「傍聞き」長岡弘樹

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
救急隊員、女性刑事、消防士といった特殊な職業に就いている人を描いた4つの物語。
4つの物語を収めているにもかかわらず薄いため、あまり期待していなかったのだが、どの物語も非常に深く、結末は予想をいいほうに裏切ってくれる。2番目の表題作「傍聞き」で日本推理作家協会賞短編部門受賞したということだが、個人的に印象的だったのは最初の物語である「迷走」である。
ナイフで刺された怪我人を搬送中の救急車だが、病院の近くにたどり着きながらも怪我人を下ろすことなく、病院の周囲をサイレンを鳴らし続けながら走る。その怪我人と面識のある救急隊長の意図は、怪我人を救うことなのかそれとも…。
残りの3つの物語も短いながらもそれぞれの登場人物の個性がしっかりと出た物語となっている。この手軽さでこの深さ。読む価値ありといえる。
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