オススメ度 ★★★★☆ 4/5
先日読了した、アメリカ合衆国大統領トランプの政権を扱った「炎と怒り トランプ政権の内幕」のなかで「オバマケア」という言葉が頻繁に出てきたため、その内容を知りたくて本書にたどり着いた。

オバマケアとはオバマ大統領が目指した国民皆保険制度を指す。医療費の高騰によって医療費によって破産する人があとをたたないなか、日本のように国民全員が医療保険に加入する世の中を目指した政策である。しかし、実際には意図したようには機能せず、むしろアメリカの医療崩壊を加速させることとなった。本書はそんなオバマケアの詳細と、それによって実際どのようなことが起こった、もしくはおきているかをわかりやすく説明している。

例えば、オバマケアには次のような項目がある。

フルタイム従業員50人以上の企業はオバマケアの条件を満たす保険提供義務。

しかし、大部分の企業が行ったのは、フルタイムの従業員をパートタイムに格下げして保険提供の義務を生じさせないことだったという。それによってフルタイム従業員として生活していた低所得者層は労働時間を減らされた結果、別の仕事を探さなければならなくなったという。

同様に保険会社に向けた次のような項目に対しては

保険会社が既往歴での加入拒否や、病気になってからの途中解約は違法。

保険会社は保険の損失リスクをカバーするために、薬代を大幅に引き上げたのだという。

本書が描くアメリカの医療とオバマケアの意図と結果からは学ぶ部分が多く含まれている気がする。どれほど理想を描いた政策であっても、先の予測を誤れば悲劇に発展するのである。そのほかにもアメリカの医療のさまざまな問題点を指摘しており、非常に興味深く読むことができた。また、同時に、僕らが当然のこととして受け入れている、国民保険制度も非常の貴重なものだと改めて感じた。

【楽天ブックス】「沈みゆく大国アメリカ」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
マッキンゼー・アンド・カンパニー、Google、楽天など合計12の会社で働いた経歴を持つ著者が、タイトルにあるようにどこでも、誰とでも働けるために心がけるべきことをまとめている。

全体的にどれも同意できることばかり、特に転職について語っているうちの次の二点。「異動・転職では「業界」「業種」を交互にスライドさせてみる」と「大きい会社と小さい会社を交互に経験する方法もある」は、転職をこれまで7回している僕も実感として持っている部分である。業種や職種を変えると知識や経験の幅が広がるが、あまり変えすぎると減給は避けられない、だからこそ業種を変えるけど職種は変えない、とか業種は変えないけど職種は変えない、というのを繰り返していくのが程よい方法なのである。

新鮮だったのは「「始まりの場所」にいる大切さ」である。著者自身ドコモのiモードという、携帯端末のインターネット接続のはじまりの場所にいた経験からその貴重さを語っているのだろう。今だったらフィンテックやブロックチェーンなどだろうか。「始まりの場所」、そんな視点を今後のキャリアを考える上で意識していきたいと思った。

途中で気づいたのだが、この著者は「モチベーション革命」の著者なのだそうだ。残念ながら「モチベーション革命」はあまりいいと萌えなかったが、本書は興味深く読むことができた。

【楽天ブックス】「どこでも誰とでも働ける 12の会社で学んだ"これから"の仕事と転職のルール」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
デザインの本としては非常に有名ではあるが「ノンデザイナーズ」とついているため、デザイナーの僕は今まで大して気にも留めな方。しかし、先日、この本が1998年に日本語版初版発行20周年ということで話題になっていたためようやく読む気になった。

全体的には「近接」「整列」「反復」「コントラスト」というデザインにおいては本当に基本的なことで占められている。「基本的なこと」とはいえ、どれも、どんなデザインにも応用できる大事なこと。デザイナーとは言え自分の知識を確認する意味で読んで見るといいのではないだろうか。

個人的には大部分が普段から意識していることではあったが、「反復」の最初に書かれていた。「人間の目は同じものを探す」という特徴を活かして名刺の最後の電話番号を見終えた視線を再度上部の名前へと導く技術は今まで意識したことのないもので、新鮮だった。非常に言葉では説明しにくいので是非読んで確かめてもらいたい。

【楽天ブックス】「ノンデザイナーズ・デザインブック」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
2018年本屋大賞翻訳小説部門。

ScarlettとDonatellaという姉妹の元に魔法の島、Caravalで行われるゲームへの招待状が届いた。結婚を目前に控えたScarlettとDoantellaは、迷いながらもCarabalへ向かうこととなる。

地元の権力者で2人の娘に厳しい父の教えを守って生きるScarlettと、外の世界に飛び出したい妹のDonatella、そんな対象的な2人を中心に物語は展開していく。

島にたどりついたScarlettを含む、ゲームの参加者すべてに課せられたのはScarlettの妹Donatellaを探すこと。そのためにScarlettは島まで案内してくれた船乗りの男性Julianと協力して行動することとなる。不思議な魔法を体験しながらScarlettはゲームに勝ち、妹のDonatellaを取り戻そうとする。

その過程で出会う多くの人々。Julianの本当の狙いは何なのか。2人に招待状を送ったCarabalの主Legendは善人なのか悪人なのか。Scarlettが少しずつ成長していく様子が面白い。

カテゴリとしてはファンタジーになるのだろうが、なかなか触れることない類の作品。好みの好き嫌いはあるだろうが、一読の価値ありである。

オススメ度 ★★☆☆☆ 2/5

黒人初のアメリカ大統領の後を引き継いだトランプではあるが、正直あまり賢そうには見えない彼がどうしてヒラリー・クリントンに勝って大統領に選ばれるに至ったかが知りたくて本書を手に取った。

過去にもジョージ・W・ブッシュの在任期間を描いた「決断のとき」など、大序棟梁を扱った書籍をいくつか読んでいたので、今回もそのようにトランプの悩みや決断の過程に触れられることを期待していた。しかし、残念ながら本書では、トランプの周囲の人々の権力争いに焦点をあてており、トランプ大統領は知性の低い人という扱いを崩さず、トランプ自身の考えなどはほとんど触れられていなかった。

国家の重要事項に対して、ホワイトハウスの人々がトランプの注意をひいたり、思い通りにトランプをあやつるために右往左往する様子は滑稽で、アメリカ合衆国という大国がこのような状態で正常に機能していることに脅かされた。また、一方で、自らの地位を向上させるために、恥も外面も関係なく行動する政治家たちの執念には少し刺激を受けた。

正直、読みやすくも、面白くもないが、少なからず本書から学ぶ点はあった気がする。本書のなかで触れられているオバマケア等、アメリカの医療制度はもっと詳しく知りたいと思った。

【楽天ブックス】「炎と怒り トランプ政権の内幕」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
ICTにより進歩しつつある医療の現状を慈恵医科大学の准教授である著者が説明する。

教育と同じように医療も、政治的な問題のせいか変化の遅い分野。逆にいえばまだまだ伸び代のある分野と言えるだろう。そんな医療現場の現状を知りたくて本書を手に取った。

個人の医療記録を病院が保持するのではなく、共有すればいいというのは、誰でも思いつく医療の未来ではないだろうか。本書によると、その考え方はPHR(パーソナルヘルスレコード)と呼ばれ、考え方としてはすでに一般的ではあるものの、その普及のためにはまだまだ課題が多いのだという。それでもアルムという会社の提供するMySOSおよびJOINというスマホアプリがそれを実現する方向に動いているのだろうだ。

PHRの話以外はそれほど印象的な話はなかったが、大雑把にではあるが現状の医療の状況を把握することができた。今後もしっかり医療業界へのICTの浸透具合にはアンテナをはっておきたい。

【楽天ブックス】「鉄腕アトムのような医師 AIとスマホが変える日本の医療」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
目標を達成する方法として最近よく聞くようになったOKRという手法が、どんなものでどのように取り入れるかを語る。

序盤は、上質なお茶を届けることをミッションとした架空のスタートアップを題材として、スタートアップ企業が陥りやすい状況を説明し、中盤以降ではOKRをその解決策として物語と絡めながら紹介している。

OKRの個人的な印象としては、もっと複雑なシステムなのかと思っていたが、むしろ拍子抜けするほど単純なものだということだ。特に「目標を50%の確率で達成できそうなものにする」というところは、なぜこの考えが今まで広まっていなかったのだろう、というぐらい単純で誰でも思いつきそうな内容である。とはいえOKRの手法自体を軽んじているわけではない。単純なものほど機能するというのはよくあることだ。また、単純な手法であるからこそ、組織や状況に応じてカスタマイズする必要があり、多くの試行錯誤が必要なんだと感じた。

OKRのもっとも注目すべき点は、本書でも書いているように

ゴールを、「パフォーマンスを評価するしくみ」から、「人を鼓舞し、能力を高めるしくみ」に切り替えよう。

という点だろう。今まで世の中にあった多くの評価システムが、結果的に会社の目的と結びつかなかったのは、その社員の評価につながっていたからである。評価と目標を分離することではじめて目標らしい目標を立てることが現実的になるのである。

一方で本書は一切評価方法については触れていない。OKRを採用するにあたって、企業は社員の評価方法は別に考え出さなければならないのである。


【楽天ブックス】「OKR シリコンバレー式で大胆な目標を達成する方法」

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
日本の航空会社に務める恩地元(おんちはじめ)は入社後、労働組合の委員長として賃上げ交渉やストライキを指導したことから、パキスタン、エジプト、ケニアへと左遷されていく。

日本航空をモデルにして描かれた作品。10年にも及び海外に左遷された主人公恩地元(おんちはじめ)も実在の人物をモデルにしており、企業名、人物名こそフィクションであるが、1970年代、80年代の日本航空を描いている。

物語のクライマックスはやはり、日航機墜落事故を扱った「御巣鷹山編」だろう。経費削減、利益優先の追求や、社内政治の横行によって、安全管理を怠った結果がついに、500人以上の犠牲者へとつながるのである。日航機墜落事故を扱った物語としては横山秀夫の「クライマーズハイ」も名作ではあるが、本作品では物語全体5章のうちの1章を墜落事故と犠牲者の遺体回収等に割いており、当時の報道からは知ることのできなかった事実を知ることができる。

そして、後半は新たに会長として送り込まれた人物によって、少しずつ会社が改善していく様子が描かれている。汚職や脱税、社内政治の様子はなかなか複雑で理解するのも難しいが、余裕がある人は勉強して知識とするのもいいのではないだろうか。

30年という月日が経っているために現代とのギャップも楽しめるかもしれない。全体的に非常に読み応えがあり、今まで読んでいなかったのが不思議なほどである。著者の魂が感じられる貴重な物語と言えよう。

【楽天ブックス】「沈まぬ太陽(1)」「沈まぬ太陽(2)」「沈まぬ太陽(3)」「沈まぬ太陽(4)」「沈まぬ太陽(5)」

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
アジャイルにおける開発の速度は、ユーザーストーリーをどのように作り出すかによって大きく変わってくる。本書はそんなユーザーストーリーを効果的に作り出す50の方法を解説している。

それぞれの手法に対して「採用することによる主なメリット」と「どのように採用するか」を箇条書きにわかりやすくまとめていて非常に読みやすい。それぞれの手法は、組織の大きさや形態によって、適応できそうなものや難しそうなものもあるが、開発を効果的かつ効率的に発展させるための重要な考え方で溢れており、プロダクトオーナーやスクラムマスターだけでなく、開発にかかわる全ての人に役立つだろう。

個人的に印象的だったのがユーザーの行動を変えるフェーズとして頭文字をとったCREATEである。

Cue
Reaction
Evaluation
Ability
Timing

僕らがユーザーの行動を変えようとした時、上記のどの行動に変化をもたらそうとしてのかを明確にすると、より具体的な施策へとつながるだろう。

また、Storyの優先順位を決める上で指標となる考え方で、書籍「Stand Back And Deliver」のなかでNiel Nickolaisenが語っている考え方である。その考え方で重要なのは目の前のStoryに対して次の2つの問いかけをすることである。

それはミッションにとって不可欠か
(ビジネスはそれなしに進められるか?)

それはマーケットで差別化するものか

(ユーザーに大きな利益をもたらすか?)

そのあとの決断の仕方等は詳しくはぜひ本書を読んでいただきたい。

なかなか一度読んだだけで、実際の開発に適用することは難しいだろう。繰り返し読んで実践することで組織に浸透していく内容だと感じた。

オススメ度 ★★☆☆☆ 2/5
月収1400万を稼ぐ実業家の著者がお金を呼び込むための考え方を語る。

呼び込むための方法というよりも、考え方である。したがって実用的な話を求めている人には本書はあまり役に立たないだろう。ネガティブにものを考えがちで、お金が欲しいという希望を口にしながらも特に行動をしない、そんな人をターゲットにしている。

もともとポジティブなものの考え方をしている人にとってはあまり得るものはないだろう。

【楽天ブックス】「お金の神様に可愛がられる方法」

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
絵本「えんとつ町のプペル」を絵本としては珍しい分業制で作成し、絵本としては記録的な発行部数を実現した、キングコングの西野亮廣が、その成功までの過程で行ったことやその考え方を書く。

具体的に言うと、クラウドファンディングでお金を集める方法や、自分に対するアンチの存在を利用する方法などであるが、どれも非常に的を得ていると感じた。

そんななかでも発売前の絵本をネット上で公開したことについては、多くのページを割いて説明している。著者は言う、「無料にすることは実力を可視化すること」と。インターネットでさまざまな人が発信できるようになた今、個人や企業の実力は可視化され、それを秘密にしていたり、「お金を払わないと何も使えません」では誰も利用してくれないでただただ機会を失っていくんだと感じた。

そのほかにも

お客さんはお金がないわけではなく、お金を払うきっかけがない。
本は本屋さんで売るよりも、スナックで売った方が売れる

などの話が面白かった。

言っていることはどれも非常に共感できる部分があるが、表現の仕方が、若干反感を買いそうな点も感じた。その一方で、その反感を買うような言い方も狙ってやっているのだろうとも思わせる。せっかくなのでこのスタイルを突き進んで欲しいと思った。

【楽天ブックス】「革命のファンファーレ 現代のお金と広告」

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
黒人に対する差別が根強く残っていた頃にNASAのために計算手として尽くした黒人女性たちについて語っている。

戦時中にNASAの前身となる組織で戦闘機の開発に貢献した黒人女性たちは、戦争の終了とともに宇宙開発に従事することなり、その貢献はやがてアポロ計画へとつながっていく。

ドキュメンタリー形式で描かれているため、登場人物が多く、なかなか一人一人をしっかり把握はできないが、数学を得意としていた女性たちの活躍は感じられる。また、その一方で、彼女たちの有能さだけでなく当時の黒人に対する差別の大きさも見えてくる。そしてそんな逆境のなか、黒人の評価をあげようと尽くした彼女たちがなんともかっこいいのだ。

女性は数学が苦手などという固定概念は一体誰が生み出したものなのだろう。本書を読めばそんな考えはなんの根拠もないことがわかるだろう。

映画化もされているのでぜひそれも見てみたいと思った。

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
プリンストン大学の図書館から盗まれた5つの有名作家のオリジナル原稿は、Camino islandにある本屋のオーナーが所持しているとの疑いを持った保険会社は、Camino島で生まれ育った女性作家Mercerに本屋のオーナーBruce Cableに近づいて調査をすることを依頼するのである。

Mercerが執筆作業という名目でCamino等に滞在し、本屋のオーナーであるBruceや、Camino島にいるたくさんの作家と知り合いになるなかで、本屋や多くの作家事情が描かれている点が面白い。また、有名作家の初版本やサイン本、オリジナル原稿などが取引される闇マーケットについても描かれており、作家である著者の専門分野だけに真実に近い部分も多く含まれていることだろう。

普段あまり関わりのない世界に触れさせてもらえたという意味では新しいが、物語の内容としては特に驚くような展開もなく特別進めるような部分はない。

本書が初めて読んだJohn Grisham作品だが、他にも映画化された名作がたくさんなるので、少しずつ読んでいきたい。

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
田舎町に赴任した警察官のKaneはその街の保安官代理
Jennaとともに、街で行方不明になった人々の捜索を続ける。真実に少しずつその町の大きな犯罪が明らかになっていく

よくあるアメリカ警察物語という印象。シリーズのなかでこれから面白くなるのかもしれないが、本作品に関しては特に驚くようなことはなかった。暗い過去を持っているらしいKaneとJennaの関係が今後どのように発展していくのかが唯一気になる部分である。

DeputyやSherifなど、アメリカにおける保安官と警察官の役割の違いなどを自分がよくわかってないことを知った。

シリーズの続編を読むことはしばらくないと感じた。

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
フィリピン人の日本の介護事情について語る。

知り合いにフィリピン人の介護師がいるので、その仕事の状況や日本におけるフィリピン人介護師の立場を知りたくて本書にたどり着いた。

序盤は、フィリピン人を介護してとして受け入れるまでの、日本とフィリピン外交的経緯から日本で介護士として働くまでのフィリピン人が受けなければいけない教育過程など、現在の介護の状況を説明している。フィリピン人というと風俗などのイメージが付きまとってしまうが、本書を読んでフィリピン人が介護士としては非常に優秀であることがわかった。中盤からは現在日本で介護士として働くフィリピン女性たちの生活やそれぞれの持つ悩みについて書いている。彼女たちにとって介護士として働くために問題なのは、漢字の読み書きや職場の人間関係なのだという。

人材不足の日本の介護事情を解決するための手段として期待されるフィリピン人介護士ではあるが、僕らの持つ印象とは違って、問題となるのは彼女たちの教育よりもむしろ、受け入れる側の環境の問題なのだとわかった。日本人介護士に起こりがちな職場問題が、南の国で育った彼女たちには受け入れがたいのだろう。

後半はフィリピンで老後を過ごす日本人たちを紹介している。彼らの日本を出るという決断までの経緯と、現在の状況を読むと、フィリピンで過ごすのも悪くない気がしてきた。

本書は現在のフィリピン人による介護状況の概要を知りたいとう要求にはしっかり答えてくれた。

【楽天ブックス】「どこへ行く!?介護難民」

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
スタイリストの著者が服のコーディネートについて語る。

まず重要なのは、

センスのいいコーディネートにとっていちばん必要なのは、本当はセンスではなく、まずアイテムです。

ということだ。そのコンセプトにのっとって、本書ではさまざまな「使いまわしのきくアイテム」を紹介している。基本的に女性向けのコーディネートを扱っているが、男性にも採用できるアイテムや考え方が含まれている。個人的に「さっそく買ってこよう」と思ったのがストライプシャツ、ジージャン、白のトートバッグである。

毎日私服で働いている人にとってはファッションは印象を大きく左右するもの。不必要に労力やお金をかけたくはないが、考え方ひとつで大きく改善できるならぜひしたい。早速本書の考え方を取り入れていきたいと思った。

【楽天ブックス】「毎朝、服に迷わない」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
効率の用意プログラミング業務の進め方を「Extreme Programming」として紹介する。

XPは次の4つのことを重視している


コミュニケーション
フィードバック
シンプルであること
勇敢さ

である。最初の3つに多くの人は異論ないだろう。しかし最後の「勇敢さ」は普段意識指定なのではないだろうか。Exreme Programmingが重視する「勇敢さ」とは「ミスを認める勇気」である。ミスを認めるのが遅ければ遅いほど、そこからフックするのに時間がかかるのである。

後半で書いてあった

機能するもっとも単純な実装をする

は、エンジニアではなくPOやCOに知ってほしいと思った。デザインやコードをシンプルに実装することでどれほど将来的な柔軟性があがるかを組織においてどれほどの人が理解しているかどうかが大きな鍵だと感じた。

将来的に必要かもしれない機能に時間をかけることは、今必要な機能にかける時間を削るリスクを伴う。

シンプルであるために、デザイナーやエンジニアはもっとPOや顧客に対して声を上げることが、組織を効率的に動かすための近道なのだと感じた。エンジニア向けの本ではあるが、組織を動かす立場の人には誰にでも役立つ内容と言えるだろう。

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
誰も買っているところを見たことないにもかかわらず、定期的に街をまわってくるさおだけ屋や、ベッドタウンにあるフランス料理店など、身近に存在する不思議な例で好奇心を刺激して、その流れで会計を説明する。

非常に有名な本ではあるが、今まで読んだことがなく、今回妻との会話のなかから「そういえばさおだけ屋ってなんで潰れないんだっけ?」という会話の流れで読むことになった。全体的には楽しく読むことができたし、雑談に使えそうなネタがいくつか増えたきがする。

もちろん会計について理解するには本書だけでは不十分で、そこは本書で著者も述べているように、他の専門書に譲っているということだ。そんな著者の狙い通り、会計学についてもっと詳細を勉強したいと思った。そういう意味では「難しくない会計学」という、本書が目指していた目的は達成できたのではないだろうか。

【楽天ブックス】「さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問から始める会計学」

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
これからの時代の生き方について語る。

どちらかというと、これから社会に出て行く若い人向けに書かれた内容だが、僕のような社会人10年以上の人間が読んでも学ぶ部分はある。

物と同じように、人も同じ能力を持った人間がたくさんいれば、価格競争になってしまう。つまりコモディティ化が進んでしまうのだ。賃金を下げたくなければコモディティにならない生き方をすることが重要なのである。

著者はコモディティ化しないための生き方として4つの生き方をあげている。

マーケター
イノベーター
リーダー
インベスター

である。今後の生き方を改めて考えさせられた。

【楽天ブックス】「僕は君たちに武器を配りたいエッセンシャル版」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
多くの企業が様々な局面で非効率な業務フローを採用していたり、不必要なものを生産していたりする。その多くは視覚化することによって解決が容易になるのだ。本書はそんな視覚化の手法を「Alignment Diagram」として紹介している。

カスタマージャーニーマップやエクスペリエンスマップなどのUXデザインにおいて有名なものから、サービスブループリントやメンタルモデルダイアグラムとあまり知られていないものまでを、企業が陥りそうな状況を例としてその使い方を説明している。

本書ではたくさんの視覚化の手法をその名前とともに紹介しているが、実際には名前は重要ではない。状況に従って、紹介された手法を組み合わせることも必要である。大切なのは、状況に応じて的確な視覚化を行うことなのだ。

読むだけで身につくということはないので、必要なときに何度も読み直したいと思った。各章の末尾に掲載されているオススメの書籍、記事も少しずつ読んでいきたいと思った。

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
女性警察官Josieはなかなか進まない女性の行方不明者の捜査にいらだち、謹慎処分中にも拘らず自ら捜査に動き出す。

Josieは謹慎中という身にもかかわらず、被害者や生存者が口にする「Ramona」という謎の言葉の正体を追って、真実に迫っていく。そんななかJosieの人としての葛藤や人間関係も多く描かれている。離婚届に判を押さない前の夫のRayや、現在の恋人のLukeは、物語のなかでも重要な役割を果たす。また報道者として第一線に戻ろうとするあまりJosieとたびたび衝突するTrinity Payneの存在も面白い。

暇つぶしには悪くないが、よくある警察小説の範囲を出ていない。この本でなければ知ることのできない何かを教えてくれることはなかった。

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
マイクロコピーの重要性を、過去の著者の経験と実例をもとに語る。

マイクロコピーとは、トップページにあるような大きな文言ではなく、Webサイトやアプリケーションの各所に散らばるコピーのことである。本書はマイクロコピーの重要性を謳う理由は次のように語っている。

トップページの修正ではひどい時には2週間以上かかり、いったんサイトの稼働を止めなければならないほどだったのに、奥のページにいけばいくほど修正箇所は小さくなる。修正にかかる時間も短くなり・・・なのに売り上げは大きく上がる。

興味深いのは、たくさんの例を本書で示しているにもかかわらず、結局のところどんなサイトでも通用するような正解のコピーの書き方はないということである。あるサイトで成功したコピーが他のサイトでは逆効果になることもあり、そのサイトのユーザー層によって傾向は変わるのだという。結局、何度もABテスト等を繰り返して探っていくしかないのだという。

実際にコピーを見直す時にもう一度読み直したいと思った。

【楽天ブックス】「Webコピーライティングの新常識 ザ・マイクロコピー」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
「隠蔽捜査」に始まる竜崎伸也(りゅうざきしんや)のシリーズの第6弾である。

大森署署長を務める竜崎のもとに 大森署管内で連れ去り事件が発生する。このシリーズの面白い点は、毎回事件解決と同じぐらい警察組織内の政治が描かれている点である。今回もその点では同様で、組織内の立場や面子を気にして行動する人々の中で、ひたすら論理的に行動して正義を貫く竜崎の生き方が爽快である。

今回は、竜崎の娘の美紀(みき)の恋人との問題を仲介したり、署内の女性警察官、根岸紅美(ねぎしくみ)の業務改善をする過程でストーカー問題に焦点があたっている。

読み終えて気づいたのだが、このシリーズの面白さは竜崎伸也(りゅうざきしんや)の真っ直ぐさだけで、他に特に学ぶ部分はないのである。にもかかわらずこうやって第6弾まで読み続けている点が面白い。きっと同じように竜崎の生き方だけに魅力を感じてこのシリーズを読み続けている読者は多いのだろう。

【楽天ブックス】「去就 隠蔽捜査6」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5

インンターネットが発展した今、小さい会社でも大きな会社と対等に渡り合える。本書はそんなテーマでブランド戦略、マーケティング戦略について書いている。序盤では「小さいことは悪いことではない」ということを繰り返し強調した後、それの実現方法について次の順番で例と筆者自身の経験を交えながら語る。

自分のブランドを定義する
自分のブランドに合った人との関係を築く
自分のブランドに合って人との繋がりと会話を維持する
行動し、修正する

印象的だったのは最後の「行動して、修正する」で語られている次の4つのレイヤーである。

Direction 方向
Strategy 戦略
Messaging メッセージ
Delivery 伝え方

著者はこのように語っている「マーケットの問題に直面していると感じている多くの会社が、実は方向性の問題に直面していることが多い」。つまり、多くの会社が自分たちがどのような方向に進むべきかを考えもしないで、目の前の仕事に忙殺されているのだ。

あなたは何で、あなたは何がしたいのか?

何よりもまずこれを定義せずに、周囲の企業の真似ばかりしていてはいつまでたっても方向が定まらない。その結果、その先にあるはずの戦略も、メッセージも伝え方も決まらないまま時間ばかりが経ってしまうのだ。

本書は中小企業のための本であるが、人間関係においてもそのまま適応できると感じた。当面起業する予定はないがしっかり頭に刻んでおきたいと思った。

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
誰にでもわかりやすくデザインについて書いた本。

正直このようなデザインの「良い」「悪い」を語った本は多く、あまり内容が深いとは言えないので今まで敬遠してきた。しかし、本書は友人のデザイナーたちも持っているので、以前より気になっていたのである。デザインを仕事にしている僕に取ってもいくつか新しいことを知ることができた。

文字を加工して丸みをつける タイトルに「止め」を作る

なかなかデザイナーとして長く仕事をしていると、少しずつ別のデザイナーの視点に触れる機会が少なくなってくる。たとえ新しく知ることのできることが1割程度だったとしても、このような本にもっと触れるべきかもしれないと思った。

【楽天ブックス】「なるほどデザイン 目で見て楽しむデザインの本。」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
12歳の黒人男性がバスケットの試合の帰り道に車にはねられて死亡した。犯人の車はすぐに特定され、海軍の運送担当の男性と判明するが、その男性は犯行を否認し続けるのである。

女性刑事Tracy Crosswhiteシリーズの第5弾である。シリーズの他の作品と同様に物語の中心はTracyだが、同じチームのDelの妹の娘がドラッグの過剰摂取で亡くなったばかりなため、Delの違法ドラッグ密売の捜査も多く描かれている。また、ひき逃げ事件の裁判の過程で、海軍の専門の弁護士としてLeah Battlesという女性弁護士が登場し、Leah Battlesの知り合いの検事との因縁や、趣味のクラブマガの様子など、本作品はTracy以外の描写が多かった。

Tracyの私生活の方は、結婚したばかりのDanとのあいだに子供を授かるために奮闘する様子が描かれる。仕事や家庭などさまざまな場所で悩みながら生きていくTracyの様子が非常にリアルである。Tracyがどのように家庭と向かっていくのかは今後もきになるところである。

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
アジャイル開発を繰り返すうちに、作業者は要件だけを重視し、その機能が全体のサービスにおいてどのように位置付けられているかを見失いやすい。そんな状況の解決方法の1つであるストーリーマッピングについて語る。

現在の会社の状況の問題点を解決しようといろいろ調べていてユーザーストーリーマッピングに行き着いた。ユーザーストーリーマッピングの代表的な本といことで本書にたどり着いた。

これまでの開発手法であれば、開発中の機能について不明な部分が出てくると、「仕様書をしっかり書こう」ということになっただろう。しかし、どんな詳細に書かれた仕様書であっても書いた人の頭のなかには存在しながらも文字にならない部分は必ずあるのである。仕様書を書くことに時間を費やすのはやめて、ユーザーのストーリーを語ることによって共通理解をつくろう、というのがストーリーマッピングの考え方である。

基本的にストーリーマッピングの利点は、マッピング作成の過程で生じる議論に参加することによって、参加者全員の共通理解が進むということである。またストーリーマッピングによってユーザーがサービス利用時に困る部分を見つけ出しサービスの改善につなげることもできるし、製作者側が見落としていた部分を発見することにも役立つのだ。

こうやって語ってみると、いいことばかりのようにも聞こえるが、残念ながら本書ではユーザーストーリーマッピングの詳細なやり方は書いていない。いくつかの事例においてのユーザーストーリーマッピングの様子を語っているだけで、実際効果的なストーリーマッピングの方法は組織や目的によって変わるためファシリテートする人には高いの能力が必要となる。

ストーリーマッピングの効果には本書を読んだ後でも特に疑問はないが、本書自体は翻訳もわかりにくく、英語が苦手でない人は英語版を読んだほうが理解しやすいのではないだろうか。また、構成も読みにくく、ストーリーマッピングを理解するためには不要と思われる部分もあったように感じた。

【楽天ブックス】「ユーザーストーリーマッピング」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
講義を録画した動画を事前に見てきて、授業中は生徒たちが学んだことを確認するために費やす「反転授業」について書いている。

5年前、YouTubeを利用して講義を公開して有名になったカーンアカデミーに興味を持った際に「反転授業」という言葉を知った。反転授業が効果があることは当時も想像はついたが、生徒に事前に講義の動画を見せるというのは難しいのではないかと感じていた。その後「反転授業」がどのように発展したのかを知りたくて本書を手に取った。

本書はただ単に「反転授業」の説明だけにとどまらず、どのようにそれを学校の授業に取り入れるかまで丁寧に説明している。著者の2人が本当に世の中の教育を変えたいのだという思いが伝わってくる。

後半では「完全習得学習」という考え方に触れている。完全習得学習とはその名の通り、生徒一人一人が異なるペースで学習し、理解度が一定の基準に達するまで行うという学習である。その効果は認められていたが教師の負担が大きいことからこれまで広まらなかった。興味深いのは、著者の2人が、動画を利用した反転授業によって「反転型完全習得学習」を目指している点である。

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
UX向上のための方法について書いている。

序盤でUXの一般的な考え方について触れている。著者も書いている通り、UXに明確な定義はないが、ISO版のUXの定義、UXのハニカム構造、Elements of User Experienceはしっかり覚えておきたいと思った。

第5章の「UX向上の具体例」では、UX向上方法についてかなり詳細に書いている。多くのUX関連の書籍が、ユーザーインタビューなどの、調査に多くのページを割いていることを考えると、本書はUX向上のためのテストについて詳細に書いている点が印象的だった。

特にメッセンジャーアプリ、ハードディスクレコーダーなどの具体例の中で

ユースケースの洗い出し
ユースケースの詳細化
UXチェックリストの作成
UXテストの実施

のUX向上の鍵となる流れをわかりやすく解説している。全体的にはなかなかすぐに役立てられるようなものではないが、知識として持っておくぶんには悪くないように感じた。UXをこれから勉強しようとしている人に勧められるような本ではない。

【楽天ブックス】「UX虎の巻」

オススメ度 ★★★★☆ 3/5
組織の英知を結集するためにファシリテーションが重要だと感じ、本書を手に取った。

本書はファシリテーションを「仕込み」と「さばき」という大きな2つの部分に分けて構成している。「仕込み」の章で面白かったのが「出発点と到達点を明確にする」という点。ビジネスにおける議論は次の4段階から形成され、その出発点と到達点を意識する必要があるというのである。

「議論の場の目的共有」
「アクションの理由の共有・合意」
「アクションの選択と合意」
「実行プラン・コミットの確認・共有」

必ずしも議論の参加者全員が同じ段階にいるとは限らないため、参加者によっては個別にケアして納得感を持った状態で同じ出発点に立ったうえで議論を開始する必要があるだろう。

後半は、「さばき」であり、一般的にファシリテーターの求められる能力はこちらの方が大きいのではないだろうか。「さばき」の基本動作として本書では

発言を引き出す
発言を理解し、共有する
議論を方向づける
結論づける

という4つを挙げている。それぞれの動作について考えられる障害、それに対するアドバイスがたくさん書かれており、定期的にファシリテーターを務める人であれば手元に一冊おいておいて何度も見返したくなることだろう。個人的には「発言の理解」の部分が印象的で、論点(=問い)、主張、根拠、目的を考えて人の意見を聞くということの重要性気付かされた。ファシリテーションを学びたくてたまたま本書を手に取ったが非常に満足である。

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オススメ度 ★★★★☆ 4/5
読む人に伝わる作文技術についてわかりやすく解説している。

ブログなどで世の中に発信する機会は今後増えていくだろう。それによって今まで以上に伝わりやすい文章を書く必要があると考え本書を手に取った。

物語は、新入社員である新田文(にったあや)に先輩である梶山聡(かじやまさとし)が仕事のなかで文章の書き方を指導していく。どれも仕事でもブログでも文章を書くときに活かすために覚えておきたいことばかりである。

まずは

必要なことはもれなく記述し
必要でないことは一切書かない

当たり前ではあるが、どうしても不必要なことを書き込んでしまう。

目標規定文をまとめる

文章を書き始める前に、その文章を何を目標として書くのかをはっきりさせるということ。目標があることによって「必要なこと」と「必要でないこと」の判断がしやすくなる。

重点先行主義
概念から細部へ

どちらも文章を書く際によく言われることであるが常に意識していないと難しい。すべての人間が書いた文章をすべて読むとは限らないということを意識すべきなのだ。

逆茂木型を避ける

逆茂木型とは修飾句や修飾節の長い文章をのことである。日本語で何かを説明しようとするとどうしても修飾節が長くなりがちだが、意識して文章を分けたりすることで解決できる。

また、意見と言っても6つに分けられるというのはこれまで考えたこともなかった。

推論
判断
意見
確信
仮説
理論

書こうとしていることが、6つのうちのどれに当てはまるのか、これから意識して文章を書きたいと思った。

知識として持っていただけでいい文章が書けるわけではないが、今後意識していきたい。この本は「理科系の作文技術」という新書をベースとして書かれたということなので、そちらの本も近いうちに読もうと思った。

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オススメ度 ★★☆☆☆ 2/5
「乾いている世代」「乾けない世代」という言葉を使って、今の若者たちの価値観の違いを語る。

「乾いている世代」である団塊世代よりも上の世代に、今の30代以下の人たちの持つ価値観を教えるような内容でもあるが、一方で逆に、「乾けない世代」である若者たちにこれからの時代の生き方を教えているようでもあり、何が言いたいのかはっきりしない印象を受けた。

改めて本書の目的を確認したくて「はじめに」を読むと「若い世代のモチベーションを理解することが最大の武器となる。」と書いてあるので、ターゲットは若者の考え方の理解できない年配者だったのだろうが、中盤あたりからは若者向けの内容になっている。おそらく、著者が言いたいことを適当に書き綴ったものを集めて出版にしただけなのだろう。

章ごとのつながりも希薄なために、書籍全体としての目的がはっきりしない印象を受けた。読む人によっては新しい情報もあるのかもしれないが、基本的に他の書籍などでも触れられている考えばかりで、特に新しいことはなかった。

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オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
キリスト教への迫害が進むなか、長谷倉六右衛門(はせくらりくえもん)は藩主の命により宣教師ベラスコとともに海を渡ることとなった。

遠藤周作の名作の一つとして前回読んだ「沈黙」で描かれていた宣教師の葛藤が印象的だったため、本作品もと思い手に取った。

物語は、キリスト教の世界のなかで名声を高めようとする宣教師ベラスコと、先代から受け継がれていた土地を返してもらうために、海を渡ることを決意した侍、長谷倉六右衛門(はせくらりくえもん)の視点で交互に描かれる。

驚いたのは、まず当時のスペイン領メキシコに向かった点である。当時スペインが巨大な植民地を持っていたことは知識と知っていたが、やはり物語としてそれを味わうのは違うもの。彼らは東回りでメキシコへ到着し、その後スペインを目指すのである。この時代にはまだパナマ運河がなかったために、一行はメキシコ到着後に、大西洋側に移動してから別の船でスペインにむかったのだということも併せて知った。長い航海のなかで何人かの人は命を落とし、また暴風雨で船から投げ出されるなど、物語を通じて当時の旅の難しさを知ることができた。

その後一行はさらに、ローマ法王に謁見するためにローマに向かう。

当時のキリスト教の布教が、ペテロ会とポーロ会という2つの派閥の間で起こっていたことを知る。ポーロ会宣教師ベラスコとペテロ会の宣教師たちが議論するシーンでは、日本での布教がなぜこれほど難しいのかについても語っており、日本人の持っている考え方の特殊な部分について改めて考えさせられるだろう。

また、武将として一つの時代をいきながらも時代の変化のなかで戦が減り、新しい生きる道を探しヨーロッパに向かうこととなった長谷倉六右衛門(はせくらりくえもん)からは、当時の時代の変化が人々に強いた変化を感じることができる。

本書を読み終えて、どうやら本書が実在の人物支倉常長を題材としているということに気づいた。支倉常長という名前は耳にしたことはあったが何をやった人物かということは知らなかった。本書でその航海のために作られたガレオン船も、実在した船サン・ファン・バウティスタ号をモデルとしており、それは支倉常長とともに宮城でとても有名で博物館もあることを知った。近いうちに行ってみたいと思った。

また、遠藤周作という作家については、人の心の葛藤を描くのがうまいと感じた。キリスト教を深く調べているにもかかわらずどちらかというと否定的な描き方をしているので、キリスト教に対してどのような考えを持っていたのか、作家自身の考えについて興味を持った。

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オススメ度 ★★★★☆ 4/5

成功する人とそうでない人の差はなんなのか。それは社会的知性(SQ)でもなければ、知能指数(IQ)でもなくでも、GRITという呼ばれる力なのだという。本書はそんな成功するための力「GRIT」について語っている。

序盤ではこれまで考えられていたIQの重要性を否定してからGRITに語っていく。GRITとは度胸(Guts)、復元力(Resillience)、自発性(Initiative)、執念(Tenacity)という4つの力で、多くの実例を交えて説明している。

まず印象的だったのは「夢を捨てされ」の章である。僕らは「夢を持つこと」はいいことだと教わってきた。それは確かに目標に向かう原動力となり得るのだが、夢を語ってばかりで実際にその1歩を踏み出さない人も多くいるのだという。夢想している暇があったら「今日できることをする」という考え方が重要なのだという。

また、拒絶されても立ち直る力を身につけるために、ある男性が行なったリジェクションセラピーの話も面白かった。投資家からの資金提要を断られたことがショックだった彼は立ち直る力を身につけるために、100日間連続で人に断られることを目標にしたのだ。断られるための無茶な要望にもかかわらず、受け入れてくれた人がいたことから、男性は自分の望みを叶えるためには拒絶を恐れずに、頼んでみることが重要なのだと知るのである。拒絶は人間の否定ではなく、ただ単にあなたの要求が相手の求めているものにマッチしなかったというだけなのだ。

終盤の「期限は無限」の章で紹介されていた、92歳の時にアルファベットを学び始め、98歳のときにベストセラーを書いた男性の話は、多くの読者へ、将来への希望を与えてくれるだろう。

多くの例は触れられているものの、実際にどのような方法をとればGRITが身に付けられるのかはわかりにくい。それでも「忍耐力」、「楽観主義」、「固定思考」よりも「成長思考」と、いくつかの鍵となる考え方を知れば今後の生き方のヒントとなるのではないだろうか。何よりもいい話に溢れているので一読の価値ありである。

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オススメ度 ★★★★☆ 4/5

目的を達するためのデザインを作成する手法について説明している。

僕自身もデザイナーであり15年以上デザインの仕事に関わってきた。現在でこそ、その作業フローは確立されてきているが、最初の頃はただただ美しくかっこいいものを作ることに大量の時間を費やしていた。きっと現在も多くのデザイナーがそんな美しいだけのデザインを作ることに大量に時間を費やしているのだろう。

しかし、本書の冒頭でも語られているように、デザインとアートは違うのである。アートであれば美しくかっこいいものを作ればそれでよかったかもしれないが、デザインは常に目的がありその目的を達成してこそ「いいデザイン」なのである。

本書はそんなデザインの流れを体系化して説明している。読者によっては反論したくなるようなこともあるかもしれないが、個人的にはどれも納得のいくことばかりで、僕自身が何年も経て辿り着いた手法とかなり近いと思った。

まず、良くあるデザインの勘違いと、デザイナーが心がけるべきことにいくつかの例を挙げながら触れた後に、実際に著者が辿り着いたDesign Methodの説明へと入っていく。そのDesign Methodは大きく分けると次の4つのステージから成る。

1.Discovery
データを収集し、観察と分析から状況を知る

2.Planning
問題とニーズを突き止め戦略と実行可能な計画を作る

3.Creative
考えうる案を検討しデザインの方向性を決める

4.Application
試験と分析を繰り返しながらデザインを適用する


デザイナーによってその作業範囲はそれぞれであるが、実際に多くの人が「デザイン」という言葉からイメージするのは「Creative Stage」以降なのではないだろうか。残念ながら今でも多くのデザイナーや制作プロダクションが1のDiscoveryステージと2のPlanningステージにほとんど時間をかけていないのが実情である。

4つのステージを順を追って細かい進め方、陥りやすい間違いなどについて詳細に説明している。部分的にでも参考にできそうな部分はたくさんあるだろう。

個人的には4のApplicationステージの進め方が印象に残った。本書ではデザインの作成段階でも常に、適応しつつ結果を見て調整していくとしている。つまり、少しデザインを適応しては結果を確認し、その結果によってその先のデザインの適用を調整していくというのである。

確実に機能するデザインを作るという点で非常に納得ではあるが、そのようなテストをしながらデザインを適用するためには、クライアントとの信頼関係づくりがかなり重要となるだろう。実際本書では何度もクライアントとの関係づくりの重要性に触れている。クライアント側の担当者目線でデザインがどのように見えるか語っている部分も印象的だった。確かに、ほとんどデザインのことを知らないなかで、デザイナーと打ち合わせて決めていかなければならない、クライアント側の担当者の立場に立つと、今までとは違った部分が見えてくる。

デザイナーだけでなく、デザインプロジェクトの担当者としてこれからデザイナーを探さなきゃいけない人など、デザイナーに関わる全ての人にとって学べる内容がたくさん含まれている。

関連書籍
「The 80/20 principle」Richard Koch
「The Dip」Seth Godin
「The Elements of Typographic Style」Robert Bringhurt
「Good to Great」Jim Collins
「How to Be a Graphic Designer without Losing Your Soul」Adrian Shaughnessy
「Positioning」Al Ries and Jack Trout
「Whatever You Think the Opposite」Paul Arden
「Zag」Marty Neumeier

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
高校生のときに、調律師の仕事に魅せられた男性外村(とむら)が、調律師として成長していく様子を描く。

調律師という仕事を、実際にその仕事に従事している人のの視点で見せてくれたことがありがたい。調律師という仕事があることは知っていたが、それはギターの音を合わせるように、一定の周波数に音を合わせる誰にでも機械的にできる作業かと思っていた。どんな仕事も毎日その作業を行う人のしか見えない深さがあるのだろう。それが、こうやって物語として触れると、自分がその仕事をしているかのように深く見えてくるから不思議である。

個人のピアノを調律するのと、コンサートのピアノの調律をするのは大きく違ことや、その会場の物の配置が変わっただけで音に影響が出るということが新鮮だった。また、物語中で語られるこんな言葉にも感動した。

持ち主に愛されてよく弾かれているピアノを調律するのはうれしい。一年経ってもあまり狂いのないピアノは、調律の作業は少なくて済むかもしれないが、やりがいも少ないと思う。

主人公である外村(とむら)のほかにも、同じ職場で調律師として働く人が出てくる。天才調律師の板鳥(いたどり)、元々はピアニストを目指していたが諦めて調律師となった秋野(あきの)、バンドでドラムをしている柳(やなぎ)である。調律師として生きる人にもいろんな過去があることが面白い。

毎日こつこつと技術を積み上げていく職人気質の仕事に改めて魅力を感じた。

【楽天ブックス】「羊と鋼の森」

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
妻と離婚して新しい人生を歩み始めた38歳の杉村は、知り合いからの勧めによって探偵事務所を開くこととなった。そんな杉村が扱った4つの事件を描く。

杉村三郎シリーズの3作品目で、前作「ペテロの葬列」で妻との別れを決意したあとの杉村を描いている。実は、娘がいて離婚経験者ということで、どこか年上のような気がしていたが予想以上に年齢が違いことを知り、今回はいつも以上に親近感を持って読むことができた。

4つの物語のなかでもっとも印象的だったのは3番目の事件「砂男」である。地元の繁盛していた蕎麦屋の若い亭主が、不倫をして失踪した事件で、その不倫相手の女性の行方を探すこととなるが、調査を進めるうちにその男性にはつらい過去があることがわかってくるのだ。父や妻の複雑な感情と行動を描いていて、4つの物語の中でもっとも宮部みゆきらしさを感じた。

また、4番目の物語である「ドッペルゲンガー」では東北大震災を題材にしている。阪神大震災を題材に含めた物語にはたびたび出会うが、東北大震災を描いている物語はまだ少ないため新鮮だった。

宮部みゆきは期待値が高いだけに、それなりの作品でも失望の方が大きくなってしまうのが評価の難しいところである。本作品もそれほど悪くはなかったのだが、宮部みゆきらしい人間の感情を切り開くような表現があまり見られなかったのが少し残念だった。

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オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
人を宇宙に運ぶという輝かしい使命よりも、むしろコロンビア空中分解事故、チャレンジャー爆発事故で印象的なスペースシャトル。そもそもスペースシャトルという計画はどのような目的でどのようにして始まったのか知りたくて本書を手に取った。

面白いのはスペースシャトルを思い描く時誰もが最初に思い描くであろうあの大きな翼は、実はほとんど意味がないということ。言われてみれば確かに、宇宙は無重力空間だからもちろん翼による揚力は発生するはずもない。地球に帰還するときに少しだけ役に立つのだという。むしろその翼がスペースシャトルを設計する上で一つの大きな足かせになっているのだという。人を運ぶのに必要な設備と、物を運ぶのに必要な設備は大きく異なり、その2つを同時に詰め込もうとしたために困難になってしまったのだ。

ちなみに、報道でスペースシャトルのことを聞いていると、チャレンジャーやコロンビアなどいろんな名前があるけど見た目的な区別がつかないと思っていたが、どうやら機体は同じで名前だけが異なるということ。

本書を読んでスペースシャトルは、そもそもの設計として大きく間違っていたことや、政府や地方経済に大きく影響を与えるほどの巨大プロジェクトは、大きな政治的圧力がかかるゆえになかなかうまく進まないことがわかった。しかし、月面着陸を果たしたアポロ11号や奇跡の生還で知られるアポロ13号に代表されるアポロ計画はどのようにすすめられたのだろう。次はアポロ計画について知りたいと思った。

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オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
刑務所に服役中のSalanderに会いに行った際、BlomkvistはLeo Mannheimerという36歳の男性について調べるように言われる。Blomkvistが調べたところ、ある日を境にLeo Mannheimerが左利きから右利きになったという。

Stieg Larssonの「The Girl with the Dragon Tattoo」に始まる物語の5作目。著者がDavid Lagercrantzへ変わってから2作目にあたる。前作「The Girl in the Spider's Web」で法律に反する行為を行なったSalanderが刑務所で服役している状態で本作品は始まる。
その刑務所のなかでさえ、すべての権力を掌握し、艦種でさえ逆らうことのできない囚人Benitoや同じ刑務所にいるバングラデシュ出身の美しい女性Fariaの存在など、最初から問題山積みであるが、物語は、助けを申し出たBlomkvistに対してSalanderがLeo Mannheimerという男性の名を挙げたことで始まるのだ。

そして、いろんな情報源を頼りに少しずつLeo Mannheimerの真実に迫るうちに、Salanderの過去と大きくつながっていることが明らかになっていくのである。

シリーズ全体を通じて言えることだが今回も、普段なじみのないストックホルム周辺の地名が多く出てきて、遠い異国の地の人生を感じることができる。そして、人当たりは悪いながらも、正義感に突き進むSalanderの冷静な行動は爽快である。ただ、残念ながら、前作までにはあった一日中読んでいたくなるような勢いが今回は感じられなかった。著者が変わったせいなのか、物語の展開ゆえにそうなったのかはなんとも判断できない。

また、物語の過程で、「人の人格を決めるのは、才能なのか環境なのか」という研究結果に触れている部分があり、過去何度も議論が重ねられたこの問題について改めて考えさせられた。また、過去関連する多くの実験が試みられたこともわかり、その実験の内容や結果をもっと知りたくなった。

シリーズとしてはまだまだ続きそうなので、続巻が出る限り読み続けたいと思った。

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
ルーブル美術館のキュレーターJacques Saunièreが技術館の館内で殺された。その死ぬ間際に書き残したメッセージによって、警察から殺人の疑いをかけられた言語学者のLangdonはJacques Saunièreの孫娘Sophieとともに真実を探ることとなる。

映画化もされた有名作品ではあるが、すでに映画を見たかどうかも忘れており、新鮮な気持ちで読むことができた。本書でもっとも興味深いのはやはり、物語中でも最大のテーマになっている、イエス・キリストの新しい真実だろう。

なんとローマ帝国のコンスタンティヌス以前は、キリスト教およびユダヤ教は女性を神聖化していたのだという。ローマ帝国が国教として取り入れるにあたって、それまでの考え方を政治に都合のいい方向に変えていった結果、今の女性の地位が男性より低い世の中になっているというのである。

物語としてはキュレーターJacques Saunièreの残したメッセージの謎を少しずつ解きながら非常に価値のある宝物に近づいていくという使い古された形式ではあるが、その過程で描かれる真実が印象的なので物語全体を面白いものにしている。

本より映画のほうがいいこともたくさんあるので、映画を否定するわけではないのだが、映画を見てしまうと深い物語が2時間のひどく陳腐で大衆受けする物語になってしまうこともよくあり、この物語は映画が有名だっただけになおさらそんな印象を持っていたが、実際こうして原作を読んでみるととても素敵な物語だということを知った。

映画しか見ないでこの物語を評価した人に、おそらく物語の内容を忘れてしまったであろう今、改めて本書を読んで欲しいと思った。

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