オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
高校を出たばかりの平野勇気(ひらのゆうき)は、母の半強制的な勧めによって、林業の盛んな山奥の神去村(かむさりむら)で働くこととなる。平野勇気(ひらのゆうき)が少しずつその村のしきたりや山の魅力に惹かれていく様子を描く。

林業に対して僕らが持っているイメージは、木を切って、植えて、とそのぐらいだろう。しかし実際には、木を運ぶことも必要だし、木が成長するように適度な間隔をあけることも必要だったりと、その一連の流れには、長年の知恵と英知が結集されているのである。本書は18歳の平野勇気(ひらのゆうき)の戸惑いとともに、そのような林業の奥深さを教えてくれる。

そのような考え抜かれた毎日の繰り返しの作業の一方で、神去村(かむさりむら)の人々の心神深さも印象的である。移り変わりの激しい山の天気や、気温の変化など、どうしようもないものに人生を左右されるからこそ、神に祈らずにはいられないのだろう。神去村(かむさりむら)の人々が時には理由もわからないまま何年も続けている行動を知ると、都会で生きているとわからない自然の偉大さが感じられる。

そんななかで山の魅力にとりつかれていく平野勇気(ひらのゆうき)だが、もちろん若い男なので色恋沙汰も描かれている。神去村(かむさりむら)の個性的な登場人物と合わせて楽しめるのではないだろうか。

続編も出ているようなので楽しみにしたい。

【楽天ブックス】「神去なあなあ日常」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
企業が破壊的イノベーションへ対抗するための方法を語る。

まず、持続的イノベーションと破壊的イノベーションという言葉を用い、ソニーやアップルが行ってきたイノベーションを説明し、相互依存型アーキテクチャとモジュール型アーキテクチャという言葉で、企業が作る商品を説明している。世の中の多くの企業の栄枯盛衰が、この考え方で説明できる点が面白いが、実際にはこのあたりの内容は「イノベーションのジレンマ」に含まれる部分なのだろう。

中盤以降は、そんな今までわかってても避け方のわからなかった、破壊的イノベーションを避けるために、持続的イノベーションの状態にある企業はどのような取り組みをすべきなのかを語っている。

とてもすべてが理解できたとは言い難いが、世の中の流れについて新たな視点をもたらしてくれる。

【楽天ブックス】「イノベーションへの解 利益ある成長に向けて」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
破壊的イノベーションの説明を用いて、教育がいつまでたっても進歩しない理由と、教育の今後の進化すべき方向性を語る。

印象的だったのは教育のモジュール化という考え方である。現在の教育はすべて、それ以前の学んだことが理解できていないと、その次の内容を理解できない仕組みになっており、それが問題だというのである。例えば、足し算、掛け算を理解していないとその先にある、分数の計算が理解できないために、すべての生徒が同じ順番で学んでいかなければならないために教育を非効率にしているのだという。つまり、教育のプログラムは相互依存性が強いのだ。

そんななか解決策として本書が主張しているのは、教育をモジュール化し、1人1人が独立したコースを自由に履修し、必要な時間をかけて理解するという方法である。それによって全員が同じ授業を受ける必要もなく、全員が同じ内容に同じだけ時間をかける必要もないというのである。確かに、以前であればそもそも「先生の数が足りなくて実現できない。」で終わっていしまったであろう話が、現在であればインターネットを使うことで実現できそうな気がする。

教育の発展だけでなく、経済的なイノベーションの考え方を用いて教育界を語っている点が面白い。

【楽天ブックス】「教育×破壊的イノベーション 教育現場を抜本的に改革する」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
霧子(きりこ)がある日出会った死神のような男性、椿林太郎(つばきりんたろう)は教育に情熱を注ぐ男だった。やがて2人は結婚しともに生きることとなる。

白石一文は人生を描くのが非常にうまい。本作もそんな作品を期待して手に取った。実は霧子(きりこ)が出会った椿林太郎(つばきりんたろう)は人の人生の長さがわかるという。そんな彼が結婚相手として霧子を選んだ理由はなんだったのだろう。彼の能力が霧子との結婚にどのような結末をもたらすのかが、物語の焦点となる。

貶すほどの内容ではないが、期待に応えてくれるような印象的な内容ではなかった。人の残りの人生の長さが見えるというのは、最近読んだ百田尚輝の「フォルトゥナの瞳」と重なる部分が多いからなのかもしれない。

楽天ブックス】「彼が通る不思議なコースを私も」

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
Tracyの妹のSarahは行方不明になり、自供と証拠をもとに同じ町に住む男が有罪となった。その裁判に疑問を持つTracyは一度は教師を志すも、真実を知るために刑事になる。20年後、妹の遺体の発見をきっかけに自ら集めた証拠を元にTracy再び裁判を起こして真実を暴きだそうとする。

前半の多くは、妹の失踪という出来事に苦しむTracyと、TracyとSarahの当時の様子が交互に展開していく。過去を描いたシーンでは、自由奔放に行動するSarahと、その面倒を見なければいけない姉のTracyと見えていたが、物語が進むにつれて、Sarahは町の誰からも好かれるような存在で、Sarahの失踪が町の空気さえも変えてしまったことがわかる。姉のTracyだけでなく、町に住む多くの人がその事件による苦い記憶を抱えて生きているのである。

現在を描くシーンでは、Sarahの発見をきっかけとして、裁判のやり直しへ動くTracyとその友人の弁護士Dan。20年間Sarahを殺害したとされて刑務所で過ごしていたEdmund Houseに会うなどして、当時偽の証拠を捏造したとされる警察のRoy Callowayらを追い詰めていくのだ。

衝動買いだったが、Tracyやその周囲の人々の心情描写が深く、予想以上に楽しむことができた。続編も出ているので読み続けてみたい。

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
インドから家庭教師としてイギリスに移住してきた女性が狙撃された。誰もが羨むような美しい女性だったのも関わらず、なぜ殺されなければならなかったのか。Maisieはその女性の兄の依頼によってその真実を調査する。

調査の過程でMaisieはその女性Ushaが誰からも好かれるような女性だったことを知る。誰からも好かれるような女性なら、殺人の動機は一体どんなものだろう。と思うところだが、本書では「誰もが羨むような眩しい女性は、いるだけで妬みを買う」という視点にも触れている。人間の醜い部分を見せてくれるようで興味深い。

また、事件の解決へと調査をすすめるなかで、Maisieの大きな決断をする。結婚を求めている交際相手Jamesとの関係に区切りをつけるため、またメンターであり亡くなったMauriceの教えに習って、Maisie1人で旅に出ることを決意するのである。事件の解決と同じぐらい、Maisieのこの決断が本書の焦点だと感じた。そして、そのために事務所を閉めて、Maisieと共に働いていたSandraとBillyもそれぞれの道を進むこととなるのである。

最終回のような一冊だが、まだ続編はあるようだ。

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
アートを作る上での心構えを著者の経験から語る。

タイトルにもあるようにアートを作りたければ「アイデアを盗め」と堂々と語っている。確かに僕自身もデザインに関わってきて思うことだが、上達の近道はいいデザインを真似ることである。「それは盗作ではないのか?」と思う人もいるだろう。そんな問いに本書はこんな風に答えてくれる。

すぐれたアーティストは何もないところからは何も生まれないことを知っている。すべてのアートは以前もあったものの上に作られるのだ。完全にオリジナルなものなど存在しない。

アートに限らず、スポーツでも音楽でも、いいものを真似ようとして努力する中で、それでもその人の体格や能力でどうしても真似できない部分に出会う。そこを自分なりに工夫した結果、オリジナルが生まれるのだという。

ちなみに良い盗み方と悪い盗み方をこう書いている。良い盗み方は多くのものを盗むこと、悪い盗み方は一つのものを盗むこと。納得がいく部分があるのではないだろうか。

また、著者は仕事以外に趣味を持つことを推奨している。一見関係ないように見えることでも、趣味を持つことは何かしらいい影響を与えてくれるのだと。たしかに、いい仕事をする人は何かしらの趣味にも打ち込んでいるような気がする。

何か新しいものを創り出すことを考えた時、人の真似をするのはどこか後ろめたいもの。でも世の中の創造的なものはみんなそういうステップを踏んで生み出されたのだと、堂々と語ってくれる点がなんとも清々しい。

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
ディープワークをするための方法について語る。

本書ではディープワークを「あなたの認識能力を限界まで高める、注意散漫のない集中した状態でなされる職業上の活動。」と定義し、その時間を多く作り出すことこそ質の高い仕事に繋がるとしている。

きっと誰もが、仕事に「没頭」してしまったことがあるのではないだろうか。本書でいう「ディープワーク」とはまさにそんな仕事への「没頭」状態のことである。しかし、誰もが経験から知っている通り、残念ながらそんな「没頭」状態は頻繁に起きることではないし、起きたとしても長く続くものではない。どのような環境が整えばそのような状態になるのかを、本書はいろいろな例を交えて説明している。

多くの人がディープワークの真逆であるシャローワークに多くの時間を奪われているのは誰もが経験的に知っていることだろう。シャローワークの代表的な例はもちろんメールのチェックである。インターネットの普及により、大量のメールが毎日送信されるのが日常的なこととなり、毎日すべてのメールをチェックするだけでもかなりの時間がかかってしまうのである。

本書が語っている興味深いことの1つは、過去に行われた実験によると、シャローワークは世間一般に人々が思っているほど重要ではないということである。シャローワークを減らすことで、労働時間を減らしながらもディープワークの時間を増やして成果を出している企業の例は非常に興味深い。

全体的には、僕自身が普段仕事の質を上げるために行っていることや、経験から感じていることを裏付ける内容であった。

読者にとって仕事の質をあげるためのヒントになるのではないだろうか。

【楽天ブックス】「大事なことに集中する」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5

エッセンシャル思考とは、仕事における断捨離やミニマリズムと言えるかもしれない。依頼される仕事をすべて引き受けるから、常に忙しく、集中すべき仕事に集中できず、自分の能力も上がらない。重要なのは自分にしかできない仕事を優先し、それ以外の依頼に対して「No」と言う能力を身につけることである。

本書で印象的だったのは90点ルールというもの。仕事を選ぶときでも、服を選ぶときでも、自分で点数をつけて90点に満たないものはすべて0点と扱うというものだ。「迷ったら捨てる」「迷ったら行かない」「迷ったら買わない」「迷ったら受けない」という感覚が正しいのだろう。

「エッセンシャル思考」とは仕事に忙殺され、朝から晩まで働きながらも満足のいく人生が送れていない多くの人にとって、そんな生活から抜け出す鍵となるのではないだろうか。本書は仕事について書かれているが、実際エッセンシャル思考が役に立つのは仕事に限った話ではない。友人も、趣味も、部屋に置く家具も、エッセンシャル思考で選び取ることで豊かな人生が開けるのではないだろうか。

【楽天ブックス】「エッセンシャル思考」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
さまざまなNGO活動に長年関わってきた著者がボランティアについて語る。

「ボランティア」=「善い行い」とすぐに結論づけてはいないだろうか。実際僕自身もいくつかのボランティアを経験するまで、ボランティア活動に参加する人が多ければ多いほど世の中はよくなると信じていた。しかし最近では、本当に世の中の役に立つことであれば、その「善い行い」に従事する人にお金が支払われる仕組みができるはずだし、それができてこそその「善い行い」は継続できる、と信じるようになった。それでは実際ボランティアの現状とは、そこに長年関わってきた人から見るとどのように見えるのだろうか。そんな思いが本書に導いた。

ボランティアのいろんな側面について触れられているが、印象的だったのは「生活できない人を増やす仕組み」という考え方である。

「図書館ボランティア」で図書館を運営するようになると、その分だけ司書の人が正規の職員として雇われなくなることが多い。

無料で何かに従事することは、そのことに有料で従事していた人の生活の手段を奪ってしまうというのである。その他にも、ボランティアによって依存心の強い人を生み出す可能性があることも覚えておくべきだろう。災害ボランティアなどでは、被災者が、あとは自分でなんとかできる程度まで手伝ったら、適度なタイミングで撤収することこそ必要なの。つまり、ボランティアをすることを目的にするのではなく、本当に相手の未来まで考えて行動すべきなのである。

また、末尾にはいくつかのボランティア活動が「取り組みやすい活動ガイド」としてまとめられているので、今後の参考にしたい。これからいろんな活動に関わりたいと考えるなかで、役立つ視点を提供してくれた一冊。

【楽天ブックス】「幸せを届けるボランティア 不幸を招くボランティア」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
1963年フランス、「アルジェリアは永遠にフランス」をもっtーに活動する秘密軍組織OASは大統領シャルル・ド・ゴールの暗殺を企てる。すでに多くの幹部が警察に目をつけられている中、暗殺を実現するための唯一の方法が、外国人の殺し屋を雇うことだった。その殺し屋のコードネームこそジャッカルなのである。

空港の名前にもなっているシャルル・ド・ゴールだが、実際にはその在任中にどのような政策を行ったのかをほとんど知らなかった。また、アルジェリアがもともとはフランス領だったことは漠然とした知識としては持っていながらも、どのように独立したかをこれまで気にかけたこともなかった。

本書は暗殺を依頼されたジャッカルが暗殺のために入念な準備をする様子と、その暗殺を防ぐ任務を課せられたClaude Labelが、わずかな手がかりを元にすこじずつジャッカルを追い詰めていく様子が描かれている。いくつものパスポートを用意し、いくつもの変装を用意して厳重に警戒されているであろうド・ゴールに近づくための準備をするジャッカルも、もた、外見的な特徴しかわからないじょうたいで、海外の警察のつながりをもとに暗殺者を絞り込んでいくLabelも、まるで本当に起こった真実を描写しているようで、とても1971年に書かれた小説とは思えない。

概要として語ってしまうと、「暗殺者とそれを捕まえる刑事」となってしまうが、その描写の緻密さは一読の価値ありである。

アルジェリア戦争
1954年から1962年にかけて行われたフランスの支配に対するアルジェリアの独立戦争。(Wikipedia「アルジェリア戦争」

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
グアルディオラはFCバルセロナで選手として活躍し、その後FCバルセロナを監督として率いて黄金時代を気付いた監督。本書はグアルディオラが2013年に、それまでドイツのブンデスリーガで優勝の常連であったバイエルン・ミュンヘンの監督に就任してからの様子を、間近で取材して描いている。

僕自身がサッカーから離れて久しいが、個性豊かな20人近い選手をまとめげて一つの強力に機能するチームを作り上げる優れた監督の物語はいつだって非常の面白い。監督はどのようにチームを機能させるのか、どのようにメンバーのモチベーションを上げるのか、どのように長く成長する環境を作るのか、といった問題を突き詰めて優れたチームを作っていく。そのスタンスはサッカー以外にも応用できるだろう。

2013年時点で、グアルディオラはすでにFCバロセロナでの輝かしい経歴の持ち主で、さらに就任先のバルセロナはその時すでに優勝の常連国。おそらく周囲の人間は成功よりも失敗を予想したのではないだろうか。しかし、もはや改善しようがないようなチームをさらに強く安定したチームに改善していく様子は、「すべては永遠に改善できる」と改めて認識させてくれる。スペインのパスサッカーの文化をバイエルンに取り入れる様子も印象的だが、一方で「バイエルンにメッシはいない」と、完全にバルセロナのパスサッカーを取り入れるのではなく、ドイツの文化や身長など選手の個性に応じてバイエルンのサッカーを発展させていくグアルディオラのスタンスも刺激的である。

最も印象的だったのは選手の希望に折れて戦術を決め、レアルマドリードに0-4で大敗する場面である。グアルディオラほどの完璧主義者も失敗なしには前進しないのだ。そんな失敗の後のグアルディオラの失敗の受け止め方こそもっとも見習うべき点かもしれない。

ここしばらくサッカーを1試合通じて見る機会がなくなってしまったが、本書によってサッカーの戦術はまだまだ進歩していること、そして、以前よりも高く洗練されたチームが対戦している様子が本書から伝わってきて、またサッカーが見たくなった。本書で触れられている多くの重要な試合をYouTubeで見ながら読み進めてみれば、サッカーファンじゃなくても十分に楽しめるのではないだろうか。

【楽天ブックス】「ペップ・グアルディオラ キミにすべてを語ろう」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
僕自身人見知りだとは思っていないが、アルコールが苦手なので飲み会に参加する回数が一般的な人に比べて少なく、それによって人脈作りが不利だと感じている。何かその不利な部分を補う秘訣のようなものが見つかればと思って本書を手に取った。

すでにやっていることから、大事だとは思っていてもできてないことから、考えたことすらなかったようなことまで様々な手法、心がけが書かれている。

印象的だったのは、パーティなどで困った時。そんなときは、人に話しかけられなくて孤立している人を束ねる役割をするというもの。確かにこの方法だと、無理に話の輪のなかに入る必要もないし、孤立している人にとっては救世主として印象づけられることになるだろう。

またSNSでのイベントの誘いが増えた昨今、断りのメッセージもどうしてもさらっとしたものになりがち。しかし、単純に断るだけでなく、断っても別の人間にシェアすることによって自分の価値をあげられるのだとか。

いずれも普段の心がけしだいだが、人との接点を持っていろいろ試してみたいと思わせてくれる一冊。

【楽天ブックス】「人見知りでも「人脈が広がる」ささやかな習慣」

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
デザイナーとして他のデザイナーやデザイン企業と差別化を図る方法について語る。

本書で繰り返し主張していることはタイトルにあるように「Win Without Pitching Manifesto」である。クリエイティブな業界で仕事をする人は、仕事を得るためにコンペに参加して、無料で提案内容を披露したり、値段を安くすることで、勝負するデザイナーや企業を見たことがあるだろう。ひょっとしたら自分自身がそのようにして仕事を取ってきているかもしれない。

しかし、値段を安くすることをしている限り、クライアントを完全に満足する仕事はできないというのである。そして、一度値段を安くすると、その負のスパイラルから永遠に抜けられないというのだ。「楽しい仕事をしているから、忙しくても満足」では続かない。本書はそんなクリエイティブ業界のよくある状況から抜け出すための次の12の話を語っている。

We Will Specialize
We Will Replace Presentations With Conversations
We Will Diagnose Before We Prescribe
We Will Rethink What It Means to Sell
We Will Do With Words What We Used to Do With Paper
We Will Be Selective
We Will Build Expertise Rapidly
We Will Not Solve Problems Before We Are Paid
We Will Address Issues of Money Early
We Will Refuse to Work at a Loss
We Will Charge More
We Will Hold Our Heads High

印象的だったのは、コンペでプレゼンをすることを、医者に例えてさとしている点である。「医者は診察をしないうちに薬を処方したりしない」と。つまり、クライアントの問題点をしっかり調査しないうちに提案をするのは間違っているというのである。

読み終えて思ったことだが、本書はクリエイティブな仕事の仕方について書いているが、自らの価値を少しずつ高めていく考え方としては、必ずしも仕事に限ったことではなく、人間関係にも適用できるかもしれないと感じた。

オススメ度 ★★☆☆☆ 2/5
川田幸代(かわたゆきよ)は社史編纂室に勤務する29歳。社史をまとめることが仕事なため、年配の社員や、退社した社員から話を聞いて情報を集めようとするが、過去のある時期に関して、関係者は頑なに口を閉ざす。一体その時代に何があったのか。

社史をめぐる業務が、やがて商社の海外進出の際の闇の歴史を暴き出すこととなる。すべてがフィクションとはいえ、同じようなことが実際にあったのではないかと考えさせられる。

ただ、残念ながら他の三浦しおんの作品のように読者を強烈に引き込むような面白いさは感じられず、また、なぜこのようなテーマで物語を描いたのかも感じられない中途半端な仕上がりだと感じた。

【楽天ブックス】「星間商事株式会社社史編纂室」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
Webサイト設計のためのペルソナの作り方についてまとめている。

ペルソナ設計という考え方は昨今多くの企業で認識されるようになってはきたが、その設計の仕方となるとよくわからない。本書はそんな人のためにペルソナの作り方を丁寧に説明している。

まず、ペルソナを作成するためのユーザー調査の油断として、定性的なアプローチ、定性的なアプローチと定量的な検証、定量的なアプローチという3つのアプローチがあり、それぞれの長所と短所を理解すべきだろう。またもう一つの軸として本書ではユーザーの発話とユーザーの行動という指標を用いている。定性的な調査は「なぜ」を明らかにし定量的な調査は「何が」を明らかにする、という言い方もしているがこちらのほうがわかりやすいかもしれない。

本書はそんな考え方の大枠だけでなく、調査の方法、質問の作り方、そして調査結果をもとにどのようにしてどれだけのペルソナを作ったらいいかまで、非常にわかりやすく解説している。実際にペルソナ設計の際に、常に手元に置いておきたいと思える内容である。

後半では作ったペルソナをどのようにプロジェクトに組み込んでいくかの方法が書かれている。ペルソナは作って終わりではなく、プロジェクトに関わる人が常にペロソナの存在を意識するようになってこそ成功なのである。

【楽天ブックス】「Webサイト設計のためのペルソナ手法の教科書」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
11回の転職をした著者が自らの経験を基に、いい会社や悪い会社の傾向について、会社勤めをしたことのない漫画家倉田真由美と共に語る。

「こんな会社はだめだ」と端的に言い切るところが面白い。いくつか挙げると次のようなものだ

意味不明の肩書きが多い会社
役員フロアがゴージャスすぎる会社
上司・同僚を肩書きで呼び合う会社に未来なし

そんな表面的なことばかり書かれているかというとそんなことはない。本書で語られていることのなかで印象的だったのは、悪い会社も務める人の心の持ちようによってはいい会社になり、またその逆もありえるというところ。結局大事なのは自分の価値観に見合う会社を選ぶということなのだろう。こうやって書いてみると当たり前のようのことのように思えるのかもしれないが、しっかりと自らの価値観を見極めるまでにはある程度の年月を、価値観の合わない会社で働く必要があるのだ。

本書で書かれていることの多くが真実であったとしても、自ら経験するからこそしっかり理解できることなのだろう。それでも知識として持っておいて損はない。

【楽天ブックス】「ダメだ!この会社 わが社も他社も丸裸 」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
外資系のコンサルティング会社出身者はその後さまざまな分野で活躍している。そんな彼らが1年目に学ぶ、その後の人生にずっと影響を及ぼすような内容とは何なのかを語る。

本書は4つの章に分かれている。「話す技術」「思考術」「デスクワーク術」「ビジネスマインド」である。どれも非常に論理的な考え方なので、普段から論理的な考え方をしている人にとっては、当たり前のことばかりなのかもしれないが、改めて自分の行動を見直し、それをさらに磨くためには本書はいいきっかけになるのではないだろうか。

話す技術のなかで、「PREPの型に従って話す」というのがある。PREPとはPoint、Reason、Example、Pointで、まず結論を話し、その理由を説明し、具体例を語った上で再度結論を繰り返す、という流れである。「結論を先に話す」というのはよく言われることではあるが、改めて自分自身の本日、昨日の職場での言動を振り返ってみるとすべてにおいてそのように実行できていたかは怪しい。

また「Quick and dirty」という考え方も、常にできているとは言い難い。「Quick and dirty」とは完璧ではないものでも早く人に精査させることによって軌道修正を行うということである。必要以上に間違ったものを作り込んで無駄な時間とエネルギーを使うことを避けるために非常に有効な考え方で、アジャイル開発などでも取り入れられている考え方だが、人の目を考えるとついつい作り込んでしまいがちである。

コンサルタントがなぜあれほど高い給料をもらえるのだろうか、というところに興味を持って本書を手に取ったのだが、彼らも特別なことをやっているわけではないということがわかった。本書では多くの参考図書が紹介されていたのであわせて読んでみたい。

参考図書
「まだ「会社」にいるの?」山口揚平
「得点力を鍛える」牧田幸裕
「考えながら走る グローバル・キャリアを磨く「五つの力」」秋山ゆかり
「なぜゴッホは貧乏でピカソは金持ちにだったのか?」山口揚平
「観想力・空気はなぜ透明か」三谷宏治

【楽天ブックス】「コンサル一年目が学ぶこと」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
写真家である著者が発するツイートをまとめた本。

写真家ということで若い女性と接する機会が多いせいか、恋愛や男女関係に関するツイートが多く、ときどきはっとさせられるような独特な視点のツイートがあって面白い。

印象的なツイートはたくさんあったのだがなかでも個人的なヒットを3つ挙げておく。

電車で隣に立っている女子。吊り革を持つ手の甲にペンで「おとん誕プレ」と書かれていて、この時点で抱きしめたいし、もう一方の手には大きめのユニクロの袋を持っていて、おとんに贈るダウン的な物だと考えたら心まであたたかいし、おとんの子育て間違ってなかったし、結婚してないけど娘欲しいし。
まだ若いのに夢を叶えた人のこと尊敬する。もう若くないのに夢を叶えようとしている人のこと尊敬する。
今日が終わって欲しくなくて寝ようとしないの、明日ごと終わるからやめた方がいい。

ちょっとハゲを気にするツイートが多く、そこがなんか同じ男として共感できる。

【楽天ブックス】「僕の隣で勝手に幸せになってください」

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
いくつかの事例を交えてリーン・スタートアップについて説明する。改めて実例と共にそのコンセプトを読み進めると理解が深まる。

特に印象的だったのがMVP(Minimum Viable Product)の重要性である。制作に関わる人間はどうしても、「できるかぎりいいものを世の中に出したい」と思って作りこむことに時間をかけてしまうが、実際に作っているものが世の中の求めているものとは限らないのである。実用に耐えうる最低限のものを、アーリーアダプターに提供することによって世の中でどんなものが求められているかを早く知り、早く軌道修正することができるのである。

もう一つ印象に残ったのがバッチサイズの縮小のメリットである。バッチサイズとは繰り返しの作業による1つの工程から次の工程への作業量の大きさである。例えば100通の手紙を用意するのに、100枚の手紙をまず折って、その後100枚の手紙を封筒に入れる、という作業の流れだとパッチサイズ100となる。これに対して手紙を1枚ずつ仕上げる方法がパッチサイズ1である。僕らは、作業は繰り返すほどに習熟するという思い込みがあるため、バッチサイズが大きいほど効率的という思い込みがあるが、バッチサイズが小さい方が問題が早く浮上し、すばやく修正を反映することができるのである。

非常に読みやすく、リーン・スタートアップについて理解するのに非常にわかりやすい本である。

参考図書「イノベーションのジレンマ 技術革新が巨大企業を滅ぼすとき」
「イノベーションへの解 利益ある成長に向けて」
「製品開発フローの原則 第2世代リーン製品開発」ドナルド・G・レイナーツェン
「教育 × 破壊的イノベーション 教育現場を抜本的に変革する」
「ザ・トヨタウェイ」ジェフリー・ライカー
「トヨタ生産方式 脱規模の経営をめざして」大野耐一
「プランB 破壊的イノベーションの戦略」ジョン・マリンズ、ランディ・コミサー
「リーン・シンキング改訂増補版」ジェームズ・P・ウォーマック、ダニエル・T・ジョーンズ

【楽天ブックス】「リーンスタートアップ ムダのない起業プロセスでイノベーションを生み出す」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
指を置くことで意味を持つ絵や図形をまとめている。

1時間ほどで読み終わる内容ではあるが、そのコンセプトを理解するのは中々難しい。冒頭で本書はこおように語っている。

通常の絵画や彫刻などの美術の鑑賞では、作品の前面に向かうのは、あなたの眼です。手や指は関与してきません。しかし、本書では自分の存在を敢えて、コンテンツに参加させます。そのとき、果たして自分の存在は、メディアへの没入感にどのような干渉を及ぼすのでしょうか。

僕が本書に辿り着いたのはユーザーインターフェースデザインの関連からだった。スマートフォンのタッチパネルがメインであるユーザーインターフェースデザインは、まさに本書の言う「自分の存在がコンテンツに参加したデザイン」である。そのための手がかりになるものが本書から得られたかどうかはまだわからないが、引き続き模索し続けたいと思った。

【楽天ブックス】「指を置く」

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
クリエイティブに関わる人間が心がけるべき言葉に溢れている。手元に置いておいていつでも見返せるようにしたいと思える本。

Don't look for the next opportunity. The one you have in hand is the opportunity. 次のチャンスを探すな、今目の前にあるものがチャンスなのだ。
Do not seek praise. Seek criticism. 賞賛を求めるな、批判を求めろ

ぜひ手にとって、1つ1つの言葉を噛み締めてもらいたい。

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
薬を飲まない薬剤師である著者がその理由を語る。

著者によると、世の中の年配者の多くがやっている薬を常用している状態というのはおかしいのだそうだ。なぜなら、薬が病気を治してくれるなら一定の期間飲めば薬は必要なくなるはずなのだから。実際には多くの場合、薬はただ症状を抑えるもので、完治させるものではないのだという。痛みや苦しみが発生する根本の原因を解決しないで、場当たり的に薬に頼って症状を抑えている限り、永遠に改善することはない。薬を手放して、自然治癒力や自己免疫力を維持することこそ健康な生活を送るために必要なのだそうだ。

言われてみればどれももっともな内容でたびたび頭痛薬を飲む自らの生活を反省する部分もあると感じた。内容としてはもっと年配の人に向けられて書かれているように感じたが考え方として持っておくことに早すぎるということはないだろう。

後半は健康な体を育むためのエクササイズも紹介している。薬剤師のエクササイズがどれほど本書の読者の役に立つかは疑問である。健康のための運動を日常的に行っている人にとっては後半は退屈かもしれない。

【楽天ブックス】「薬剤師は薬を飲まない」

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
世界を大きく変えた薬について紹介する。

世の中にはわずかな違いで、歴史が大きく変わっていたかもしれないことがある。クレオパトラの鼻がもう少し低かったら、というように。本書はそれを薬について語っているのだ。実際100年ほど前までは日本人の平均寿命は40歳程度だったのだというから驚きである。言い換えるなら「世界史を変えた薬」が生まれていなければ、僕はもう死んでいたかもしれないのである。

本書で扱っているそんな「世界史を変えた薬」とは、ビタミンC、ペニシリン、アスピリンなどである。薬のど素人の僕でさえ知っている名前ばかりである。つまりそれは現在ではそれほど広範囲で使用されているということなのだろう。大航海時代に多くの航海者が悩まされた壊血病を解決するビタミンCの発見に始まり、多くの興味深い歴史的事実を交えて、薬の発明を紹介している。薬という世界の入り口としては非常に面白い一冊である。

【楽天ブックス】「世界史を変えた薬」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
ニューヨークに古くから残る地下道。そこから侵入し人を殺害し、その肌にタトゥーを掘るSkin CollectorにRhymeが挑む。

今回の犯人は本シリーズの最初の作品Bone Collectorの犯人に強く影響を受けているようで、Skin Collectorと呼ばれている。本書のなかでもBone Collectorの内容が何ども触れられているが、正直もう3,4年も前に読んだ話なのでほとんど覚えていないのが残念である。Bone Collectorの物語のとき少女だったPamとAmeliaの関係が本書では1つの焦点となっている。立派に大人になって巣立っていこうとするPamにAmeliaは嫉妬し、その事実を素直に受け入れられないのである。

また、一方でWatch MakerとRhymeのやり取りも前作より続いている。信じられないことに刑務所で亡くなったWatch Makerであるが、その共犯者を暴き出すためにその葬儀に身分を隠してPulaskiを送り込むのである。

正直ややマンネリ感が出てきた。捜査の手法が変わらないのは仕方がないとはいえ、物語自体に新しさが感じられなくなってきた。これから本シリーズを読もうと思ってい人には第3作、4作の「Stome Monky」「Vanished Man」あたりがもっとも面白いと伝えたい。それ以上は特に時間を割いて読む必要はない気がしてきた。

ミノル・ヤマサキ
日系アメリカ人建築家。ワシントン州シアトル出身の日系二世。ニューヨークの世界貿易センタービルの設計者。(Wikipedia「ミノル・ヤマサキ」

ヘイマーケット事件
1886年5月4日にアメリカ合衆国シカゴ市で発生した暴動。後に国際的なメーデーが創設されるきっかけとなった事件。(Wikipedia「ヘイマーケット事件」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
デザインの考え方について語る。

例えばハンガーにスーツをかける場合、ハンガーはズボンを先にかけてから上着をかけるようにできているが、それが人間のスーツを脱ぐ順番と一致しているだろうか。本書はそんなわかりやすい事例を盛り込みながらデザインについて語る。多くの人は「デザイン」というと、色や形を作る「デザイナー」と呼ばれる人だけが気にしていればいいことのように聞こえるが、本書を読めば、実際には世の中のすべての人が考え、関わることのできる分野なのだということがきっと伝わるだろう。

普段からデザインという業務に関わる人にとっても、改めて思い出させられる内容がいくつか含まれている。例えば「デザインは使う人になりきって考える必要がある」という考えは、言葉にすれば当たり前だが多くの人が忘れがちである。また「時間軸を考える」という考えもついおろそかになりがちである。

普段のデザイン業務を見直したくさせてくれる一冊。

【楽天ブックス】「行為のデザイン」思考法

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
タイトルにあるように14歳でカナダのトップ大学に合格した大川翔が自分の勉強やこれまでの学校や家庭での過ごし方について語る。

経歴だけを見ると、このような偉業は才能のある特別な人間にしかできないものと思うかもしれないが、本書を読んでみるとそんなことはないとわかる。

まず、日本にはない飛び級というものがカナダには存在するのである。日本でも授業中に授業のスピードが遅くて退屈しているような人間を見た覚えがあるだろう。日本ではそのような人間は、他の生徒にあわせてゆっくりと進むしかないが、カナダではそのような生徒は飛び級という選択ができるのである。それによって大川翔くんは常に「ほどよいがんばり」を求められる環境に置かれたのである。本人のレベルよりも高すぎる環境は諦めを生む一方で、低い環境は「慢心」を生むのだろう。そういう意味では翔くんも日本の学校では慢心に溺れた「小学校のとき頭が良かった」生徒になったかもしれない。

もう一つ驚いたのは、何よりも弁護士である母親が勉強する能力と方法を熟知しており、それを翔くんに対してもしっかり実践したことである。それによって翔くん自身も効率的な勉強方法を身につけて行ったのである。

例えば、何かを達成するために必要なことは、その能力を伸ばすだけではなく、何をどこまでやればいいのかという分析である。試験のようなものの場合、実力を上げることはもちろん重要だが、同じように重要なのは、必要以上に時間をかけて他の分野や強化にかける時間が減ってしまうことである。

本書では翔くんがスピーチコンテストで優勝する様子が描かれているが、その過程はまさに分析と必要な技能のマスターに集中しており、目的達成のための理想形である。僕ら大人がそれを今語ることができることにそれほど驚きはないが、それを14歳の時点ですでにマスターしているということは人生のなかで大きな利益になるだろう。

本書を読んで思ったのは、14歳の天才時はしっかりと両親が計画して子育てを行えば、育てることができるということである。

【楽天ブックス】「ザ・ギフティッド 14歳でカナダのトップ大学に合格した天才児の勉強法」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
反アメリカ運動家のRobert Morenoが取材を受けている最中に銃撃により殺害された。殺害がアメリカ政府の内部による犯行ではないかという疑いのもの、調査の依頼がLincoln Rhymeのもとに舞い込む。

犯罪者が床や壁、被害者などと接触した際には、必ず何かの物質交換が起こる。したがって犯罪現場や被害者に残された粒子のような細かい物質が、犯人を特定する手がかりとなるのである。そんな、すでに本シリーズを読み続けている人にとってはおなじみの考え方に従って捜査は進んでいく。

まず面白いのは、今回の犯罪がアメリカ政府の内部の犯行であることが疑われるということである。そして被害者が、反アメリカ主義の運動をしているという点で、すでに現実社会の複雑な善と悪の絡み合いが見えてくるのだろうと思わせてくれる。

アメリカ政府の内部犯行であることが疑われるため、Rhyme、Sachs、Pulaskiなどは捜査関係者を慎重に選びながら進めることとなる。そんななか調査の結果を報告するためにいる地方検事のNance Laurelの存在も新しく面白い。特にSachsは同じ女性としてLaurelのやり方に反発を覚えながら捜査にかかわるが、やがてLaurelの本当の考え方を知るに従って少しずつ打ち解けていくのである。

また、犯罪に関わる元兵士のパイロットの心情描写や、料理に強烈なこだわりを見せる犯人の描写が面白い。本シリーズは今回に限らず、犯人たちの特異な執着をその目線で描いてくれる点が非常に魅力的である。それはやがて、アフガニスタンやイラクで起こっている兵士たちの問題など、普段目を向けることのない物事に新たな関心をもたらしてくれるだろう。

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
フランス革命のなかで断頭台より最期を迎えた悲劇の王妃マリー・アントワネット。彼女の生涯を語る。

まず驚いたのは、マリー・アントワネットが有名なのは日本だけなのだそうだ。確かに、特に優れたことをしたわけではないし、なぜマリー・アントワネットという名前を日本人の多くが知っているのかというとよくわからない。僕個人としては幼い頃にみたアニメ「ベルサイユのばら」の印象が強いのかもしれないが、「マリー・アントワネット」という名前自体も魅力的で一役買っているような気がする。

さて、本書ではそんなマリー・アントワネットがオーストリアに生まれ、やがてフランスの王女になり最後と迎えるまでを描いている。本書で改めて彼女が行ったことを知ると、フランス国民のあれほどの怒りを買ったのも納得がいく。本書の中でいくつかのフランスの建物が紹介されており、今まであまりフランスという国に興味を持っていなかったのだが、いつか訪れてみたいと思った。

また、マリー・アントワネットの母マリア・テレジアが実は非常に魅力的な人間だと知った。機会があったら彼女の生き方にももう少し深く触れてみたいと思った。

【楽天ブックス】「マリー・アントワネットの生涯」

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
人生に悩む青年が「人は変われる、世界はシンプルである、誰もが幸福になれる」と言う哲人のもとを訪ね、その内容を問いただす。自分の人生を嘆きそれと比較しながら、哲人の話す内容はただの理想論と言う青年だったが次第にその考え方に心を奪われていくのである。

昨今アドラー心理学という言葉をよく聞くようになったので、比較的新しい考え方だと思っていた。しかし実際にはアドラーはフロイト、ユングと並ぶ心理学の三大巨頭なのだそうだ。

まず、興味をひいたのは原因論と目的論という考え方。例えば、とある引きこもりの男性がいて、ある人がその原因を幼少期の虐待にあるとする。これが原因論による考え方である。一方で目的論をベースにするアドラー心理学は次のように捉える。その男性は社会に出たくない故に幼少期の虐待を理由に引きこもることを選んでいる、と。アドラー心理学では常に「今」の「目的」に目を向けており、「過去に人はとらわれない」という考え方をしている点が興味深い。

他人の評価などのように、自分ではどうしようもないことに干渉するためにエネルギーをかけない、という点は、選択理論などでも語られ、最近では一般的な考え方になってきたが、それでも改めてアドラー心理学の中でそれを考え直すのも悪くない。

やはりもっとも印象的だったのは「貢献感で幸せを感じる」という考え方である。人はどうしても人や社会に貢献すると、金銭や感謝の言葉などのような見返りを求めてしまうが、そこから解き放たれて自ら満足することこそが幸せになる方法なのだ。

実はこの考え方、僕自身がこの1,2年至った考え方だったので、もう少し本書を早く読んでいればもっと早くここにたどり着いたのかもしれない、と思った。

【楽天ブックス】「嫌われる勇気」

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
父、織田信長に認めてもらうため、織田信雄(おだのぶかつ)は伊賀を攻めることを決める。強力な部下に恵まれながらも自らの能力のせいでその忠誠を勝ち取ることのできない信雄(おだのぶかつ)と、とてつもない強さを持ちながらもお金のためにしか動かない伊賀の忍びたちの戦いが始まる。

伊賀という言葉からイメージするのは、やはり忍術というなにか胡散臭いもの。子供時代にみたハットリくんの世界が現実ではないとわかっていながらも、それでは実際に歴史上の伊賀の忍者とはどのような存在だったかと聞かれると未だによくわからない。そんな曖昧な「忍者」の認識に新たな視点をもたらしてくれるのが本作品である。

物語は、織田と伊賀という非常にわかりやすい構図で描かれる。織田方は誰もが天下を統一したことで知っている織田信長と、その息子、信雄(のぶかつ)を中心に展開する。すごい父を持った故に、自らの能力のなさを嘆き、父に認められるようとする信雄(のぶかつ)の姿に、400年という時を超えて共感する読者も多いのではないだろうか。そして伊賀の方では、類まれなる強さをほこりながらも妻に頭のあがらない無門(むもん)の様子が繰り返し描かれる。こちらもどこか現代の男性の共感を呼ぶのではないだろうか。

戦国の時代というと、日本の立派な武士道が見られるかとおもいきや、伊賀の人々は裏切りなど当たり前で、お金のためにしか動かないというのが面白い。また、信雄(のぶかつ)に仕える武士たちも、混乱の世の中で生き抜くために、仕える先を頻繁に変わるために必ずしも忠誠を誓っていない者も多いのである。

そんななか、信雄(のぶかつ)の維持と伊賀がぶつかるのである。信雄(のぶかつ)と無門(むもん)を中心とする物語に、個性のある脇役が加わり、軽快に楽しめる物語に仕上がっている。

【楽天ブックス】「忍びの国」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
時代はファシズムの影が忍び寄るポルトガル。妻に先立たれた中年の男ペレイラは小さな新聞社に勤めて細々と働くなかで、モンテイロ・ロッシという若者に出会う。

僕自身は知らなかったのだが、非常に有名な作品らしく、「The Girl in the Spider's Web」
の登場人物として出てきたジャーナリストが憧れる作品として挙げていたことから知り今回読むことになった。

まずは、この時代のスペイン、ポルトガルの情勢を僕自身がほとんど知らなかったことに驚かされた。フランコ政権やゲルニカについて書かれているので1940年前後を描いているのだろう。人々が思ったことを口にすることが非常に危険な政情であることが伝わって来る。

そして、「供述によると」という書き出しが何ども繰り返される不思議な世界観。アントニオ・タブッキという著者の他の作品にも触れていたらもっといろいろな側面が見えてくるのかもしれないが、初めて読むひとにとっては若干読みにくさを感じるのではないだろうか。

そして、物語は終盤に近づくにつれて、さえない中年男のペレイラの行動に少しずつ変化が現れてくるのである。英雄と呼べるような行動ではないが、ペレイラのするささやかな世界に対する抵抗が、むしろ現実的で共感を呼ぶのかもしれない。

【楽天ブックス】「供述によるとペレイラは...」

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
幼い頃よりネフローゼという病気を患い、それゆえに将棋と出会い、命がけで将棋を指して29歳でこの世を去った村山聖(むらやまさとし)を描く。

著者大崎善生(おおさきよしお)は「将棋マガジン」などの編集部に務めた経歴を持つ作家なだけに、「将棋の子」など将棋関連のノンフィクションが面白い。本作品も将棋に人生をかけた1人の男を描いており、その過程で、将棋界の厳しさが見えてくるのである。残念ながら僕の知っている棋士は谷川浩司や羽生善治ぐらいなのだが、村山聖(むらやまさとし)はその2人を何度か破っているというから、本当に将来を期待された棋士だったのだろう。

本書のなかで描かれる、常に自分の死を意識している聖(さとし)の生き方は、読者に一生懸命毎日を生きることの尊さを改めて感じさせてくれるだろう。

そして、改めて思ったのは、自分のなかに、物事にすべてを賭けて取り組むからこそ見える世界への憧れがあることである。本書のなかで描かれている、村山聖のいくつかの重要な対局のなかで「神が指したかのような一手」と呼ばれるものがあるのである。きっとそれは、何年も将棋に取り組んだものだけがわかる一手なのだろう。きっと、何年も将棋という世界に没頭しない限り、指すことはおろか、その凄さを理解することすらもできないような世界なのだ。


【楽天ブックス】「聖の青春」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
中学校の駅伝にかける青春を描く。

追い詰められたときに力を発揮する設楽(したら)、素行は悪いが走ることは好きな大田(おおた)、バスケ部から参加したジロー、吹奏楽部から参加した渡部(わたべ)、桝井(ますい)に憧れて力をつけてきた俊介(しゅんすけ)、そしてずっと陸上部の駅伝をひっぱってきた桝井(ますい)。個性豊かな中学生たちが最後の駅伝にかける様子が、それぞれのそれまでの回想シーンなどと合わせて描かれる。

個人的には不良の大田(おおた)の心の描写が印象的である。すでに先生からも敬遠されるなか、桝井(ますい)からの誘いにしぶしぶ応じて駅伝に参加することになった大田だったが、走ることは好きでみんなの期待を越える活躍を見せるのである。

「やってもできない」それが表に出てしまうことを、俺はずっと避けてきた。できそうにない問題にぶつかると、できないと証明される前に投げ出した。そのうち投げ出すことに慣れてきて、ちょっとしたハードルでも俺は手を出そうとしなくなった。そして、その分、できないことも増えていった。
中学校の教師も、「お前はやればできrんだから」と馬鹿の一つ覚えみたいに言った。だけど、残念ながらそれは違う。俺はやったってできない。だいたいやればできるやつは、ちゃんとやっている。何にも力を注がない時間がこれだけ積み重なった俺にできることなど、一つもなくなっていた。

仲間とともに何かに一生懸命取り組むことのすがすがしさを改めて思い出させてくれる一冊。

【楽天ブックス】「あと少し、もう少し」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
成功した人間に共通すること。それはオプティミストつまり楽観主義者であるということ。それでは悲観主義者と楽観主義者という性格の違いはどのように形作られるのか、また悲観主義者は不幸な未来を運命として受け入れるしかないのか。本書はそんな人生に大きく関わる人間の性格を説明する。

楽観主義者が成功しやすいというのは、特に驚くことではないだろう。挑戦をする人間が悲観主義者でなく楽観主義者に多いのは考えなくてもわかることである。それでは本書の何が面白いかというと、楽観主義者と悲観主義者の判別方法と、悲観主義者を楽観主義者に変える方法について細かく書かれている点である。

本書によると、ある人を楽観主義か悲観主義かを判断する方法は、その人の過去のできごとをその人自身に説明させればわかるというのである。

楽観主義者は、うまくいったできごとは自分のせいであり永遠に続くと説明する一方で、うまくいかなかったできごとは他人や環境のせいで一時的なものであると説明するのである。悲観主義者はその逆で、うまくいったできごとは他人や環境のせいで、一時的なもので、うまくいかなかった出来事は自分のせいで永遠に続くかのように説明するのだ。

人の言葉を今まで以上に注意して聞こうと思わせる一冊。

【楽天ブックス】「オプティミストはなぜ成功するか」

オススメ度 ★★☆☆☆ 2/5
塩害と呼ばれる災害が地球に広がり、多くの人が塩と化して亡くなった。そんななか出会った秋庭(あきば)と両親を失った真奈(まな)の物語。

塩害によって秩序を失った世界で生きる2人の様子が描かれる。なぜ「塩害」なのかという部分には触れられていないので、洪水や地震のようにもう少し実際に起こるような災害にしても著者が訴えたいものは訴えられたような気もする。

物語はそんな災害のなかで知り合った秋庭(あきば)と真奈(まな)が少しずつ絆を深めていくという流れである。著者有川浩の初期の作品ということで、物語自体に強い個性のようなものは感じられない。よくある物語の一つといった印象である。

【楽天ブックス】「塩の街」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
ハードルのメダリストである著者が、自らの経験を基に、現在の日本のスポーツのありかたについて語る。

成功者は言う「諦めなかったから夢がかなった」。僕らは成功者の言葉を聞くことはたくさんあっても、失敗者の言葉を聞くことは少ない。そのため、「諦めなければ夢は叶う」という間違った考えを信じてしまい、それによって多くの競技者たちが引き際を間違えてつらい人生を送ることになるのである。本書で著者は繰り返し言うのである。確かに成功者は諦めなかったから成功したのだろう。しかし、その裏で諦めなかったけれども成功できなかった人がその何倍も存在するのであるのだと。

「やめなかったからこそできた」 こう主張する少数派の言葉に嘘はないが、現実の社会においては、はるかに敗者のほうが多いという事実はわかっておくべきだ。

ちょうど本書を読み終えたころに、世の中はまだ、リオ五輪の余韻に浮かれていた。バドミントンで金メダルととった女性ペアに、4年後もオリンピックを目指してくれるように頼んでいるタレントがいた。このような世の中の態度が、競技者に不要なプレッシャーを与えるのだと感じた。

周囲の人間は、夢を追いかけることばかりを強要するのではなく、その人の人生がよりより人生であるように、別の選択肢を示してあるべきなのだろう。スポーツの世界に没頭できるのはせいぜい人生の1/3程度なのだから。何かに頑張っている人に対して、多くの選択肢を示せる存在でありたいと思った。

【楽天ブックス】「諦める力 勝てないのは努力が足りないからじゃない」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
介護人キャシーは「提供者」の世話をする事を仕事としている。そして、ヘールシャムという場所で過ごした日々を思い出すのである。

物語の多くはキャシーの思い出話である。そこはヘールシャムという場所で、キャシーが同年代の子供達と一緒に過ごしている。普通の少年少女のよくある物語のように見えて、読み進めて行くうちに、妙な違和感に気付くだろう。

物語として「今までにない」、という印象。その点だけをとってみても本作品は評価できるだろう。しかし、読者を引き込みページをめくる手を止めるのを躊躇うような物語で亜はない。少年少女たちの退屈な日常を淡々と読み進めなければならない点は、好みがわかれる部分だろう。

【楽天ブックス】「わたしを離さないで」

オススメ度 ★★☆☆☆ 2/5
日本ではなぜか「努力は美しい」という考え方が広まっている。そして努力をしないと「怠け者」というレッテルを貼られる。その風潮が、正しい努力と、ただ単に辛い事に我慢するということを混同させ、しなくていい努力に耐え続ける人を多く生み出しているのだ。

本書で繰り返し語られる内容は、まさにそんな無駄な努力を続ける人に向けたものである。

正しい方法を知らずに、ただ時間とエネルギーを費やしても得られるものはない。 「努力した」ということに満足しては結果は出ない。 努力して向上しないことに力を注ぐより、努力して向上することに力を注ぐべき。

日々、いろんな人に出会う中で、こんな無駄な努力のワナに陥っている人をたくさん見かける。彼らに一体どんな言葉で説明すれば伝わるのか、それが知りたくて本書を手に取ったが、もちろんそんなことは本書には書かれていない。

【楽天ブックス】「自分にできる努力しなくていい努力」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
生物学者である著者が社会や組織を語る。

生物や昆虫の性質を引き合いにだしながら、世の中を説明して行く点が新鮮である。多くの人が知っているように生き物は種の存続を目的にそれぞれの行動が決まっている。しかし、そのような目的を持ちながらも種によっては群れを作ったり、1人のためにその他大勢が死ぬまで働いたり、ほかの生物の巣に入り込んだりと、戦略はさまざまである。ある種が、長い時間をかけてなぜ現在の行動に落ち着いたのかを考えると、その種にとってその生き方が、長期的なメリットがあることがわかる。

社会や組織や、人を新しい視点で見つめられるようになるかもしれない。

【楽天ブックス】「働くアリに幸せを 存続と滅びの組織論」

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