オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
チュニジアに始まり、エジプト、リビアと続いた「アラブの春」と呼ばれるSNSを起点とした動き。日本での報道だと、どの国でも似たような民主化の動きが起こったかのように見えてしまうが、実際はどうだったのか、そもそも僕らがよくわかっていないイスラム諸国の現状はどのようなものなのか。レバノン生まれのジャーナリストである著者が語る。

本書を手に取ったのは直木賞受賞作品「サラバ!」のなかでアラブの春に触れられていたからである。日本での報道からだと、「アラブの春」は、イスラム諸国に平和が訪れたように聞こえてしまうが、もちろんそんなわずかな期間で国のすべてが解決するはずもなく、また「アラブの春」によってもたらされた新たな問題もあるのだということを知り、現状を詳しく知りたくなったのである。

本書ではチュニジア、エジプト、リビアなどの「アラブの春」の国々をはじめ、サウジアラビアやオマーンなどの国についても現状や、「アラブの春」の影響を説明している。もちろんそれぞれの国についての記述はわずか数ページでしかないので、それぞれの国の歴史と現状に軽く触れる程度で終わってしまうのだが、それでもイスラム諸国等について新しい気づきが得られた。

思っていた以上にイスラム諸国でも女性の社会進出は進んでいるということ。また、僕らがイスラム諸国を代表する報道機関とみなしているアルジャジーラは思ったほど中立ではないということ。そして、YouTubeを利用して西欧諸国の報道を操作しようとしている動きがかなりあり、世界的なメディアが裏を取らずにそのまま報道してしまうことがあるということである。

今後もSNSを良い方にも悪い方にも利用しようとする意識は高まるだろうし、一人の人間として真実を見出すためには情報選別の能力が求められるということを感じた。

【楽天ブックス】「「アラブの春」の正体 欧米とメディアに踊らされた民主化革命」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
人生において、怒りや悲しみを引きずるのは悪い事ではないが、早く立ち直って前向きに冷静に生きることができれば人生はきっと良くなるはず。僕自身、どちらかというとまさに「引きずらない人」なのだが、「引きずる人」に今以上にいいアドバイスを与えられたらと考え、本書を手に取った。

気になったのは次の項目。

引きずる人は興味を持てるものが少ない、引きずらない人は好奇心が強い
引きずる人は白黒二択で考える、引きずらない人はグレーでも納得できる
引きずる人はまず言い訳をする、引きずらない人はまず素直に謝る
いい汗をかくことは、メンタルにもプラスの効果がある

どれも思い当たることばかり、引きずるか引きずらないかという性格と直接関連性があるとは思っていなかったが、どれも「引きずらない」自分自身に当てはまることばかり。周囲を見渡しても「引きずらない」人は往々にして、多趣味で忙しく、運動をしていることが多いように感じる。

前半は日常的な出来事に対して「引きずらない」ための方法を書いているが、後半では、身近な人の死や、失恋など、引きずらないわけにはいかないような大きな悲しみに対する方法としても触れている。僕自身それほど大きな悲しみにはまだ出会っていないがぜひ次のことはぜひ覚えておきたいと思った。

自分と同じ経験をした人を探す

思ったのは、こういう本を読む人も大部分は「引きずらない人」なのではないかということ。

【楽天ブックス】「「引きずらない」人の習慣 怒り、悲しみ、不安のワナにハマらない」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5

ジャスティンビーバーのことは正直、その名前と、YouTubeから火が点いて人気が出たということしか知らなかったが、若くても違う国の話でも、違う分野の話でも、サクセスストーリーのなかには学ぶ部分があり、本書も目についたのは偶然だが、何か学ぶ部分があるのではないかと思って手に取った。

やはりジャスティンが音楽に興味を抱いたときに、周囲の人間が誰も止めずにむしろサポートしたことが、子育てに関心のある僕にとっては印象的だった。モノをドラム代わりにスティックでたたいて壊すジャスティンをきっと家族や周囲の人間は暖かく見守ったのだろう。同じようにジャスティン自身も家族やファンの大切さを何度も繰り返しているのが素敵だった。このような本を読むといつも感じることだが、成功している人ほど周囲の人間のありがたみをしっかり認識しているという点は、見習うべきことなのだろう。

その若さゆえに、さすがにアラフォーの僕の心に響くような言葉は多くはなかったが、カナダという遠い地の一つの素敵な家族の形を垣間見ることができたきがする。もちろん、本書を読んでから、いろんなジャスティンの音楽をYouTubeで検索してみてみたし、ジャスティンが本書の中で触れている、ジャスティンの憧れのアーティストたちにも改めて興味を持った。YouTubeで一度ずつチェックして自分の視野の範囲を音楽の範囲にも広げていきたいと思った。

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
数学関連の書籍というとだいたい途中からついていけなくなるもの。それでも部分的にで新しい考え方に触れられたり、新しい方面に好奇心をかきたてることができればいいと思って本書も読み始めた。

超ひも理論とはなんだろう。一時期ポアンカレ予想を理解しようとした時も似たような話が出てきたが、どうやらこの話はそれとは別物で、どうやら次元の話のようだ。

僕の理解した範囲で説明すると、陽子は3つのクオークから成り立ち、そのクオークを説明するのに異次元の存在を考えたほうが都合いいということなのだとか。そして超ひも理論はその次元の存在を根底から覆すものなのだそうで、本書はそこに至るまでを高校生にもわかるように説明している。

個人的には、高次元の存在が低次元の世界に存在したときには、消えることが可能という考え方はすごく印象に残ったが、納得するほど理解できたとはとても言えないので、いくつか気になる単語や参考文献を残しておいて今後の読書につなげたい。

本書はタイトルからもわかるように、物理学者のパパが娘に超ひも理論を少しずつ説明していくという体裁をとっているが、パパが「娘に仕事を説明できることができて幸せだった。」と書いている点が印象的だった。やはり父親は、自分が人生で大きな時間を費やす分野を娘に理解してほしいんだろうなと感じた。

新語
クオーク
グルーオン
ファインマン図
マルダセナ予想
ヤンミルズ理論

関連書籍
「大栗先生の超弦理論入門」


【楽天ブックス】「超ひも理論をパパに習ってみた 天才物理学者・浪速阪教授の70分講義」

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
アップルを創り、マッキントッシュ、iPod、iPhoneを生み出して世界を大きく変えたスティーブ・ジョブスを描く。

もはや本書を読まなくても、誰もが聞いたことあるほどの有名な世界を変えたエピソードである。アップルが取り入れたコンピューターのGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)に始まり、その後ジョブスがアップルを離れた後のアップルの低迷。そしてアップルに戻ってからのiPodによる音楽革命やiPhoneの登場などである。

なぜこれほど多くの画期的な製品をアップルは生み出せたのか。本書はその答えを知るための大きな手がかりとなるだろう。やはりアップルのトップであるステーブ・ジョブスが自分たちの作り出すものに対して並々ならぬこだわりを持ったためだろう。誰もがシンプルなものがいいとわかっていながらも世の中には複雑な製品が溢れているのである。アップルのこだわりである

洗練を突きつめると簡潔になる

というのがどれほど難しいことか、組織でものづくりに関わったことがある人ならわかるだろう。

それに加えて、ジョブスが重視したのはいつだって「利益を出す」ことではなく「世界を変えるような新しいものを生み出す」ことだったのも大きいだろう。

世の中に「利益を出す」こと以外の目的を優先して動いている会社がどれほどあるんだろうか。もちろん、会社の創設時にはそのような熱い思いを持っている会社はあることだろう。それを持続することがどれほど難しいことか、多くの社員を抱え、多くの生活が会社の存続に委ねられてきたときに、「利益を出す」ことを優先してしまうことが、多くの企業にとってどれほど避けがたいものなのか、よくわかるのではないかろうか。

そんな多くの素晴らしい製品を生み出したジョブスだが、人間的にはかなり偏った性格だったようだ。もちろんそれも話には聞いていたが、本書を読むと改めてその偏りがわかる。家族や身近な人に対する接し方はとても普通の人が耐えられるものではなく、それによってジョブスも多くの困難にぶつかったようにも感じる。

本書でそのようなジョブスの性格を深く知ると、一般的に「普通」の人間性を持った人間が革新的な製品を生み出すことはできないのだろうか、とさえ思ってしまう。

さて、ジョブスなきアップルは今後どうなっていくのか、その動向に今後も注目したいと思った。

【楽天ブックス】「スティーブ・ジョブズ(1)」「スティーブ・ジョブズ(2)」

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
書体デザイナーと書体に関わる仕事をしている人や書体についてデザインをしている人が書体について議論する「もじ部」のインタビューを記録している。

普段から書体に向き合っている人々の目線で書体について語られている点が非常に新鮮で、この一冊だけで書体について多くのことを学べた気がする。

UDフォントと言われるユニバーサルフォントには特に決まった形はないということと、UDフォントは見やすさを重視してはいるものの、もじ単体での読みやすさを重視するあまり日本語の持つリズムを乱していることもあるのだという。あまり考えずにUDフォントがあるならUDフォントを使用してきた僕としては非常に耳の痛い話である。

日本語は縦書きも横書きもあるので、縦に書かれた場合と、横に書かれた場合のフォントの理想形も異なるのだという。「い」や「む」の最後の一画の向き方向が次の字が下にあるか右にあるかで確かに変わるのである。書体づくりの奥深さを感じた。

また、書体デザイナー小林章さんの章では、欧文フォントのスペーシングについて学生たちに教えている。文字周辺スペースの面積を均等にするようにスペーシングするというのはわかっていてもがそれだけの知識では十分ではないというのは多くのデザイナーは経験として知っているのではないだろうか。本書で小林章氏はスペーシングについて新たな考え方を示してくれている。「AVAIL」「AVILA」という同じアルファベットで構成されながらも異なる言葉についてのスペーシングを例に、文字の並びによっっても最適なスペーシングが異なることを説明しているのだ。

パソコンによってデザインが一般の人の手の届くところに来たことはいいことだと思うが、それによって表面的なデザインが増えてしまうのも事実だろう。プロを自負するデザイナーはぜひ本書の知識を知って書体のあるべき姿を広めていってほしいと思った。

【楽天ブックス】「もじ部」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
イラクへの武力行使を発表された国連安保理ロビーにあるゲルニカには暗幕がかけられていた。戦争の悲惨さを訴えるゲルニカに武力行使を発表する場で暗幕をかけた理由が何なのか。ピカソに人生をかけたMomaのキュレーター八神瑤子(やがみようこ)はそんなピカソ騒動に巻き込まれていく。

まず自分の無知さを知ったのが、ピカソが作成したゲルニカは、絵画の他に3つのタペストリーがあり、その1つがニューヨークの国際連合本部にあるのだという。本書はそんな「もう一つのゲルニカ」と、ピカソ自身がゲルニカを描く様子とそのときの世界の情勢を描いている。

本書は2001年の同時多発テロ直後の現代と、1937年のゲルニカ爆撃時のピカソとその周囲の人々を交互に描いている。1937年の場面ではパリ博覧会のための絵画を依頼されたピカソが描く絵画の題材に悩む様子からゲルニカができるまで、そしてゲルニカがアメリカに渡るまでを描いており、現代の場面では同時多発テロからアメリカのイラク侵攻を描いている。

ゲルニカがゲルニカという町で起きた惨劇の様子を描いているということは知っていたが、その惨劇がどのような状況のもとで起こったのかは本書を読むまで漠然としか知らなかった。本書によって、ヒトラー、ムッソリーニ、フランコの独裁政治という歴史とあわせてゲルニカを理解する事ができた。

また、ゲルニカという絵画が公開当初から大きな物議を引き起こし、混乱する世界状況の中で秘密裏にアメリカに渡っというのも今回始めて知った事実である。

1937年を場面としたゲルニカとピカソにまつわる物語はとても印象的だったが、現代の物語の描き方は若干安っぽい印象を受けた。必ずしも現代と絡めて物語を構成しなくてもよかったのはないだろうか。一つの有名な絵画を生み出すまでの画家の苦悩や当時の状況を描くだけでも十分魅力的な物語になるのではないかと感じた。

【楽天ブックス】「暗幕のゲルニカ」

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
ケネディの暗殺といえばもはや知らないことがいないほどの大事件。そのとき隣に座っていたケネディ夫人は僕自身にとってはそれほど有名な人物ではなかったのだが、フィリピン人の英語の先生が、「私のお手本となる人」としてダイアナ妃とケネディ夫人を挙げたので興味を抱いた。

本書はケネディが1960年に大統領に就任したときから、ケネディ夫人のシークレット・サービスつまりボディガードとして働いた男性クリント・ヒルによって書かれている。クリント・ヒルはあの暗殺の瞬間夫人を守るために後ろから車に飛び乗った男性なので覚えている人もいるのではないだろうか。そんな常に身辺にいる男性から描かれたからこそ、ジャクリーン・ケネディの素顔が見えてくる。

1960年にケネディが大統領に就任した時、ケネディ夫人はまだ31歳でアメリカの歴史上もっとも若いファーストレディだったという、この事実を聞いただけで僕自身が生まれる前のできごとであるにもかかわらず当時の熱狂が想像出来る。

さて、そんな若いファーストレディだったからには、結構稚拙なこともしたのではないかと思っていたのだが、本書を読み進めてみると、ずっと芯を持った人間だったということが伝わって来る。まずそれを感じさせたのはホワイトハウスに住み始めてからホワイトハウスのなかの公開されている部屋の改修に動いた行動力である。

ホワイトハウスはすべてのアメリカ国民のものよ。この国で一番素晴らしい家でなくては

そしてもっとも印象的だったのは、隣で夫を暗殺された直後に、地に染まったスーツを着ているケネディ夫人に着替えを促した著者に対しての言葉である。

自分が何をしたのか、犯人に見せつけましょう。

自立した女性がお手本にしたくなる理由がしっかり伝わってきた。本書の大部分はケネディ暗殺までの3年間を描いているが、その後のケネディ夫人の人生の選択についてももっと知りたいと思った。

【楽天ブックス】「ミセス・ケネディ 私だけが知る大統領夫人の素顔」

オススメ度 ★★★★☆ 4/5

子育てに関する書籍の多くが、研究結果や著者の体験談を語っているのに対して、本書は実際にいい人生を送っていると思われる子供たちにその親の育て方をアンケートして、その回答をもとに良い育て方はこうあるべきだ、と語っている。

多くの大人になった子供立ちの、自分の親の子育てに関する感想を読むと、子育ての大切さと難しさを改めて感じるが、同時に子育てのヒントとなりそうな多く考え方に出会うことができた。なかでも印象的だったのが

「人に迷惑をかけるな」より「役に立て」

である。確かに「人に迷惑をかけるな」と考えると、人に全く迷惑をかけないで生きるというのはできないので、すべての行動が消極的になってしまう。それに対して「役に立て」と考えると、迷惑をかけてもそれ以上に役に立っていれば認められるという考えが育めるのだろう。

もう一つ、頭に常においておきたいと思った考え方は

子どもは親の真似をする

である。

これは多くの親には耳の痛い話なのかもしれない。勉強しろと言いながら自分が勉強しない親や、本を読めといいながら、自分が本を読まない親など世の中にたくさんいることだろう。幸運なことに、僕自身は勉強も運動も毎日継続して行うことが好きなので、そういう姿を見せてあげたいと思った。

これまでにも子育てや教育に関する本をいくつか読んでみたが本書が一番印象的だった。子育ての中でもっとも難しそうに感じるのは、自由のなかにどれだけ的確な情報と選択肢を提供するかということ。また単純に学問や運動の能力の向上だけでなく、自ら考えそれを実行する計画力や意志の強さをどのように育むかということである。

大人になった子供たちの感想に、「もっと選択肢を見せて欲しかった」とか「もっと厳しく接して欲しかった」という含まれているという点である。大人が思っているほど子供は、優しいだけを求めているのではないということに気づく。本書で出会った考え方をしっかりと取り入れて今後も試行錯誤していきたいと思った。

「ずば抜けて活躍できる」かどうかはわからないが、本書が目指しているのは、単純に学歴などの表面的な幸せではなく、子供自身が大人になっても幸せを感じる育て方だと感じた。これから子供を育てるという人にはぜひ読んでほしいと思った一冊。

【楽天ブックス】「一流の育て方 ビジネスでも勉強でもズバ抜けて活躍できる子を育てる」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5

星野社長がどれほど教科書を重視しているかを語っている。

古い旅館を再生する際に、星野社長がどれほど、過去に書かれた教科書となる本を重視してきたかを描いている。個々の再生エピソードも含まれているが、基本的には本に書かれた内容をどのようにしっかりと実践してきたかである。

印象的だったのは、本で読んだ内容を中途半端に実践するのではなく、しっかり書かれた通りに実践することが大切、という部分である。賛否両論あるかもしれないが、確かに部分的にだけ取り入れて満足してしまうことも往々にあるだろう。

内容はそれほど印書的なものではなかったが、これまで星野社長が読んで実際に役立った多くの本を紹介している。今後の読書の幅を広げるという意味では意義のある内容である。ぜひ読みたいと思った本を挙げておく。

「イノベーターの条件」 ピーター・F・ドラッガー
「エクセレント・カンパニー」
「柔らかい心で生きる」矢代静一
「1分間エンパワーメント」
「1分間顧客サービス」
「サービス・リーダーシプトは何か」ベッツィ・サンダース
「顧客ロイヤルティの時代」内田和成、嶋口充輝
「経験価値マーケティング」バーンド・H・シュミット
「ブランディング22の法則」アル・ライズ、ローラ・ライズ
「ニューポジショニングの法則」
「ブランド・エクイティ戦略」デービッド・A・アーカー
「ONE to ONEマーケティング」
「競争の戦略」マイケル・E・ポーター
「The Myth of Excellence」Fred Crawford, Ryan Mathews
「ストラテジック・マインド」大前研一
「戦略サファリ」ヘンリー・ミンツバーグ

【楽天ブックス】「星野リゾートの教科書 サービスと利益両立の法則」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
スイングトレードで年利400%を稼ぐ著者が、その手法を語る。

ここ数年の目標は、給料以外の収入を少しずつ増やしていくことである。そのうちの一つが株式投資を含む資産運用で、その手法の一つとして本書を手に取った。

序盤はスイングトレードを、デイトレード等と比較してどのようなメリットがあるのかを説明し、同様にテクニカル分析とファンダメンタル分析を比較してそれぞれのメリットデメリットを語っている。もちろんタイトルが示すように本書はテクニカル分析のスイングトレードを推しており、序盤は、すでにスイングトレードをメインに行っている人にとってはそれほど新しい情報はないかもしれない。

むしろ著者の手法について触れている中盤にいくつか自分の取引にも取り入れたいと思える内容があった。それは本書の中で「Uターン注文」として書かれている注文方である。すでに10年以上前に書かれた書籍なので、おそらく「Uターン注文」と同様の機能は現在多くの証券会社で取り入れているのではないだろうか。

この一冊でスイングトレードがうまくいくとは思わないが、スイングトレードを勉強している人が読む本の中の一冊として含めておいても損にはならないだろう。

【楽天ブックス】「サラリ-マンでも勝てる!年利400%「スイングトレ-ド」術」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
湖の底で身元不明の女性が見つかった。Tracyは事件の捜査に向かう。

通常の事件解決の物語に見えたが、一人の引っ込み思案な読書女性の物語が並行して進む。その女性はやがて男性と出会い結婚して幸せな生活を築き始める。この女性がどのように事件と関係するのか、そして湖の底で見つかった女性がこの女性なのかを考えながら読み進めることになるだろう。

物語は事件解決だけの様子でなく、Tracyと恋人のDanの様子も描いている。どちらも40歳を過ぎており一度結婚を経験しているカップルということで、今後の展開は事件解決と同じぐらい気になる部分である。

残念ながら第1作目の「My Sister's Grave」や第3作目の「The Clearing」ほど印象的な展開ではなかった。シリーズ全体として楽しむためには本書も読まなければならないが、もしTracyシリーズを読んだのが本書が初めてなのであれば上に挙げた2作品を読んだ上で判断してほしい。

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
もう10年以上も前に映画になった作品で、一度読んでみたいと思いながらようやく今回手に取った。

映画になった印象から、長くしっかりとした物語という印象を持っていたが、実際には本書は表題作である「鉄道員」を含む8つの短編からなる短編集である。

いずれも、少し不思議な奇跡を描いているように感じる。残念ながらそれほど強く印象に残ったわけではないが、どの物語も30代、40代もしくはそれ以上の人生のもっとも華やかなときを過ぎた人物を中心に描いており、それぞれの物語のなかでそれぞれの境遇で生きるその人物の心のうちを読み進める中で、読者の心になにか残すものがあるのではないだろうか。

誰しも人生思った通りには進まないけれど、心の持ちようによっては幸せと思える部分もあり、楽しむことができるのだと、感じられるのではないだろうか。そういう意味では、10代20代ではなく、もっと年上の人に向けられた本のように感じた。

【楽天ブックス】「鉄道員」

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
歴史を変えた瞬間の写真をその背景の説明とあわせて紹介している。「歴史を変えた100日」というからには著者が思う、写真が発明されてからの歴史の変わった瞬間ベスト100といってもいいようなものなのだが、僕の知らなかった出来事が多く含まれていたことが驚きだった。

初期の写真は、出来事をそのまま撮ったのではなく、人々に意図した印象を与えるために、遺体を並べ直したりするなど当然のようにされていたというのが印象に残った。今それをやれば教団されそうだが、考えてみればそれほど不思議ではないことなのかもしれない。

本書で取り上げられていた事件、例えば「インディアン大虐殺」や「キューバ危機」、「アルメニアの大虐殺」などは、機会があればもっと知識を深めていきたいと思った。また「真珠湾攻撃」は日本人として生きていると気付かないが、世界から見ても大きな出来事だったということは今回初めて知ることができた。確かに、日本の真珠湾攻撃が、アメリカがどちらの側につくかを決定付けたと考えれば大きな歴史の転換点だと言えるのだろう。

過去の出来事に対して新たな視点をもたらしてくるとともに、探究心を掻き立ててくれる一冊。

ウンデット・ニーの虐殺
1890年12月29日、サウスダコタ州ウーンデッド・ニーで、ミネコンジュー他のスー族インディアンのバンドに対して、米軍の第7騎兵隊が行った民族浄化。(Wikipedia「ウンデット・ニーの虐殺」

【楽天ブックス】「世界を変えた100日 写真がとらえた歴史の瞬間」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
4人の銀行強盗を描いた物語。

物語の中心となる4人の銀行強盗は、演説が得意な響野(きょうの)、体内に正確な時計を持つ雪子(ゆきこ)、スリの久遠(くおん)、人の嘘を見破るのが得意な成瀬(なるせ)と個性的なメンバーで構成されている。いつものように銀行の襲撃を終えたところで別の窃盗団と鉢合わせたところから物語は動き出す。

大人がただ単に走り回るだけでなく、雪子(ゆきこ)の息子である慎一(しんいち)の友人との問題などが盛り込まれている点が面白い。それ以外の大部分は予想通り展開されてとくに驚く部分はなかった。

他の伊坂幸太郎作品に比べると読みやすく、理解のできない話や登場人物もいないため、力を抜いて読むことができた。ただ、複数の個性的で特技を持った人物がチームを組んで大きなことをする、というのはよく使われる手法なので特に新しさは感じず、正直この作品がなぜそこまで有名かは理解できなかった。この辺りは僕には理解できない良さがあるのかもしれない。

【楽天ブックス】「陽気なギャングが地球を回す」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
デザインの名著。世の中のデザインのあるべき姿について認知科学者である著者が語る。

初版の発行は1988年ということですでに30年近く前の本である。それでもデザインの名著としてなんども改変を繰り返し今でもしばしば触れられる書籍なので、デザインに関わる仕事をしている僕としてはいつか読まなければならない本として常に頭の中に存在していおり、今回ようやくその重い腰をあげるに至った。

さて、本書が伝えようとしていることは端的に言うと、「人が道具の使い方を間違ったり、わからなかったりするとき、その人を責めるのではなく、その道具のデザインが適切であるかを考えてみるべきである。」ということだろう。周囲の人を見ればそんな状況に気がつくことはたくさんなるだろう。例えば僕の母はまさに道具を使いこなすのが苦手な人であるが、母1人とっても、ビデオの録画の仕方、コンビニのおにぎりの海苔の巻き方、インターネットのつなぎ方、などデザインの課題がたくさん思い浮かぶ。

本書が出てすでに30年も経過しているにもかかわらず、世の中には今でもたくさんの人が、道具を使いこなせない時に、それを自らの落ち度とみなす人が多いのが残念である。もしそのように、道具を使いこなせない時、自分を責めて終わるのではなく、デザインの改善策を考える文化が根付いていたら、世の中はもっとよくなるのに、と思うのだ。

それでも、著者が30年前に考えたことのいくつかが、現在、スマートフォンなどの形で実現していることが嬉しい。世界は悲しいほどゆっくりだが、それでも確実に進歩しているのである。

【楽天ブックス】「誰のためのデザイン?認知科学者のためのデザイン原論」

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
大人になると、習慣を変えたりすることは難しくなる。しかし人生は、ほんのわずかな出来事に対してどう振る舞うかで大きく変わったりするもの。同僚との接しかたや、家族との接しかたなど少し改善するだけで人生は大きく変わるのだ。そんな大人のための変わるための方法を語っている。

僕自身は比較的いろんなことを学べる方だと思っているのだが、そのモチベーションの出所がわからず、また、普段から教育について非常に関心があることもあり、本書の内容が教育の分野に活かせるのではないかと思って手に取った。

著者はコーチングの第一人者で、世界的大企業の経営者たちの習慣を変えるための手伝いをすることを仕事としている。冒頭でまず、大人が変われない理由としてよくあるものをいくつか挙げている。どれも怠け癖の付いている人にとっては耳の痛いものだろう。そんななかでもこれが実はもっとも多くもっとも気をつけなければならない気がした。

変わりたいと口では言っても、本心変わろうとしない人がいる。

また、僕の周囲にはこんな状態に陥っている人もよく見かける。

失敗したり、負けたりして落ち込んだとき、わたしたしは「少なくとも・・・よりはマシだ」と自分に言い聞かせる。世界で最低というわけじゃない、と自分を慰める。それはモチベーションと自制心のハードルを下げて、気分を楽人するための言い訳だ。

中盤以降は事例を交えて成功例とその方法を説明してくれてはいる。結局何かを変えようと思った時に一番有効だと思った方法は、著者自身も取り入れているもので、毎日自分自身に質問をするというもの。例えば著者が毎日している質問は次のようなものだ。

今日はどのくらい有意義な日だったか?
今日の体重は?
リダ(著者の妻)に、何か優しいことを言うか、するか、したか?
幸せになろうと最大限努力したか?
人生の意義を見つけようと最大限努力したか?
健康的な食事をしようと最大限努力したか?
よき夫になろうと最大限努力したか?

変わりたいと思った時に意識することは簡単だが、毎日自分の行動を見直して問いかけるということは非常に難しい。常にチェックシートを持っているような感覚で、日常的に目にする場所に置いておくことで少しずつ改善し、やがてはそれが自然の行動として身につくのだろう。

大人になって成長を止めてしまった多くの人に読んだほしいと思った。

【楽天ブックス】「トリガー自分を変えるコーチングの極意」

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
2016年、このミステリーがすごい!1位。

新聞社を辞めたばかりの大刀洗万智(たちあらいまち)はフリーランスとしての次の仕事のためにネパールのカトマンズに滞在することとなった。そんなタイミングでネパール王宮では王族殺害事件が発生する。これをチャンスと捉え万智(まち)は慣れない土地で取材を始める。

ネパールを舞台とした小説があまりないだけに本書での描写はどれも新鮮である。ネパール滞在中に万智(まち)を助けてくれた現地の少年サガルは、英語をわざと下手に喋る。このようなお金を稼ぐためのしたたかさはネパールに限らず、日本人観光客に群がる多くの先進国の子供達にあてはまることなのだろう。現地に滞在したからといって必ずしも気づけないようなことをしっかりと描写していることに感心する。

そして万智(まち)の滞在中に起こった王族殺人事件は、実際に起こった事件ということ。恥ずかしながらこれほど大きな事件を知らなかった。

その中で自らのフリーの記者としての足がかりにするため、万智は取材をするのだが、一人の軍人との会話を機に、報道の意味について考えるようになる。

なんのために伝えようとしているのか教えてくれ。... ネパールは不安定な国だ。これが他国で起きたことなら私も楽しんだかもしれない。...

少年サガルだけでなく万智(まち)の滞在するホテルに滞在している日本人八津田(やつだ)など、それぞれの登場人物がそれぞれの立場から、深い考えを見せてくれる点が面白い。

我々は完成を求めている。詩であれ絵であれ、教えであれ、人類の叡智を結集させた完成品を作り上げるために、それぞれが工夫し続け、知恵を絞り続けているのではないかと思うのです。

物語の流れだけを見れば、それほど新鮮な者ではないが、その過程で登場人物たちが魅せる考え方は、どれも新鮮で感じいる部分があり、その点こそ本書の評価される理由なのだと思った。久しぶりに深みを感じさせてくれる物語。

ネパール王族殺害事件
2001年6月1日にネパールの首都カトマンズ、ナラヤンヒティ王宮で発生した事件。(Wikipedia「ネパール王族殺害事件」

【楽天ブックス】「王とサーカス」

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
経済にあまり詳しいわけではないが、やはり株価の動きや為替の動きを毎日眺めるうちに、もう少し深く知りたいと思い本書を手に取った。

リーマンショック、バブルの崩壊、プラザ合意、変動相場制、住専ん問題、山一証券など、それぞれの出来事やそれぞれの言葉の意味はなんとなく理解しているつもりでいたが、本書は、それらを大きな流れの中で説明しているため、経済に疎い僕にとっても面白く飽きずに読むことができた。

例えば、アメリカの双子の赤字(貿易赤字、財政赤字が並存すること)を発端とし、プラザ合意、ルーブル合意からドイツ、日本ともに内需を拡大することを求められ、その圧力ゆえに金融引き締め政策が遅れバブルへと突き進んでいく、という流れや、アメリカのITバブルの崩壊後の金融緩和がサブプライムローン問題、リーマンショックへと進んで行く流れである。

実際に著者が言いたかったのはタイトルにもあるように、どれほど世界がアメリカの経済に振り回されているか、ということなのだろうが、自分にとっては今まで点としてしか理解できていなかった経済の大きな出来事が線として繋がって見えてきた点の方が印象的だった。

なかなかすべて理解できたとは言えないが、非常に読みやすく経済に詳しくない人でも興味を持って読み進めることができるのではないだろうか。同じ著者の書いた経済の本をもっと読んでみたいと思った。

【楽天ブックス】「傍若無人なアメリカ経済 アメリカの中央銀行・FRBの正体」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
KickstarterやCampfireなど、クラウドファンディングという言葉が世に広まってすでに5年ほど経つが、僕自身クラウドファンディングによって資金を調達したことも、投資したこともない。何か大きなことをやろうと思って資金が足りないとなったときに、クラウドファンディングというものをどのように利用できるのか知りたくて今回本書にたどり着いた。

序盤は、クラウドファンディングというものがオンラインを通じてできるようになり、その資金調達の額が次第に大きくなっていく様子を、いくつかの事例を交えて説明している。すでにクラウドファンディングという手段が特殊なものではないということがわかるだろう。

面白かったのは中盤で描かれている、参加者の心理である。「なぜクラウドファンディングで資金調達に協力するのか?」。きっと世の中にはその心理がまったく理解できない人もいるのではないだろうか。もちろんクラウドファンディングには資金調達が成功した暁には「リワード」として、完成した製品や記念品などを資金提供者に送るというのは一般的なので、そのリワードを求めて資金を提供してくれる人も多いが、もう一つの要素を忘れてしまうと、そのクラウドファンディングは失敗に終わることが多いという。それは「仲間になりたい」という心理である。したがって、クラウドファンディングによって資金を調達する側は、常にプロジェクトの進行具合を報告し、参加者とのコミュニケーションを重視する必要がるのだ。

だからこそ、本書の最後を締めくくっているこの言葉が響いた。

「資金提供者に対し永久的な負債を抱える覚悟があるか」。このことは、クラウドファンディングにおいて決して忘れてはいけない問いかけなのです。

ただでお金が手にはいる、というのは非常に便利に聞こえるが、そのために費やさなければいけない誠意、態度などは、中途半端な覚悟でできることではないのだろう。

【楽天ブックス】「入門クラウドファンディング スタートアップ、新規プロジェクト実現のための資金調達方法」」

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
日本デザインセンター代表の著者がデザインについて語る。

個人的には第2章の「リ・デザイン」が面白かった。著者は、2000年に身近なもののデザインを考え直す「リデザイン」というプロジェクトを主催し、日本のクリエイターに日常にあるものの再デザインを依頼したのだという。そのデザインの結果として上がってきたものが紹介されているが、もっとも印象に残ったのは、丸ではなく四角くしたトイレットペーパーの芯である。四角いことでトイレットペーペーを使う際に引っかかりができて使う量が少なくなるというエコ効果があるうえに、トイレットペーパーが巻かれても四角さは維持されるから収納しやすいという意図である。このような日常品のリデザインがほかにも幾つか紹介されている。

後半には著者が関わったいくつかのプロジェクトが紹介されている。田中一光から引き継いだ無印良品のプロジェクトはそのコンセプトの成り立ちから現在の問題点までとても興味深い。コンセプトがしっかりしているからこそ西友のコーポレートブランドが世界的なブランドにまで成長したのだろう。

2003年という今から15年も前に書かれた本にもかかわらず、世の中のデザインという舞台に現在起こっていることを語っていることに驚いた。著者は当時からすでにデザインの本質に目を向けていたか、将来のデザインの流れが見えていたのだと感じた。

ジョン・ラスキン
19世紀イギリス・ヴィクトリア時代を代表する評論家・美術評論家である。(Wikipedia「ジョン・ラスキン」)

ダダイズム
1910年代半ばに起こった芸術思想・芸術運動のことである。ダダイズム、あるいは単にダダとも呼ばれる。第一次世界大戦に対する抵抗やそれによってもたらされた虚無を根底に持っており、既成の秩序や常識に対する、否定、攻撃、破壊といった思想を大きな特徴とする。(Wikipedia「ダダイズム」)

ウィーン分離派
1897年にウィーンで画家グスタフ・クリムトを中心に結成された芸術家のグループ。セセッション、ゼツェッシオンともいう。(Wikipedia「ウィーン分離派)

未来派
過去の芸術の徹底破壊と、機械化によって実現された近代社会の速さを称えるもので、20世紀初頭にイタリアを中心として起こった前衛芸術運動。この運動は文学、美術、建築、音楽と広範な分野で展開されたが、1920年代からは、イタリア・ファシズムに受け入れられ[1]、戦争を「世の中を衛生的にする唯一の方法」として賛美した。(Wikipedia「未来派」)

【楽天ブックス】「デザインのデザイン」」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
世の中はほんの少しの変更で劇的に変わる。本書はそんな世の中の人々の傾向について語る。このような知識を持って入れば、わずかな変更で世の中を求める方向に導くことができるかもしれない。

保険、住宅ローン、学費ローンなど、しっかり考えれば自らの選択がベストではないことは明らかなのに、複雑かつ多すぎる選択肢のせいで多くの人々は深く考えもせずに選択しており、それによって人々は本来受けるべき幸せを手にすることができていない。なぜなら僕らは忙しいし、考えたり分析をするために大量の時間を費したくなどないからだ。

そんな過剰な選択をせまられてベストな選択をできない人々に、適切な選択をさせるために知っておかなければならない人間の傾向は次のようなものだ。

Anchoring
僕らは知っている情報を元に別の情報を判断しようとする。
Availability
何かが起きる可能性を、どれだけ身近にその事例があるかで判断する傾向がある。例えば近いうちに大きな地震が起きる可能性を考えた時、大きな地震を経験したことがある人とない人ではその想定する可能性に違いがある。
Representatives
AがBに所属するかを判断する際に、AがどれだけBのイメージに近いかで判断する傾向がある。
Optimism and Overconfidence
人々は自分のことを平均以上だとみなす傾向がある。
Gain and losses
同じ物でも、得ることきより失うときのほうがその損失を高く見積もる傾向がある。
Status Quo Bias
人は現在の状況に固執する傾向がある。
Framing
人はどのように表現をするかに影響を受ける。例えば人は「この手術で10人に9人が生き延びる。」の方が「10人に1人が死ぬ」よりも手術を前向きに捉える傾向がある。

後半は上の傾向をどのように実際に生かすかを年配者の薬、臓器提供をどのように増やすかなどについて書いている。それぞれのNudgeを用いた例が細かすぎてあまり読みやすいとは言えない。もっと例を増やしながらも重要なポイントだけ整理したほうがわかりやすく読みやすく仕上がったのではないだろうか。

オススメ度 ★★☆☆☆ 2/5
イタリアでデザインをしていた著者が、グローバルな視点からこれからのデザインを語る。

前半では、「デザイン」という言葉について触れている。日本に限らず世界では「デザイン」という言葉は視覚的な「スタイリング」を指して使われることが多く、一握りの最先端の企業だけが、プロセスや戦略に「デザイン」という言葉を用いているのだという。本書はそんな「デザイン」の捉え方の違いを「大きなデザイン」「小さなデザイン」と呼んでいる。そして、これからの時代の変化に対応するために「プロセス」や「戦略」にまでデザインの考え方を適用するためにすべきことを事例を交えて語っている。

基本的に自分が今世の中に憂いている点と重なる部分が多かった。本書を読んで思ったのは、今、世の中には多くのデザイナーが存在し、その多くはスタイリングだけを考える「小さなデザイナー」であり、自分自身が「大きなデザイナー」であることを示すためには「デザイナー」という肩書きはあまり適切でないのではないかということ。本書では「クリエイティブディレクター」という言葉を例に挙げているが、肩書き自体を考え直すきっかけになった。

正直読み易い書き方がされているとは言いがたく、言いたいことも漠然としか伝わってこなかった。とはいえ、いくつかのことを考え直すきっかけにはなったがあまり人に勧められる本ではない。

【楽天ブックス】「デザインの次に来るもの」」

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
島原の乱ののち徳川家光はキリスト教聖職者を国外に追放することとした。そんな逆風のなかポルトガル人のセバスチャン・ロドリゴは日本に向かうことになる。

友人から勧められて本書を手に取った。本書はキリストの布教を目指すポルトガル人セバスチャン・ロドリゴが拘束され、改心を迫られる様子を描いている。

「踏絵」というとどんな歴史の教科書にも登場するシーンであるが、実際にそれを体験したキリスト教徒の心のうちを想像するのは簡単なことではない。本書は物語としては迫害に苦しむキリスト聖職者と短くまとめることができるが、踏絵を前にしたキリスト聖職者の心の葛藤をこれ以上深く伝えるものはないのではないだろうか。

終盤に向かうにしたがってタイトルの示す「沈黙」の意味がわかってくる。最初はタイトルなど気にせずに読み進めていたのだが、そのタイトルの深さも本書のもっとも印象的な部分の一つだ。「踏絵」とかもっとわかりやすいタイトルにもできたはずなのに。

ロドリゴは迫害される信者を見つめながらなんども祈るのである。

あなたはなぜ黙っているのです。この時でさえ黙っているのですか。

そして回答がないことを知るたびにロドリゴの心は大きく揺れるのである。

形だけ踏めばよいことだ

正しい行いがはっきりしている時は悩むことなどないだろう。何が正しいかわからないときほどつらいときはない。そんなことを改めて思い出させてくれる作品。遠藤周作はこれまでなんども人から勧められながらもなかなか読む機会がなかったが、予想以上に印象的な作品を描くことに驚いた。まずは代表作から読み潰していきたい。

【楽天ブックス】「沈黙」

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
1900年北京では義和団と呼ばれた武装集団が勢力を高めつつあった。やがて日本など11カ国の外国公使館の並ぶ区域は暴徒化した義和団の脅威にさらされることとなる。

「義和団事件」として、歴史の教科書のなかで名前ぐらいは聞き覚えがあるかもしれない。それがこれほどまですさまじい事件だったとは現代に生きるどれほどの人が知っているのだろうか。本書はそんな歴史的事件を扱った非常に事実に近いフィクションである。

北京の地で孤立した外国公使館地区にいるのは必ずしも政府関係者ばかりではない。その家族や先生たちもそこにいるのである。そんななか少しずつ「義和団」と呼ばれる人々が目につくようになり、気がついたら国外に逃げることさえできな位状態になっており、自分たちの命を守るために籠城をはじめるのである。

しかし、イタリア、ロシア、フランスなど11カ国の公使館関係者が公使館区域を守るなかで、各国の縄張り争いや文化の違いによりうまく集団として籠城が機能しないのである。本書は、そんな状況のなか、強烈なリーダーシップを発揮した実在した日本人柴五郎(しばごろう)の様子を日本軍伍長の櫻井隆一(さくらいりゅういち)の視点で描いている。柴五郎(しばごろう)だけでなく、細かい気配りや勇気や勤勉さで籠城をリードする存在となっていく当時の日本人たちの様子が伝わって来る。

自国の人々を美化したくなるのはどこの国も同じなのであまり鵜呑みにしすぎるのも避けたいが、今まで知らなかった歴史の一面を知れたことは確かである。特に柴五郎(しばごろう)という人物については本書を読んで初めて知った。厳しい状況で正しいことを信念を持って遂行する姿に心を打たれるだろう。

【楽天ブックス】「黄砂の籠城(上)」「黄砂の籠城(下)」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
確かにデザインの仕事をしていると僕自身は練習すればできると思うものに対して「やっぱりセンスが違うね」という言葉を投げかけられることがよくある。デザインも色もすべて繰り返すことによって身につくもので、デザインの道で働く僕自身も未だ試行錯誤の毎日である。本書のタイトルにもある「センスは知識からはじまる」は、僕自身の考えとも近く興味をひいた。

著者は本書の中で、「普通を知ること」の重要性を説いている。普通がわかっているから、どれほど尖ったアイデアなら受け入れられるかわかるし、複数の「普通」を組み合わせて、一般の人が受け入れられる程度の「新しさ」を生み出すことができるのである。もし「普通」を知らないで斬新なものばかりをつくっても、それを受け入れてくれる人がいなければ結局役に立たないということである。

また、もう一つ面白いと思ったのは「技術からセンスへの揺り戻し」という考え方である。歴史のなかで技術の進化のあとには、もう一度芸術的視点を取り戻そうという動きが起きるのだという。羅針盤や印刷技術の発明の後にルネサンスが起き、産業革命の後にアーツアンドクラフツ運動が起こったように。そして今、インターネットによる情報革新がひと段落してまた芸術的ん視点に向かうのだという。

自分自身の考えを再確認させてくれる内容だった。著者がセンスを磨く方法として、普段読まない雑誌を読む、というのを進めているが、なんらかの形で取り入れたいと思った。

【楽天ブックス】「センスは知識からはじまる」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
俳優の西村雅彦が自らが主催する演技のワークショップで参加者を指導する中で学んだ発声方法について語っている。

本書のなかでは特に西村雅彦の俳優としての人生を描いているわけでもなく、俳優になるための方法を語っているわけでもなく、大部分がセリフの発声方法である、なので「俳優入門」というのはかなり誇張が入っている気がする。

それほど分厚い本ではないため内容もそれほど濃いわけではないが、西村雅彦が言葉を非常に大切にしている人間であることはしっかり伝わってくるだろう。「語尾を伸ばさない」「語尾をあげない」「言葉のアタマを強く言う」など、どれも当たり前と思えることばかりではあるが、もう一度自分自身の発声方法を見直したくなる。

【楽天ブックス】「西村雅彦の俳優入門」」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
大手デパートの勤務中に亡くなった椿山和昭(つばきやまかずあき)は、あの世の入り口で交渉の末、現世に戻って心残りを解決することにした。

本書はデパート勤務の椿山和昭(つばきやまかずあき)と、人違いで殺されてしまったヤクザの武田勇(たけだいさむ)、若くして交通事故で亡くなった7歳の少年根岸雄太(ねぎしゆうた)の3人が現世に戻ってやり残したことをやり遂げる様子を描いている。

それぞれ異なる姿で現世に戻ることになるのでその新しい姿に戸惑う様子が面白い。椿山和昭(つばきやまかずあき)は30代後半のキャアウーマンに、ヤクザの武田勇(たけだいさむ)は弁護士に、少年根岸雄太(ねぎしゆうた)は少女となって現世に戻るのである。

そのあとの物語の流れは予想通りで、それぞれいくつかの障害を乗り越えながら解決していくのである。

自らの正体を隠したまま現世に戻る、という物語はおそらくそれほど目新しいものではなく、残念ながら本書を読むことで何か新しいことを学べるようなことはないが、コメディタッチで気軽に楽しむことはできるだろう。

【楽天ブックス】「椿山課長の七日間」」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
日本らしいこれからのデザインについて著者が見解を語っている。

「繊細」「丁寧」「緻密」「簡潔」という日本独自の価値観と、ミニマリズムという世の中の流れを重ね合わせて考えている点が興味深い。

そして、持論を語るだけでなく、多くのデザイン事例を引き合いにだしており、どれもすぐれたデザイナーのものの見方を知ることができるだろう。デザイナーとして長く生きた著者だからこそ、かっこいいデザインではなく、世の中をよくするデザインに目を向けている点が、自分の考えと重なる部分があり興味深く読むことができた。

印象的だったのは、いいデザインは万国共通ではなく、その場所や文化を生かしたものであるという点である。言って見ればあたりまえなのかもしれないが、日本にいながらアメリカやヨーロッパのデザインを何も考えずに真似してしまうのは、ついやってしまうことである。

【楽天ブックス】「日本のデザイン 美意識がつくる未来」」

オススメ度 ★★☆☆☆ 3/5
短い19の短編を集めた作品。

どれも日常のなかにふと起こりそうな出来事を扱っている点が面白いかもしれない。また、もう一つ特長的なのはどの短編も最後の1行で読者に衝撃を与えるように意図されているという点。

正直、物語としての深さはあまり感じられず、どちらかというと小説を書き始めたばかりの人が趣味として書いたような内容ばかりな印象を受けた。展開としても「実はこのひとがあの人だった」というような同じパターンの話もあり、短編だけど深みが感じられるというようなものでもなかった。

「永遠の0」や「海賊と呼ばれた男」などのような深さを求めて本書を取るなら後悔するだろう。

【楽天ブックス】「幸福な生活」」

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
長く続けられる新しい趣味をと思って合気道を始めることにした。本書は入会の際にいただいたものである。

「氣」とは、本当に存在するものなのだろうか。漫画などではよく出てくる言葉ではありながらも、それを実感することなく今まで生きてきた。ということは「氣」とは誰かの作り出した幻想なのか。それにしても誰かの作り出した幻想であれば、今も昔も「氣」という言葉で語られているのは出来過ぎな氣がする。そんな「氣」についてまさに本書は語ってくれる。

前半は、そんな「氣」についての説明と、「氣」をうまく使うことで成功した人や、「氣」にまつわるエピソードを紹介している。王貞治や、西武ライオンズの黄金時代も登場するから面白い。

そして、後半は著者自身が、病気がちな幼少期から強い人間へと変わっていく様子を語っている。ただ単に一人の物語とみても、戦時中に生きた著者のさまざまなエピソードは面白い。

残念ながら、本書を読んでも結局「氣」の使い方はわからないだろうが、「氣」というのもの存在を信じ、それをうまく使うことが人生にどれほど役立つかは伝わってくるだろう。

毎日の歩き方や姿勢や気持ちの持ち方を変えてくれる一冊。

【楽天ブックス】「氣の威力」」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
第150回芥川賞受賞作品。

結婚して仕事をやめた「私」は、姑の隣の家に住むことになった。「私」の新しい生活を描く。

ほのぼのとした作品。タイトルの穴とは、「私」の引っ越した先である動物が掘る穴のことであるが、そこにどんな意味があるのかは最後までわからなかった。田舎町ののんびりとした生活が描かれている。都会の喧騒のなかで生きている人にとっては懐かしい雰囲気かもしれない。

「穴」を含めた三作品が含まれており、後半の2編にはいたちが出てきたので、ひょっとしたら最初の物語の穴を掘った動物の正体はいたちなのかもしれない。

純文学というものにもっと触れようとして本作品を選んだのだが、やはりなかなかよくわからない。

【楽天ブックス】「穴」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
「キャリア磨きの達人」である秋山ゆかり氏が自身のキャリアについて語る。

正直、もっと順風満帆ななかでキャリアを築いてきたキャリアウーマンを思い描いていたが、新入社員の時はどちらかというと受身な働き方で、また途中かなり太っていた時期もあったようで、本書を読むと、見た目はどこにでもいそうな女性社員のであることがわかる。そういう意味では、決して能力的にまねできない人の話ではない点は希望が持てるかもしれない。

著者がそのキャリア形成のなかで学んだことなどを書いているので、新たに気づく部分もあれば、すでに取り入れている部分もあるだろう。ただ、読み終わってからタイトルを見直して、結局タイトルの「五つの力」とはなんだったのだろうというぐらい、書籍としてはまとまりのない本になってしまっているように思う。

また、著者の経歴だけ見ると誰もが認める「すごい人」なのだろうが、僕自身本書を読んで改めて考えてしまったのが、人は本当にここまで「社会で生き残ること」「年収を上げること」を望んでいるのだろうか、ということ。

また、著者自身「私は常に事業開発からブレていない」といっているが、世の中から求める人物を目指すあまり、自分自身が世の中をどうしたいか、自分自身がどうなりたいか、という視点があまり明確じゃないような印象も受けた。

一つの生き方を考えるきっかけにはなるかもしれない。

【楽天ブックス】「考えながら走る グローバル・キャリアを磨く「五つの力」」

オススメ度 ★★☆☆☆ 3/5

2011年芥川賞受賞作品。

同じ別荘で過ごした小学校三年生の貴子(きこ)と高校三年生の永遠子(とわこ)が25年後に同じ別荘で再会する。

今まで、芥川賞受賞作品や純文学と呼ばれる世界があまり理解できずにいた。それでもこれだけ本を読みながら広く評価される分野の本を理解できないのはもったいないと、今年漫画大賞を受賞した「響」という小説家を扱った漫画を読んで思い、本書を手にとった。

物語が何かを教えてくれるのだろうと期待して読むというよりも、文体や空気を感じ取ろうとして読むと違った理解ができるかもしれない。本書は、貴子(たかこ)と永遠子(とわこ)という成人した女性同士の再会を描いているが、そんななかで25年前の出来事の回想シーンも多く含まれており、そんななかにいくつか不思議で印象に残る表現があった。

ひとしく流れつづけているはずの時間が、この家には流れそびれていたのか...


貴子(きこ)と永遠子(とわこ)の2人の長い髪が描写される場面も多く、「髪」というタイトルにもできそうだと思った。どこか優しさを感じさせる物語。

【楽天ブックス】「きことわ」

オススメ度 ★★★☆☆ 4/5
ゴッホもピカソもどちらも現在では有名な画家でありながら、ゴッホが評価され絵が売れ始めたのは亡くなった後のこと。それに対してピカソはお金の作り方を心得ていた故にお金持ちだったという。そんな話から本書はお金だけでなく「価値の作り方」を語る。

本書によれば、これまで僕らは政府の発行する「お金」ばかりに価値を置いて生きてきたが、その形は崩れ始めているという。大企業の持つ仮想通貨の方が国の信用によって成り立つお金よりも安定していて価値がある場合もあるし、また信用のある個人の発言がお金以上の価値がある場合もあるというのだ。

ここで「価値」という言葉を使うと全体の意味がわかりにくくなるかもしれない。結局「お金」もどれほど社会や世の中に影響を与えるかを表したものである。例えば多くの読者を持つブログの著者は、その発言によって世の中に大きな影響を与えることがわかるだろう。さらに、お金がなくても信用力、発言力のある人が困っていれば、寄付などは簡単に集まるというのである。

つまり、本書では現代において、政府のお金を蓄えること、企業のお金を蓄えること、自分の価値を高めること、の3つの軸で自らの生活を考えることが必要だと語っているのである。本書は「お金」を貯めるよりも「信用」を貯めることの方がはるかに重要だというのだ。

それでは信用を貯めるにはどんな方法が有効なのだろう。本書ではこんな表現を用いている。

信用度=(専門性 + 確実度 + 親密度)/ 利己心

「専門性」は、ミッションや才能を価値に変換する能力
「確実度」は、約束を守るということ
「親密度」は、相手との精神的な距離の近さ
「利己心」は、自分の利益を重視すること

生き方に軌道修正をしなければならない気にさせてくれる一冊。
かなり納得する部分があり本書を読み終わって、いくつかのTwitterアカウントの解説と、LinkedInのプロフィールを見直した。忘れないようにこの考え方を繰り替えし見直したいと思った。

【楽天ブックス】「なぜゴッホは貧乏で、ピカソは金持ちだったのか?」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
37歳のワタナベが1969年の19歳のときに起こった出来事を思い出す。

言わずと知れた有名作品。周囲のハルキストから村上春樹作品について熱い話を聞かされるたびに挑戦して、相変わらずその世界観の魅力を理解せずに終わるということを繰り返しているが、今回もそんな挑戦の1つである。

本書はワタナベがノルウェイの森という曲によって、過去を思い出す、という形式で描かれている。19歳だった当時のワタナベの日常には、自殺した友人のキズキ、その恋人の直子、直子と一緒に療養所で過ごしてるピアノ教師のレイコ、ワタナベと同じ寮の部屋で過ごす長沢など、どこか奇妙な人々が関わっていた。それぞれがそれぞれの不思議な視点から物事を語る言葉がワタナベ自身の生き方に影響を与えたのだろう。そんな言葉の数々は、読者自身にもなんらかの影響を与えるのではないだろうか。

個人的に印象的だったのは、ワタナベが同じ部屋の友人長沢について、その彼女に別れを勧めながら語るシーン。

もちろん僕だって僕なりにあの人のこと好きだし、面白い人だし、立派なところも沢山あると思いますよ。僕なんかの及びもつかないような能力と強さを持ってるし。でもね、あの人の物の考え方とか生き方はまともじゃないです。

なんか自分のことを言われているような気がした。きっと誰もが、心のなかに、決して他の人には理解してもらえないと思える一面を持っており、それゆえに表に出さずに心のなかに封印したまま生きているのではないか、と思った。そんな封印を解いて生きる長沢と、それを言葉で語ってしまったワタナベに少しどきっしたのである。

相変わらず春樹ワールドを楽しめたとは言えない気がするが、これまで読んだ春樹作品の中では一番楽しめた気がする。

【楽天ブックス】「ノルウェイの森(上)」「ノルウェイの森(下)」

「In The Clearing」Robert Dugoni
オススメ度 ★★★★☆ 4/5
友人であり警察官でもあるJennyが、同じく警察官であるJennyの父が保管していた未解決事件をTracyに依頼する。それは40年前に自殺した女子高生の事件である。Jennyの父が集めたたくさんの証拠と当時の写真を、現在の技術によって分析することで、Tracyは真実に近づいていくのである。

第1作がTracyの妹の死を扱ったということで、第二作目以降への期待度はあまり高くなかったのだが、本作品は非常に面白かった。やはりその要因は40年前に起こった事件が、残された証拠写真や証拠物質から真実に近づいていくという聞きなれない手法によるものなのだろう。

物語の中心となるのは、40年前に陸上の成績で将来を期待された高校生の女性Kimi Kanasketに起こった真実を解明することである。ただ単に事件の解決だけでなく、事件から40年後の今もなお彼女が自殺などするはずがないと信じて苦しみ続ける父と兄の姿が痛ましく、また自らも妹の死の謎に20年以上にわたって苦しめられたからこそそんな遺族を救おうとするTracyの姿が印象的である。

結末は予想外の展開だった。誰もが若さゆえにハメを外した経験はあるのではないだろうか。
一歩間違えればそんな若い頃の楽しい一日であるはずだった日の行動が、人生をすべて変えてしまうこともあるのである。そう考えると、決して他人事とは思えなくなってくる。

事件解決の刑事物語にすでに読み飽きた人にもオススメできる一冊である。

オススメ度 ★★★★☆ 4/5

「トイストーリー」等のアニメで有名なピクサーが成功するまでの様子をピクサーの創設者の一人である著者が語る。

ピクサーの歴史とはCGの歴史でもある。本書の冒頭で語られる1970年代のCGは、今見ると信じられないような品質のもので、この数十年間のCGの発展に改めて驚かされるだろう。そして、CGという新しい技術が広まる中で、古い手法に固執しようとするアニメーターたちがいる一方で、著者のように新しい技術を広めようとする人たちがいるのである。

ピクサーと言って僕らがすぐに思いつくのは、アップルの創設者でもあるスティーブジョブスではないだろうか。そして、スティーブ・ジョブスの果たした役割の大きさはすでにみんなも知っていることと思う。しかしピクサーにおいては、僕がアップルの印象として持っていたジョブスの自分の信じたものだけを、誰の意見にも耳を傾けずに追い求める、というような関わり方とは異なる関わり方をしたようだ。ジョブスは、自分のアニメーションに対する知識が足りてないことを早い段階で悟り、制作者たちの意見を尊重するのである。本書での描かれ方で、著者自身がどれほどスティーブジョブスを信頼しているのかがわかる。

本書はピクサーの成功を描いた作品でもあるが、その一方で、ディズニーという一時代を築いたアニメーション制作の会社が落ちてゆく様子も見えて来る気がする。また、ピクサー自体も順風満帆に成功の道を歩んできたわけではなく、数々の失敗を経て常にヒットを生み出す企業へと成長してきたのである。創造力を組織として維持することがどれがけ難しいかがわかるだろう。

本書の最後に書かれている「「創造する文化」の管理について思うところ」はそんなピクサーの考え方が詰まった4ページである。永久保存版にして何度でも読み返したくなる。なかでも印象的な言葉を挙げておく。

リスクを回避することはマネジャーの仕事ではない。リスクを冒しても大丈夫なようにすることがマネジャーの仕事である。
規則をつくりすぎないこと。規則はマネジャーの仕事を楽にするかもしれないが、問題を起こさない95%の社員にとっては屈辱的だ。
「卓越性」「品質」「優秀」は、自らが言う言葉ではなく、他者から言われるべき言葉である。
信頼とは、相手が失敗しないことを信じるのではなく、相手が失敗しても信じることである。

本書を読み終えた後、またピクサー映画が見たくなる。見ていないピクサー作品は片っ端から見ようと思ったし、すでに見た作品でさえも、そのできるまでのピクサー社員たちの奮闘の様子を知ると再度見たくなった。

【楽天ブックス】「ピクサー流創造するちから 小さな可能性から、大きな価値を生み出す方法」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
高校生の僕は偶然のできごとからクラスメイトの女子の余命僅かであることを知ってしまう。余命僅かな女子高生桜良(さくら)とクラスで唯一真実を知る目立たない生徒「僕」との交流が始まる。

桜良(さくら)の余命がわずかであることを知りながらもお互いに普段通りの会話を続ける点が、なぜか現実味があふれて感じる。実際、同じような状況に置かれたらきっと僕自身もこんな反応をするのだろう。それはきっと、事実を受け入れていないとか、信じられていないとかではなく、身近な人がこの世からいなくなるということが体験として理解できていないからなのだろう。高校生という年代にとってはなおさらそんな気がする。

桜良(さくら)自身も、自らの死を決して深刻に語ることなく、それでいて唯一真実をしる「僕」を心の拠り所としているようだ。桜良(さくら)に振り回される「僕」を描きながら物語は進んで行く。終盤に近づくにつれ、少しずつ態度の変わってくる桜良(さくら)の様子に、戸惑いを表わにする「僕」の様子が痛ましい。

結末はぜひ予備知識なしに味わってほしい。単純で使い古された物語ではあるが涙なしには読めないだろう。

「世界の中心で愛を叫ぶ」を思い起こさせる高校生の純愛物語ではあるが、現代風に描かれている気がする。今の高校生は泣いたり叫んだり驚いたりすることを恥ずかしがる、という僕の持っている印象もただの偏見かもしれないが。

【楽天ブックス】「君の膵臓を食べたい」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
社会で企業の一員となって生きる中で有効とも思える考え方をまとめてある。

僕自身の警官からも、多くの企業で非常に偏りのある考え方をする人々を多く見てきたので、このような実践的な考えかがを流布する有用性は感じるが、一方で常に合理的に考えて社会で生きてきた人間にとっては、どれも驚くような内容ではないように感じた。読者自身が毎日「問題解決」という状況にどのように向き合っているかによって、本書の受け取り方は大きく異なるだろう。

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