「運動脳」アンデュ・ハンセン

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
身体を鵜がかすことによる脳への好影響を語る。

運動が脳に与える効果を、さまざまな科学的論拠や実話とともに説明している。すでにタイトルから明らかなので、簡単に結論を言ってしまうと、薬を飲むよりも運動した方が脳には良いということである。具体的に本書で語っているのは、記憶力向上うつを防ぐモチベーションアップ学力向上などである。

少し前に読んだ「脳を鍛えるには運動しかない」と、言っていることは大部分同じではある。すでに体験的にわかっている人にとってどれほど新しい情報かというと疑問だが、「脳を鍛えるには運動しかない」では、ジョギングなどの単純な運動よりも、ダンスや格闘技などの適度に複雑さを伴う運動の方が良いとしていた。しかし、本書では徹底的にジョギングを勧めている。

週7回(ジョギング4回、スカッシュ2回、ダンス1回)の運動をする僕にとって、本書を読んで何か学びがあったかというと、ジョギングした直後に勉強をしたほうが記憶への定着の効果が高いらしい。つまり、現在は朝勉強して、夜ジョギングしている部分のルーティンはさらに最適化でるということである。

上にも語ったように、内容としては「脳を鍛えるには運動しかない」とあまり大差ない。しかし、こういう本は繰り返し読んですでにある運動に対する意識を強める必要があるのだろう。改めて、家族にも運動習慣を強く勧めたくなった

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「すべては「前向き質問」でうまくいく」マリリーG・アダムス

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
クエスチョンシンキングという考え方について、仕事に行き詰まったベンの体験を元に説明する。

会社を辞めようと思っていたベンは上司のアレクサの助言で、クエスチョンシンキングのコーチであるジョセフと出会う。ジョセフとの会話のなかで少しずつベンがクエスチョンシンキングを理解する様子が描かれる。

クエスチョンシンキングでは「批判する人」と「学ぶ人」の2つに分けていて、批判する人の典型的な問いかけを次のように挙げている。

  • だれのせいだろう?
  • 私のなにがいけないのだろう?
  • どうしてこんなに失敗ばかりするのだろう?
  • どうして負けてしまうのだろう?
  • どうすれば自分が正しいと証明できるだろう?
  • どうすれば主導権を握れるだろう?
  • どうして彼らはあんなん無知で人をいらいらさせるのだろう?
  • どうしてこんな最悪のチームから逃れられないのだろう?
  • どうしてくよくよするのだろう?

それに対して、「学ぶ人」の問いかけは次の12の質問である。

  • 私はなにを望んでいるのだろう?
  • 私はどんな選択ができるのだろう?
  • 私はどんな思い込みをしているのだろう?
  • 私はなにに対して責任をもてばいい?
  • ほかにどんな考え方ができるだろう?
  • 相手はなにを考え、なにを感じ、なにを必要とし、なにを望んでいるのだろう?
  • 私はなにを見落としているのか、あるいは避けているのだろう?
  • 私はこの人(状況、失敗、成功)からなにを学べるだろう?
  • (私自身に・相手に)どんな質問をすればいい?
  • どんな行動をとることがもっとも論理歴だろうか?
  • これをどうすればWin-Winに変えられるだろうか?
  • なにが可能だろうか?

物語視点で伝えてくれるのでわかりやすい。また人間なら「批判する人」に陥ってしまうのは自然なのことだと言っている点も面白い。重要なのは「批判のする人」になっていることに気づくことで、気づくことさえできれば「学ぶ人」になることは難しくないという。

内容自体は、選択理論7つの習慣の「主体的である」Four AgreementsのDont’t Take Anything Personalとそれほど変わらない。しかし、表現を変えると響き方も変わるもので、2つに分けるというシンプルな構図がわかりやすい。マイナスな方向に向かってしまう人にはこんな説明の仕方もいいな、と感じた。

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「エフォートレス思考 努力を最小化して成果を最大化する」グレッグ・マキューン

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
努力をしないで成果を出す方法を語る。

序盤で、むやみに努力することの危険性を語り、その後、楽して成果を出すための考え方を順を追って意説明している。ポイントは、

  • 楽しく進めること
  • 十分な休息をとること
  • まず始めること
  • 失敗を積み重ねること
  • ゆっくり進めること
  • 大事なものにフォーカスすること
  • シンプルにすること

である。どれも言われてみれば当たり前なことばかりだが、例を交えて説明しているから面白い。

多大な犠牲を払って成功した人々と同じくらい、簡単に成功した人々もいる。ただ、苦労の少ない成功は、物語になりづらいだけなのだ。

努力をするのは悪いことではないが、努力したとしても報われるとは限らない。努力を盲信している人にとっては良いきっかけになるのではないだろうか。

僕自身は楽しいことじゃないと身につかない、という考えで、著者の考え方に近いが、それでも改めてその考えに触れると、自分の考えの純度が上がる気がする。

昨今リモートワーク化が進んでいるが、一方でコロナ禍が収束してオフィスワークに戻して行っている企業もある。しかし、本書を読んで改めて、電車のなかで毎日2,3時間を過ごすオフィスワークスタイルは無駄な努力で決して戻るべきではないと感じた。

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「うまくいく人が仕事以外でやっていること99」ステファノ・クセナキス

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
著者が人生を楽しむための考え方を語る。

著者がギリシャ人であることから、ギリシャの生活が見えてくる。そんななか結局、著者が言っていることは基本的には

  • 早起きすること
  • テレビを消すこと
  • 学び続けること
  • 持っているものに感謝すること
  • 分かち合うこと
  • コントロールできるものに集中すること
  • 本を読むこと

である。どれもよく聞く話であるが、異国の情景とともにそれを伝えてくれるので新鮮である。よく聞く話だから意味がないというのではなく、よく聞く話だからやはりこの考え方が大事で、何度も繰り返し言い聞かせる必要があるのだろう。

ミスをなくそうとするのではなく、ミスを恐れないようにする。すると、ミスをすることが少なくなった。

改めて大事なことに気づかせてくれる。

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「史上最強の人生戦略マニュアル」フィリップ・マグロー

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
人生を好転させる方法を体系的に説明している。

序盤で本書が多くのページを割いて説明しているのは次の3点である。

  • 不平や愚痴で時間を無駄に費やさない
  • 行動を変えれば人生は変わる
  • 自分の求めるものがわからなければ、求める人生にはたどり着けない

こうやって書き連ねてみれば当たり前のことばかりなのだが、確かに世の中にはこれができてない人がなんと多いことか、逆にできている人にとっては、行動を起こさない人が不思議で仕方がないだろう。

あなたが手に入れるのは、最高でも自分が求めるものなのである。

最後の章では、より詳細に自分の求めるものを見極め、行動を起こす方法を説明している。普段、現状に愚痴や不平ばかり言って何もしない人でも、本書のとおり行動すれば間違いなく人生は好転するだろう。(ただ、そういう人はおそらく行動しない…)

僕自身は行動をさっさと起こすほうだと認識しているが、それでも改めて自分の現状を振り返る機会となった。不便だと思いながらも受け入れているものがないだろうか、実はもっと改善したいと無意識に感じているものはないだろうか、そんなことを改めて考えてみたい。

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「人生がときめく片付けの魔法」近藤麻理恵

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
一度習えば、二度と散らからないという整理収納法について語る。

こんまりとして日本だけでなく海外でも有名な著者であるが、その著書に触れたことがなかったのでこれを機に読んでみようと思った。

端的に言えば本書を通じて著者が言っているのは

ときめかないものは捨てる

である。僕自身比較的ものはさっさと捨てるほうではあるが、それでも捨てるのが難しいと感じるのは、人からもらったものである。特にその人の手書きのメッセージなど書いてあると、どんなに小さな紙切れだろうと捨てるのが難しい。しかし、それについても本書のこんなアドバイスが効きそうである。

プレゼントはそのものより、気持ちを届けるモノです。
だから、「受け取った瞬間のときめきをくれて、ありがとう」といって捨ててあげればよいのです。

また、僕自身は服をたたむことは無駄な時間だと考える人間だが、本書では感謝の言葉をかけながらたたんで重ねるのではなくたてることを推奨している。正直、感謝の言葉をかけることの意味はよくわからないが、服をたてることの意味はわかったので、さっそく実践していこうと思った。

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「自分探しと楽しさについて」森博嗣

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
作家であり工学博士である著者が自分探しについて思うところを語る。

著者森博嗣は「すべてがFになる」や「スカイ・クロラ」など、むしろ理系作家としての印象が強かったのだが、そんな人がどんなことを書いているのだろうと気になって本書を読むに至った。

著者自身数時間で本書を書き上げた、と言っているように、特に計画もなく独り言を書き連ねたような印象である。

印象的だったのは、抽象化の重要性を説いている点である。人生を楽しめない人は、誰かがあるものを楽しんでいるのを見るとそれとまったく同じことをしようとする。その結果、その対象は競争率が上がり、他人を蹴落とさないと手に入れることのできないものになる。一方で抽象化が得意な人は、何かが楽しかった時に、どの要素を自分が楽しんでいるのかを見極めて、その要素を備えていて自分にアクセスがしやすいもので楽しみを感じることができるというのである。

内容が濃いとは言えないが、もし人生が退屈で悩んでいるなら読んでみるといいかもしれない。僕自身はむしろ合間合間で触れる著者自身の趣味が楽しそうだなと思った。

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「1分で話せ」伊藤洋一

1分で話せ

オススメ度 ★★☆☆☆ 2/5
短くシンプルに伝える方法を語る。

人は人の80%の話を聞いていないとして、意思を伝え、人を動かすために1分で話すことの重要性を説いている。そんななか話が伝わらなくなる4つのパターンが印象的である。

「プロセス」を話す
気を遣いすぎる
自分の意見とは違うことを言う
笑いを入れる

確かに僕自身の周囲でよく見るのは、「気を遣いすぎる」である。人を傷つけまいと一生懸命オブラートに包むから何を欲しいのだかわからなくなるのである。また、人を動かすのは「頭の中に生まれたイメージ」であり、そのために2つの手法があると言う。

ビジュアルなイメージを直接的に描いてもらう
聞き手をそこにあてはめていく、聞き手にそのイメージの中にはいっていってもらう

自分はどちらかというと直接的に物を言いすぎる傾向があって、よく「言い方が悪い」と言われる。しかし、むしろ人に思いをしっかり伝え、動かすためにはその方向で正しいと思えるようになった。ビジュアルのイメージを喚起する方法は心がけていきたいと思った。

伝え方でヒントになる箇所はあったが、全体としては内容の薄さを感じてしまった。後半に進むにしたがって前の章で語ったことの繰り返しで、最後の章はほとんど時間の無駄だった。

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「The Monk Who Sold His Ferrari」Robin Sharma

The Monk Who Sold His Ferrari

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
心筋梗塞をきっかけに輝かしい法律家の経歴と私財を捨ててインドに旅立った友人が、若返って帰ってきてヒマラヤで得た豊かな人生のための教訓を語る。

すべてを捨ててヒマラヤに行った友人という話が印象的だったため序盤から興味津々である。ヒマラヤでしあわせにに長生きをする人々の秘訣を教わって帰ってきたJulianは話し始める。灯台のある美しい庭に関取がいる、不思議な逸話から、徐々にその奇妙な話が意図するところを説明していく。

まとめてしまうと、本書で語っている豊かな人生を生きる鍵はは次の7つである。

Master Your Mind
Follow The Purpose
Practice Kaizen
Live With Discipline
Respect Your Time
Selflessly Serve Others
Embrace the Present

つい先日「アファメーション」を読んだばかりであるが、それだけでなく「嫌われる勇気」など、本書で語られていることは、形や順番は異なれど、どれも多くの場所で語られることばかりである。それでも、語り方が異なればまた伝わり方や感じ方が違うもので、今回も改めて自分の生き方の純度をあげるきっかけとなった。

言葉の重要性、周囲で起きたことに対する自分の反応のコントロール、そして人や社会に尽くすこと、この3点は常に忘れないようにしたい。また、そのほかにも、人に伝えたい言葉であふれていた。

There are no mistakes in life, only lessons. There is no such thing as a negative experience, only opportunities to grow, learn and advance along the road of self-mastery. From struggle comes strength. Even pain can be a wonderful teacher.
No matter what happens to you in your life, you alone have the capacity to choose your response to it.
Your I can is more important than your IQ.
Don't pick up the phone every time it rings. It is there for your convenience, not the convenience of others.

世の中にはすでに本書で書かれていることができている人も多いだろう。しかし、そんな人でも何度もその考え方を忘れないために同じ考えに触れ、その純度を上げていくべきなのだろう。

「アファメーション」ルー・タイス

アファメーション

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
人生を好転させる5つの法則を語る。

たびたび良書として名前が挙がってくるため、「アファメーション」という言葉から、おおよその内容の想像はできるのもかかわらず、自分の人生の密度をさらにあげるために本書を読むに至った。

本書は次の5つのステップを順番に語っている。

ステップ1 ビジョン、使命、価値観、動機、態度を明らかにする。
ステップ2 創造的な思考、ポジティブなセルフトークを取り入れる。
ステップ3 ターゲットを定義し、目標の刷り込みを行う。
ステップ4 行動を起こし、方向を正す。
ステップ5 人を育て、組織を改善する。

人生のすべては自分の選択であり、行きたい場所を明確にして、それを言葉にすることで実現に近づく、これは間違いない。また、この考えは、昨年読んだおすすめの本「自動的に夢がかなっていくブレインプログラミング」と非常に似ており、結局、豊かな理想の人生を達成するための誰もが認める方法ということだろう。

そういう意味では、考え方としてはすでに何度か触れたものだったので、大きな驚きはなかったが、表現の仕方、説明の仕方のなかに、いくつか新しいと思えるものがあり、この考え方の重要性を改めて再認識できた気がする。なかでも、自分のネガティブな考え方によって束縛され、不幸になっている人を端的に表した次の言葉が印象的だった。

見てごらん、鍵は君のポケットの中にあるよ。君はただ鍵を開けて、自由になればいいんだ。

後半は目標設定の必要性やそれに関わる逸話を多く書いており、また個人だけではなくグループへの適用などにも触れており、必要以上に長く感じた。個人的に人生を好転させたくて本書を読もうと考えているなら、上にも書いたように「自動的に夢がかなっていくブレインプログラミング」の方が端的でわかりやすく、また楽しく読めるだろう。

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「置かれた場所で咲きなさい」渡辺和子

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
ノートルダム清心学園理事長の著者が生き方を語る。

前向きな人生を送るための考え方を語った本は、昨今世の中にあふれており、本書もそんななかの一つである。したがって、読むことに意味はないとは言わないが、この手の本をたくさん読む人にとってはそれほど印象的な言葉はないかもしれない。ただ、すでに出版時点で80歳を超えていることから、人間の晩年になってこそ見える考え方が伝わってくる。

老いるということにおいて、一番大切な仕事は、ふがいなくなった自分を受け入れて、いつくしむということだと気付きました。
一生の終わりに残るものは、我々が集めたものではなく、我々が与えたものだ

ときどきその職業的背景ゆえか、キリスト教や神を引用して語ることで、無心論者には受け入れがたく感じるかもしれない。

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「直感と論理をつなぐ思考」佐宗邦威

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
PDCAによる改善の流れは今後ますます自動化され、正解がないものに取り組む直感的な発想法がより必要になるという。本書では直感的な考え方の必要性とそれを生み出す手法を語る。

本書ではこれから社会が向き合う2つの危機をオートメーションの波とVUCAの霧としている。VUCAとはVolattility(変動)、Uncertainty(不確実)、Complexity(複雑)、Ambiguity(曖昧)である。そしてそんななか、論理的、戦略的思考ではいずれ限界がくると説いている。つまり、ゲームに勝つことよりも、ゲームを作り出すことこそた重要なのだという。「自分モード」から「他人モード」、「1→∞」から「0→1」、「Vision-Driven」とから「Issue-Driven」など様々な言い回しを使っているが言っていることは基本的に同じである。

「いかに答えを探すか」ではなく、「そもそも答えなどない」という前提で動くことが、大半の人・組織に求められるようになったわけだ。

そして、後半では「0→1で発想する様々な手法を紹介している。プロトタイピングメソッドによって早く作って早めに失敗することの重要性や、広く全体を見る鳥の目と狭く集中して物事を見つめる虫の目を使い分ける方法や、「画像」と「言葉」を往復する思考法を紹介している。

なかでも手書きと絵の重要性を説いている点が印象的である。どんなにアプリなどのデジタルツールが進歩したとしてもアプリの立ち上げまでの時間を考えると、すぐに開けてかけるノートとペンにはかなわないと著者は主張するのである。

僕自身もすでにコンセプトが出来上がっているものを作り上げるよりも、コンセプト自体を創造することに価値があると考えているので、本書で行っていることには共感する。アイデアの出し方についても、僕自身デザイナーとして、デザイン案を構築する中で、言葉とイメージを往復しながらアイデアを少しずつ固めていく手法をよく使う。本書で書かれている内容は、その手法の効果を裏付ける形となった。

ツールについては、iPadのApplePencilの登場でかなりアナログの感覚をデジテルツールでも再現できるようになったと感じているが、確かにアクセスや、アプリを開くまでの時間を考えると、本書で言っているようなこともあるのかもしれないと感じた。ノートを一冊常に持ち歩くように習慣づけることは間違い無く良いことだろう。さっそく素敵なノートを一冊購入しようと思った。

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「世界一やさしい問題解決の授業」渡辺健介

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
経営コンサルティング会社マッキンゼーで活用している問題解決の手法を子供向けに語る。

本書では、小学生や中学生の日常生活で起こりそうな問題を例にとってその解決の手順を一つ一つ説明している。具体的には次の方法である。

  • 目標を設置する
  • 目標と現状のギャップを明確にする
  • 仮説を立てる
  • 情報を集める
  • アイデアを出す
  • 最適な打ち手を選択する
  • 実行する

一方で、よくある3つのタイプをよくない例として出している

  • どうせどうせ子ちゃん
  • 評論家くん
  • 気合いでゴーくん

ここまで子供向けの内容とは思っていなかったが、たしかに、これが自然とできる人とそうでない人がいて、できない人にはこうやって教えて、人生の早い段階で学ぶことができれば大きく人生を好転させることができるだろう。子供のために一冊あってもいいのかもしれない。

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「ユダヤ人大富豪の教え」本田健

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
1年間アメリカに滞在した著者はそこでユダヤ人の大富豪であるゲラー氏と出会う。その後の著者の人生に大きく影響を与えたゲラー氏の教えを描く。

さまざまな場所で本書の名前を耳にしながらも読んだことがなかったので今回手に取った。

ゲラー氏は著者に、世の中で生きる人を自由人と不自由人という2つの種類に分けて説明している。自由人になるためには、目の前にあることを好きになるべきで、好きであれば、どれだけ時間を費やしても楽しく、その楽しさは人に伝染すると語っている。

またお金の原則としてつぎの5つを語っている。

  • 1.たくさん稼ぐ
  • 2.賢く使う
  • 3.がっちり守る
  • 4.投資する
  • 5.分かち合う

好きなことに時間を費やすことの力や、投資の話に特に驚きはなかった。本書を読んで改めて思ったこととしては、僕自身人脈への意識が薄いということである。本書の「多くの人に気持ちよく助けてもらう」「人脈を使いこなす」に書かれていることは少しでも実践していきたいと思った。

偉い人には、あたかも彼がえらくないかのように接しなさい。そして、えらくない人には、あたかもその人が偉い人のように接しなさい。

もし自分でできたとしても、できるだけ多くの人を巻き込んで助けてもらうことだ。そしてその人たちに感謝して喜んでもらうことが君の成功のスピードを速めるのだよ。

人脈の大切さやお金の投資の重要性はそこら中で語られているので、本書で書かれていることは特に新鮮というわけではない。例えば「夢を叶える像」なども同じようなことを言っている。しかし、このような生きる上での大事なことは、繰り返し触れてなんども思い出し自分の人生の軌道修正をするのに必要であり、そういう意味では本書もまた有益なのだと感じた。

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「Atomic Habits」James Clear

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
事故による怪我から習慣の力で復活し大きな成功を築いた著者が、習慣の力とそれを作り出す考え方や方法を語る。

僕自身もさまざまなことを習慣にしていて、比較的習慣の力や習慣を作り出す能力に長けているほうだと思うのだが、さらにそれを強化したいとおもっているなか、さまざまな人が本書を進めているのを知ってたどり着いた。

基本的に本書で語っているのは、習慣に対する機会、障害、心構えに対して、良い習慣は取り組みやすく、もしくは取り組まざるを得ない方向に変更し、悪い方向はその逆、つまり、取り組みにくく、もしくは取り組むのを不可能にする、という方法である。おそらく習慣化が得意な人はすでに大部分のことをやっていることだろうが、こうして改めて言語化してみてみると、習慣化の重要な部分がはっきり見えてくる。

印象的だったのが実際の行動であるActionと準備や下調べなどのMotionを分けて次のように語っている点である。

Motion makes you feel like you're getting things done. But really, you're just preparing to get something done.
下調べや準備は行動を起こしたように感じさせる。しかし実際には準備しているだけである。

何よりもまず行動することこそ大切で、常に意識しておきたいと思った。また、そのほかにも取り入れたいなと思ったのは次の定期的に行うセルフレビューである。。著者は自分のレビューを実践することを進めているのだ。

1.What went well this year?
2.What didn't go so well this year?
3.What did I learn?

また、自分自身の信念や理想からずれていかないために次のような問いかけも実践しているという。

1.What are the core values that derive my life and work?
2.How am I living and working with integrity right now?
3.How can I set a higher standard in the future.

たしかに、人間は自分の好き嫌いよりも周囲の視線を気にして、好きでもないことに時間を費やすことが起こりうることを考えると、このように自分の本当にやりたいことかをやっているかを問いかけることは人生において重要なのだろう。

昨今習慣の本は溢れているが、本書に比べたら内容の薄い本が多く、そのような本を読むことに時間を費やすよりも、本書を一冊読んでひたすら実践する方が何倍も効果があると感じた。また、それぞれの章に読者を納得させる興味深い物語を語っている点も面白い。どれも面白く、ぜひ覚えて人に聞かせたいと思った。長続きしない人には必読の一冊である。

和訳版はこちら。

「幸福の意外な正体」ダニエル・ネトル

オススメ度 ★★☆☆☆ 2/5
幸福について研究した著者がその結果と結論を語る。

タイトルからもっと自己啓発的な本を想像していたが、思った以上に科学的なアプローチをしている。そのためやや小難しく読みにくい。

面白かったのは人間の6つの感情、恐れ、悲しみ、嫌悪、怒り驚き、喜びのうちプラスの感情は喜びの一つだけだという点である。著者の理解によると喜びの状態においては何も変える必要がないのに対して、その他の状態では現状を変えて改善する必要があるためだという。また、喜びは一瞬で飽きてしまうために幸せであり続けることが難しい、というのも興味深い指摘である。

結局のところ、幸せになるためのさまざまな要素を検証しているだけにすぎず、具体的に幸せになる方法をはっきりと語ってない点が残念である。唯一の幸せになるしさは次の言葉だろう。

あなた自身が何か、価値がある、挑戦しがいがある、大切である、と思えるものに意識を集中させていればいいのです。

間違えやすい幸せな方向についての指摘は知っているだけでも有用だが、もう少し面白く、もう少し人生に有用な形でかけたのではないだろうか、と感じてしまった。

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「手ぶらで生きる。見栄と財布を捨てて、自由になる50の方法」ミニマリストしぶ

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
ミニマリストの著者がその生き方や考え方を語る。

僕自身も、捨てられるものはさっさと捨てたいし、広いよりも最低限の広さがあればむしろ狭い部屋に住みたい、と考えるミニマリスト思考の持ち主である。今回、何かしら人生をさらに豊かにするヒントに出会えればと思い本書にたどり着いた。

すでにミニマリストという言葉が一般的に世の中で通じるようになって数年が経ち、また断捨離も流行っていることから、その考え方はそれほど目新しいものはないだろう。すでに少しでも実践したり、実践してないまでも興味を持って調べたことのある人にとっては、本書で書いてあることも、特に驚きを与えるようなことではないだろう。例えば次のような内容である。

  • 冷蔵庫は持たない
  • テレビは持たない
  • 狭い家に引っ越す
  • 毎日同じ服を着る
  • 財布は持たない
  • 「限定物」ではなく「定番物」を買う
  • 「レンタル」「シェア」を使いこなす
  • 「出口戦略」を考えて増やす
  • 時間を生み出すツールに投資する

僕にとっても、新しい考え方に出会うというよりも、もともと持っていた考えを改めて再確認する機会となった。唯一「こんな考え方もあるのか」と思った点を上げるなら次の2つだろう。

「一日一食」で生活する

たしかに、食事に関して、僕らは三食食べるべきという考え方に固執しすぎているのかもしれない。1人のときなど二食生活や一食生活を取り入れてみたいと思った。

物が人生を豊かにする、という思考から離れられない人にとっては何かしら本書から学ぶ部分があるだろう。

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「ブレインメンタル強化大全」樺沢紫苑

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5

精神科医の著者が、睡眠、食事、運動の人生のおける重要性と、より良い睡眠、食事、運動の仕方を語る。

著者自身多くの本を読んでいるようで、それぞれについて様々な研究結果を引用している。どこかで聞いたような話や、別の本で読んだ話も多く、「〜のようだ」「〜の研究もあります」など、自分自身は読んだだけで実験したわけでもなく、ただ著者自身が気に入った情報を切り貼りしただけという印象が拭えない。

著者自身かなりの健康マニアだということがひしひしと伝わってくるが、人間何かを信じ始めると欲しい情報ばかりが見えてくるもの。そんな傾向を警戒した上で、話半分に本書を読むのがちょうどいいかもしれない。

参考文献が末尾にしっかり書かれているので、興味を持った分野はオリジナルの本を読むのがいいだろう。

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「レンジ 知識の「幅」が最強の武器になる」デイビッド・エプスタイン

オススメ度 ★★★★☆ 4/5

世の中には早くから専門分野を決めてその分野で一流になった人と、いろんな分野を試してから一つの分野にたどり着き遅咲きながら一流になる人がいる。どちらのタイプが今後必要とされ、親として子供を育てる場合どちらのタイプを目指すべきなのか、様々な事象から語る。

本書で語っているのは、個人でも組織でも専門に特化することで起こりうる危険性である。様々な分野が確立され、その分野で研究し議論しその分野のなかで考えることに慣れて過ぎてしまうことで、別の視点に立てば簡単に解決することができるの気付かない、ということが起こるのである。 著者は、専門家と多様な知識を持った人間のバランスこそが、新しい分野を切り開いたり、これまで未解決な問題を解決するのに必要なのだという。

そして、インターネットによる誰でも情報に簡単にアクセスできるようになった今、専門家のニーズは以前より少なくなっていると語っている。

組織だけではなく、個人の技術やモチベーションについても同じことが言える。最近10000時間の法則などがあらゆる場所で語られており、それによって、早期教育への関心が高まっているが、本書の主張はそんな流れを考えすのに良いきっかけになるだろう。

早く分野を決めて取り組めば、たしかに人より先んじてリードすることはできるが、様々な分野を体験しないで決めた分野はモチベーションが保ちづらく、いろんな体験をしてからその分野に参加した人にやがて追い抜かれていくのである。

本書の魅力はその話を展開するなかで引き合いに出されるさまざまな話である。タイガーウッズとフェデラーに始まり、任天堂のゲームウォッチや、スペースシャトルチャレンジャーの話など、興味深い話があふれている。本書の語っている、知識の「幅」の重要性が理解できる人なら、そんな様々な実話や逸話もしっかりと楽しんで、自分の知識の「幅」の一部にしたいと感じるに違いない。

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「習慣が10割」吉井雅之

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
習慣の持つ力と、習慣の続け方を語る。

僕自身習慣化を得意としており、それによって自分のなりたい自分になれている気がするが、さらに精度を上げるヒントに出会えればと思い本書を手に取った。

序盤は習慣の重要性を語っており、世の中のすごい人たちは才能に恵まれたわけではなく、単に習慣を味方につけただけでそれは誰にでもできることだと語り、中盤以降は習慣をつくるための心がけについて語っている。

  • とにかく「ハードル」を下げる
  • ゲーム感覚でやる
  • 「仕組み」を作る

どれも習慣の得意な人はすでにやっていることだろうが、こうやって言葉として並べてみると、習慣化できない人の問題点が見えてくる気がする。

また、面白いなと思ったのが本書で紹介している「クリアリング」という習慣で、自分の1日の行動を振り返る行為である。落ち込んだ日や、物事がうまくいってない時などは取り入れてみると面白いかもしれない。

メルマガやブログ、貯金など、若干考え方が古いなと感じる部分もあったが、その辺は著者がかなり年配な方のようなので仕方がないだろう。すでに習慣を実践できている人にとってはあまり学ぶ部分はないかもしれない。ただ、これから習慣をつくろうと本気で考えている人には、本書に大部分の習慣化に必要な考え方は書かれているので、きっと役に立つことだろう。

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