き方や働き方をするのはかなり難しくなってしまうだろう。

【楽天ブックス】「LIFE SHIFT」

オススメ度 ★★☆☆☆ 2/5
インターネット上に溢れる情報を監視する会社でバイトを始めた三島孝太郎は、同僚の一人がホームレスの失踪事件を追って失踪したことから、自分自身も真相を追い始める。やがて孝太郎(こうたろう)は夜間に動くガーゴイル像の噂を耳にする。

主人公が「サイバーパトロール」という、あまり世の中では知られていないアルバイトをしている設定にすることで、ネットでの言葉のやり取りが生み出す不安や恐怖の連鎖に警鐘を鳴らしているかのようだ。

そんな会社で働いているために、世の中を騒がせる事件の情報をより深く知ることとなり、同僚の失踪を機に、自らもその事件に入り込んでいくのである。そんな、序盤の展開は宮部みゆき作品らしく、読者を物語にどんどん引き込んでいく力を感じさせる。

ところが物語は中盤からファンタジー色が強くなる。個人的にはイメージできない世界が大きく、あまり物語についていけなかった印象を受けた。宮部みゆきは今までもファンタジーをいくつか世に出しているが、どれも時代物や現代物語に比べると魅力を感じないので、ひょっとしたら宮部みゆきのファンタジーが好きな人はまた異なる捉え方をするのかもしれない。

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オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
思想家スティーブン・R・コヴィーの7つの習慣をまんがで説明している。どれも社会に出て20年近く経っている人間にとっては当たり前なことばかりではあるが、このような考えかたに繰り返し触れる事にはそれなりに意味があるのだろう。

本書で描いている7つの習慣は以下の7つである。

主体的である
終わりを思い描くことから始める
最優先事項を優先する
WinWinを考える
まず理解に徹し、そして理解される
シナジーを創り出す
刃を研ぐ

このなかで改めて大事にしたいと思ったのは、5番目の「まず理解に徹し、そして理解される」である。人の話を聞く時、ついうっかりと自分の立場に置き換えてその良し悪しを判断してしまいがちだが、実際にはその人の能力や容姿や年齢なども含めて、相手の気持ちに立とうとすると、いろいろ違った部分が見えてくるもの。もちろん、そこまで人を深く理解するためには、それなりに時間と真剣に聞く姿勢が必要ではあるが、表面的に理解したふりをしてアドバイスしても決して聞き入れられることはないだろう。

まんがなので2時間ほどで一気に読むことができたが、どちらかというとまだどのように生きていいか見えていない、20代の社会人向けの内容のような印象である。

【楽天ブックス】「まんがでわかる7つの習慣」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5

アメリカのメーン州のデリーという町で何年かごとに起きる子供を連続して殺害する事件、1958年当時11歳だったBill,Ben,Eddie,Richie,Beverly,Mike,StanはItと対決した。1985年、また「It」が動き出し、デリーに残ったMikeの呼びかけによって再び彼らはデリーに集まることとなった。

Stephen Kingの名作中の名作ということで、いつか読みたかった一冊。英語で1370ページという大作で、言い回しもスラングなどが多く、さらに物語中にはアメリカの文化や娯楽に絡めたネタがたくさん散りばめられており、物語を読み進めながら当時のアメリカの子供達の流行の映画や音楽やテレビ番組が見えてくる点が面白い。

物語は11歳のときのItとの対決の詳細を忘れてしまった彼らが、現在のItとの遭遇や思い出話によって少しずつ当時の対決の様子、当時の恐怖を思い出していく。そんな当時と現代を交互に行き来しながら物語は展開していく。

個人的に好きなのは、11歳当時の彼らが川でダムを作ったり秘密基地を作ってそこで過ごす場面だろう。幼い頃を思い出しただけでなく、お金がなくても何か楽しい事を見つけて楽しむという子供時代は、どの国でも共通なのだと感じた。

そして彼らは少しずつ11歳児の記憶を鮮明にし、再び動き出したItとの対決に向かっていく。読み終わってみれば同じことを訴えるのに、これほどまでのページ数を必要とするのかという疑問はあるし、読み終わるまでに長く時間がかかりすぎて物語に入り込みきれなかったような思いもあり、物語の面白さよりも、読み終わった事による達成感の方を感じた。

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
イタリアの田舎町で育ったLilaとElenaの物語。

Elenaというポーターの娘が、Lilaという名の靴屋の娘との出会いから、十代後半までの2人の様子を描く。最初はお互いに会話もしなかったLilaとElenaだが、学ぶことを通じて少しずつお互いを認め合っていく。女性の友情物語としては新しいのではないだろうか。

それでも1950年代のイタリアでは、生活の役に立たない学業を続けることは女性には難しく、やがてLilaは家業の靴屋に兄のRinoとともに入れ込んでいく。その一方でElenaは多くの支援を受け学業を続けていくのだが、一緒に学ぶ相手としてLilaがいないことに寂しさを感じるのである。

10代の女性らしく、恋愛や嫉妬などの様子も多く描かれているが、物語の後半に近づくにつれて、2人の離れようのない友情が見えてくる点が面白い。

続編につづくためかなり中途半端なとこで本書は終わってしまうが、イタリアを舞台にした物語に触れる機会はなかなか少ないだけに、書かれていることに新鮮さを感じる。

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
滑舌の悪さを治したくて本書を手に取った。

本書を読んでわかったのは、滑舌の悪さは直せるということ、そして、腹式呼吸がいいということである。どうやらそれぞれの人間には声の響きやすい高さというのがあるようで、声をしっかり出すためには自分にとって適切な声の高さを理解することが必要なのだそうだ。

シャドウィングという英語の練習方法はよくやっているにもかかわらず、英語よりも何倍も日常生活において使うだろう日本語では一切練習をしないということがおかしな話だと思ってしまった。

とりあえず腹式呼吸を意識しながら話すことを習慣にしてみたいと思った。

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オススメ度 ★★★★☆ 4/5
最近よくきく「ブロックチェーン」とはなんなのか、そこを理解したくて本書を手に取った。

正直本書を読むまでの僕の知識は乏しいもので話題の仮想通貨ビットコインとブロックチェーンの関連性も知らなかった。どうやらビットコインはブロックチェーンの技術を利用して発展した技術の一つで、ブロックチェーン自体は今後さまざまな分野に応用できる技術で、それによって今後世の中のいろんな取引の形態が変わる可能性があるのだという。

本書は、タイトルでは「ブロックチェーン」を謳っているが、半分ほどをビットコインに代表される仮想通貨の説明にも割いている。投資対象としてビットコインがどの程度信頼がおけるものなのかを理解したい僕にとってはおおいに役に立った。

本書を読んで理解したことは、まだまだ仮想通貨の技術は始まったばかりに過ぎず、ビットコインがこのまま不動の仮想通貨の地位を確立するのか、それともビットコインの弱点を改良されて次々に考え出されていく第2、第3の仮想通貨が世の中のスタンダードとなるのかはもう少し様子を見る必要があるということである。

正直本書だけではブロックチェーンやビットコインなどの仮想通貨についてしっかり理解することはできないが、現在の世の中の流れを漠然と理解するには非常に役に立つ本である。

【楽天ブックス】「ブロックチェーン入門」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
悪名高き皇帝ネロの後のローマ帝国の物語で、紀元69年から98年までを描いている。

ガルバ、オトー、ヴィテリウス、ヴェスパシアヌス、ティトゥス、ドミニティアヌスと皇帝が次々と変わる時代だが、ローマ帝国自体は比較的安定していたようである。首相が次々と変わる日本のように国民がどこか政治に無関心な様子である。それは見方を変えると、すでに国自体がそう簡単に不安定な状態にならないという確信が国民のなかにあったのだろう。

次々変わる皇帝のその政策やふるまいをここまで連続して見せられると、どのような人間が信用を失いやすく、どのような人間が長く信頼を勝ち取れるかという傾向が見えてくるようだ。「歴史から学ぶことは多い」と言葉としては多くの人が知っていて、使ったりもするが、ローマ帝国の皇帝たちから学べることは、企業の経営者たちにも共通している気がする。まだローマ帝国の歴史なかばではあるが、結局カエサルとオクタビアヌスに勝る皇帝はいないのではないかと思えてくる。

本書のもう一つの個人的な見所はポンペイで有名なヴォスヴィオ火山の噴火である。当時ヴォスヴィオ火山の麓の町で生きていた男性がタキトゥスという当時の作家に送った手紙の全訳はそれが確かに現実に存在した悲劇であることを伝えてくれる。

トライアヌスが皇帝になったことで終わる本書。ローマ帝国はこの後「五賢帝時代」と呼ばれる時代に入っていくのである。

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