「ビブリア古書堂の事件手帖4 栞子さんと二つの顔」三上延

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
ビブリア古書堂シリーズの第4弾。毎回本を絡めた興味深い物語を展開してくれる。今回は江戸川乱歩のコレクターが遺した謎に栞子(しおりこ)と五浦(ごうら)は挑む。
本シリーズは今まで多くの有名な本を扱ってきたが、今回扱う江戸川乱歩シリーズはまさに僕自身が小学生の頃親しんできたシリーズで、物語中で触れられるタイトルの数々に懐かしさを感じてしまった。
また、そんな本に絡めた謎やそれぞれの本や作家が持つ深い歴史だけでなく、栞子(しおりこ)への五浦(ごうら)の想いもまたほのぼのと描かれている。そして、本書で何よりも注目すべきなのは失踪していた栞子(しおりこ)の母、篠川智恵子(しのかわちえこ)が登場する点だろう。栞子(しおりこ)よりもさらに深い本に対する知識と行動力のある智恵子(ちえこ)に対して、栞子(しおりこ)と五浦(ごうら)は謎解きで挑むのである。
まだまだこの先一波乱ありそうな流れである。
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「ビブリア古書堂の事件手帖3 栞子さんと消えない絆」三上延

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
もはや御馴染みの、古本屋の店主栞子(しおりこ)と、そこでバイトをする五浦(ごうら)の繰り広げる本に関わる物語。
シリーズ3作目となる本作品でも面白そうな本がいくつか触れられて、きっと読みたくなるだろう。栞子(しおりこ)ほどではないにしても、読書好きを自負する僕としては、もっと古い作品にも触れてみるべきなのだろうと、本シリーズを読むたびに思う。
さて、本書でも過去と同様に、栞子(しおりこ)と五浦(ごうら)は、店に持ち込まれるお客さんの本に関わる悩みを解決していく。過去の2作品と異なるのは、少しずつ失踪している栞子(しおりこ)の母親の存在が前面にでてきた点だろうか。突然失踪した母に腹を立てながらも、栞子(しおりこ)は母親が残した本を探し続けるのだが、本書では、お客や顔見知りの同業者によって、母の話を聞く事になるのだ。
本の話のなかで印象的だったのは宮沢賢治の推敲の話。きっと世の中で売れている本もそうでない本も、多くの本が、作者にとっては大きな愛情を注いで作り上げた、忘れがたいものなのだろう。
正直、前作まで読んだ段階で、シリーズすべてを読みつづけるほどのものではないと思ったのだが、本書第3作を読んで逆に辞められなくなってしまった。
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「ビブリア古書堂の事件手帖2 栞子さんと謎めく日常」三上延

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
店主篠川栞子(しのかわしおりこ)が退院して戻ってきた北鎌倉のビブリア古書堂。そんな古本屋で起きる古本にかかわる物語。
第2弾となる本作品は、前作と違って店主栞子(しおりこ)が戻ってきてビブリア古書堂にいる点だろう。それでも本の事以外を話すのは苦手なため、接客を基本的にアルバイトの五浦大輔(ごうらだいすけ)に任せることとなる。
全体的には未だに何を考えているかわからない栞子(しおりこ)と高校時代から栞子(しおりこ)に想いを寄せる大輔(だいすけ)の不器用な恋愛物語といった雰囲気になってくる。
もちろん、そんななかでも古本に関する興味深いエピソードはちりばめられている。アントニイ・バージェスの「時計じかけのオレンジ」や足塚不二雄の「UTOPIA」などがそれである。
大輔(だいすけ)の昔の恋人が現れたり、栞子(しおりこ)の母親のエピソードがあったりと、少しずつ2人の背景が明らかになっていく。例によって、のんびり気楽な読書に最適な一冊。
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「ビブリア古書堂の事件手帖 栞子さんと奇妙な客人たち」三上延

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
鎌倉の古本屋の店主である篠川栞子(しのかわしおりこ)は人見知りで口下手だが、古本をこよなく愛し、古本に関わることではすぐれた洞察力を発揮する。就職浪人中の五浦大輔(いつうらだいすけ)は本の鑑定のためにその古本屋を訪れる。
やはり本シリーズの魅力は篠川栞子(しのかわしおりこ)のその個性だろう。「千里眼シリーズ」で有名な著者、松岡圭祐も「万能鑑定士」シリーズで、非常に知識のある女性を描いているが、最近で言えば「鉄子」と言われる女性鉄道オタクが市民権を得たように、世の中が度を越して知識を持っている女性を求めているのかもしれない。
物語はそんな篠川栞子(しのかわしおりこ)と五浦大輔(いつうらだいすけ)の周辺で起きる、言ってしまえばそれほど深刻でない日常の問題を、栞子(しおりこ)が解いていく。その過程で語られる、古本に関わる小話や、夏目漱石、太宰治などの日本文学が非常に好奇心を掻き立ててくれる。誰もが聞いたことのある著者でありながら、なんとなく「古臭い」「退屈」といったイメージをぬぐえずに実際に読んだことのない人は多いのだろう。本作品は、そんな躊躇している人の背中を押してくれるだろう。実際僕も、太宰治を何冊か読んでみようか、と読み終わって思った。物語自体が、「ものすごい面白い」とかいうわけではないが、心地よく視野を広げてくれる作品である。
本作品では、鑑定、古本に深くかかわる内容である、古本屋といえば京極夏彦の「姑獲鳥の夏」、鑑定といえば松岡圭祐の「万能鑑定士シリーズ」が僕のなかで印象的だったので、まだ読んだことのない人は読み比べてみてはどうだろうか。

小山清
東京府出身の小説家。1952年(昭和27年)に『文學界』に発表した「小さな町」や『新潮』発表の「落穂拾ひ」など、一連の清純な私小説で作家としての地位を確立。 1951年(昭和26年)に「安い頭」が第26回芥川賞候補に、1952年に「小さな町」が第27回芥川賞候補に、1953年(昭和28年)「をぢさんの話」が第30回芥川賞候補にあげられた。(Wikipedia「小山清」
ピーター・ディキンスン
イギリスのSF作家、ファンタジー作家、推理作家、絵本作家。ディッキンソンの表記もある。アフリカの北ローデシア(現ザンビア)、リヴィングストン生まれ。(Wikipedia「ピーター・ディキンスン」
太宰治
日本の小説家。1936年(昭和11年)に最初の作品集『晩年』を刊行した。1948年(昭和23年)に山崎富栄と共に玉川上水で入水自殺を完遂させた。主な作品に『走れメロス』『津軽』『お伽草紙』『斜陽』『人間失格』。その作風から坂口安吾、織田作之助、石川淳らとともに新戯作派、無頼派と称された。(Wikipedia「ピーター・ディキンスン」

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