オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
キリスト教への迫害が進むなか、長谷倉六右衛門(はせくらりくえもん)は藩主の命により宣教師ベラスコとともに海を渡ることとなった。

遠藤周作の名作の一つとして前回読んだ「沈黙」で描かれていた宣教師の葛藤が印象的だったため、本作品もと思い手に取った。

物語は、キリスト教の世界のなかで名声を高めようとする宣教師ベラスコと、先代から受け継がれていた土地を返してもらうために、海を渡ることを決意した侍、長谷倉六右衛門(はせくらりくえもん)の視点で交互に描かれる。

驚いたのは、まず当時のスペイン領メキシコに向かった点である。当時スペインが巨大な植民地を持っていたことは知識と知っていたが、やはり物語としてそれを味わうのは違うもの。彼らは東回りでメキシコへ到着し、その後スペインを目指すのである。この時代にはまだパナマ運河がなかったために、一行はメキシコ到着後に、大西洋側に移動してから別の船でスペインにむかったのだということも併せて知った。長い航海のなかで何人かの人は命を落とし、また暴風雨で船から投げ出されるなど、物語を通じて当時の旅の難しさを知ることができた。

その後一行はさらに、ローマ法王に謁見するためにローマに向かう。

当時のキリスト教の布教が、ペテロ会とポーロ会という2つの派閥の間で起こっていたことを知る。ポーロ会宣教師ベラスコとペテロ会の宣教師たちが議論するシーンでは、日本での布教がなぜこれほど難しいのかについても語っており、日本人の持っている考え方の特殊な部分について改めて考えさせられるだろう。

また、武将として一つの時代をいきながらも時代の変化のなかで戦が減り、新しい生きる道を探しヨーロッパに向かうこととなった長谷倉六右衛門(はせくらりくえもん)からは、当時の時代の変化が人々に強いた変化を感じることができる。

本書を読み終えて、どうやら本書が実在の人物支倉常長を題材としているということに気づいた。支倉常長という名前は耳にしたことはあったが何をやった人物かということは知らなかった。本書でその航海のために作られたガレオン船も、実在した船サン・ファン・バウティスタ号をモデルとしており、それは支倉常長とともに宮城でとても有名で博物館もあることを知った。近いうちに行ってみたいと思った。

また、遠藤周作という作家については、人の心の葛藤を描くのがうまいと感じた。キリスト教を深く調べているにもかかわらずどちらかというと否定的な描き方をしているので、キリスト教に対してどのような考えを持っていたのか、作家自身の考えについて興味を持った。

【楽天ブックス】「侍」

オススメ度 ★★★★☆ 4/5

成功する人とそうでない人の差はなんなのか。それは社会的知性(SQ)でもなければ、知能指数(IQ)でもなくでも、GRITという呼ばれる力なのだという。本書はそんな成功するための力「GRIT」について語っている。

序盤ではこれまで考えられていたIQの重要性を否定してからGRITに語っていく。GRITとは度胸(Guts)、復元力(Resillience)、自発性(Initiative)、執念(Tenacity)という4つの力で、多くの実例を交えて説明している。

まず印象的だったのは「夢を捨てされ」の章である。僕らは「夢を持つこと」はいいことだと教わってきた。それは確かに目標に向かう原動力となり得るのだが、夢を語ってばかりで実際にその1歩を踏み出さない人も多くいるのだという。夢想している暇があったら「今日できることをする」という考え方が重要なのだという。

また、拒絶されても立ち直る力を身につけるために、ある男性が行なったリジェクションセラピーの話も面白かった。投資家からの資金提要を断られたことがショックだった彼は立ち直る力を身につけるために、100日間連続で人に断られることを目標にしたのだ。断られるための無茶な要望にもかかわらず、受け入れてくれた人がいたことから、男性は自分の望みを叶えるためには拒絶を恐れずに、頼んでみることが重要なのだと知るのである。拒絶は人間の否定ではなく、ただ単にあなたの要求が相手の求めているものにマッチしなかったというだけなのだ。

終盤の「期限は無限」の章で紹介されていた、92歳の時にアルファベットを学び始め、98歳のときにベストセラーを書いた男性の話は、多くの読者へ、将来への希望を与えてくれるだろう。

多くの例は触れられているものの、実際にどのような方法をとればGRITが身に付けられるのかはわかりにくい。それでも「忍耐力」、「楽観主義」、「固定思考」よりも「成長思考」と、いくつかの鍵となる考え方を知れば今後の生き方のヒントとなるのではないだろうか。何よりもいい話に溢れているので一読の価値ありである。

【楽天ブックス】「GRIT(グリット) 平凡でも一流になれる「やり抜く力」」

オススメ度 ★★★★☆ 4/5

目的を達するためのデザインを作成する手法について説明している。

僕自身もデザイナーであり15年以上デザインの仕事に関わってきた。現在でこそ、その作業フローは確立されてきているが、最初の頃はただただ美しくかっこいいものを作ることに大量の時間を費やしていた。きっと現在も多くのデザイナーがそんな美しいだけのデザインを作ることに大量に時間を費やしているのだろう。

しかし、本書の冒頭でも語られているように、デザインとアートは違うのである。アートであれば美しくかっこいいものを作ればそれでよかったかもしれないが、デザインは常に目的がありその目的を達成してこそ「いいデザイン」なのである。

本書はそんなデザインの流れを体系化して説明している。読者によっては反論したくなるようなこともあるかもしれないが、個人的にはどれも納得のいくことばかりで、僕自身が何年も経て辿り着いた手法とかなり近いと思った。

まず、良くあるデザインの勘違いと、デザイナーが心がけるべきことにいくつかの例を挙げながら触れた後に、実際に著者が辿り着いたDesign Methodの説明へと入っていく。そのDesign Methodは大きく分けると次の4つのステージから成る。

1.Discovery
データを収集し、観察と分析から状況を知る

2.Planning
問題とニーズを突き止め戦略と実行可能な計画を作る

3.Creative
考えうる案を検討しデザインの方向性を決める

4.Application
試験と分析を繰り返しながらデザインを適用する


デザイナーによってその作業範囲はそれぞれであるが、実際に多くの人が「デザイン」という言葉からイメージするのは「Creative Stage」以降なのではないだろうか。残念ながら今でも多くのデザイナーや制作プロダクションが1のDiscoveryステージと2のPlanningステージにほとんど時間をかけていないのが実情である。

4つのステージを順を追って細かい進め方、陥りやすい間違いなどについて詳細に説明している。部分的にでも参考にできそうな部分はたくさんあるだろう。

個人的には4のApplicationステージの進め方が印象に残った。本書ではデザインの作成段階でも常に、適応しつつ結果を見て調整していくとしている。つまり、少しデザインを適応しては結果を確認し、その結果によってその先のデザインの適用を調整していくというのである。

確実に機能するデザインを作るという点で非常に納得ではあるが、そのようなテストをしながらデザインを適用するためには、クライアントとの信頼関係づくりがかなり重要となるだろう。実際本書では何度もクライアントとの関係づくりの重要性に触れている。クライアント側の担当者目線でデザインがどのように見えるか語っている部分も印象的だった。確かに、ほとんどデザインのことを知らないなかで、デザイナーと打ち合わせて決めていかなければならない、クライアント側の担当者の立場に立つと、今までとは違った部分が見えてくる。

デザイナーだけでなく、デザインプロジェクトの担当者としてこれからデザイナーを探さなきゃいけない人など、デザイナーに関わる全ての人にとって学べる内容がたくさん含まれている。

関連書籍
「The 80/20 principle」Richard Koch
「The Dip」Seth Godin
「The Elements of Typographic Style」Robert Bringhurt
「Good to Great」Jim Collins
「How to Be a Graphic Designer without Losing Your Soul」Adrian Shaughnessy
「Positioning」Al Ries and Jack Trout
「Whatever You Think the Opposite」Paul Arden
「Zag」Marty Neumeier

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
高校生のときに、調律師の仕事に魅せられた男性外村(とむら)が、調律師として成長していく様子を描く。

調律師という仕事を、実際にその仕事に従事している人のの視点で見せてくれたことがありがたい。調律師という仕事があることは知っていたが、それはギターの音を合わせるように、一定の周波数に音を合わせる誰にでも機械的にできる作業かと思っていた。どんな仕事も毎日その作業を行う人のしか見えない深さがあるのだろう。それが、こうやって物語として触れると、自分がその仕事をしているかのように深く見えてくるから不思議である。

個人のピアノを調律するのと、コンサートのピアノの調律をするのは大きく違ことや、その会場の物の配置が変わっただけで音に影響が出るということが新鮮だった。また、物語中で語られるこんな言葉にも感動した。

持ち主に愛されてよく弾かれているピアノを調律するのはうれしい。一年経ってもあまり狂いのないピアノは、調律の作業は少なくて済むかもしれないが、やりがいも少ないと思う。

主人公である外村(とむら)のほかにも、同じ職場で調律師として働く人が出てくる。天才調律師の板鳥(いたどり)、元々はピアニストを目指していたが諦めて調律師となった秋野(あきの)、バンドでドラムをしている柳(やなぎ)である。調律師として生きる人にもいろんな過去があることが面白い。

毎日こつこつと技術を積み上げていく職人気質の仕事に改めて魅力を感じた。

【楽天ブックス】「羊と鋼の森」

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
妻と離婚して新しい人生を歩み始めた38歳の杉村は、知り合いからの勧めによって探偵事務所を開くこととなった。そんな杉村が扱った4つの事件を描く。

杉村三郎シリーズの3作品目で、前作「ペテロの葬列」で妻との別れを決意したあとの杉村を描いている。実は、娘がいて離婚経験者ということで、どこか年上のような気がしていたが予想以上に年齢が違いことを知り、今回はいつも以上に親近感を持って読むことができた。

4つの物語のなかでもっとも印象的だったのは3番目の事件「砂男」である。地元の繁盛していた蕎麦屋の若い亭主が、不倫をして失踪した事件で、その不倫相手の女性の行方を探すこととなるが、調査を進めるうちにその男性にはつらい過去があることがわかってくるのだ。父や妻の複雑な感情と行動を描いていて、4つの物語の中でもっとも宮部みゆきらしさを感じた。

また、4番目の物語である「ドッペルゲンガー」では東北大震災を題材にしている。阪神大震災を題材に含めた物語にはたびたび出会うが、東北大震災を描いている物語はまだ少ないため新鮮だった。

宮部みゆきは期待値が高いだけに、それなりの作品でも失望の方が大きくなってしまうのが評価の難しいところである。本作品もそれほど悪くはなかったのだが、宮部みゆきらしい人間の感情を切り開くような表現があまり見られなかったのが少し残念だった。

【楽天ブックス】「希望荘」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
人を宇宙に運ぶという輝かしい使命よりも、むしろコロンビア空中分解事故、チャレンジャー爆発事故で印象的なスペースシャトル。そもそもスペースシャトルという計画はどのような目的でどのようにして始まったのか知りたくて本書を手に取った。

面白いのはスペースシャトルを思い描く時誰もが最初に思い描くであろうあの大きな翼は、実はほとんど意味がないということ。言われてみれば確かに、宇宙は無重力空間だからもちろん翼による揚力は発生するはずもない。地球に帰還するときに少しだけ役に立つのだという。むしろその翼がスペースシャトルを設計する上で一つの大きな足かせになっているのだという。人を運ぶのに必要な設備と、物を運ぶのに必要な設備は大きく異なり、その2つを同時に詰め込もうとしたために困難になってしまったのだ。

ちなみに、報道でスペースシャトルのことを聞いていると、チャレンジャーやコロンビアなどいろんな名前があるけど見た目的な区別がつかないと思っていたが、どうやら機体は同じで名前だけが異なるということ。

本書を読んでスペースシャトルは、そもそもの設計として大きく間違っていたことや、政府や地方経済に大きく影響を与えるほどの巨大プロジェクトは、大きな政治的圧力がかかるゆえになかなかうまく進まないことがわかった。しかし、月面着陸を果たしたアポロ11号や奇跡の生還で知られるアポロ13号に代表されるアポロ計画はどのようにすすめられたのだろう。次はアポロ計画について知りたいと思った。

【楽天ブックス】「スペースシャトルの落日 失われた24年間の真実」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
刑務所に服役中のSalanderに会いに行った際、BlomkvistはLeo Mannheimerという36歳の男性について調べるように言われる。Blomkvistが調べたところ、ある日を境にLeo Mannheimerが左利きから右利きになったという。

Stieg Larssonの「The Girl with the Dragon Tattoo」に始まる物語の5作目。著者がDavid Lagercrantzへ変わってから2作目にあたる。前作「The Girl in the Spider's Web」で法律に反する行為を行なったSalanderが刑務所で服役している状態で本作品は始まる。
その刑務所のなかでさえ、すべての権力を掌握し、艦種でさえ逆らうことのできない囚人Benitoや同じ刑務所にいるバングラデシュ出身の美しい女性Fariaの存在など、最初から問題山積みであるが、物語は、助けを申し出たBlomkvistに対してSalanderがLeo Mannheimerという男性の名を挙げたことで始まるのだ。

そして、いろんな情報源を頼りに少しずつLeo Mannheimerの真実に迫るうちに、Salanderの過去と大きくつながっていることが明らかになっていくのである。

シリーズ全体を通じて言えることだが今回も、普段なじみのないストックホルム周辺の地名が多く出てきて、遠い異国の地の人生を感じることができる。そして、人当たりは悪いながらも、正義感に突き進むSalanderの冷静な行動は爽快である。ただ、残念ながら、前作までにはあった一日中読んでいたくなるような勢いが今回は感じられなかった。著者が変わったせいなのか、物語の展開ゆえにそうなったのかはなんとも判断できない。

また、物語の過程で、「人の人格を決めるのは、才能なのか環境なのか」という研究結果に触れている部分があり、過去何度も議論が重ねられたこの問題について改めて考えさせられた。また、過去関連する多くの実験が試みられたこともわかり、その実験の内容や結果をもっと知りたくなった。

シリーズとしてはまだまだ続きそうなので、続巻が出る限り読み続けたいと思った。

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
ルーブル美術館のキュレーターJacques Saunièreが技術館の館内で殺された。その死ぬ間際に書き残したメッセージによって、警察から殺人の疑いをかけられた言語学者のLangdonはJacques Saunièreの孫娘Sophieとともに真実を探ることとなる。

映画化もされた有名作品ではあるが、すでに映画を見たかどうかも忘れており、新鮮な気持ちで読むことができた。本書でもっとも興味深いのはやはり、物語中でも最大のテーマになっている、イエス・キリストの新しい真実だろう。

なんとローマ帝国のコンスタンティヌス以前は、キリスト教およびユダヤ教は女性を神聖化していたのだという。ローマ帝国が国教として取り入れるにあたって、それまでの考え方を政治に都合のいい方向に変えていった結果、今の女性の地位が男性より低い世の中になっているというのである。

物語としてはキュレーターJacques Saunièreの残したメッセージの謎を少しずつ解きながら非常に価値のある宝物に近づいていくという使い古された形式ではあるが、その過程で描かれる真実が印象的なので物語全体を面白いものにしている。

本より映画のほうがいいこともたくさんあるので、映画を否定するわけではないのだが、映画を見てしまうと深い物語が2時間のひどく陳腐で大衆受けする物語になってしまうこともよくあり、この物語は映画が有名だっただけになおさらそんな印象を持っていたが、実際こうして原作を読んでみるととても素敵な物語だということを知った。

映画しか見ないでこの物語を評価した人に、おそらく物語の内容を忘れてしまったであろう今、改めて本書を読んで欲しいと思った。

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
デザインがおかしいせいで、人の死につながったり、大きな事故を起こしたケースを紹介しながらデザインの重要性を説く。

序盤は、医療機器の操作方法がおかしくて大量の放射線を浴びて死に至った患者の話や、操縦席の計器の表示がわかりにくくて墜落した飛行機の話などデザインが生み出した悲劇を紹介している。

「医療機器や飛行機のデザインは僕らが扱っているデザインとは違う」などと他人事と思ってはいけない。中盤以降ではFacebookやLinkedInなどのUI /UXによって一生忘れないようなひどい体験をした人のエピソードを紹介している。

本書を読めば、デザイナーは自分の仕事の大切さと責任を再確認することだろう。そして、デザイナーでない人でも、クリエイティブな世界で生きる人間は自分の作り出すものがどのような結果をユーザーにもたらす可能性があるのか、その責任の大きさを改めて認識することだろう。

インターネットが普及したせいで、実際に傷ついている人を目にする機会は少なくなったが、それでも確実に、自分たちの作ったものはユーザーに使いにくく感じさせたり、疎外感を与えたりしているのである。迷った時は僕らは、実際にそのような対応を店のスタッフにされたら自分がどう感じるのか考えるべきだ。そう考えることによってエラーメッセージひとつとってもたくさん改善すべき箇所が見えてくるにちがいない。

デザイナーだけでなく、多くの人に読んで欲しいと思った。終盤で著者も語っているが「人はみなデザイナー」であり、声をあげ、行動することで世の中は使いやすいもので溢れ、過ごしやすくなっていくのである。

関連書籍
「Thinking Objects:Contemporary Approaches to Product Design」ティム・パーソンズ 「Articulating Design Decisions」キャロル・リギ
「User-Centered Design Stories」トムグリーバー

【楽天ブックス】「悲劇的なデザイン」

オススメ度 ★★☆☆☆ 2/5
YahooのUIデザイナーがフラットデザインについて語る。

出版が2014年ということで、移り変わりの激しいUIデザインにおいて4年前の本というとすでに古すぎるのではないかという懸念もあったが、デザインの移り変わりを理解するためには悪くないのではないかと感じで手に取った。

さて、序盤こそフラットデザインについて語っているものの、後半はなぜか「UIデザインの本質」といって、基本的なUIの役割について本の半分ほどを割いている点が残念である。多くのUIデザイナーにとっては前半の100ページまで読めば十分なのではないだろうか。唯一この本が与えてくれた新しい刺激は、今まであまり関心がなかったWindows Phoneで採用されているModern UIに目を向けてくれた点である。

【楽天ブックス】「フラットデザインで考える新しいUIデザインのセオリー」

オススメ度 ★★★★☆ 4/5

15年前に自殺した女性高校教師は、実は他殺だったというタレコミがあった。その死は高校生3人によって行われた「ルパン作戦」と呼ばれる行動に関係があるという。時効を目前に警察はその3人を呼び出し当時のことを語らせる。そうして少しずつ当時の出来事が明らかになっていく。

12年ぶりの2回目の読了である。すでに内容を忘れていたが、とても素敵な物語だったことを覚えていて、今回再度読みたくなった。

15年前に起こった事件の解明を機に呼び出されたのは当時高校生の橘、喜多(きた)、竜見(たつみ)である毎日のようにつるんでいたにもかかわらず、今はそれぞれがまったく異なる人生を送っているのが感慨深い。特に当時冷静な男であった橘(たちばな)が現在はホームレスとして生活をしている点が人生の不思議さを感じさせる。そして、3人の取り調べが進む中、徐々にルパン作戦の全貌が明らかになっていくのである。

もっとも印象に残ったのは同級生の死を、当時の供述をするなかで喜多(きた)が思い出すシーンである。

いつ相馬の死を忘れてしまったのだろう。あれほど嘆き、悔やみ、取り返しのつかない心の傷に思えたのに・・・。

どれほどつらい記憶でも時と忘れたり、乗り越えたりして、その記憶は風化し、それぞれが新しい人生を歩んでいくのだろう。

事件が3億円事件の時効直前、1975年を舞台にしているのも面白い。アポロ11号の月面着陸など、当時の高校生たちがどのように何を考えて生きていたかが伝わって来る。これはまさに著者横山秀夫が見てきた人生なんだと知り、もう一度その時代に起こった大きな出来事に目を向けてみたくなった。

12年前に読んだときとはまた異なる部分が印象に残るのが面白い。2回目に読んだ今回も良い作品を読んだときのみ感じられる読後の爽快感に溢れていた。あまり知られていない作品ではあるがぜひ多くの人に読んでもらいたいと思った。

【楽天ブックス】「ルパンの消息」

オススメ度 ★★☆☆☆ 2/5
PDCAのPが「Plan」でDが「Do」で...と序盤でPDCAの本当に簡単な説明はしているものの、それ以降PDCAにはほとんど触れず、著者の生きるうえでの考え方をいろんな状況について語っている。著者の語る内容が間違っているとはまったく思わないしどれも賛同することばかりだけど、どれもどこかで聞いたような考え方ばかりで、ページ間のつながりも特になく趣味で書いた本という印象である。本書を読まなければわからないこと、気づけないことは特になかった。

きっと「PDCA」という言葉が入っているという理由だけで本書を買う人がいることを期待したのかもしれない。著者は本書以外にも多数の本を出しているらしいが、ぜひPDCAでもう少し内容の濃い本を書けるようにぜひPDCAして欲しいと思った。PDCAについては先日読んだ冨田和成氏の「鬼速PDCA」の方がずっとおすすめである。

【楽天ブックス】「人生の9割はPDCAでうまくいくシンプル思考」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5

人間の寿命は過去から現在に至るまで伸び続け、現在もその勢いは続いている。2007年生まれの先進国の人の50%は107歳まで生きるのだという。そんな100歳まで生きることが普通となっていくなかで、人はどのように生きるべきかを語る。

何よりも100歳まで生きるということは65歳で引退するという選択をすると、その先35年もの引退期間を生きることとなり、必要な貯金の額も想定と大きくことなるという。なによりも、学生として勉強する時代と、社会にでて働く時代と、引退後の生活という3つの人生のステージの生き方が今後大きく変わっていくという。

個人として考えていかなければいけないのは、20代前半までで身につけた技術や知識だけで、その先100歳までの人生のための十分なお金を稼ぐのは難しいということ。学生を終えて社会に出た後も、仕事をする時期と、学んで新たな知識を身につける時期を送ったり、働きながら新たな知識を身につける必要がある。本書ではそんな寿命の変化は、各世代に生きる人々にどのような影響を与えるのかを、1945年生まれのジャック、1971年生まれのジミー、1998年生まれのジェーンという架空の人物で説明している。

仕事や学びだけでなく、結婚やパートナーとの関係も変わってくるという。人生が長くなれば女性の出産による仕事から離れる期間もそれほど大きな問題ではなくなるために、女性と男性の関係が対等に近づいていくという。女性の出産期間にパートナーである夫がその生活を支えるように、男性の学びの期間に、そのパートナーの女性が生活費を補うような、それぞれの生活を経済的に支えあうようなパートナー関係が多くなるという。

個人的には僕自身が働くIT系の会社では多くの人がすでに考えている内容であるため、それほど大きな驚きはなかった。むしろ転職等をせずに1つの会社でずっと働き続けている人にこそ役立つのかもしれない。そんな人は本書を読んで、これからの時代の変化に対応できるような柔軟性を育む準備をしたほうがいいのではないだろうか。65歳まで1つの会社で生きてしまうと、その後他の生き方や働き方をするのはかなり難しくなってしまうだろう。

【楽天ブックス】「LIFE SHIFT」

オススメ度 ★★☆☆☆ 2/5
インターネット上に溢れる情報を監視する会社でバイトを始めた三島孝太郎は、同僚の一人がホームレスの失踪事件を追って失踪したことから、自分自身も真相を追い始める。やがて孝太郎(こうたろう)は夜間に動くガーゴイル像の噂を耳にする。

主人公が「サイバーパトロール」という、あまり世の中では知られていないアルバイトをしている設定にすることで、ネットでの言葉のやり取りが生み出す不安や恐怖の連鎖に警鐘を鳴らしているかのようだ。

そんな会社で働いているために、世の中を騒がせる事件の情報をより深く知ることとなり、同僚の失踪を機に、自らもその事件に入り込んでいくのである。そんな、序盤の展開は宮部みゆき作品らしく、読者を物語にどんどん引き込んでいく力を感じさせる。

ところが物語は中盤からファンタジー色が強くなる。個人的にはイメージできない世界が大きく、あまり物語についていけなかった印象を受けた。宮部みゆきは今までもファンタジーをいくつか世に出しているが、どれも時代物や現代物語に比べると魅力を感じないので、ひょっとしたら宮部みゆきのファンタジーが好きな人はまた異なる捉え方をするのかもしれない。

【楽天ブックス】「悲嘆の門(上)」「悲嘆の門(中)」「悲嘆の門(下)」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
思想家スティーブン・R・コヴィーの7つの習慣をまんがで説明している。どれも社会に出て20年近く経っている人間にとっては当たり前なことばかりではあるが、このような考えかたに繰り返し触れる事にはそれなりに意味があるのだろう。

本書で描いている7つの習慣は以下の7つである。

主体的である
終わりを思い描くことから始める
最優先事項を優先する
WinWinを考える
まず理解に徹し、そして理解される
シナジーを創り出す
刃を研ぐ

このなかで改めて大事にしたいと思ったのは、5番目の「まず理解に徹し、そして理解される」である。人の話を聞く時、ついうっかりと自分の立場に置き換えてその良し悪しを判断してしまいがちだが、実際にはその人の能力や容姿や年齢なども含めて、相手の気持ちに立とうとすると、いろいろ違った部分が見えてくるもの。もちろん、そこまで人を深く理解するためには、それなりに時間と真剣に聞く姿勢が必要ではあるが、表面的に理解したふりをしてアドバイスしても決して聞き入れられることはないだろう。

まんがなので2時間ほどで一気に読むことができたが、どちらかというとまだどのように生きていいか見えていない、20代の社会人向けの内容のような印象である。

【楽天ブックス】「まんがでわかる7つの習慣」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5

アメリカのメーン州のデリーという町で何年かごとに起きる子供を連続して殺害する事件、1958年当時11歳だったBill,Ben,Eddie,Richie,Beverly,Mike,StanはItと対決した。1985年、また「It」が動き出し、デリーに残ったMikeの呼びかけによって再び彼らはデリーに集まることとなった。

Stephen Kingの名作中の名作ということで、いつか読みたかった一冊。英語で1370ページという大作で、言い回しもスラングなどが多く、さらに物語中にはアメリカの文化や娯楽に絡めたネタがたくさん散りばめられており、物語を読み進めながら当時のアメリカの子供達の流行の映画や音楽やテレビ番組が見えてくる点が面白い。

物語は11歳のときのItとの対決の詳細を忘れてしまった彼らが、現在のItとの遭遇や思い出話によって少しずつ当時の対決の様子、当時の恐怖を思い出していく。そんな当時と現代を交互に行き来しながら物語は展開していく。

個人的に好きなのは、11歳当時の彼らが川でダムを作ったり秘密基地を作ってそこで過ごす場面だろう。幼い頃を思い出しただけでなく、お金がなくても何か楽しい事を見つけて楽しむという子供時代は、どの国でも共通なのだと感じた。

そして彼らは少しずつ11歳児の記憶を鮮明にし、再び動き出したItとの対決に向かっていく。読み終わってみれば同じことを訴えるのに、これほどまでのページ数を必要とするのかという疑問はあるし、読み終わるまでに長く時間がかかりすぎて物語に入り込みきれなかったような思いもあり、物語の面白さよりも、読み終わった事による達成感の方を感じた。

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
イタリアの田舎町で育ったLilaとElenaの物語。

Elenaというポーターの娘が、Lilaという名の靴屋の娘との出会いから、十代後半までの2人の様子を描く。最初はお互いに会話もしなかったLilaとElenaだが、学ぶことを通じて少しずつお互いを認め合っていく。女性の友情物語としては新しいのではないだろうか。

それでも1950年代のイタリアでは、生活の役に立たない学業を続けることは女性には難しく、やがてLilaは家業の靴屋に兄のRinoとともに入れ込んでいく。その一方でElenaは多くの支援を受け学業を続けていくのだが、一緒に学ぶ相手としてLilaがいないことに寂しさを感じるのである。

10代の女性らしく、恋愛や嫉妬などの様子も多く描かれているが、物語の後半に近づくにつれて、2人の離れようのない友情が見えてくる点が面白い。

続編につづくためかなり中途半端なとこで本書は終わってしまうが、イタリアを舞台にした物語に触れる機会はなかなか少ないだけに、書かれていることに新鮮さを感じる。

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
滑舌の悪さを治したくて本書を手に取った。

本書を読んでわかったのは、滑舌の悪さは直せるということ、そして、腹式呼吸がいいということである。どうやらそれぞれの人間には声の響きやすい高さというのがあるようで、声をしっかり出すためには自分にとって適切な声の高さを理解することが必要なのだそうだ。

シャドウィングという英語の練習方法はよくやっているにもかかわらず、英語よりも何倍も日常生活において使うだろう日本語では一切練習をしないということがおかしな話だと思ってしまった。

とりあえず腹式呼吸を意識しながら話すことを習慣にしてみたいと思った。

【楽天ブックス】「たった1日で声まで良くなる話し方の教科書」

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
最近よくきく「ブロックチェーン」とはなんなのか、そこを理解したくて本書を手に取った。

正直本書を読むまでの僕の知識は乏しいもので話題の仮想通貨ビットコインとブロックチェーンの関連性も知らなかった。どうやらビットコインはブロックチェーンの技術を利用して発展した技術の一つで、ブロックチェーン自体は今後さまざまな分野に応用できる技術で、それによって今後世の中のいろんな取引の形態が変わる可能性があるのだという。

本書は、タイトルでは「ブロックチェーン」を謳っているが、半分ほどをビットコインに代表される仮想通貨の説明にも割いている。投資対象としてビットコインがどの程度信頼がおけるものなのかを理解したい僕にとってはおおいに役に立った。

本書を読んで理解したことは、まだまだ仮想通貨の技術は始まったばかりに過ぎず、ビットコインがこのまま不動の仮想通貨の地位を確立するのか、それともビットコインの弱点を改良されて次々に考え出されていく第2、第3の仮想通貨が世の中のスタンダードとなるのかはもう少し様子を見る必要があるということである。

正直本書だけではブロックチェーンやビットコインなどの仮想通貨についてしっかり理解することはできないが、現在の世の中の流れを漠然と理解するには非常に役に立つ本である。

【楽天ブックス】「ブロックチェーン入門」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
悪名高き皇帝ネロの後のローマ帝国の物語で、紀元69年から98年までを描いている。

ガルバ、オトー、ヴィテリウス、ヴェスパシアヌス、ティトゥス、ドミニティアヌスと皇帝が次々と変わる時代だが、ローマ帝国自体は比較的安定していたようである。首相が次々と変わる日本のように国民がどこか政治に無関心な様子である。それは見方を変えると、すでに国自体がそう簡単に不安定な状態にならないという確信が国民のなかにあったのだろう。

次々変わる皇帝のその政策やふるまいをここまで連続して見せられると、どのような人間が信用を失いやすく、どのような人間が長く信頼を勝ち取れるかという傾向が見えてくるようだ。「歴史から学ぶことは多い」と言葉としては多くの人が知っていて、使ったりもするが、ローマ帝国の皇帝たちから学べることは、企業の経営者たちにも共通している気がする。まだローマ帝国の歴史なかばではあるが、結局カエサルとオクタビアヌスに勝る皇帝はいないのではないかと思えてくる。

本書のもう一つの個人的な見所はポンペイで有名なヴォスヴィオ火山の噴火である。当時ヴォスヴィオ火山の麓の町で生きていた男性がタキトゥスという当時の作家に送った手紙の全訳はそれが確かに現実に存在した悲劇であることを伝えてくれる。

トライアヌスが皇帝になったことで終わる本書。ローマ帝国はこの後「五賢帝時代」と呼ばれる時代に入っていくのである。

【楽天ブックス】「ローマ人の物語 危機と克服(上)」「ローマ人の物語 危機と克服(中)」「ローマ人の物語 危機と克服(下)」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
自律神経を整えるための生活方法を書いている。

正直僕自身も人生の効率化はかなり強く意識していて、本書に書いてある多くのこと、例えばミニマリズムや早起きや整理整頓、毎日の同じことを繰り返す、などはすでに生活に取り入れている。そんな僕でもいくつか現在できてなくて取り入れたいなと思えることがいくつかあった。

カバンの整理
朝はメールを見ない
スマホの通知機能はオフ
夕食は就寝の3時間前までに
記念日を大切に

どれも説明するまでもないかもしれないが、なかなかわかっていてもできないものだ。また、著者がロンドンの病院で働いていたときに出会った尊敬できる人の考え方が印象に残った。

I don't believe anybody.

一見冷たく寂しく聞こえる言葉だが、人のせいにしないで常に冷静にいるために、また人の励ましや行為に心から感謝できる心構えなのだと、語っている。僕自身の普段の心構えと似ている部分もあるが、人へのアドバイスとして心に留めておきたいと思った。

全体的にはものすごい特別な内容が書かれているわけではない。試行錯誤をして生きてきた人がある程度の年齢に達すれば誰しもそれなりに独自の生き方や習慣を身につけており、そんななかの1人がそれを本にしてシェアしてくれたという印象である。もちろん上に書いたようにそのなかからも得られるものはあるが特別、知人にお勧めするほどの内容ではない。

【楽天ブックス】「自律神経が整う時間コントロール術」

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
東京都現代美術館の仕事の様子を描いた漫画である。

先日読んだ原田マハの「弾幕のゲルニカ」が以前か気になっていた学芸員という仕事に再び
目を向けた。

本書を読み始めて知ったのだが、どうやら展覧会などで美術館に訪れたときに、部屋の隅に座っている黒い服を着た女性は学芸員ではないらしい。学芸員という職業の名前を最初に知ったのが、美術館で座っている人を指してのことだっただけにこれには驚かされた。実際には、美術館にのんびり座っている暇もないほど、毎日忙しく、好きな画家や好きな美術に本当に深く関われる仕事だとわかった。

前半は展覧会などを企画する学芸員の仕事の様子が描かれており、美術館に所属する学芸員たちは自分のすすめる作家の展覧会を提案し、企画し、作家と一緒になって展覧会を開催するのだという。だから、ときには学芸員の意見が作家の作品に影響を与えることもあるのだという。そう考えると、決してただ美術を展示するだけの受け身な仕事でないことがわかる。人生で経験できる仕事はわずかだけど、こんな生き方もしてみたかったと思わせてくれるだろう。

後半のコレクション担当もとても面白かった。コレクション担当とは美術館の所蔵する作品を決定、管理する仕事で美術館が所蔵する作品を決める際には、何を後世に伝えるべきかを職員の間で議論して決めていくのだそうだ。そうやって議論のすでに決定された所蔵された作品が貸し出されたりする際には我が子を送り出す親のような気持ちになるのだという。

学芸員という仕事について知りたくて手に取った本ではあるが、むしろ美術の奥深さ、展覧会、美術館など、美術に対する考え方もさらに深めてくれた気がする。

【楽天ブックス】「美術館で働くということ」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
その世界はDauntless、Amity、Erudite、Abnegation、Candorという5つの派閥で構成されていた。Dauntlessは恐怖を克服して生きること、Amityは人に対する優しさや道場を、Eruditeは知識を、Abnegationは自分を主張せずに人のためにいきること、Candorは嘘をつかずに正直に語り生きることを重視していた。若者たちは大人になるときに自分の所属する派を選択することができる。本書はAbnegationの家庭に生まれ育ちながら、Dauntlessとして生きることを選んだBeatriceの物語である。

最初の舞台設定がかなりおもいっきっているので世界観になれるのに時間がかかるかもしれないが、そんな世界を想像しながら描く著者の楽しさが伝わってくるようだ。主人公であるBeatriceは派の選択儀式の前の診断テストで試験管に、どの派にも向いていないDivergentであると見出されるが、同時にその事実は秘密にすべきだとも忠告される。なぜDivergentの事実を秘密にしなければならないのか不思議に思いながらもDauntlessで生きる選択をするのである。

その後はBeatriceのDauntlessとして生きるための通過儀式の様子を描いている。恐怖に打ち勝つことや、戦いの技術などを学びながら、その一歩でAbnegation以外の派から移った仲間たちとの交流に戸惑う様子などが描かれている。

もちろん物語はそこからそれなりにクライマックスへ向けて大きく動くのだが、結局BeatriceのDivergentが現代の人間の象徴であり、それぞれの5つの派が重視する強さ、優しさ、知性、謙虚さ、正直さのすべてのバランスをとることこそ重要であるということを物語を通じて伝えているように感じた。

続編もあるらしいが読み続けるかどうかはなんとも言い難い。暇つぶしとしてはいいかもしれないが、学び取れる部分は多くはなかった。

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
野村証券にて数々の営業記録を達成した著者が自身が日常的に行うPDCAを解説する。

「今更PDCA?」と思うかもしれないが、誰もが耳にしたことのあるPDCAでも、実際に機能するように取り入れようとすると簡単ではない。成果をどのようにCheckし、どのようにActionするか、というのが非常に重要であり難しいのである。

また、本書では、PDCAを初めて耳にしたときに誰もが感じる違和感、AのActionについて、わかりやすくAdjustとしている。ここは僕自身もDoとActionの違いについてなかなかつかめなかったので、わかりやすく人に説明するために取り入れたいと思った。

後半は実際のPDCAの実施の仕方を細かく書いている。説明を読めばどれももっともと思えるもので特に驚く部分はないが実際日常的にここまで徹底している人はいないだろう。ここまで徹底してやっている人が世の中にはいるんだということ知ることがなにより大きな刺激になった。本書でも触れているが、普段目に見えない自分の進歩を、数値化することで目に見えるようにすることで毎日がより楽しくなる、というのはすごい共感できることで他の人にもこの感覚を感じて欲しいと思った。

普段行なっている、運動や勉強など改めて数値化してもっと徹底してPDCAできないか考えさせてもらった。

【楽天ブックス】「鬼速PDCA」

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
イランで生まれ日本で育った圷歩(あくつあゆむ)の物語。

イランで生まれたことと、姉が少し変わった女性であったという点で、歩の人生は同年代の人間とは少し異なっていた。そして、父のエジプト赴任によりエジプトでの生活も経験していたことである。そしてやがて両親の離婚という一家の危機も経験するのである。本書はそんな歩がアラフォーになるまでを描いた物語である。

僕にとって印象的だったのは、歩(あゆむ)が僕自身と一歳しか違わない同世代の男だということである。高校生の時に阪神大震災を経験し30代前半で東日本大震災を経験するなど、人生の重要なできごとが年齢的にも重なることが多く、読み進めながらついつい自分自身の人生を振り返ってしまう。そういう意味ではアラフォー世代の読者の心には強く響く部分があるだろう。

また、もう一つ印象的なこととしては、歩(あゆむ)自身が決して貧しい家で育ったわけでもなく、むしろ裕福な家庭で育ちながらも、姉の奇行や両親の離婚という悩みを抱えている点だろう。物質的に豊かでありながらも心が満たされない様子がひしひしと伝わってくるのである。

大学時代はその甘いマスクを武器に女性に不自由しない人生を送りながら、20代ではそれなりにやりたいことをする思い通りの人生を送りながらも、30代を過ぎて見た目や体の衰えとともに人生の陰りを感じるあたりはなかなか他人事として片付けられないリアルさを感じてしまった。

自分の人生を振り返りその意味を改めて考えたくなる一冊。歩がエジプトで小学生時代を経験しているため、「アラブの春」と呼ばれるイスラム諸国の民主化の流れに再び興味をもたせてくれた。

【楽天ブックス】「サラバ!(上)」「サラバ!(中)」「サラバ!(下)」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
チュニジアに始まり、エジプト、リビアと続いた「アラブの春」と呼ばれるSNSを起点とした動き。日本での報道だと、どの国でも似たような民主化の動きが起こったかのように見えてしまうが、実際はどうだったのか、そもそも僕らがよくわかっていないイスラム諸国の現状はどのようなものなのか。レバノン生まれのジャーナリストである著者が語る。

本書を手に取ったのは直木賞受賞作品「サラバ!」のなかでアラブの春に触れられていたからである。日本での報道からだと、「アラブの春」は、イスラム諸国に平和が訪れたように聞こえてしまうが、もちろんそんなわずかな期間で国のすべてが解決するはずもなく、また「アラブの春」によってもたらされた新たな問題もあるのだということを知り、現状を詳しく知りたくなったのである。

本書ではチュニジア、エジプト、リビアなどの「アラブの春」の国々をはじめ、サウジアラビアやオマーンなどの国についても現状や、「アラブの春」の影響を説明している。もちろんそれぞれの国についての記述はわずか数ページでしかないので、それぞれの国の歴史と現状に軽く触れる程度で終わってしまうのだが、それでもイスラム諸国等について新しい気づきが得られた。

思っていた以上にイスラム諸国でも女性の社会進出は進んでいるということ。また、僕らがイスラム諸国を代表する報道機関とみなしているアルジャジーラは思ったほど中立ではないということ。そして、YouTubeを利用して西欧諸国の報道を操作しようとしている動きがかなりあり、世界的なメディアが裏を取らずにそのまま報道してしまうことがあるということである。

今後もSNSを良い方にも悪い方にも利用しようとする意識は高まるだろうし、一人の人間として真実を見出すためには情報選別の能力が求められるということを感じた。

【楽天ブックス】「「アラブの春」の正体 欧米とメディアに踊らされた民主化革命」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
人生において、怒りや悲しみを引きずるのは悪い事ではないが、早く立ち直って前向きに冷静に生きることができれば人生はきっと良くなるはず。僕自身、どちらかというとまさに「引きずらない人」なのだが、「引きずる人」に今以上にいいアドバイスを与えられたらと考え、本書を手に取った。

気になったのは次の項目。

引きずる人は興味を持てるものが少ない、引きずらない人は好奇心が強い
引きずる人は白黒二択で考える、引きずらない人はグレーでも納得できる
引きずる人はまず言い訳をする、引きずらない人はまず素直に謝る
いい汗をかくことは、メンタルにもプラスの効果がある

どれも思い当たることばかり、引きずるか引きずらないかという性格と直接関連性があるとは思っていなかったが、どれも「引きずらない」自分自身に当てはまることばかり。周囲を見渡しても「引きずらない」人は往々にして、多趣味で忙しく、運動をしていることが多いように感じる。

前半は日常的な出来事に対して「引きずらない」ための方法を書いているが、後半では、身近な人の死や、失恋など、引きずらないわけにはいかないような大きな悲しみに対する方法としても触れている。僕自身それほど大きな悲しみにはまだ出会っていないがぜひ次のことはぜひ覚えておきたいと思った。

自分と同じ経験をした人を探す

思ったのは、こういう本を読む人も大部分は「引きずらない人」なのではないかということ。

【楽天ブックス】「「引きずらない」人の習慣 怒り、悲しみ、不安のワナにハマらない」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5

ジャスティンビーバーのことは正直、その名前と、YouTubeから火が点いて人気が出たということしか知らなかったが、若くても違う国の話でも、違う分野の話でも、サクセスストーリーのなかには学ぶ部分があり、本書も目についたのは偶然だが、何か学ぶ部分があるのではないかと思って手に取った。

やはりジャスティンが音楽に興味を抱いたときに、周囲の人間が誰も止めずにむしろサポートしたことが、子育てに関心のある僕にとっては印象的だった。モノをドラム代わりにスティックでたたいて壊すジャスティンをきっと家族や周囲の人間は暖かく見守ったのだろう。同じようにジャスティン自身も家族やファンの大切さを何度も繰り返しているのが素敵だった。このような本を読むといつも感じることだが、成功している人ほど周囲の人間のありがたみをしっかり認識しているという点は、見習うべきことなのだろう。

その若さゆえに、さすがにアラフォーの僕の心に響くような言葉は多くはなかったが、カナダという遠い地の一つの素敵な家族の形を垣間見ることができたきがする。もちろん、本書を読んでから、いろんなジャスティンの音楽をYouTubeで検索してみてみたし、ジャスティンが本書の中で触れている、ジャスティンの憧れのアーティストたちにも改めて興味を持った。YouTubeで一度ずつチェックして自分の視野の範囲を音楽の範囲にも広げていきたいと思った。

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
数学関連の書籍というとだいたい途中からついていけなくなるもの。それでも部分的にで新しい考え方に触れられたり、新しい方面に好奇心をかきたてることができればいいと思って本書も読み始めた。

超ひも理論とはなんだろう。一時期ポアンカレ予想を理解しようとした時も似たような話が出てきたが、どうやらこの話はそれとは別物で、どうやら次元の話のようだ。

僕の理解した範囲で説明すると、陽子は3つのクオークから成り立ち、そのクオークを説明するのに異次元の存在を考えたほうが都合いいということなのだとか。そして超ひも理論はその次元の存在を根底から覆すものなのだそうで、本書はそこに至るまでを高校生にもわかるように説明している。

個人的には、高次元の存在が低次元の世界に存在したときには、消えることが可能という考え方はすごく印象に残ったが、納得するほど理解できたとはとても言えないので、いくつか気になる単語や参考文献を残しておいて今後の読書につなげたい。

本書はタイトルからもわかるように、物理学者のパパが娘に超ひも理論を少しずつ説明していくという体裁をとっているが、パパが「娘に仕事を説明できることができて幸せだった。」と書いている点が印象的だった。やはり父親は、自分が人生で大きな時間を費やす分野を娘に理解してほしいんだろうなと感じた。

新語
クオーク
グルーオン
ファインマン図
マルダセナ予想
ヤンミルズ理論

関連書籍
「大栗先生の超弦理論入門」


【楽天ブックス】「超ひも理論をパパに習ってみた 天才物理学者・浪速阪教授の70分講義」

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
アップルを創り、マッキントッシュ、iPod、iPhoneを生み出して世界を大きく変えたスティーブ・ジョブスを描く。

もはや本書を読まなくても、誰もが聞いたことあるほどの有名な世界を変えたエピソードである。アップルが取り入れたコンピューターのGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)に始まり、その後ジョブスがアップルを離れた後のアップルの低迷。そしてアップルに戻ってからのiPodによる音楽革命やiPhoneの登場などである。

なぜこれほど多くの画期的な製品をアップルは生み出せたのか。本書はその答えを知るための大きな手がかりとなるだろう。やはりアップルのトップであるステーブ・ジョブスが自分たちの作り出すものに対して並々ならぬこだわりを持ったためだろう。誰もがシンプルなものがいいとわかっていながらも世の中には複雑な製品が溢れているのである。アップルのこだわりである

洗練を突きつめると簡潔になる

というのがどれほど難しいことか、組織でものづくりに関わったことがある人ならわかるだろう。

それに加えて、ジョブスが重視したのはいつだって「利益を出す」ことではなく「世界を変えるような新しいものを生み出す」ことだったのも大きいだろう。

世の中に「利益を出す」こと以外の目的を優先して動いている会社がどれほどあるんだろうか。もちろん、会社の創設時にはそのような熱い思いを持っている会社はあることだろう。それを持続することがどれほど難しいことか、多くの社員を抱え、多くの生活が会社の存続に委ねられてきたときに、「利益を出す」ことを優先してしまうことが、多くの企業にとってどれほど避けがたいものなのか、よくわかるのではないかろうか。

そんな多くの素晴らしい製品を生み出したジョブスだが、人間的にはかなり偏った性格だったようだ。もちろんそれも話には聞いていたが、本書を読むと改めてその偏りがわかる。家族や身近な人に対する接し方はとても普通の人が耐えられるものではなく、それによってジョブスも多くの困難にぶつかったようにも感じる。

本書でそのようなジョブスの性格を深く知ると、一般的に「普通」の人間性を持った人間が革新的な製品を生み出すことはできないのだろうか、とさえ思ってしまう。

さて、ジョブスなきアップルは今後どうなっていくのか、その動向に今後も注目したいと思った。

【楽天ブックス】「スティーブ・ジョブズ(1)」「スティーブ・ジョブズ(2)」

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
書体デザイナーと書体に関わる仕事をしている人や書体についてデザインをしている人が書体について議論する「もじ部」のインタビューを記録している。

普段から書体に向き合っている人々の目線で書体について語られている点が非常に新鮮で、この一冊だけで書体について多くのことを学べた気がする。

UDフォントと言われるユニバーサルフォントには特に決まった形はないということと、UDフォントは見やすさを重視してはいるものの、もじ単体での読みやすさを重視するあまり日本語の持つリズムを乱していることもあるのだという。あまり考えずにUDフォントがあるならUDフォントを使用してきた僕としては非常に耳の痛い話である。

日本語は縦書きも横書きもあるので、縦に書かれた場合と、横に書かれた場合のフォントの理想形も異なるのだという。「い」や「む」の最後の一画の向き方向が次の字が下にあるか右にあるかで確かに変わるのである。書体づくりの奥深さを感じた。

また、書体デザイナー小林章さんの章では、欧文フォントのスペーシングについて学生たちに教えている。文字周辺スペースの面積を均等にするようにスペーシングするというのはわかっていてもがそれだけの知識では十分ではないというのは多くのデザイナーは経験として知っているのではないだろうか。本書で小林章氏はスペーシングについて新たな考え方を示してくれている。「AVAIL」「AVILA」という同じアルファベットで構成されながらも異なる言葉についてのスペーシングを例に、文字の並びによっっても最適なスペーシングが異なることを説明しているのだ。

パソコンによってデザインが一般の人の手の届くところに来たことはいいことだと思うが、それによって表面的なデザインが増えてしまうのも事実だろう。プロを自負するデザイナーはぜひ本書の知識を知って書体のあるべき姿を広めていってほしいと思った。

【楽天ブックス】「もじ部」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
イラクへの武力行使を発表された国連安保理ロビーにあるゲルニカには暗幕がかけられていた。戦争の悲惨さを訴えるゲルニカに武力行使を発表する場で暗幕をかけた理由が何なのか。ピカソに人生をかけたMomaのキュレーター八神瑤子(やがみようこ)はそんなピカソ騒動に巻き込まれていく。

まず自分の無知さを知ったのが、ピカソが作成したゲルニカは、絵画の他に3つのタペストリーがあり、その1つがニューヨークの国際連合本部にあるのだという。本書はそんな「もう一つのゲルニカ」と、ピカソ自身がゲルニカを描く様子とそのときの世界の情勢を描いている。

本書は2001年の同時多発テロ直後の現代と、1937年のゲルニカ爆撃時のピカソとその周囲の人々を交互に描いている。1937年の場面ではパリ博覧会のための絵画を依頼されたピカソが描く絵画の題材に悩む様子からゲルニカができるまで、そしてゲルニカがアメリカに渡るまでを描いており、現代の場面では同時多発テロからアメリカのイラク侵攻を描いている。

ゲルニカがゲルニカという町で起きた惨劇の様子を描いているということは知っていたが、その惨劇がどのような状況のもとで起こったのかは本書を読むまで漠然としか知らなかった。本書によって、ヒトラー、ムッソリーニ、フランコの独裁政治という歴史とあわせてゲルニカを理解する事ができた。

また、ゲルニカという絵画が公開当初から大きな物議を引き起こし、混乱する世界状況の中で秘密裏にアメリカに渡っというのも今回始めて知った事実である。

1937年を場面としたゲルニカとピカソにまつわる物語はとても印象的だったが、現代の物語の描き方は若干安っぽい印象を受けた。必ずしも現代と絡めて物語を構成しなくてもよかったのはないだろうか。一つの有名な絵画を生み出すまでの画家の苦悩や当時の状況を描くだけでも十分魅力的な物語になるのではないかと感じた。

【楽天ブックス】「暗幕のゲルニカ」

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
ケネディの暗殺といえばもはや知らないことがいないほどの大事件。そのとき隣に座っていたケネディ夫人は僕自身にとってはそれほど有名な人物ではなかったのだが、フィリピン人の英語の先生が、「私のお手本となる人」としてダイアナ妃とケネディ夫人を挙げたので興味を抱いた。

本書はケネディが1960年に大統領に就任したときから、ケネディ夫人のシークレット・サービスつまりボディガードとして働いた男性クリント・ヒルによって書かれている。クリント・ヒルはあの暗殺の瞬間夫人を守るために後ろから車に飛び乗った男性なので覚えている人もいるのではないだろうか。そんな常に身辺にいる男性から描かれたからこそ、ジャクリーン・ケネディの素顔が見えてくる。

1960年にケネディが大統領に就任した時、ケネディ夫人はまだ31歳でアメリカの歴史上もっとも若いファーストレディだったという、この事実を聞いただけで僕自身が生まれる前のできごとであるにもかかわらず当時の熱狂が想像出来る。

さて、そんな若いファーストレディだったからには、結構稚拙なこともしたのではないかと思っていたのだが、本書を読み進めてみると、ずっと芯を持った人間だったということが伝わって来る。まずそれを感じさせたのはホワイトハウスに住み始めてからホワイトハウスのなかの公開されている部屋の改修に動いた行動力である。

ホワイトハウスはすべてのアメリカ国民のものよ。この国で一番素晴らしい家でなくては

そしてもっとも印象的だったのは、隣で夫を暗殺された直後に、地に染まったスーツを着ているケネディ夫人に着替えを促した著者に対しての言葉である。

自分が何をしたのか、犯人に見せつけましょう。

自立した女性がお手本にしたくなる理由がしっかり伝わってきた。本書の大部分はケネディ暗殺までの3年間を描いているが、その後のケネディ夫人の人生の選択についてももっと知りたいと思った。

【楽天ブックス】「ミセス・ケネディ 私だけが知る大統領夫人の素顔」

オススメ度 ★★★★☆ 4/5

子育てに関する書籍の多くが、研究結果や著者の体験談を語っているのに対して、本書は実際にいい人生を送っていると思われる子供たちにその親の育て方をアンケートして、その回答をもとに良い育て方はこうあるべきだ、と語っている。

多くの大人になった子供立ちの、自分の親の子育てに関する感想を読むと、子育ての大切さと難しさを改めて感じるが、同時に子育てのヒントとなりそうな多く考え方に出会うことができた。なかでも印象的だったのが

「人に迷惑をかけるな」より「役に立て」

である。確かに「人に迷惑をかけるな」と考えると、人に全く迷惑をかけないで生きるというのはできないので、すべての行動が消極的になってしまう。それに対して「役に立て」と考えると、迷惑をかけてもそれ以上に役に立っていれば認められるという考えが育めるのだろう。

もう一つ、頭に常においておきたいと思った考え方は

子どもは親の真似をする

である。

これは多くの親には耳の痛い話なのかもしれない。勉強しろと言いながら自分が勉強しない親や、本を読めといいながら、自分が本を読まない親など世の中にたくさんいることだろう。幸運なことに、僕自身は勉強も運動も毎日継続して行うことが好きなので、そういう姿を見せてあげたいと思った。

これまでにも子育てや教育に関する本をいくつか読んでみたが本書が一番印象的だった。子育ての中でもっとも難しそうに感じるのは、自由のなかにどれだけ的確な情報と選択肢を提供するかということ。また単純に学問や運動の能力の向上だけでなく、自ら考えそれを実行する計画力や意志の強さをどのように育むかということである。

大人になった子供たちの感想に、「もっと選択肢を見せて欲しかった」とか「もっと厳しく接して欲しかった」という含まれているという点である。大人が思っているほど子供は、優しいだけを求めているのではないということに気づく。本書で出会った考え方をしっかりと取り入れて今後も試行錯誤していきたいと思った。

「ずば抜けて活躍できる」かどうかはわからないが、本書が目指しているのは、単純に学歴などの表面的な幸せではなく、子供自身が大人になっても幸せを感じる育て方だと感じた。これから子供を育てるという人にはぜひ読んでほしいと思った一冊。

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オススメ度 ★★★☆☆ 3/5

星野社長がどれほど教科書を重視しているかを語っている。

古い旅館を再生する際に、星野社長がどれほど、過去に書かれた教科書となる本を重視してきたかを描いている。個々の再生エピソードも含まれているが、基本的には本に書かれた内容をどのようにしっかりと実践してきたかである。

印象的だったのは、本で読んだ内容を中途半端に実践するのではなく、しっかり書かれた通りに実践することが大切、という部分である。賛否両論あるかもしれないが、確かに部分的にだけ取り入れて満足してしまうことも往々にあるだろう。

内容はそれほど印書的なものではなかったが、これまで星野社長が読んで実際に役立った多くの本を紹介している。今後の読書の幅を広げるという意味では意義のある内容である。ぜひ読みたいと思った本を挙げておく。

「イノベーターの条件」 ピーター・F・ドラッガー
「エクセレント・カンパニー」
「柔らかい心で生きる」矢代静一
「1分間エンパワーメント」
「1分間顧客サービス」
「サービス・リーダーシプトは何か」ベッツィ・サンダース
「顧客ロイヤルティの時代」内田和成、嶋口充輝
「経験価値マーケティング」バーンド・H・シュミット
「ブランディング22の法則」アル・ライズ、ローラ・ライズ
「ニューポジショニングの法則」
「ブランド・エクイティ戦略」デービッド・A・アーカー
「ONE to ONEマーケティング」
「競争の戦略」マイケル・E・ポーター
「The Myth of Excellence」Fred Crawford, Ryan Mathews
「ストラテジック・マインド」大前研一
「戦略サファリ」ヘンリー・ミンツバーグ

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オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
スイングトレードで年利400%を稼ぐ著者が、その手法を語る。

ここ数年の目標は、給料以外の収入を少しずつ増やしていくことである。そのうちの一つが株式投資を含む資産運用で、その手法の一つとして本書を手に取った。

序盤はスイングトレードを、デイトレード等と比較してどのようなメリットがあるのかを説明し、同様にテクニカル分析とファンダメンタル分析を比較してそれぞれのメリットデメリットを語っている。もちろんタイトルが示すように本書はテクニカル分析のスイングトレードを推しており、序盤は、すでにスイングトレードをメインに行っている人にとってはそれほど新しい情報はないかもしれない。

むしろ著者の手法について触れている中盤にいくつか自分の取引にも取り入れたいと思える内容があった。それは本書の中で「Uターン注文」として書かれている注文方である。すでに10年以上前に書かれた書籍なので、おそらく「Uターン注文」と同様の機能は現在多くの証券会社で取り入れているのではないだろうか。

この一冊でスイングトレードがうまくいくとは思わないが、スイングトレードを勉強している人が読む本の中の一冊として含めておいても損にはならないだろう。

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オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
湖の底で身元不明の女性が見つかった。Tracyは事件の捜査に向かう。

通常の事件解決の物語に見えたが、一人の引っ込み思案な読書女性の物語が並行して進む。その女性はやがて男性と出会い結婚して幸せな生活を築き始める。この女性がどのように事件と関係するのか、そして湖の底で見つかった女性がこの女性なのかを考えながら読み進めることになるだろう。

物語は事件解決だけの様子でなく、Tracyと恋人のDanの様子も描いている。どちらも40歳を過ぎており一度結婚を経験しているカップルということで、今後の展開は事件解決と同じぐらい気になる部分である。

残念ながら第1作目の「My Sister's Grave」や第3作目の「The Clearing」ほど印象的な展開ではなかった。シリーズ全体として楽しむためには本書も読まなければならないが、もしTracyシリーズを読んだのが本書が初めてなのであれば上に挙げた2作品を読んだ上で判断してほしい。

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
もう10年以上も前に映画になった作品で、一度読んでみたいと思いながらようやく今回手に取った。

映画になった印象から、長くしっかりとした物語という印象を持っていたが、実際には本書は表題作である「鉄道員」を含む8つの短編からなる短編集である。

いずれも、少し不思議な奇跡を描いているように感じる。残念ながらそれほど強く印象に残ったわけではないが、どの物語も30代、40代もしくはそれ以上の人生のもっとも華やかなときを過ぎた人物を中心に描いており、それぞれの物語のなかでそれぞれの境遇で生きるその人物の心のうちを読み進める中で、読者の心になにか残すものがあるのではないだろうか。

誰しも人生思った通りには進まないけれど、心の持ちようによっては幸せと思える部分もあり、楽しむことができるのだと、感じられるのではないだろうか。そういう意味では、10代20代ではなく、もっと年上の人に向けられた本のように感じた。

【楽天ブックス】「鉄道員」

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
歴史を変えた瞬間の写真をその背景の説明とあわせて紹介している。「歴史を変えた100日」というからには著者が思う、写真が発明されてからの歴史の変わった瞬間ベスト100といってもいいようなものなのだが、僕の知らなかった出来事が多く含まれていたことが驚きだった。

初期の写真は、出来事をそのまま撮ったのではなく、人々に意図した印象を与えるために、遺体を並べ直したりするなど当然のようにされていたというのが印象に残った。今それをやれば教団されそうだが、考えてみればそれほど不思議ではないことなのかもしれない。

本書で取り上げられていた事件、例えば「インディアン大虐殺」や「キューバ危機」、「アルメニアの大虐殺」などは、機会があればもっと知識を深めていきたいと思った。また「真珠湾攻撃」は日本人として生きていると気付かないが、世界から見ても大きな出来事だったということは今回初めて知ることができた。確かに、日本の真珠湾攻撃が、アメリカがどちらの側につくかを決定付けたと考えれば大きな歴史の転換点だと言えるのだろう。

過去の出来事に対して新たな視点をもたらしてくるとともに、探究心を掻き立ててくれる一冊。

ウンデット・ニーの虐殺
1890年12月29日、サウスダコタ州ウーンデッド・ニーで、ミネコンジュー他のスー族インディアンのバンドに対して、米軍の第7騎兵隊が行った民族浄化。(Wikipedia「ウンデット・ニーの虐殺」

【楽天ブックス】「世界を変えた100日 写真がとらえた歴史の瞬間」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
4人の銀行強盗を描いた物語。

物語の中心となる4人の銀行強盗は、演説が得意な響野(きょうの)、体内に正確な時計を持つ雪子(ゆきこ)、スリの久遠(くおん)、人の嘘を見破るのが得意な成瀬(なるせ)と個性的なメンバーで構成されている。いつものように銀行の襲撃を終えたところで別の窃盗団と鉢合わせたところから物語は動き出す。

大人がただ単に走り回るだけでなく、雪子(ゆきこ)の息子である慎一(しんいち)の友人との問題などが盛り込まれている点が面白い。それ以外の大部分は予想通り展開されてとくに驚く部分はなかった。

他の伊坂幸太郎作品に比べると読みやすく、理解のできない話や登場人物もいないため、力を抜いて読むことができた。ただ、複数の個性的で特技を持った人物がチームを組んで大きなことをする、というのはよく使われる手法なので特に新しさは感じず、正直この作品がなぜそこまで有名かは理解できなかった。この辺りは僕には理解できない良さがあるのかもしれない。

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